EX級アーティファクト化した介護用ガイノイドと行く未来異星世界遺跡探索~君と添い遂げるために~
048 軍用人型汎用戦闘ロボット
「あれが、ルクス迷宮遺跡の切り札……?」
遺跡最深部に現れた機械人形。
光の罠と機獣が鳴りを潜めた後に現れた存在故に、マグの推測は正しいだろう。
頭部はメタやフィアと同系統のリアルな少女のもの。
彼女は黄金色のツインテールを揺らし、同色の無機質な瞳をマグ達に向けながら五歩程前に出て、そこで距離を保つように立ちどまった。
美少女と言っていい端正な顔立ちは目を引くが、それよりも首から下のボディに追加された追加パーツが異彩を放っている。
どこか魔法少女を思わせるような意匠と配色。
一見するとプリーツのついたスカートのようにも見える装甲。
背中には何本もの細長いマニピュレーターが帯のように垂れている。
「フィアの保有データに近似する機体がありました! あれは多分、軍用人型汎用戦闘ロボットMTSV-6G-15Fの後継機だと思います!」
「軍用だって?」
それらを受けてのフィアの発言に、マグが戸惑いと共に聞き返した瞬間。
対象のツインテールと複数のマニピュレーター、更にはスカートのプリーツ一つ一つが分かたれるように分離して持ち上がった。
「旦那様、先制します!」
その予備行動を前にして。
アテラは超越現象によってポニーテール状になった【モーフィングソード】を取り外して身構え、頭部の歯車を回転させ始めた。
少女型の機械人形が攻撃を始める前に【アクセラレーター】で一気に接近し、先んじて倒してしまおうと言うのだろう。
しかし、それよりも早く。
マグ達と敵ガイノイドを分断するようにレーザーのカーテンが降りた。
相手もまた遥か未来の高性能な管理コンピューター。
【アクセラレーター】起動の予兆は既に把握済みだったようだ。
「くっ」
断片の存在が疑われる威力のレーザーだけに、アテラ単独では突破できない。
故にフィアと共に強行突破しようと考えてか、彼女に視線を向ける。
だが……。
「フィアッ! 攻撃が来ます!!」
アテラはそのための指示ではなく、そう焦燥の色を声に滲ませて叫んだ。
「はい! おかー様!」
次の瞬間。レーザーのカーテンの奥から無数の光線が突き抜けてくる。
真っ直ぐマグ達を狙うそれの角度からして、攻撃元はガイノイドで間違いない。
【エコーロケイト】によって、照準を定める動作を把握することができたようだ。
「出力、最大!」
相手はルクス迷宮遺跡の切り札であろう存在。
だからフィアは、念のために全力で防御することにしたのだろう。
その選択は光線とシールドが交錯した瞬間、正解だったと分かった。
「う、く……」
先程までとは威力が段違いらしく、フィアが苦しげに呻く。
恐らく、あのガイノイドこそが断片の保有者なのだろう。
遺跡の罠や機獣の光線は、彼女を介して恩恵に預かっていただけなのだ。
となれば、その力は同じく断片持ちのフィアと同等と想定すべきだ。
事実、フィアは全身全霊を振り絞っている。
胸部のジェネレーターが唸りを上げ、甲高い高周波音を放ち始めている。
「う、ううう」
光の膜が輝きを増し、それに比例するように彼女の表情が歪んだ。
強大なエネルギーによって体が発熱して内部の冷却媒体を大量に消費しているのか、脇腹の辺りから何かの気体が排出される。
このままでは熱暴走を起こしてしまいかねない。
「フィア!」
せめて体の温度だけでも適正に戻さなければ。
そう考え、マグは咄嗟に彼女の華奢な背中に手を伸ばした。
「おとー様、ありがとう、ございます」
マグの超越現象によって少し楽になったのか、感謝を口にするフィア。
能力的に互角なら、相手のガイノイドも同等の負担があるはず。
であれば、これで少しは優位に立つことができる。
そう思われたが……。
「衰える気配が、ない」
軍用であるが故か、はたまたフィアよりも後の世代の機体だからか。
