テイマーと錬金術の職業で冒険したい!

青空鰹

とにかくこの状況を何とかしようかっ‼︎ ……あ、可愛い!

 川の水に写る自分の姿を見た海莉は、身体を触って確かめる。

 「……この身体付きは、まさしく女性じゃん」

 しかも男の勲章までもがないなんて……どうしてこうなったんだぁっ?

 「つーか、何で森の中にいるんだよ! 普通は街の近くとかじゃねぇのかよぉ〜〜〜っ ︎」

 海莉の声が森に響き渡るが、誰もその問いに答えてくれない。

 「それもこれも全部、あのエイリィンとか言う女神のせいか! って、そういえば……」

 確か、この世界に来たら、ステータスを確認してとか言ってたなぁ。

 「えっとぉ〜……ステータスオープン」

 そう言ったら、目の前に画面が出て来てギョッとした。

 うわっ ︎ 本当に出て来たよ!

ーーーーーーーーーー
ステータス
 名前 カイリ
 年齢 15歳 
 種族 ハイヒューマン
 性別 女

職業
ファーストジョブ モンスターテイマー Lv1
セカンドジョブ 錬金術師 Lv1

基本能力
HP 8
MP 13
攻撃力 1
防御力 2
素早さ 1
器用性 7
魔法攻撃力 5
魔法防御力 4
運 12

取得スキル
 錬成術Lv1
 テイムLv1
 弾錬成術Lv-
 召喚Lv-
 分解Lv-
 射撃補正Lv1
 魔力回復Lv2
 アイテムボックスLv10
 能力成長促進Lv5
 鑑定眼Lv5
 マップLv2 
 言語能力Lv2
 チュートリアルLv-

 称号
 女神から命を受けし者
 女神に愛された者
 女神に心配されし者
 転生者
 ーーーーーーーーーー

 女神に心配されし者。って何だよ! もしかしたら、サクラさんが今の状況を心配してくれてるのかもしれない。
 それにしても、能力が低いなぁ。もしかして、戦闘職じゃないから弱いのか?

 そう思っていると、画面の右端に表示に目が止まった。

 「チュートリアル? 光っているってことは、押せってことなのか?」

 何も考えず、その表示に触れると、画面が切り替わって文字が並ぶ。

 「えっとぉ〜。 ようこそ異世界へ! これから新しい世界を歩く為の説明講座ぁ?」

 ふざけているのか、あの女神は?

 そんなことを思いつつもチュートリアルに目を通して行く。
 掻い摘んだ説明をすると。レベルとステータスについては誰もが分かる通り、強さを表していて、魔物を倒したり、自分の得意分野を学んでいけば上がっていく。
 スキルについても同じだが、一つ違うところはLv-と書かれているものに関しては、レベルの上下が関係ではなく、ステータスに左右されるスキルらしい。
 例としては剣術にレベル表記があるが、暗記術や自分の魔力を相手に譲渡するスキルなどはLv表記がない。
 そしてレベル表記のあるスキルは、レベルが上がれば上がるほど威力が強くなるし、いろんな技を覚えることが出来る。
 そして通貨は レザ と呼び、鉄貨=1レザ 銅貨=10レザ 銀貨=100レザ 大銀貨=1000レザ 金貨=10000レザ 白銀貨=100000レザ である。
 そして、分からないことがあればスキルのチュートリアルを使えば、すぐに教えてくれるらしい。

 「通貨の名前、エイリィンじゃないんだ」

 まぁそれは置いておいて。追申のところに、アイテムボックスがあるから確認しておいて。って書かれていたので、確認した方がよさそうだ。しかも画面でも操作出来るから、便利だよなぁ。

 そう思いながら、画面を操作してアイテムボックスを開いて見てみる。

 「手紙? それに指輪に首飾り……あっ ︎ サバイバルキット!」

 やったこれがあれば、この服を何とか出来る!

 アイテムボックスからサバイバルキットを取り出して、焚き火を組み立てて火を点ける。そして火の近くに濡れた服を干した後に、濡れた身体をタオルで拭く。下着姿の状態だが誰も見ていないし、何よりも濡れた服を着たまんまにするよりはマシだっ!

 キャンプファイアーとかを楽しんでいてよかったぁ〜。でも、残りのものは何だ?

