《完結》転生魔王「人類支配しろなんて言ってないよね?」魔族「申し訳ありませんでした!」
12.感動の再開
「で、どうなのだ。フィリズマ?」
天幕にて。
使者を送った、送ってない――といった子供みたいな論争を、フィリズマとアルノルトとユイブの3人はくり広げていた。
決着はつきそうになかった。
「コホン」
と、オレが咳払いをすると、3人はピタリと大人しくなった。
「ユイブ」
「な、なんだ、魔王さま」
「そんなに怯えることはない。オレはべつに怒っちゃいない」
「お、おう」
「オレがここに来たのは、平和条約のためだ。オレは人間たちと平和条約を結んだ。戦争をするつもりはなかった。なのにどうして軍を率いている?」
「申し訳ない。だけど、魔王さまが勇者に殺されたって聞いたもんで、許せねェって思ってよ」
冷や汗をかいているようで、ユイブはさっきからしきりに腕でひたいを拭っていた。
「そうか。3人ともオレが勇者に殺されたから、人間領への侵略を開始したというわけか」
「はい」
「そうだよ」
「ああ」
と、3者3様の答えが返ってきた。
「その気持ちはうれしいが、オレは基本的に人と争うつもりはない。フィリズマとアルノルトにはすでに話してあるが、ユイブもその方針に異論はないな?」
「もちろんだ。魔王さまがそう決定したんなら、私に異論はねェ」
「だったら良い。これで平和条約は修復されたも同然だ。人間たちにこの話を持ち帰れば、、さぞかし喜ばれるだろう」
しかし、とオレは続けた。
「もうひとつ問題が残っている」
「生前の魔王さまを殺したのは、誰か、という問題ですね、魔王さま」
「そうだ。フィリズマ。オレを殺したのが誰かという問題だ。アルノルトとユイブに関しても、調べておきたいことがある」
「なんだい?」
と、ユイブが首をかしげた。
「オレはこの《獄魔刀》で殺されていたわけだが、この《獄魔刀》は殺した相手と使い手を覚えている。この剣を使った者を調べたい。オレもお前たち3人を疑いたくはないが、調べることを許してもらいたい」
ふたりの了承をもらって剣先を向けた。
ユイブ。アルノルト。
ふたりとも、反応有り。
フィリズマ、アルノルト、ユイブ。3人ともこの《獄魔刀》を使ったことがあるということになる。
「フィリズマはオレの剣を勝手に持ち出していたから反応があるのはわかる。しかしアルノルトとユイブは、いったいどういうことだ?」
「ごめんなさい!」
と、アルノルトが頭を下げた。
「どうした?」
「実は魔王さまの生前に、その剣を勝手に持ち出したことがあるんです」
「なんのために?」
「魔王さまの愛刀だから、いっしょにベッドでおねんねしました」
「はぁ。なるほど」
あんた、魔王さまの愛刀になんてことしてるのよ――とフィリズマが怒っていた。
そんなことでも、この《獄魔刀》が記憶しているとは、オレも知らなかった。
「ユイブは?」
「す、すまねェ。私も、魔王さまが喜ぶだろうと思って、その剣を勝手に研いでいたことがあったんだ」
「そうか」
3人ともなんらかの形で、この剣を使ったことがあるようだ。これでは誰が犯人なのか、判別がつかない。
申し訳ありませんでした、と3人が声をそろえて頭を下げた。
「いや。気にするな。オレのほうこそ、お前たち3人を疑って悪いことをしたと思っている」
しかし、まさかふたたび、こうして3人と再会できるとは思わなかった。フィリズマにアルノルトにユイブ。オレが勇者に殺されたとわかって奮起したということは、オレへの忠誠心に揺らぎはないのだろう。
オレが3人を見ていると、3人も涙目になって見返してきた。
「しかし人の姿になってしまったとはいえ、あの魔王さまが戻って来てくださるなんて、思いもしませんでした」
と、フィリズマ。
「私も、感動しそびれていたよ。魔王さまが戻って来たんだもんね。こんなに嬉しいことはないよね」
と、アルノルト。
「ああ。たしかにな。ふたたびこうして魔王さまにお仕えできて光栄だ」
と、ユイブ。
3人は泣きながら、抱きついてきた。
