俺【死神】になりました ~喧嘩もしたことない俺の、選べる職業が【死神】だった!?~

伝説の孫の手

第28話 ゴブリンシャーマン

  第二地区での二回目の戦闘も無事終わり、さらに進んでいくことにする。

 その後曲がり角を2,3曲がり、上位種たちとの戦闘もかなり安定してきた。一度に出てくる数も最大で4匹だったこともあり。先ほどまでの戦闘の復習をしているようなものだった。

 そうこうしていると、曲がり角を行き止まりで引き返し、今度は左に曲がって進んでいると、今度は魔物の影が一気に7体見えてきて、奥に宝箱があるのが見える。

「みんな、一旦止まってくれ」

 先頭でいち早く発見した俺は、奴らに気づかれる前に止まり、注意を促した。

「この先宝箱があって、それを7匹の上位種たちが守っている。明らかに今までで最高戦力だ。今回も基本的には俺が遊撃部員として数を減らすことにするけど、今までと違うのはみんなが一度に複数体相手にしないといけないところだ。みんな大丈夫かな?」

 そういって確認すると皆うなずいてくれた。なのでアイコンタクトを取って一気に駆け出した。

 まず俺が一番最初に突っ込む、ここで最速で一匹倒したいところだ。

 相手の布陣は宝箱を背にして、ホブゴブリンが一匹、次にゴブリンソードマン二匹とホブゴブリン一匹、そして一番手前にゴブリンソルジャーが三体で並んでいる。1,3,3の布陣だ。

 いやちょっとおかしいぞ…、一番奥にいるホブゴブリンが持っている棍棒が、よく見るとゲームなんかでイメージするワンドのような木の枝みたいだ。それによく見るとガタイも少し線が細い気がする。

 いやな予感がして、もしやと思い【魔物鑑定】をかける。

「【魔物鑑定】」

 そうすると案の定、このゴブリンはホブゴブリンではなかった。

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 名前:なし
 種族:ゴブリンシャーマン
 レベル:9
 【ステータス】
 M  P:18
 攻撃力:20
 耐久力:20
 速 度:18
 知 力:6
 【所持スキル】
 低級魔術 
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 名前はゴブリンシャーマン、ゴブリンの中では知力も高く、そしてなんといってスキルに低級魔術が存在している。

 これはまずい、今までゴブリンが遠距離攻撃をしてきたころもないし、ましてや魔法を使う魔物の相手は初めてだ。

 俺はこの危機を走りながらみんなに大きな声で知らせる。

「一番奥のゴブリンは今までと違って魔法を使ってくる可能性がある、気を付けて!」

 そういうと、後ろの方から若干の動揺を感じたが、それよりも俺がしなくてはいけないことは、いち早く奥のゴブリンシャーマンを始末することだ。おそらく魔法型ということは接近戦は苦手だろう、まず倒すべきは奴だ。

 そうして一番手前に陣取っていたゴブリンソルジャーたちの間をすり抜け、その奥に入り込む。

 恐らく知力が高いシャーマンの入れ知恵なのか、中央のホブゴブリンとソードマンは、すぐにこちらを襲い掛かってきたりはせずに、奥のシャーマンの前に陣取り、守る態勢だ。

 めんどくさいなと思い、どうにかしてここを抜けないとと思ったその時、

「ギャウ!」

 奥のシャーマンが杖をこちらに向けながら何かを叫んだ、その瞬間杖に赤いオーラが集まったかと思うと、杖の前方30㎝ほどのところに火の玉が浮かび上がり、こちらに向かって飛んできた。

 スピードは野球のボールで考えると時速120㎞くらいなのか、素人でも目で追えるが、十分早いと感じる速さで、こちらめがけて飛んできた。

 しかしこちらは速度特化型のステータスを誇っており、シャーマンに注意を払っていたからよけることができた。

 左に転がりながらよけると、シャーマンの放った火の玉はそのままのスピードで飛んでいき、運よく後ろで戦っているみんなにも当たらずにその奥の通路に落ちた。

 火の玉が地面に当たると、ボンッという爆発が起こり、当たるとただでは済まないことがう抱える。

 さらに今回は運よく当たらなかったが、次もそう行くとは限らない。なのでより奴の危険度が俺の中で上がった。

 ここは多少強引にでもシャーマンを倒さなくてはいけないと思い、中央のホブゴブリンたちのところに突っ込んでいく。間隔を狭めて後ろに通さないよう妨害してくるホブゴブリンたちを突破するためにアビリティを使用する。