 そんなことを思いながら、残りのアイテムを取り出して中身を確認する。

 こっちの指輪は文字が彫られてる。何を彫ってるのかまでは分からんわ。こっちの首飾りの方はデザインが本だ。

 「女神様が何の意味もなく、こんなものを入れる訳がないよな。もしかしたら、手紙の方に何か書いているかも」

 そう思いながら手紙を開き、内容を確認を始める。

 「えっと、何なに……これを読んでいるってことは、無事に転生が出来たってことじゃな。もう気付いていると思うが、妾がお主に渡したのは指輪と首飾りじゃ。
 そのアイテムは、お主専用の装備じゃから、お主以外使えんようになっておる。常に身に付けておくように……装備?」

 指輪と首飾りが?

 「あっ! まだ内容が書いてある。説明が長くなったが、お主に渡した物の説明をしよう。指輪は銃で、もう気付いていると思うがスキルを使って弾を作り、それを銃へと込めればいい。
 もう一つの方は錬金で必要な素材を書き記した本で、お主の役に立つじゃろう。
 二つ共、出て来て欲しいと念じれば出て来るし、無くしたりした場合は、アイテムボックスの中に戻って来るようになっておるぞ」

 ……本当かなぁ? 試してみよう。

 疑いながらも出て来て欲しいと念じたら、手元に辞典のような分厚い本と銀色のリボルバーが出て来た。

 「うわぁっ ︎ 本当に出て来たよ! この銃、攻殻機◯隊に出てたヤツに似てる ︎ って、あれ?」

 こっちの本の方は、厚みの割には軽い気がするな。もしかして、中身がスッカラカンなのか?

 そう思いながらも、本を開き中を確かめる。

 「色んな物が書いてある……って、あれ?」

 何か分からないけど、ページの大半が黒っぽいぞ。

 「これって、どういうこと……あ!」

 ページの隅っこに、錬成術Lvが低いので製作出来ません。と書かれていたのに気付いた。

 「なるほど。用は作れない物に関しては、ページが黒っぽくなっているのかぁ」

 しかも必要なレベルとかが書かれていないから、どれぐらいまで上げればいいのか分からないので、不便と思えてしまう。

 「まぁ、これは仕方ない。レベルを上げて作れるようになればいいか。銃の方も試してみたいなぁ。さっきのように念じれば出来るのか?」

 先ほど同じように、弾よ。出て来い! と念じてみたら、手のひらに出て来た。

 「これが、弾」

 アニメや映画のように、シリンダーを取り出して弾を込めて構える。

 うん。ロマンを感じる! 試しに、あそこの木を狙ってみようか。

 ちょっと遠くに見える木に狙いを定めて、引き金を引いたその瞬間。

 カチッ ︎

 「あれ?」

 弾が出ない? あ、そっか!

 このタイプはしたの方に合わせるんだった! しかも回転する方向も気に掛けないと、いけないんだった。

 「人前じゃなくてよかったぁ」

 下手したら恥ずかしい姿を晒していたよ。

 そんなことを思った後、今度こそ撃てる状態にして、再び木に狙いを定めて引き金を引くと、バァンッ ︎ といった音がしたが、木に当たらなかった。

 「……当たらなかった」

 遠かったのか、それとも俺の腕が悪かったかの、どちらかが原因。

 「まぁ初めて撃ったんだから、この結果はしょうがないよね! う、うん……」

 ちょっと練習しようか。

 銃の中に入っている空薬莢を取り出そうとしている時だった。

 「クゥ〜ン……」

 「ん?」

 鳴き声に気付き、後ろを振り向いて見たら、何とそこには真っ白な子犬が、こっちに歩いて来るではないか!

 「かっ、可愛い ︎」

 しかも俺の脚に身体を擦り付けているので、愛くるしい! と思いながら、子犬を抱っこしてしまった!

 うわぁ〜! モフモフしてて気持ちいい〜 ︎ ……って、そうだ! そんなことよりも!

 「キミ、お母さんはどうしたのぉ? はぐれちゃったのかなぁ?」

 「クゥ〜ン! クゥ〜ン!」

 子犬はそう鳴き声を上げるばかりで、何も答えてくれない……いや、犬が人の言葉を話す方が、おかしいんだったな。

 「う〜ん……この子の親を探してあげたい。でも、こっちはこっちでピンチな状況だからなぁ〜」

 このまま見捨てる訳にはなぁ〜。かといって連れて行くと、この子の親が心配しそう気がなぁ〜……。

 子犬の可愛い顔を見つめながら考えていると、頭の中に何かが流れ込んで来た。

 フェンリル(幼体)と契約可能です。契約致しますか?

 「ファッ ︎」

 この子が……フェンリル?

 腕の中にいるフェンリルに顔を向けて見ると、仲間になりたそうにこっちを見つめているのだった。

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