最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~

シオヤマ琴@『最強最速』10月2日発売

第26話 コーヒータイム(七か月前)

「はっ!」
「やぁっ!」
「おりゃあぁー!」
「えいっ」
「スキル、火炎魔法ランク3っ!」


俺たちは五人で協力しながら襲い来る魔物たちを打ち倒し浅い凪のダンジョンを地下へと下り続けていた。


俺を除く四人は剣道の有段者なので手にした木刀で魔物と距離をとりながら戦い俺は主に魔法を使ってこれらを倒していった。


道中ダンジョン内で手に入れたアイテムは大きなリュックを背負った海道が一人で持ってくれた。
ダンジョンを出てからそれらを売った金を五等分する約束になっている。


MPが底をついてからは俺はダンジョン内で手に入れた青銅の剣で魔物を仕留めていった。
たまにチームの誰かが、というか主に俺なのだが、が怪我をすると手に入れた薬草かポーションで回復、もしくは水川が魔法で回復してくれた。


アイテムを回収しながら休憩もとりつつ魔物と戦い着実にレベルを上げてからさらに地下へと下りる。
そんなことを繰り返しながら十時間くらい経った頃だろうか、神代が口を開いた。


「みなさん、今日はこのへんで休みましょうか」


ここは地下九階。
ある程度魔物も倒しつくした俺たちはみんなさすがに疲弊していた。


「そうね。それがいいわ」
「おう。そうしようぜ」
「はい」
「ああ」


当然のように俺を含め反対する者は誰一人としていなかった。




「ではいつものように交代で眠りましょう。海道さん、お願いします」
「任せとけっ」


何やら神代に頼まれた海道は背負っていたリュックを下ろすと中から寝袋を二つ引っ張り出す。
そしてそのうちの一つを長澤に手渡した。


「ありがと、海道」


受け取った長澤はそれを広げると早速中に入り横になる。


「悪いけど先寝かせてもらうわ。いつも通り時間になったら起こしてね。じゃあ蓮華、神代、佐倉、おやすみ~」
「そんじゃおれも」
言うなりもう一つの寝袋には海道が入った。
寝つきがいいのか二人はそのまますぐに寝入ってしまう。


「すぅすぅ……」
「ぐぅぐぅ……」




二人が寝たのを確認すると神代は海道のリュックからパーコレーターというものを取り出しコーヒーを用意して俺と水川に差し出してくれた。


「すみません佐倉さん。僕たちはあと三時間ほど待機です。その間コーヒーでも飲んで待ちましょう」


神代が言うにはこれまでも仮眠をとる時は長澤と海道が先に寝て神代と水川が見張りをし、それを三時間で交代するというルールでやってきたのだそうだ。


「寝袋は二つしかないので海道さんが起きたら佐倉さんが使ってください。僕は構いませんから」
神代は湯気の立ったコーヒーを口にしながら俺を見た。


「え、悪いってそんなの。俺はどんな場所でも寝られるから神代が使っていいよ」
あくまで俺は部外者だ。
ただでさえちょっと足を引っ張っている感もあるのにさらに迷惑をかけるわけにはいかない。


「ですが……」
「いいんだよ。神代が使ってくれ。俺は本当にいいから」
「……そうですか。ではお言葉に甘えてそうさせてもらいます」


かたくなに拒否するとさすがの神代もしぶしぶ俺の申し出を受け入れてくれた。




俺は熱いコーヒーをずずっと飲みながらなんとはなしにもう一人の仲間、水川に目をやった。
マグカップを両手で大事そうに持った水川は口をとがらせふぅふぅとコーヒーに息を吹きかけている。
水川の眼鏡はコーヒーの湯気で真っ白に曇っていた。


「水川。今日はいろいろ助けてくれてありがとうな」


解毒魔法に回復魔法。
水川がいなかったら俺はこうしてダンジョンの中で優雅にコーヒータイムなど迎えられなかったかもしれない。
だから素直に感謝の意を伝えた。


だが水川は、
「い、いえ。わたしなんか全然っ……です」
謙遜しているのか首を何度も横に振る。


「そんなことないって。水川がいなかったら俺死んでたかもしれないんだし、本当に感謝してるよ」
「そ、そんなこと、ないです」
またも首を横に振る水川。
意外と頑固だなこいつ。


そんな水川に俺もつい意地になってしまう。


「あのなぁ、人の好意は素直に受け取るもんだぞ。ありがとうってば」
「で、でも」
「でもじゃなくてさ。人からありがとうって言われたらどう返すかなんて子どもだって知ってるぞ」
「……」


「じゃあもう一回だけ言うからな。今日はありがとう水川」
俺は水川を正面にとらえて深々と頭を下げた。


すると観念したのか、
「……は、はい。どういたしまして」
水川は小さくうなずき俺の感謝の意を受け止めてくれたのだった。




眼鏡が曇っていたせいでよくわからなかったがその時の水川はほんの少しだけだが笑ったように見えた気がした。

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