最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~

シオヤマ琴@『最強最速』10月2日発売

第67話 神代の交換条件

『もしもし佐倉さん、聞こえていますか?』
「……あ、ああ……聞こえてる」


『それでどうなのでしょうか? 佐倉さんの本当のレベルはいかほどなのでしょう』
「な、何を言ってるんだ。マリアが言ってただろ、99だって」
『それはマリアさんのレベルであってあなたは違いますよね』
淡々とした口調で神代は問うてくる。


「はあっ? だ、大体レベルの上限が99だってことは全世界の常識じゃないか。お前もよく知ってるだろ」
『ええ、そうですね。でもあなたはその常識から抜け出てしまっているのではないですか?』
語尾こそ疑問形だが神代からは確信を持っているような迫力が感じられた。




「……なんで、そう思う」
『あの動画を見てですよ。レベル99同士なのにあまりにも実力差がありすぎます。まるで大人と子ども、いえ、大人と赤ん坊くらいの差がありましたよ』
「でも、例えばすばやさが倍になるスキルとか相手の急所がわかるスキルみたいなものを俺が持っている可能性だってあるだろ」
スキルは十人十色。スキルの種類はこの世には数えきれないほどある。
戦闘を有利に運ぶスキルだって山ほどあるはずだ。


『僕はネット上でスキルに関するありとあらゆる情報を集めました。その中にはたしかに【すばやさ2倍】といったスキルを持つプレイヤーがいることも実際に確認しています』
「だったら――」
『ですがあなたの強さは次元が違います。スキルの補正でどうこうなるものではないでしょう。おそらくですが以前あなたが教えてくれたレベルフリーというスキルはレベルの上限がなくなるといった効果なのではないですか』
神代は核心をついてきた。


うっ…………確固たる自信を持っているこいつには急場しのぎの言い訳は通じそうにない気がする。




……し、仕方ない。


俺は覚悟を決めた。


「……ああ。まさにお前の言う通りだよ神代。俺のレベルは20375だ」
『っ……!?』
今度は神代が言葉を失う。


「これみんなには秘密だからな。バレると騒ぎになるかもしれないだろ」
『二万……ですか……ふふっ、そうですね。もしそんなことがバレたら最悪国の研究機関にモルモットにされてしまうかもしれませんからね』
「おい、怖いこというなよ」
『すみません、冗談です……それにしてもやはりあなたは底が知れませんね』
「約束だからな、秘密は守ってくれよ」
神代は口が堅そうだから多分問題ないとは思うが。


『秘密にしておく代わりといってはなんですが僕の望みを一つだけきいてくれませんか?』
神代にしては珍しく交換条件を持ち出してきた。


「なんだよ。金ならないぞ」
『お金なんていりません。なあに簡単なことですよ……』


次に神代が口にしたのは予想外のセリフだった。


『……僕と本気の勝負をしてください』

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