俺【死神】になりました ~喧嘩もしたことない俺の、選べる職業が【死神】だった!?~

伝説の孫の手

第41話 母との会話

 社長室を出た俺を母さんが案内してくれる。

「それにしても、しっかりとしちゃって、母さんうれしいわ。明人さんと話している時もちゃんと理解していて、これで家も安泰ね。」

 そういって、母さんは本当にうれしそうな表情をしている。母さんとは普段は一緒に暮らしていないこともあって、たまにあったときは本当に甘やかしてくれる。俺が一人息子ってこともあるのだろうが。

 そんな母さんなのだが、仕事は医者だ。それも俺のおじいちゃんだが母さんの父親が亡くなった後はその病院の後を継いで、今ではほとんど経営者が本職だったが、昔はバリバリの外科医で、いくつもの命を救っていたらしい。

 俺は父さんの仕事を継ぐ予定だったので、母さんの病院は継ぐことはできなかったが、その代わり母さんは病院内で後継者を見つけており、その点では問題がなかった。まあこうなってしまった以上あまり関係ないのだが。

 母さんがここにいるということは、病院の方は大丈夫なのかと思い、そのことを質問したところ。

「病院の方は、今神崎ちゃんに任せているから大丈夫よ。もちろん普段は私が監督しているのだけど、神崎ちゃんも結構仕事を覚えてきたところだし、息子に会いに行くくらいは大丈夫よ。」

 とのことだ、神崎さんというのは母さんの後継者の女医さんで、昔からの教え子みたいなものらしい。聞くところによると。母さんの病院も父さんのギルドの管理下で、しっかりと警護している対象の様だ。

 場所的には少しだけ離れているが、そこまでの距離はなく、飛び地的な扱いらしい。母さんの病院ということもあるとは思うが、医療機関があるのとないのでは全く違うと思うので、当たり前の対応でもあると思う。

 そんなことを話しながらギルドの管理下であるビルについて案内してもらった。

 まずこのビルなんだが、全部で32階建てで、ざっくりとだが1階から10階が避難してきた人達の避難区域で、10階から20階が従業員たちやその家族が避難しており、20階以上は武器庫や、食糧庫、または会議室なんかとして使っているようだ。

 現状周辺のビルに関しては、警備隊の人たちが訓練していたり、職業レベルを上げるための設備として貸し出してたりしているが。まだちゃんと活用できていないようだ。

 今のところこういうところを利用して、避難した人たちを収容したり、物を作ったりなどできるように計画は立てているが、まだ計画段階らしい。

 集まっている人たちは、警察関係者や避難民、従業員とその関係者などすべて合わせて2000人を超えており、今後まだまだ増える予定なので、暫定の処置の様だ。

 もちろん病院にも多くの人が集まっているが、もともとの病人の方もいるので、なるべく避難民の人はこっちに集めているらしい。

「でもポーションの力とか、スキルの力で結構な数の患者さんを救うことができたのは、この世界になってしまった事の、数少ないメリットよね」

 母さんは、案内してくれながらも病院の話になった時に、このように話していた。

 現代医療では完治できなかったり、治るのに時間がかかるよな病気のうちいくつかはアイテムによって一瞬で回復したりするらしい。もちろん治せない病気や、高すぎて使用できないようなものも存在するようだが、それでも多くの人の命を救えたらしい。

 父さんの采配だったこともあり、このことからもKUROGAMIギルドの信用度は高いらしい。

 そうやって話しながら一階にやってきた。来る途中に多くの避難民の人たちを見たが、多くの人が少しずつであるが元気を取り戻しているように見えた。中にはだれか大事な人を亡くしたのか、うつろな目をした人もちらほら目についたそうだが、それでも全体に意識が生きるという方向に向かっているように感じる。