天幕にて。
使者を送った、送ってない――といった子供みたいな論争を、フィリズマとアルノルトとユイブの3人はくり広げていた。
決着はつきそうになかった。
「コホン」
と、オレが咳払いをすると、3人はピタリと大人しくなった。
「ユイブ」
「な、なんだ、魔王さま」
「そんなに怯えることはない。オレはべつに怒っちゃいない」
「お、おう」
「オレがここに来たのは、平和条約のためだ。オレは人間たちと平和条約を結んだ。戦争をするつもりはなかった。なのにどうして軍を率いている?」
「申し訳ない。だけど、魔王さまが勇者に殺されたって聞いたもんで、許せねェって思ってよ」
冷や汗をかいているようで、ユイブはさっきからしきりに腕でひたいを拭っていた。
「そうか。3人ともオレが勇者に殺されたから、人間領への侵略を開始したというわけか」
「はい」
「そうだよ」
「ああ」
と、3者3様の答えが返ってきた。
「その気持ちはうれしいが、オレは基本的に人と争うつもりはない。フィリズマとアルノルトにはすでに話してあるが、ユイブもその方針に異論はないな?」
「もちろんだ。魔王さまがそう決定したんなら、私に異論はねェ」
「だったら良い。これで平和条約は修復されたも同然だ。人間たちにこの話を持ち帰れば、、さぞかし喜ばれるだろう」
しかし、とオレは続けた。
「もうひとつ問題が残っている」
「生前の魔王さまを殺したのは、誰か、という問題ですね、魔王さま」
「そうだ。フィリズマ。オレを殺したのが誰かという問題だ。アルノルトとユイブに関しても、調べておきたいことがある」
「なんだい?」
と、ユイブが首をかしげた。
「オレはこの《獄魔刀》で殺されていたわけだが、この《獄魔刀》は殺した相手と使い手を覚えている。この剣を使った者を調べたい。オレもお前たち3人を疑いたくはないが、調べることを許してもらいたい」
ふたりの了承をもらって剣先を向けた。
ユイブ。アルノルト。
ふたりとも、反応有り。
フィリズマ、アルノルト、ユイブ。3人ともこの《獄魔刀》を使ったことがあるということになる。
「フィリズマはオレの剣を勝手に持ち出していたから反応があるのはわかる。しかしアルノルトとユイブは、いったいどういうことだ?」
「ごめんなさい!」
と、アルノルトが頭を下げた。
「どうした?」
「実は魔王さまの生前に、その剣を勝手に持ち出したことがあるんです」
「なんのために?」
「魔王さまの愛刀だから、いっしょにベッドでおねんねしました」
「はぁ。なるほど」
あんた、魔王さまの愛刀になんてことしてるのよ――とフィリズマが怒っていた。
そんなことでも、この《獄魔刀》が記憶しているとは、オレも知らなかった。
「ユイブは?」
「す、すまねェ。私も、魔王さまが喜ぶだろうと思って、その剣を勝手に研いでいたことがあったんだ」
「そうか」
3人ともなんらかの形で、この剣を使ったことがあるようだ。これでは誰が犯人なのか、判別がつかない。
申し訳ありませんでした、と3人が声をそろえて頭を下げた。
「いや。気にするな。オレのほうこそ、お前たち3人を疑って悪いことをしたと思っている」
しかし、まさかふたたび、こうして3人と再会できるとは思わなかった。フィリズマにアルノルトにユイブ。オレが勇者に殺されたとわかって奮起したということは、オレへの忠誠心に揺らぎはないのだろう。
オレが3人を見ていると、3人も涙目になって見返してきた。
「しかし人の姿になってしまったとはいえ、あの魔王さまが戻って来てくださるなんて、思いもしませんでした」
と、フィリズマ。
「私も、感動しそびれていたよ。魔王さまが戻って来たんだもんね。こんなに嬉しいことはないよね」
と、アルノルト。
「ああ。たしかにな。ふたたびこうして魔王さまにお仕えできて光栄だ」
と、ユイブ。
3人は泣きながら、抱きついてきた。
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