「【属性付与(毒)】」

 真ん中にいたホブゴブリンに対して毒攻撃をお見舞いした、もちろん今回の毒は麻痺毒だ。そのあと左のゴブリンソードマンに対して固まっているホブゴブリンを障害物に見立てながら、右側のソードマンとホブゴブリンの間を通り抜ける。

 通り抜けるときに剣を横なぎに振って阻もうとするソードマンに対し、その横なぎよりも早く懐に潜りこみ、剣を振る前にとどめをさす。

 左手で頭を押さえながら一瞬でソードマンの首を切り裂き、そのままホブゴブリンとの間を通り抜ける。
 
 やっとシャーマンまで到達したときには、シャーマンはすでに次の魔法の体制に入っていた。

 またしても魔法を放つ体制に入っているシャーマンに対し、前回の魔法の時から考えられる車線から外れることで回避する。「ギャウ」っと何かを叫んで杖の先から今回も火の玉が点で来るが、今回はその先に俺はいない。

 宛先のなくなった火の玉はそのまま壁に当たって爆発した。

 シャーマンの魔法を避けた俺はそのまま全速力で近づき、その勢いのまま心臓を一突きした。心臓を貫かれたことによって、奴の目から光が消えたので、倒したと判断して短剣を抜く。

 そうすると力を失ったシャーマンはそのまま崩れ落ちた、これでなんとか魔法の攻撃は気にしなくてよくなったな。

 しかしまだまだ敵は残っている、ケビンたちを見ると、すでにケビンはソルジャーを倒しており、残りの二人の加勢に向かっているので、俺がこのホブゴブリンとソードマンを倒せば終わりだろう。

 ホブゴブリンの麻痺ももうすでに解けている、しかしこいつらに関して今まで何度も倒してきているので、大丈夫だろう。気を付けなくてはいけないのは、こいつらもスキルを使ってくることがあるということだ。

 なのでスキルを使われる前に倒してしまおうと、息もつかぬまま攻撃に出る。

 まずはこちらに向かってきているゴブリンソードマンからだ、奴の袈裟切りをかわし、そのまま下あごから脳天を貫き、仕留める。

 このままホブゴブリンも倒してしまおうと奴の方を見ると、体に赤いオーラが出現している。オーラが出るということはスキルの兆候だ、どのようなスキルかと観察するとそのオーラが奴の口に集まっている。

 その光景に怪獣が光線を吐き出すのを想像して、そんなことはないだろうと思いながら全力で横に飛ぶ。

「ギャア」

 そう吠えたと思った時には奴の口から放射状に衝撃波が放たれた。何とか横に向かって飛んでいたのでその衝撃波の直撃は免れて、少しの衝撃で済んだ。

 衝撃を受けて転がっていたところ、すでにソルジャーたちを倒していたケビンたちが合流してきた。そしてそのままホブゴブリンの後ろから襲い掛かり、とどめを刺した。

「坊ちゃん、大丈夫ですか?」

 そういってケビンが起こしてくれたので、

「大丈夫、ほとんどダメージはないよ。さすがに衝撃波はよけきれなかったよ」

「俺もあれを初めて食らった時は死にかけましたからね、でも無事ならよかった。」

 これがケビンが言っていた衝撃波のスキルなのかとおもい、こんなスキルを持っているとなると、ホブゴブリンも見つけたら早めに倒す必要があるなと、俺の中でのホブゴブリンの危険度を上方修正する。

 しかし、何とか勝つことができたな。上位種7匹はさすがに少し苦戦する。それに今回はゴブリンシャーマンの魔法、ホブゴブリンの衝撃波と遠距離攻撃が多く見受けられた。現状それらの攻撃に対してよける以外の対処法がないのも厳しいところだ、ゆくゆくは何らかの防御手段も手に入れたい。

 しかし、現状ではそんなものはないので切り替えよう。

 宝箱には謎のビー玉みたいなものが一つ落ちており、【物品鑑定】を行うと、

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ステータス玉(速度):口に入れると一瞬で溶けてなくなる不思議な玉、摂取することで基礎ステータスの値を0か1上昇させる、上がるか上がらないかは運しだい。今回上がるのは速度
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 と出た! まさかの基礎ステータスを強化できるアイテムだ。これはみんなで話し合う必要があるな。

 



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