「ちょっと外の空気でも吸いましょうか」

 そういう母さんについていき、外へと出る。

 外には来る途中にヘリコプターの中からも見えていたが、この本社ビルの周りは比較的きれいではあるが、少し離れると戦闘の跡がところどころに見て取れる。

 この戦闘跡からもここ一帯が魔物たちに襲撃されたということがうかがえ、これだけの土地を安全圏にするのにすさまじい努力があったのだろうと思える。

「母さん、こっちに来たら聞きたいことがあったんだけど良い?」

「何?」

結衣ゆいの無事を知りたいんだけど、あいつって今どこにいるのかとかってわかる?」

 結衣とは俺のいわゆる幼馴染だ、小中高と同じ学校に通っており、母親同士も親友だったことから家族ぐるみの付き合いだ。結衣は白泉製薬のお嬢様で、三人姉妹の真ん中なのだが俺と同い年だったこともあってよく一緒にいた。

 まあ幼馴染の女の子で、学校ではマドンナ的存在の結衣のことを好きにならないわけがなく。ひそかに恋心を抱いているが、中高生の変なプライドから思いは伝えられていない。

 俺のそんな気持ちは母さんたちには筒抜けなので、これを聞いた瞬間に母さんは優し気な表情になってこっちを見てくる。

 最初は生きているかどうかすらわかんなくて、質問するときはもし亡くなってたらと思い、心臓がバクバクと激しく脈を打っていた。しかし母さんの表情から最悪はないことがわかったが、今度は母さんに温かい目で見られている恥ずかしさで心臓がうるさい。

「ふ~ん、結衣ちゃんのことが気になるのね。」

「そりゃ、幼馴染なんだし。生きてるかどうか心配するだろ…。」

 そう恥ずかしそうに言う俺に対して、

「結衣ちゃんと麻衣ちゃんはここにはいないの。芽衣ちゃんはいるんだけどね。二人は避難の時に近くの図書館に避難したみたいで。位置はわかっているんだけどね。でもあそこは自衛隊の人たちが守っているから当面は大丈夫だと思うわ。」

 麻衣ちゃんは三姉妹の一番下の子で、今年高校一年生になる年だ。そして芽衣さんは今大学生で芽衣さんに関してはうちに避難しているようだ。三人の家の白泉製薬は本社が茨城にあるので、そっちの情報は今はない。

 麻衣ちゃんは結衣のことが好きなおねえちゃんっこだったから、正月会いに来ていて、そのまま一緒に避難したのだろう。芽衣さんに関しては大学生で一人暮らししていたので別だったのかな。

 まあそんなことはどうでもいいのだが、とにかく無事なことが知れただけでもよかった。

「そうか、みんな無事ならそれでよかったよ。」

 そういうと母さんは少しからかうように、

「特に結衣ちゃんがねっ」

 とウインクしながら言ってきた。わが母ながら見た目はかなり若いとは思うが、それはいかがなものなのか、また別の意味で恥ずかしくなった。

 その図書館の人たちを守っているのは自衛隊の人たちなので、警察組織の中心のうちの警備部隊だと、命令系統が異なり、協力関係は結んでいるが向こうの様子はあまりわからないようだ。

 その辺のすり合わせなんかも今後の課題なんだろう。

 それからは、たわいもない母と子の会話を続けていると、だんだんと日が沈んできた。いろいろと驚くことも多かったが、ここでは気を張り詰めることもなく、久しぶりにゆっくりとした時間を過ごすことができた。

 ここ数日は毎日命の奪い合いに興じてきたので、たまにはこういうのもいいなとあらためて思った。

 もう日が落ちるという頃に、清水さんが「そろそろ会議の時間です」と教えてくれたので。母さんと一緒に会議室へと向かう。会議室は25階で。節電のためエレベーターは使用できないので階段で上る。

 俺は強化されてステータスもあり楽勝だったが、二人はすこし辛そうだ。

 ゆっくりと二人もペースに合わせながら25階までやってきた。こう考えると高層ビルは今現在は使い勝手が悪いな。今後どうにかして電気を手に入れるか、何か他の方法を考えるか。いつもの癖でまた、今考えなくていい問題点について考えていると、会議室の前に到着した。

