テイマーと錬金術の職業で冒険したい!
報酬の受け取り! ……と危機が迫る⁉︎
 解体場から受付けにやって来て、椅子に座りルルと遊んで待っていると、今朝話し掛けて来た受付嬢が俺の元にやって来た。
 「お待たせ致しました! こちらがキバネズミ討伐の報酬2000レザ。それに加えて薬草採取の報酬500レザに、素材の換金料1500レザ。合計で4000レザになります!」
 「4000レザァ〜ッ ︎」
 金額が多いのか少ないのか分からないけど、ノリで叫んでしまった。
 「はい。キバネズミの討伐報酬はこの街では2000レザでして、薬草は需要があるとはいえ、5枚で500レザと決まっています。なので数を持って来ればもっと報酬が弾みますよ」
 なるほど……要するにあれか。討伐任務をこなしながら、薬草摘みで少ない報酬の補填をする感じか。
 それに1日で今泊まっている宿代を稼いでいるので、出て行かなくていい安心感はある。
 「そしてカイリ様が持って来た素材に付いては、10匹の内3匹の毛皮がボロボロだった為、毛皮の料金が下がってしまいました。でもキバとか他の部位は無事でしたので、そちらに関しては適正価格で買い取らせて頂きます」
 まぁ3体はルル達のレベル上げの為に戦わせていたからな。仕方ないことだ。
 「……でも、カイリさんは凄いですよ」
 「どうして? キバネズミ程度しか狩れない俺達ですよ」
 「いいえ。そんなことはありません。ここに持って来て解体をお願いするモンスターのほとんどがボロボロの状態で解体料金も掛かります。なので大抵素材の半分以上が棄ててしまう結果になってしまうんですよ。
 高ランクの冒険者のほとんどが、ここに持ち帰らずその場でモンスターの解体をするんですよ。あっ ︎ もちろんワイバーンとかの大型モンスターは解体が難しいので、冒険者ギルドに運ばれますよ。
 持ち運びの費用の一部は我々ギルドの方で負担致しますし」
 「そうなんですかぁ……」
 そうだよな。お金になる部位を知っているのなら、そこだけ剥ぎ取って残りはその場で処理すれば済むもんなぁ。
 「俺もその場でモンスターの解体をした方がよさそうだなぁ」
 「そうですね! ……と言いたいところなのですが、解体場にも新人の方がいるので、出来れば新人研修用にモンスターを持って来て頂けると助かります」
 ああ、経験を積むのも必要だよな。
 「善処致します」
 「では、こちらの報酬を受け取って下さい」
 受付嬢に差し出されたお金を受け取るとアイテムボックスの中へと入れたら、受付嬢が俺の耳元に顔を近付けて来た!
 「ふぇっ ︎」
 息遣いが聴こえ来るほど近いので、心臓がバクバクと音を立てている! そんな中、受付嬢は囁くほどの声で話して来る。
 「カイリさん、ギルド長からの伝言です……カイリちゃんは色々と危ないからぁ〜。アタシが許可を出した冒険者としか組ませないわよぉ♡ と言うことです」
 「え? 俺に……ファッ!?」
 まるで「話しちゃダメですよ」と言いたいように耳を吹いて来た。
 「はい……なのでパーティー申請をする際は、私……アンジーかギルド長が対応させて頂きます。もしも勝手にパーティーを組んだりしたら……」
 そんなことをしたら、どうなるの?
 「お仕置きが待っているかもしれませんよ……こんな風に」
 今度はさっきよりも強く耳を吹いて来たので、思わず身を縮こませてしまった!
 「ウヒャアッ ︎」
 しかも受付嬢は耳を吹いた瞬間に即座に離れたので、俺の反応を見て楽しそうにしている。
 「と言うわけで、私の名前アンジーを覚えて下さいね」
 「は、はい……ん?」
 アンジー? ってことは!
 「マナさんが言っていた冒険者ギルドで働いている知り合いって、アナタのことだったんですか?」
 俺がそう言うと、アンジーさんが目を見開いた。
 「もしかして、マナと知り合い?」
 「はい、バルグさんの邸宅でお世話になりました!」
 俺がそう言うと何か考え込んだ顔になり、ブツブツと何か独り言を言い始めた。
 「あ、あのぉ……アンジーさん?」
 「ハッ ︎ すみません! ちょっと考え込んでしまいました! マナさんとお知り合いだったのですね!」
 アンジーさんはそう言うと、俺の足元にいるルルを抱き上げた!
