テイマーと錬金術の職業で冒険したい!
試食会と新しい料理長!
 何だかんだあったものの、無事にゼラフさんの経営方針が固まった。……のだけれども。
 「アイスクリームにハチミツをトッピングするのは、どうでしょうか?」
 「砂糖と同じ味だから、砂糖の代わりに混ぜ込んだ方がいいと思うんだなぁ〜」
 「なるほど……カイリ様が仰っていた食べられるコーンを作る案は、我々の方で任せて頂けないでしょうか?」
 「構わないんだなぁ〜。試食の時にボクを呼んで欲しいんだなぁ〜」
 そう。ゼラフさんにアイスクリーム屋さんでよくあるコーンカップの作り方を教えたら、商品化を考えると即答したのだ!
 「ボクはね。この中に苦めのクッキーを入れたら美味しそうだなぁ〜。なんて思ってるんだけどぉ…みんな、どうかなぁ?」
 「苦めのクッキー……合うかもしれませんね!」
 「早速作ってみましょうか!」
 ゼラフさんが抱えるコック達は生き生きとした表情で、作業に取り掛かる。……のだけれども。
 「あの……ゼラフ様」
 「ん? …何かなぁ?」
 「私は一体何をしたらいいのでしょうか?」
 気まずそうな雰囲気でゼラフさんに話し掛けるコック。そう、彼はアイスクリーム作りを勝手に止めて出て行った料理長だ。
 「キミは帰っていいんだなぁ〜」
 「えっ ︎ 帰っていいって……私はここの料理長ですよ。帰らせる訳には……」
 「料理を中断して勝手にどっかに行く人をボクん家の厨房に置いておく訳にはいかないんだなぁ」
 温厚そうな顔をさせているゼラフさんだが、その瞳だけはそう語ってなかった。
 「いや、その……料理を中断してしまったのはお詫び致します! だから私にも素晴らしい料理の手伝いをさせて下さい! お願い致します!」
 そう言って頭を下げる料理長に対してゼラフはバザルの方に視線を移した。
 「……アナタは途中で料理を止めてしまったのは、料理人として恥ずべき行為です。それは分かっておりますね?」
 「……はい」
 「我々も思うところがあるので手伝って貰います」
 「ありがとうございます!」
 料理長は嬉しそうな顔をして顔を上げるが、バザルの表情を見た瞬間引き攣った顔になった。
 「この家の料理長の座は降りて頂きます」
 「えっ ︎ そんなっ ︎ どうして?」
 「もう理由は話しましたよ」
 料理長……いや、元料理長にバザルさんはそう言うと1人のコックに体を向ける。
 「新しい料理長はガク。アナタです」
 「えっ ︎ 俺ですか?」
 「はい。これからは頑張って下さいね」
 「わ、分かりました! ゼラフ様の為に全力で頑張ります!」
 ガクと言う人がそう言うと彼の周りで拍手が鳴り響いた。一方降格した元料理長は虚空を見つめていた。
 あ〜……あんなことをしなければ料理長でいられたのになぁ。
 カイリがそんなことを思いながらアイスクリームを頬ばった。
 プルンッ ︎
 「……ん? どうしたのプル太郎?」
 プルンッ ︎
 プル太郎が器用に触手を使ってアイスクリームの乗ったスプーンを差し出して来た。
 「えっとぉ……自分達が作ったアイスを食べて欲しいのか?」
 プルンッ ︎
 「そうだよ!」と言いたそうに震えるプル太郎。
 ああ〜……これは食べなきゃ悲しんじゃうパターンだよなぁ〜。
 「……分かった。いただきます」
 そう言ってからプル太郎が差し出してくれたアイスクリームを食べたその瞬間、カイリの目が見開いた。
 「な…何これ ︎」
 俺が作ったアイスクリームよりも美味しいんだけどっ!
 「どうしたの、カイリ?」
 「プル太郎達が作ったアイスの方が美味しい!」
 「キャンッ ︎」
 プルンッ ︎
 「〜〜〜♪」
 カイリの反応を見たルル達は嬉そうな反応を見せる。
 「えっ ︎ それホントなの?」
 「うん。マナさんにもあげて」
 プルンッ ︎
 プル太郎は「はぁ〜い!」って感じに返事をした後、自分達で作ったアイスクリームをスプーンで掬ってマナさんに渡した。
 「ありがとね、プル太郎。はぁむ……」
 マナさんがスプーンに口を付けた瞬間、尻尾がピィーンッ ︎ と立った。
 「何これ! 美味しいっ! ︎」
 「やっぱりそう思うよな!」
 でも魔物と妖精の作った料理に負ける俺達って……何なんだろうな。
 美味しそうに食べているマナの横で、カイリは敗北感を感じていた。
 そしてアイスクリームで盛り上がっている中、厨房の扉が開け放たれ1人の使用人が慌てた様子で入って来た!