 この会議で今の現状がより具体的になる、少し気を引き締めて扉をくぐった。
  社長室を出た俺を母さんが案内してくれる。

「それにしても、しっかりとしちゃって、母さんうれしいわ。明人さんと話している時もちゃんと理解していて、これで家も安泰ね。」

 そういって、母さんは本当にうれしそうな表情をしている。母さんとは普段は一緒に暮らしていないこともあって、たまにあったときは本当に甘やかしてくれる。俺が一人息子ってこともあるのだろうが。

 そんな母さんなのだが、仕事は医者だ。それも俺のおじいちゃんだが母さんの父親が亡くなった後はその病院の後を継いで、今ではほとんど経営者が本職だったが、昔はバリバリの外科医で、いくつもの命を救っていたらしい。

 俺は父さんの仕事を継ぐ予定だったので、母さんの病院は継ぐことはできなかったが、その代わり母さんは病院内で後継者を見つけており、その点では問題がなかった。まあこうなってしまった以上あまり関係ないのだが。

 母さんがここにいるということは、病院の方は大丈夫なのかと思い、そのことを質問したところ。

「病院の方は、今神崎ちゃんに任せているから大丈夫よ。もちろん普段は私が監督しているのだけど、神崎ちゃんも結構仕事を覚えてきたところだし、息子に会いに行くくらいは大丈夫よ。」

 とのことだ、神崎さんというのは母さんの後継者の女医さんで、昔からの教え子みたいなものらしい。聞くところによると。母さんの病院も父さんのギルドの管理下で、しっかりと警護している対象の様だ。

 場所的には少しだけ離れているが、そこまでの距離はなく、飛び地的な扱いらしい。母さんの病院ということもあるとは思うが、医療機関があるのとないのでは全く違うと思うので、当たり前の対応でもあると思う。

 そんなことを話しながらギルドの管理下であるビルについて案内してもらった。

 まずこのビルなんだが、全部で32階建てで、ざっくりとだが1階から10階が避難してきた人達の避難区域で、10階から20階が従業員たちやその家族が避難しており、20階以上は武器庫や、食糧庫、または会議室なんかとして使っているようだ。

 現状周辺のビルに関しては、警備隊の人たちが訓練していたり、職業レベルを上げるための設備として貸し出してたりしているが。まだちゃんと活用できていないようだ。

 今のところこういうところを利用して、避難した人たちを収容したり、物を作ったりなどできるように計画は立てているが、まだ計画段階らしい。

 集まっている人たちは、警察関係者や避難民、従業員とその関係者などすべて合わせて2000人を超えており、今後まだまだ増える予定なので、暫定の処置の様だ。

 もちろん病院にも多くの人が集まっているが、もともとの病人の方もいるので、なるべく避難民の人はこっちに集めているらしい。

「でもポーションの力とか、スキルの力で結構な数の患者さんを救うことができたのは、この世界になってしまった事の、数少ないメリットよね」

 母さんは、案内してくれながらも病院の話になった時に、このように話していた。

 現代医療では完治できなかったり、治るのに時間がかかるよな病気のうちいくつかはアイテムによって一瞬で回復したりするらしい。もちろん治せない病気や、高すぎて使用できないようなものも存在するようだが、それでも多くの人の命を救えたらしい。

 父さんの采配だったこともあり、このことからもKUROGAMIギルドの信用度は高いらしい。

 そうやって話しながら一階にやってきた。来る途中に多くの避難民の人たちを見たが、多くの人が少しずつであるが元気を取り戻しているように見えた。中にはだれか大事な人を亡くしたのか、うつろな目をした人もちらほら目についたそうだが、それでも全体に意識が生きるという方向に向かっているように感じる。