 「やっぱりこの子は可愛いですね! 名前は何て言うんですか?」
 「ルルって言います。膝の上にいるのがプル太郎です」
 「そうなんですかぁ〜! 可愛いっ ︎」
 アンジーさんはそう言うと、ルルの身体を抱き締めて撫でた。
 「キャンッ!」
 しかもルルも嬉しそうにしている……べ、別に嫉妬してる訳じゃないんだからなっ ︎
 そんなことを思っていると、今度はプル太郎を撫で始めた。
 「この子もぷよぷよしてて肌触りがいいですねぇ! カイリさんがこの子達に好かれているのが見て分かりますよ」
 「まぁこの子達と気が合いましたからね」
 「なるほど、相性ですかぁ〜……」
 まさかアンジーさんって魔物好きなのか? よし、聞いてみよう!
 「アンジーさんって、ルルみたいな魔物が好きなんですか?」
 「はい! ルルちゃんみたいな可愛い魔物が大好きです!」
 アンジーさんはそう言うと、ルルの背中に笑顔のまま顔を埋めた。一方ルルの方は困ったような表情で俺を見つめて来る。
 「えっとぉ、アンジーさん……そろそろ錬金術ギルドに行こうと考えているので、ルルを離してあげて下さい」
 「分かりましたぁ〜」
 アンジーさんの手から離れたルルは、俺の元に駆け寄って来た。
 無理矢理気味に抱き上げられてたのが、ちょっとイヤだったみたいだ。
 「また明日来るので、ルル達と遊んであげて下さい」
 「はい! また今度ね。ルルちゃん、プル太郎くん!」
 「キャンッ!」
 プルンッ!
 俺はアンジーさんに手を振りながら、ルル達と共に冒険者ギルドを出た。
 「さて、次は錬金術ギルドに向かうけど、準備はいい?」
 「キャンッ!」
 プルンッ!
 ルルとプル太郎が、「いつでも行けるよ!」と言いたそうな返事したので、このまま錬金術ギルドへと向かうのだが……。
 「おお、カイリじゃん! 久しぶりぃ〜!」
 何故かマナさんが目の前に現れて、俺に抱き付いて来た。
 「久しぶりって、昨日会いませんでしたっけ?」
 「そうだったねぇ〜。それより、カイリは何処に行こうとしてたの?」
 「冒険者ギルドで依頼を達成したので、今度は錬金術ギルドに行ってポーションを納品しようと思っています」
 「えっ ︎ もう冒険者ギルドの依頼を達成したのぉ ︎」
 ……え? 驚くところがそこなの?
 「キバネズミを5体討伐する依頼だったので、別に大した依頼じゃないですよ。金額もそんなに貰ってませんし……」
 「キバネズミを5体討伐……」
 マナさんはそう言いながら、考え込む様子を俺に見せる。
 「あの、マナさん。別に不正なんてやってないですよ」
 「ん? ……ああっ! 私はただ、ルル達がレベルが低いから大丈夫だったのかな? って思っただけだから、そんな顔をしないでよ!」
 「あ、何だ。そういうことか。ルル達に関しては大丈夫ですよ。むしろ頼りになりましたから!」
 俺の言葉を聞いたルル達は誇らしそうな顔をしていたので、可愛いと思ってしまった。
 「ところで、マナさんは何をしているんですか?」
 「旦那様に市場の確認を言われたから、見に来ている最中だよ!」
 「……サボりじゃないんですよね?」
 「そ、そんなことはないって! ちゃんとほら! メモ帳も持って来ているし!」
 何かその慌てっぷりは怪しいなぁ〜。まぁ俺はバルグ商会の人じゃないから関係ないけど。
 「ところで、ミレイさんの様子はどうですか?」
 「奥様は旦那様と一緒になってお腹子に気に掛けてる。毎日毎日、カイトとかアイリとか言って、サシャさえも呆れて……って、どうしたん? 顔色が悪いよ?」
 「マナさん……後ろ」
 「後ろ? ……ッ ︎」
 マナさんが振り向いた瞬間、身を硬直させた。何故かって? そこには笑顔だけど目が笑っていないサシャさんが立っていたのだから!
