俺【死神】になりました ~喧嘩もしたことない俺の、選べる職業が【死神】だった!?~

伝説の孫の手

第42話 会議室

 会議室の中はテーブルの上にアウトドア用のランプが乗っていて、そこそこ明るかった。テーブルにはみんなすでに着席済みで、父さんの労隣りが空席だ、おそらくあそこに俺と母さんが座るのだろう。

 母さんの方を見ると、そのまま父さんの方に進んでいくので、俺もついていく。そして積に着くと今まで談笑していたみんなが静かになり、こちらをじっと見ている。

「じゃあ全員集まったことだし、今日の会議を開催する。今日はいつもの報告に追加して、息子を皆に紹介しよう。といってもほとんどの人は知っているとは思うが。」

 そういって父さんに肩をたたかれたので、皆に自己紹介をする。

「黒神明人の息子の黒神色人です。何人か顔見知りの人もいますが、改めてよろしくお願いします。」

 そう軽く挨拶を済ますと、皆拍手で迎えてくれた。よく見ると奥の方で芽衣さんがこっちに向かって手を振っている。そのほかにもかなり顔見知りがいて、ほっとする空間だと感じた。

 それに伴い、この会議に参加しているみんなが、名前と役職、そして今ここで行っている仕事について説明してくれた。簡単にまとめるとこうなる。
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名前:黒神 明人くろがみ あきと
役職:ギルドマスター
仕事:最高責任者

名前:黒神 桃子ころがみ ももこ
役職:サブマスター
仕事:斉木総合病院の監督(医療監督責任者)

名前:黒神 鷹人くろがみ たかと
役職:サブマスター
仕事:警備最高責任者

名前:石川 信之いしかわ のぶゆき
役職:サブマスター
仕事:経理担当責任者

名前:渡部 忠司わたべ ただし
役職:リーダー
仕事:料理長(食料関係責任者)

名前:七尾 勝則ななお かつのり
役職:リーダー
仕事:経理補佐

名前:大鳥 茜おおどり あかね
役職:ギルドマスター
仕事:経理補佐

名前:亜門 晋也あもん しんや
役職:リーダー
仕事:第一警備隊隊長

名前:堂下 勝どうもと まさる
役職:リーダー
仕事:第二警備隊隊長

名前:大下 信秀おおした のぶひで
役職:リーダー
仕事:第四警備隊隊長

名前:白泉 芽衣はくせん めい
役職:サブリーダー
仕事:客人扱い

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 とこのようになった。役職は基本リーダーまでしかついていないようで、今の警備は第三警備隊が行っているらしい。まあ今回の会議についてはその辺を細かく知っている必要はないので、軽く流しながら進む。

 会議が始まって数分は、俺が聞いてもわからないような、今まで行っていた計画の進捗状態や、避難状況などが報告されており。まだまだ受け入れ態勢は整っているし余裕があることがうかがえる。

 今後も避難する人々を保護する予定だが、現状残っているのはほとんどが避難場所に固まっている人たちなので、移動が困難であり、かつ中にはここの保護下に入るのではなく、ここと同様に自衛の道を模索しているところなどもあり、なかなか進まないらしい。

 話を聞くに、一応ここの規模はこの地域では最大らしく、多くの避難要請が来ている状況らしい。またほかにも自衛の道を模索しているいくつかのギルドとは、連携を結ぶ方向性で今調整を行っているところの様だ。

 魔物の脅威と戦いながらも、現状復興に向けていろいろなことが水面下で行われているようだ。

「次に、今の支配領域内の整備についての進捗状況は?」

 そういう父さんに応えたのは経理補佐の大鳥さんだ。

「はい、現状瓦礫などの撤去作業や周辺のビル内の撤去作業も順調に進んでいるのですが、いかんせん人員が足りず。がれきの撤去などの簡単な作業には避難民の方の手伝いなどが欲しいというところです。」

「やはりな、そろそろ少し落ち着いてきたところだし、徐々にこちらから募ってもいいかもしれないな。」

 そういう父さんに、明人おじさんは、

「兄さん、そういうことなら警備隊も志願兵を募りたい。レベルアップしなくては使い物にならないから、いつまでも戦闘職の人たちを遊ばせていくわけにもいかないだろう。」

 と言い出した。志願した人たちが警備隊に参加しているとは聞いていたが、この感じだと向こうから言ってこない限り、対応してこなかったんだろう。まあ警察としては一般市民に戦闘を強要するような内容の志願はあまりしずらいだろう。