「ちょっと外の空気でも吸いましょうか」

 そういう母さんについていき、外へと出る。

 外には来る途中にヘリコプターの中からも見えていたが、この本社ビルの周りは比較的きれいではあるが、少し離れると戦闘の跡がところどころに見て取れる。

 この戦闘跡からもここ一帯が魔物たちに襲撃されたということがうかがえ、これだけの土地を安全圏にするのにすさまじい努力があったのだろうと思える。

「母さん、こっちに来たら聞きたいことがあったんだけど良い?」

「何?」

結衣ゆいの無事を知りたいんだけど、あいつって今どこにいるのかとかってわかる?」

 結衣とは俺のいわゆる幼馴染だ、小中高と同じ学校に通っており、母親同士も親友だったことから家族ぐるみの付き合いだ。結衣は白泉製薬のお嬢様で、三人姉妹の真ん中なのだが俺と同い年だったこともあってよく一緒にいた。

 まあ幼馴染の女の子で、学校ではマドンナ的存在の結衣のことを好きにならないわけがなく。ひそかに恋心を抱いているが、中高生の変なプライドから思いは伝えられていない。

 俺のそんな気持ちは母さんたちには筒抜けなので、これを聞いた瞬間に母さんは優し気な表情になってこっちを見てくる。

 最初は生きているかどうかすらわかんなくて、質問するときはもし亡くなってたらと思い、心臓がバクバクと激しく脈を打っていた。しかし母さんの表情から最悪はないことがわかったが、今度は母さんに温かい目で見られている恥ずかしさで心臓がうるさい。

「ふ~ん、結衣ちゃんのことが気になるのね。」

「そりゃ、幼馴染なんだし。生きてるかどうか心配するだろ…。」

 そう恥ずかしそうに言う俺に対して、

「結衣ちゃんと麻衣ちゃんはここにはいないの。芽衣ちゃんはいるんだけどね。二人は避難の時に近くの図書館に避難したみたいで。位置はわかっているんだけどね。でもあそこは自衛隊の人たちが守っているから当面は大丈夫だと思うわ。」

 麻衣ちゃんは三姉妹の一番下の子で、今年高校一年生になる年だ。そして芽衣さんは今大学生で芽衣さんに関してはうちに避難しているようだ。三人の家の白泉製薬は本社が茨城にあるので、そっちの情報は今はない。

 麻衣ちゃんは結衣のことが好きなおねえちゃんっこだったから、正月会いに来ていて、そのまま一緒に避難したのだろう。芽衣さんに関しては大学生で一人暮らししていたので別だったのかな。

 まあそんなことはどうでもいいのだが、とにかく無事なことが知れただけでもよかった。

「そうか、みんな無事ならそれでよかったよ。」

 そういうと母さんは少しからかうように、

「特に結衣ちゃんがねっ」

 とウインクしながら言ってきた。わが母ながら見た目はかなり若いとは思うが、それはいかがなものなのか、また別の意味で恥ずかしくなった。

 その図書館の人たちを守っているのは自衛隊の人たちなので、警察組織の中心のうちの警備部隊だと、命令系統が異なり、協力関係は結んでいるが向こうの様子はあまりわからないようだ。

 その辺のすり合わせなんかも今後の課題なんだろう。

 それからは、たわいもない母と子の会話を続けていると、だんだんと日が沈んできた。いろいろと驚くことも多かったが、ここでは気を張り詰めることもなく、久しぶりにゆっくりとした時間を過ごすことができた。

 ここ数日は毎日命の奪い合いに興じてきたので、たまにはこういうのもいいなとあらためて思った。

 もう日が落ちるという頃に、清水さんが「そろそろ会議の時間です」と教えてくれたので。母さんと一緒に会議室へと向かう。会議室は25階で。節電のためエレベーターは使用できないので階段で上る。

 俺は強化されてステータスもあり楽勝だったが、二人はすこし辛そうだ。

 ゆっくりと二人もペースに合わせながら25階までやってきた。こう考えると高層ビルは今現在は使い勝手が悪いな。今後どうにかして電気を手に入れるか、何か他の方法を考えるか。いつもの癖でまた、今考えなくていい問題点について考えていると、会議室の前に到着した。

 この会議で今の現状がより具体的になる、少し気を引き締めて扉をくぐった。
 

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品