 「お待たせ致しました! こちらがキバネズミ討伐の報酬2000レザ。それに加えて薬草採取の報酬500レザに、素材の換金料1500レザ。合計で4000レザになります!」
 「4000レザァ〜ッ ︎」
 金額が多いのか少ないのか分からないけど、ノリで叫んでしまった。
 「はい。キバネズミの討伐報酬はこの街では2000レザでして、薬草は需要があるとはいえ、5枚で500レザと決まっています。なので数を持って来ればもっと報酬が弾みますよ」
 なるほど……要するにあれか。討伐任務をこなしながら、薬草摘みで少ない報酬の補填をする感じか。
 それに1日で今泊まっている宿代を稼いでいるので、出て行かなくていい安心感はある。
 「そしてカイリ様が持って来た素材に付いては、10匹の内3匹の毛皮がボロボロだった為、毛皮の料金が下がってしまいました。でもキバとか他の部位は無事でしたので、そちらに関しては適正価格で買い取らせて頂きます」
 まぁ3体はルル達のレベル上げの為に戦わせていたからな。仕方ないことだ。
 「……でも、カイリさんは凄いですよ」
 「どうして? キバネズミ程度しか狩れない俺達ですよ」
 「いいえ。そんなことはありません。ここに持って来て解体をお願いするモンスターのほとんどがボロボロの状態で解体料金も掛かります。なので大抵素材の半分以上が棄ててしまう結果になってしまうんですよ。
 高ランクの冒険者のほとんどが、ここに持ち帰らずその場でモンスターの解体をするんですよ。あっ ︎ もちろんワイバーンとかの大型モンスターは解体が難しいので、冒険者ギルドに運ばれますよ。
 持ち運びの費用の一部は我々ギルドの方で負担致しますし」
 「そうなんですかぁ……」
 そうだよな。お金になる部位を知っているのなら、そこだけ剥ぎ取って残りはその場で処理すれば済むもんなぁ。
 「俺もその場でモンスターの解体をした方がよさそうだなぁ」
 「そうですね! ……と言いたいところなのですが、解体場にも新人の方がいるので、出来れば新人研修用にモンスターを持って来て頂けると助かります」
 ああ、経験を積むのも必要だよな。
 「善処致します」
 「では、こちらの報酬を受け取って下さい」
 受付嬢に差し出されたお金を受け取るとアイテムボックスの中へと入れたら、受付嬢が俺の耳元に顔を近付けて来た!
 「ふぇっ ︎」
 息遣いが聴こえ来るほど近いので、心臓がバクバクと音を立てている! そんな中、受付嬢は囁くほどの声で話して来る。
 「カイリさん、ギルド長からの伝言です……カイリちゃんは色々と危ないからぁ〜。アタシが許可を出した冒険者としか組ませないわよぉ♡ と言うことです」
 「え? 俺に……ファッ!?」
 まるで「話しちゃダメですよ」と言いたいように耳を吹いて来た。
 「はい……なのでパーティー申請をする際は、私……アンジーかギルド長が対応させて頂きます。もしも勝手にパーティーを組んだりしたら……」
 そんなことをしたら、どうなるの?
 「お仕置きが待っているかもしれませんよ……こんな風に」
 今度はさっきよりも強く耳を吹いて来たので、思わず身を縮こませてしまった!
 「ウヒャアッ ︎」
 しかも受付嬢は耳を吹いた瞬間に即座に離れたので、俺の反応を見て楽しそうにしている。
 「と言うわけで、私の名前アンジーを覚えて下さいね」
 「は、はい……ん?」
 アンジー? ってことは!
 「マナさんが言っていた冒険者ギルドで働いている知り合いって、アナタのことだったんですか?」
 俺がそう言うと、アンジーさんが目を見開いた。
 「もしかして、マナと知り合い?」
 「はい、バルグさんの邸宅でお世話になりました!」
 俺がそう言うと何か考え込んだ顔になり、ブツブツと何か独り言を言い始めた。
 「あ、あのぉ……アンジーさん?」
 「ハッ ︎ すみません! ちょっと考え込んでしまいました! マナさんとお知り合いだったのですね!」
 アンジーさんはそう言うと、俺の足元にいるルルを抱き上げた!
