EX級アーティファクト化した介護用ガイノイドと行く未来異星世界遺跡探索~君と添い遂げるために~
020 出土品修復屋
腕輪型端末に搭載された地図のナビゲーションに従って歩くこと十数分。
マグ達は人気の少ない裏路地へと導かれ、やがて目的地へと至った。
「ここか」
「…………随分とこじんまりしていますね」
想像と違ったのか、首を傾げてディスプレイに【(゚_。)?】と表示させるアテラ。
求人票にあった待遇のよさから大規模な修理工場をイメージしていたのだろう。
しかし、視界の中にあったのは比較的小さな一軒家。
雰囲気としては、街の時計修理屋さん、といった感じだ。
入り口脇のショーウインドウには用途の分からない謎パーツが並んでいるが。
「まあ、入ってみよう」
「はい。旦那様」
ドアベルを鳴らしながら扉を開ける。
だが、店舗部分に人の姿はなかった。
とりあえず、店主が来るまで待とうと陳列された商品を眺めることにする。
「…………見ても何が何だか分からないな」
「商品説明も値段も書いてませんね」
マグの呟きに応じてアテラが告げた通り。
店内には販促を放棄したかの如く品物のみが不規則に並べられていた。
タグもポップも何もない。
単なるインテリアのようにも思えてしまう。
こうなると店というよりも展示場と言った方が正しいかもしれない。
マグが内心でそう評価をしていると、その辺りの理由を答える声が響く。
「値段やどういった機能を持つかが分かると、盗まれる危険性が高まる故な」
振り返ると、一人の小柄な女性が店の奥から現れた。
金髪碧眼の美少女と言って差し支えない容姿だ。
しかし、鋭過ぎる眼光と野暮ったい作業着のせいか幼さは薄れてしまっている。
「貴方が……クリル・ベージさんですか?」
マグが職業斡旋所で見た情報を基に確認すると、彼女は「ああ」と頷く。
「我がこの出土品修復屋の主、クリル・ベージで間違いない」
「出土品?」
「時空間転移システム暴走に伴って失われた文明、その遺跡から出土される超技術を有した装置のことだ。大概破損している故、我のような者が修復しているのだ」
「成程」
つまるところ、ここにあるものは全てがそれという訳だ。
マグからすると遥か未来の物品。
一目で用途が分からなくても不思議はない。
「さて、汝が今回求人に応じてくれた稀人のマグで間違いないな?」
「はい。マグ・アド・マキナです」
「よろしい。では、早速テストを受けて貰おう」
そう告げると、クリルはついてこいと言わんばかりに店の奥へと踵を返す。
「すみません。その前に一つお聞きしたいのですが」
と、その背中にアテラが声をかけた。
対してクリルは、面倒臭そうにしながらも立ち止まって「何だ?」と応じた。
「他の求人に比べ、異様に待遇がよかった理由をお教え下さい。余り危険なことを旦那様にさせたくはありませんので」
「……ふむ。骨董品のような見かけに反して中々頭の回る機人だ」
アテラの問いに、クリルは感心したように呟いてから一呼吸置いて答えを返す。
「待遇がいいのはそれだけ珍しく、需要のあるものを修復しているからだ。いわゆる先史兵装。出土品の中でも戦闘用の機能を持つと目されるものだな」
「戦闘用……」
マグは超越現象も戦闘系能力の需要が高いと聞いたことを思い出した。
やはりこの時代、この場所は殺伐とした問題を抱えているようだ。
しかし、そういうことであれば、あの厚遇も理解できなくはない。
「まあ、それだけに扱いを誤れば危険はなくはない。だが、それは我が日々行っていることだ。それ以上でも以下でもない。勿論、選択権は君達にもある」
クリルはそう告げると「それでもテストを受けたければ、ついてきたまえ」と続けながらカウンター奥のバックヤードへと再び歩き出した。
マグ達は人気の少ない裏路地へと導かれ、やがて目的地へと至った。
「ここか」
「…………随分とこじんまりしていますね」
想像と違ったのか、首を傾げてディスプレイに【(゚_。)?】と表示させるアテラ。
求人票にあった待遇のよさから大規模な修理工場をイメージしていたのだろう。
しかし、視界の中にあったのは比較的小さな一軒家。
雰囲気としては、街の時計修理屋さん、といった感じだ。
入り口脇のショーウインドウには用途の分からない謎パーツが並んでいるが。
「まあ、入ってみよう」
「はい。旦那様」
ドアベルを鳴らしながら扉を開ける。
だが、店舗部分に人の姿はなかった。
とりあえず、店主が来るまで待とうと陳列された商品を眺めることにする。
「…………見ても何が何だか分からないな」
「商品説明も値段も書いてませんね」
マグの呟きに応じてアテラが告げた通り。
店内には販促を放棄したかの如く品物のみが不規則に並べられていた。
タグもポップも何もない。
単なるインテリアのようにも思えてしまう。
こうなると店というよりも展示場と言った方が正しいかもしれない。
マグが内心でそう評価をしていると、その辺りの理由を答える声が響く。
「値段やどういった機能を持つかが分かると、盗まれる危険性が高まる故な」
振り返ると、一人の小柄な女性が店の奥から現れた。
金髪碧眼の美少女と言って差し支えない容姿だ。
しかし、鋭過ぎる眼光と野暮ったい作業着のせいか幼さは薄れてしまっている。
「貴方が……クリル・ベージさんですか?」
マグが職業斡旋所で見た情報を基に確認すると、彼女は「ああ」と頷く。
「我がこの出土品修復屋の主、クリル・ベージで間違いない」
「出土品?」
「時空間転移システム暴走に伴って失われた文明、その遺跡から出土される超技術を有した装置のことだ。大概破損している故、我のような者が修復しているのだ」
「成程」
つまるところ、ここにあるものは全てがそれという訳だ。
マグからすると遥か未来の物品。
一目で用途が分からなくても不思議はない。
「さて、汝が今回求人に応じてくれた稀人のマグで間違いないな?」
「はい。マグ・アド・マキナです」
「よろしい。では、早速テストを受けて貰おう」
そう告げると、クリルはついてこいと言わんばかりに店の奥へと踵を返す。
「すみません。その前に一つお聞きしたいのですが」
と、その背中にアテラが声をかけた。
対してクリルは、面倒臭そうにしながらも立ち止まって「何だ?」と応じた。
「他の求人に比べ、異様に待遇がよかった理由をお教え下さい。余り危険なことを旦那様にさせたくはありませんので」
「……ふむ。骨董品のような見かけに反して中々頭の回る機人だ」
アテラの問いに、クリルは感心したように呟いてから一呼吸置いて答えを返す。
「待遇がいいのはそれだけ珍しく、需要のあるものを修復しているからだ。いわゆる先史兵装。出土品の中でも戦闘用の機能を持つと目されるものだな」
「戦闘用……」
マグは超越現象も戦闘系能力の需要が高いと聞いたことを思い出した。
やはりこの時代、この場所は殺伐とした問題を抱えているようだ。
しかし、そういうことであれば、あの厚遇も理解できなくはない。
「まあ、それだけに扱いを誤れば危険はなくはない。だが、それは我が日々行っていることだ。それ以上でも以下でもない。勿論、選択権は君達にもある」
クリルはそう告げると「それでもテストを受けたければ、ついてきたまえ」と続けながらカウンター奥のバックヤードへと再び歩き出した。
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