 「大変ですゼラフ会長っ ︎」
 「そんなに慌ててどうしたんだなぁ〜?」
 「バルグ商会会長が、こちらにお目見えしています!」
 「バルグさんが?」
 「はい!」
 「一体どうし……」
 カイリは言葉の途中で何かに気付い様子を見せると、マナの方へと顔を向ける。
 「え? …え? どうしてこっちを向くの?」
 「いや…うん。マナさんがここにいるのが原因かなぁ? なんて思って……」
 「そんな訳がぁ…………ハッ ︎」
 あっ…本人も気付いたみたいだ。
 「しまったああああああっっっ ︎ ︎ 休憩時間とっくに過ぎてたぁぁぁああああああああああああっっっっ!!! ︎」
 ああ〜……やっぱりそうだったんだ。
 「カイリどうしよう。絶対サシャに怒られるよぉ〜……」
 マナさんは恐怖を感じているのか、小尾が縮こまって震えている。
 「と…とりあえず俺を護衛してたって言えば、理解してくれるんじゃないかなぁ? ルル達もそう思うよね?」
 「キュゥ〜ン……」
 ……プルンッ ︎
 「〜〜〜♪」
 うん……「無理だと思う」って回答されちゃったよ。
 「とりあえず、バルグさん達に会いに行きましょうか」
 「やだっ ︎ 私殺されちゃうっ ︎」
 「バルグさんなら殺すことなんてしないと思う! てかサボっただけで殺す商会なんてないでしょうっ ︎」
 「うわぁああああああんっっっ ︎ ︎ やだやだぁっ! ︎」
 「行くったら行くのっ ︎ ……あ、ゼラフさん達も来て下さいね」
 行かなきゃ話にならないし、何よりも丁度いい機会かもしれない。
 「わ、分かったんだなぁ〜。バルグは何処にいるんだなぁ〜?」
 「外で待たせてはいけないと思い、応接室へご案内致しました」
 「……そう。ご苦労なんだなぁ〜」
 「やだやだっ ︎」と言いながら付いて来るマナさんとゼラフさん。それにルル達と共にバルグさんが待つ応接室へと向かう。
 「失礼します!」
 俺がそう言って入ったらサシャさんにギロッ ︎ と睨まれてしまった為、余りの怖さに身体が硬直してしまった。
 「……マナ。アナタはここで一体何をしていたのですか?」
 「へ? ……あ! …へ?」
 もしかして俺じゃなくてマナさんを睨んでいた?
 後ろを見てみると、マナさんが出入り口の陰に隠れてこっちを見つめていた。
 「サシャ、落ち着きなさい。カイリさんにも話を聞きたいことがあるし、座ろうじゃないかい」
 「そうですね。…マナさん。こっち来て」
 「…ぇ?」
 「小声で、え? 何て言ってもバレてるんだから意味ないの! ゼラフさんは俺の隣に!」
 「わ、分かったんだなぁ……」
 気まずそうな顔でソファーに座るゼラフさんと。俺の腕にしがみつきながら座るマナさん。よっぽどサシャさんが怖いんだなぁ……。
 「それで、どうしてマナがゼラフの邸宅にいるんだい?」
 「俺の護衛ってことで付いて来たんです。そうだよね、マナさん?」
 マナさんは俺の問い掛けに全力で首を縦に振った。
 首を縦に振るんじゃなくて、言葉で言ってくれよ。
 「それでマナさんにはアイスクリームって食べ物を作る手伝いをして貰ってたんです」
 俺が説明するとバルグさんは腕を組んだ。
 「なるほど……」
 「それと……ゼラフさんがバルグさんに話をしておきたいことがあるみたいです」
 「ゼラフが私に? 何なんだい?」
 バルグがゼラフの顔を見つめると、ゼラフは身体をビクッとさせ身体中から汗を染み出させる。
 こりゃ言い出せそうにないな。……仕方ない!