 「やっぱりこの子は可愛いですね! 名前は何て言うんですか?」
 「ルルって言います。膝の上にいるのがプル太郎です」
 「そうなんですかぁ〜! 可愛いっ ︎」
 アンジーさんはそう言うと、ルルの身体を抱き締めて撫でた。
 「キャンッ!」
 しかもルルも嬉しそうにしている……べ、別に嫉妬してる訳じゃないんだからなっ ︎
 そんなことを思っていると、今度はプル太郎を撫で始めた。
 「この子もぷよぷよしてて肌触りがいいですねぇ! カイリさんがこの子達に好かれているのが見て分かりますよ」
 「まぁこの子達と気が合いましたからね」
 「なるほど、相性ですかぁ〜……」
 まさかアンジーさんって魔物好きなのか? よし、聞いてみよう!
 「アンジーさんって、ルルみたいな魔物が好きなんですか?」
 「はい! ルルちゃんみたいな可愛い魔物が大好きです!」
 アンジーさんはそう言うと、ルルの背中に笑顔のまま顔を埋めた。一方ルルの方は困ったような表情で俺を見つめて来る。
 「えっとぉ、アンジーさん……そろそろ錬金術ギルドに行こうと考えているので、ルルを離してあげて下さい」
 「分かりましたぁ〜」
 アンジーさんの手から離れたルルは、俺の元に駆け寄って来た。
 無理矢理気味に抱き上げられてたのが、ちょっとイヤだったみたいだ。
 「また明日来るので、ルル達と遊んであげて下さい」
 「はい! また今度ね。ルルちゃん、プル太郎くん!」
 「キャンッ!」
 プルンッ!
 俺はアンジーさんに手を振りながら、ルル達と共に冒険者ギルドを出た。
 「さて、次は錬金術ギルドに向かうけど、準備はいい?」
 「キャンッ!」
 プルンッ!
 ルルとプル太郎が、「いつでも行けるよ!」と言いたそうな返事したので、このまま錬金術ギルドへと向かうのだが……。
 「おお、カイリじゃん! 久しぶりぃ〜!」
 何故かマナさんが目の前に現れて、俺に抱き付いて来た。
 「久しぶりって、昨日会いませんでしたっけ?」
 「そうだったねぇ〜。それより、カイリは何処に行こうとしてたの?」
 「冒険者ギルドで依頼を達成したので、今度は錬金術ギルドに行ってポーションを納品しようと思っています」
 「えっ ︎ もう冒険者ギルドの依頼を達成したのぉ ︎」
 ……え? 驚くところがそこなの?
 「キバネズミを5体討伐する依頼だったので、別に大した依頼じゃないですよ。金額もそんなに貰ってませんし……」
 「キバネズミを5体討伐……」
 マナさんはそう言いながら、考え込む様子を俺に見せる。
 「あの、マナさん。別に不正なんてやってないですよ」
 「ん? ……ああっ! 私はただ、ルル達がレベルが低いから大丈夫だったのかな? って思っただけだから、そんな顔をしないでよ!」
 「あ、何だ。そういうことか。ルル達に関しては大丈夫ですよ。むしろ頼りになりましたから!」
 俺の言葉を聞いたルル達は誇らしそうな顔をしていたので、可愛いと思ってしまった。
 「ところで、マナさんは何をしているんですか?」
 「旦那様に市場の確認を言われたから、見に来ている最中だよ!」
 「……サボりじゃないんですよね?」
 「そ、そんなことはないって! ちゃんとほら! メモ帳も持って来ているし!」
 何かその慌てっぷりは怪しいなぁ〜。まぁ俺はバルグ商会の人じゃないから関係ないけど。
 「ところで、ミレイさんの様子はどうですか?」
 「奥様は旦那様と一緒になってお腹子に気に掛けてる。毎日毎日、カイトとかアイリとか言って、サシャさえも呆れて……って、どうしたん? 顔色が悪いよ?」
 「マナさん……後ろ」
 「後ろ? ……ッ ︎」
 マナさんが振り向いた瞬間、身を硬直させた。何故かって? そこには笑顔だけど目が笑っていないサシャさんが立っていたのだから!
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