 おじさんの意見に一人納得していると、父さんが、

「確かにそうなんだがな、今まで戦ったことのない人に戦いを強いると反発が起こるぞ。それにそうするにはまだ法整備が十分ではないだろう。」

 と少し難色を示した。なので俺は、

「父さん、ちょっといい?法整備に関してはまだわからないから何とも言えないけど、一般の人に戦う訓練をしてもらう説得をするなら、俺に任せてくれない?俺ならつい数日前まで戦いなんかしたことなかったし、その辺の実感も含めて話せると思う。それに屋敷では同じように戦いの経験がなかった家政婦の人たちなんかも、戦闘職の人は訓練して、実際に魔物を倒しているからそこも説得材料になると思う。どうかな?」

 と提案した。俺自身の実感に関しては正直、先頭に関する気悲観みたいなものは乏しかったので、あまり参考にはならないかもしれないが、小田さんや二子さんの例は、多くの人に勇気を与えると思う。

 そうすると、父さんは観念したように、

「わかった、やってみろ。どのみちいつまでもただ保護するわけにもいかないし、現状を説明し理解を得る必要はある。緊急だが明日の朝に皆に向けて説明を行うから、その段取りを石川たのむ。その時に色人もよろしく頼むぞ。」

 といってこの話は終わりになった。話の流れから明日の朝に急遽説明をすることになってしまったが、大事な仕事だ、覚悟を決めよう。

 しかしまだまだ会議は終わらず続いていく。次は警備に関する話みたいだ。

「警備班としましては、何名かまた中級職に転職したものが出てきております。また本日は大規模な侵攻などがなかったこともあり、死傷者はゼロ名であります。しかし依然として支配領域の外では魔物がはびこっており、情報によるとどこかの学校が魔物によって崩壊したなど、避難地域に避難している人たちの中でも被害が出始めているようです。」

 と告げた、そうすると父さんは、

「その報告は聞いているが、やはり痛ましいな。我々が頑張らないと今後そのようなところが増えていくかもしれない。なるべく早くに避難をさせてあげられるように体制を整えることも必要だろう。また輸送手段なども、車などは確保できているが、道路整備がまだまだだ、そちらも引きつづき進めてくれ。」

 と告げた、そうすると警備班の人は「はっ!」ときちっとした格好で敬礼をしてから席に着いた。やはり警察官なのだなと思った。こうして警察の人が手伝ってくれる、なんだったら傘下に入ってくれているのも明人おじさんという存在がでかいと思う。一企業の社長である父さんがここまで大きく動けているのも、そういった幸運が重なった結果なんだな。

 そう思うと母さんの病院、警察という武力、黒神グループという経済力、これだけそろっているところが世界中にどれだけあるのか、ここまで幸運な俺たちはその力を使って多くの人々を守らなくてはいけないんだなとしみじみ思った。

 そこまで話し合うと、今日の会議は終了となった。各々仕事に戻ったり、もう休むために自室に戻ったりする中、俺は父さんたちと話していた。

「いきなりで済まないが、明日の朝のスピーチ楽しみにしているぞ、よろしくな」

「明人さんったら、色人なら大丈夫ですよ。そうでしょう?」

 そういってきたのは父さんと母さんだ、

「もちろん、俺が一番適任だと思うしね、それに誰かはやらなきゃいけないだろう。俺だって黒神家の一人息子なんだ、そのくらいやって見せるさ。」

 そう返すと、父さんは

「頼もしいな、ぜひお手並み拝見と行こうか」

 とちょっとうれしそうだ。そこに鷹人おじさんと芽衣姉ちゃんもやってきた。

「はっ、色人も言うようになったじゃないかよ。ちょっと前まで鼻たれ小僧だったのにな」

 といわれたので、

「そんな事いつまで言ってるんだよ、そういうこと言うようになったら叔父さんももう年ってことだよ。」

 と反撃した、それに対して「てんめぇ」と嬉しそうにおじさんが俺の頭をぐしゃぐしゃにしているところに、芽衣姉ちゃんが、

「でも本当に色人もちょっと見ない間に、またかっこよくなったね。結衣とはどうなのよ。」

 といってきた、

「いやっ結衣とは何でもないよ、からかわないでくれ!」

 そういう俺に、母さんが、

「この子ったら、この年にもなってまだ初心なのよね。ほかのことになるとしっかりしているのになんでなんでしょう?」

 とそういってきた。なんだか恥ずかしくなって、「明日話すこと考えとく」といって、その場から逃げ出した。大きなお世話だよ全く。

 しかしどの部屋を使っていいか聞くのを忘れて、また戻り部屋を聞くという羽目になり、さらに恥ずかしい思いをした。

 とにかく、もう今日は寝て、明日に備えよう。


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