 耳元に口を近付け、ゼラフさんに小声で話し掛ける。
 「ここで言わなきゃチャンスはないですよ」
 その言葉に ハッ ︎ と気が付いたような顔をさせた。
 「う……うん。そう…だよね」
 ゼラフさんはそう言うと意を決したような顔になる。
 「バルグくん……」
 「ん?」
 「ゴメンなさいなんだなぁ!」
 ゼラフさんはそう言いながら勢いよく頭を下げたのであった。
 「アイスクリームにハチミツをトッピングするのは、どうでしょうか?」
 「砂糖と同じ味だから、砂糖の代わりに混ぜ込んだ方がいいと思うんだなぁ〜」
 「なるほど……カイリ様が仰っていた食べられるコーンを作る案は、我々の方で任せて頂けないでしょうか?」
 「構わないんだなぁ〜。試食の時にボクを呼んで欲しいんだなぁ〜」
 そう。ゼラフさんにアイスクリーム屋さんでよくあるコーンカップの作り方を教えたら、商品化を考えると即答したのだ!
 「ボクはね。この中に苦めのクッキーを入れたら美味しそうだなぁ〜。なんて思ってるんだけどぉ…みんな、どうかなぁ?」
 「苦めのクッキー……合うかもしれませんね!」
 「早速作ってみましょうか!」
 ゼラフさんが抱えるコック達は生き生きとした表情で、作業に取り掛かる。……のだけれども。
 「あの……ゼラフ様」
 「ん? …何かなぁ?」
 「私は一体何をしたらいいのでしょうか?」
 気まずそうな雰囲気でゼラフさんに話し掛けるコック。そう、彼はアイスクリーム作りを勝手に止めて出て行った料理長だ。
 「キミは帰っていいんだなぁ〜」
 「えっ ︎ 帰っていいって……私はここの料理長ですよ。帰らせる訳には……」
 「料理を中断して勝手にどっかに行く人をボクん家の厨房に置いておく訳にはいかないんだなぁ」
 温厚そうな顔をさせているゼラフさんだが、その瞳だけはそう語ってなかった。
 「いや、その……料理を中断してしまったのはお詫び致します! だから私にも素晴らしい料理の手伝いをさせて下さい! お願い致します!」
 そう言って頭を下げる料理長に対してゼラフはバザルの方に視線を移した。
 「……アナタは途中で料理を止めてしまったのは、料理人として恥ずべき行為です。それは分かっておりますね?」
 「……はい」
 「我々も思うところがあるので手伝って貰います」
 「ありがとうございます!」
 料理長は嬉しそうな顔をして顔を上げるが、バザルの表情を見た瞬間引き攣った顔になった。
 「この家の料理長の座は降りて頂きます」
 「えっ ︎ そんなっ ︎ どうして?」
 「もう理由は話しましたよ」
 料理長……いや、元料理長にバザルさんはそう言うと1人のコックに体を向ける。
 「新しい料理長はガク。アナタです」
 「えっ ︎ 俺ですか?」
 「はい。これからは頑張って下さいね」
 「わ、分かりました! ゼラフ様の為に全力で頑張ります!」
 ガクと言う人がそう言うと彼の周りで拍手が鳴り響いた。一方降格した元料理長は虚空を見つめていた。
 あ〜……あんなことをしなければ料理長でいられたのになぁ。
 カイリがそんなことを思いながらアイスクリームを頬ばった。
 プルンッ ︎
 「……ん? どうしたのプル太郎?」
 プルンッ ︎
 プル太郎が器用に触手を使ってアイスクリームの乗ったスプーンを差し出して来た。
 「えっとぉ……自分達が作ったアイスを食べて欲しいのか?」
 プルンッ ︎
 「そうだよ!」と言いたそうに震えるプル太郎。
 ああ〜……これは食べなきゃ悲しんじゃうパターンだよなぁ〜。
 「……分かった。いただきます」
 そう言ってからプル太郎が差し出してくれたアイスクリームを食べたその瞬間、カイリの目が見開いた。
 「な…何これ ︎」
 俺が作ったアイスクリームよりも美味しいんだけどっ!
 「どうしたの、カイリ?」
 「プル太郎達が作ったアイスの方が美味しい!」
 「キャンッ ︎」
 プルンッ ︎
 「〜〜〜♪」
 カイリの反応を見たルル達は嬉そうな反応を見せる。
 「えっ ︎ それホントなの?」
 「うん。マナさんにもあげて」
 プルンッ ︎
 プル太郎は「はぁ〜い!」って感じに返事をした後、自分達で作ったアイスクリームをスプーンで掬ってマナさんに渡した。
 「ありがとね、プル太郎。はぁむ……」
 マナさんがスプーンに口を付けた瞬間、尻尾がピィーンッ ︎ と立った。
 「何これ! 美味しいっ! ︎」
 「やっぱりそう思うよな!」
 でも魔物と妖精の作った料理に負ける俺達って……何なんだろうな。
 美味しそうに食べているマナの横で、カイリは敗北感を感じていた。
 そしてアイスクリームで盛り上がっている中、厨房の扉が開け放たれ1人の使用人が慌てた様子で入って来た!