光線の輝きは維持され続け、状況を打破するには至らなかった。
遺跡最深部に現れた機械人形。
光の罠と機獣が鳴りを潜めた後に現れた存在故に、マグの推測は正しいだろう。
頭部はメタやフィアと同系統のリアルな少女のもの。
彼女は黄金色のツインテールを揺らし、同色の無機質な瞳をマグ達に向けながら五歩程前に出て、そこで距離を保つように立ちどまった。
美少女と言っていい端正な顔立ちは目を引くが、それよりも首から下のボディに追加された追加パーツが異彩を放っている。
どこか魔法少女を思わせるような意匠と配色。
一見するとプリーツのついたスカートのようにも見える装甲。
背中には何本もの細長いマニピュレーターが帯のように垂れている。
「フィアの保有データに近似する機体がありました! あれは多分、軍用人型汎用戦闘ロボットMTSV-6G-15Fの後継機だと思います!」
「軍用だって?」
それらを受けてのフィアの発言に、マグが戸惑いと共に聞き返した瞬間。
対象のツインテールと複数のマニピュレーター、更にはスカートのプリーツ一つ一つが分かたれるように分離して持ち上がった。
「旦那様、先制します!」
その予備行動を前にして。
アテラは超越現象によってポニーテール状になった【モーフィングソード】を取り外して身構え、頭部の歯車を回転させ始めた。
少女型の機械人形が攻撃を始める前に【アクセラレーター】で一気に接近し、先んじて倒してしまおうと言うのだろう。
しかし、それよりも早く。
マグ達と敵ガイノイドを分断するようにレーザーのカーテンが降りた。
相手もまた遥か未来の高性能な管理コンピューター。
【アクセラレーター】起動の予兆は既に把握済みだったようだ。
「くっ」
断片の存在が疑われる威力のレーザーだけに、アテラ単独では突破できない。
故にフィアと共に強行突破しようと考えてか、彼女に視線を向ける。
だが……。
「フィアッ! 攻撃が来ます!!」
アテラはそのための指示ではなく、そう焦燥の色を声に滲ませて叫んだ。
「はい! おかー様!」
次の瞬間。レーザーのカーテンの奥から無数の光線が突き抜けてくる。
真っ直ぐマグ達を狙うそれの角度からして、攻撃元はガイノイドで間違いない。
【エコーロケイト】によって、照準を定める動作を把握することができたようだ。
「出力、最大!」
相手はルクス迷宮遺跡の切り札であろう存在。
だからフィアは、念のために全力で防御することにしたのだろう。
その選択は光線とシールドが交錯した瞬間、正解だったと分かった。
「う、く……」
先程までとは威力が段違いらしく、フィアが苦しげに呻く。
恐らく、あのガイノイドこそが断片の保有者なのだろう。
遺跡の罠や機獣の光線は、彼女を介して恩恵に預かっていただけなのだ。
となれば、その力は同じく断片持ちのフィアと同等と想定すべきだ。
事実、フィアは全身全霊を振り絞っている。
胸部のジェネレーターが唸りを上げ、甲高い高周波音を放ち始めている。
「う、ううう」
光の膜が輝きを増し、それに比例するように彼女の表情が歪んだ。
強大なエネルギーによって体が発熱して内部の冷却媒体を大量に消費しているのか、脇腹の辺りから何かの気体が排出される。
このままでは熱暴走を起こしてしまいかねない。
「フィア!」
せめて体の温度だけでも適正に戻さなければ。
そう考え、マグは咄嗟に彼女の華奢な背中に手を伸ばした。
「おとー様、ありがとう、ございます」
マグの超越現象によって少し楽になったのか、感謝を口にするフィア。
能力的に互角なら、相手のガイノイドも同等の負担があるはず。
であれば、これで少しは優位に立つことができる。
そう思われたが……。
「衰える気配が、ない」
軍用であるが故か、はたまたフィアよりも後の世代の機体だからか。
光線の輝きは維持され続け、状況を打破するには至らなかった。
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