 「大変ですゼラフ会長っ ︎」
 「そんなに慌ててどうしたんだなぁ〜?」
 「バルグ商会会長が、こちらにお目見えしています!」
 「バルグさんが?」
 「はい!」
 「一体どうし……」
 カイリは言葉の途中で何かに気付い様子を見せると、マナの方へと顔を向ける。
 「え? …え? どうしてこっちを向くの?」
 「いや…うん。マナさんがここにいるのが原因かなぁ? なんて思って……」
 「そんな訳がぁ…………ハッ ︎」
 あっ…本人も気付いたみたいだ。
 「しまったああああああっっっ ︎ ︎ 休憩時間とっくに過ぎてたぁぁぁああああああああああああっっっっ!!! ︎」
 ああ〜……やっぱりそうだったんだ。
 「カイリどうしよう。絶対サシャに怒られるよぉ〜……」
 マナさんは恐怖を感じているのか、小尾が縮こまって震えている。
 「と…とりあえず俺を護衛してたって言えば、理解してくれるんじゃないかなぁ? ルル達もそう思うよね?」
 「キュゥ〜ン……」
 ……プルンッ ︎
 「〜〜〜♪」
 うん……「無理だと思う」って回答されちゃったよ。
 「とりあえず、バルグさん達に会いに行きましょうか」
 「やだっ ︎ 私殺されちゃうっ ︎」
 「バルグさんなら殺すことなんてしないと思う! てかサボっただけで殺す商会なんてないでしょうっ ︎」
 「うわぁああああああんっっっ ︎ ︎ やだやだぁっ! ︎」
 「行くったら行くのっ ︎ ……あ、ゼラフさん達も来て下さいね」
 行かなきゃ話にならないし、何よりも丁度いい機会かもしれない。
 「わ、分かったんだなぁ〜。バルグは何処にいるんだなぁ〜?」
 「外で待たせてはいけないと思い、応接室へご案内致しました」
 「……そう。ご苦労なんだなぁ〜」
 「やだやだっ ︎」と言いながら付いて来るマナさんとゼラフさん。それにルル達と共にバルグさんが待つ応接室へと向かう。
 「失礼します!」
 俺がそう言って入ったらサシャさんにギロッ ︎ と睨まれてしまった為、余りの怖さに身体が硬直してしまった。
 「……マナ。アナタはここで一体何をしていたのですか?」
 「へ? ……あ! …へ?」
 もしかして俺じゃなくてマナさんを睨んでいた?
 後ろを見てみると、マナさんが出入り口の陰に隠れてこっちを見つめていた。
 「サシャ、落ち着きなさい。カイリさんにも話を聞きたいことがあるし、座ろうじゃないかい」
 「そうですね。…マナさん。こっち来て」
 「…ぇ?」
 「小声で、え? 何て言ってもバレてるんだから意味ないの! ゼラフさんは俺の隣に!」
 「わ、分かったんだなぁ……」
 気まずそうな顔でソファーに座るゼラフさんと。俺の腕にしがみつきながら座るマナさん。よっぽどサシャさんが怖いんだなぁ……。
 「それで、どうしてマナがゼラフの邸宅にいるんだい?」
 「俺の護衛ってことで付いて来たんです。そうだよね、マナさん?」
 マナさんは俺の問い掛けに全力で首を縦に振った。
 首を縦に振るんじゃなくて、言葉で言ってくれよ。
 「それでマナさんにはアイスクリームって食べ物を作る手伝いをして貰ってたんです」
 俺が説明するとバルグさんは腕を組んだ。
 「なるほど……」
 「それと……ゼラフさんがバルグさんに話をしておきたいことがあるみたいです」
 「ゼラフが私に? 何なんだい?」
 バルグがゼラフの顔を見つめると、ゼラフは身体をビクッとさせ身体中から汗を染み出させる。
 こりゃ言い出せそうにないな。……仕方ない!
 耳元に口を近付け、ゼラフさんに小声で話し掛ける。
 「ここで言わなきゃチャンスはないですよ」
 その言葉に ハッ ︎ と気が付いたような顔をさせた。
 「う……うん。そう…だよね」
 ゼラフさんはそう言うと意を決したような顔になる。
 「バルグくん……」
 「ん?」
 「ゴメンなさいなんだなぁ!」
 ゼラフさんはそう言いながら勢いよく頭を下げたのであった。
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