勇者として神からもらった武器が傘だった俺は一人追い出された。えっ?なにこの傘軽く見積もって最高じゃん
ゴルドノームの村の由来
俺たちは今ゴルドノームの村の演劇を見ている。
この村の妖精伝説ができた理由を演劇として見せてくれるとのことだった。
ゴルドノームの村の花祭りは村の女の子が妖精と出会い助けられたことから始まった。
今からちょうど50年前、その村には一人の女の子がいた。
その女の子は美しく、活発で、おてんばで、誰よりも優しかった。
女の子の声には特別な魅力があり、彼女の歌声は聞くものすべてを癒し心を和ませた。
彼女はよく森へいきそこで歌の練習をしていた。
その森の中で彼女の歌声に惚れてしまった1人の妖精がいた。
その妖精は女の子の歌を聞いているだけで幸せだった。
でも、妖精には特別な理由がない限り人前に姿を見せてはいけないという掟があった。
妖精たちはそれまで、ずっと人間たちに捕まえられ売られたりそれはむごい生活を強いられた歴史があったからだった。
だからその妖精は姿をあらわすことに躊躇し彼らの前に姿を見せることはなかった。
でも、日に日に彼女ならもしかしたらわかってくれるのではないかという甘い期待もあった。
そんなある日、彼女が森の中で魔物に追いかけられ森の奥深くまで行ってしまう。
運よく魔物からは逃げられたが迷った彼女はさらに奥へと進んでいく。
「ここどこだろう?」
彼女は泣きたいのをこらえて森の中をさ迷うがどこにも見覚えのある場所がない。
妖精も助けてあげたいが姿を見せるわけにはいかない。
でもその葛藤も再度彼女が危険にさらされたことで掟を破ることになった。
食人植物の群れの方へ進んでいったのだ。
「このままじゃ彼女が死んじゃうよ。何とかして助けなくちゃ」
妖精は彼女の前で光魔法を使い光ながら姿が直接見えないようにしつつ村の方へ誘導する。
彼女はその不思議な光のおかげで無事に村まで帰ることができた。
それからも妖精は彼女の側にいながらも彼女の前に姿をあらわすことはしなかったがピンチのたびに手を貸していた。
彼女が熱をだしたと言えば、家の前に解熱剤を運び、彼女の喉が調子が悪いといえばはちみつを届けた。
彼女自身、実は妖精が運んできてくれていることをある日気が付いてしまう。
でも、名乗らない理由が何かあるはずだと思い彼女も妖精だとは気が付かないフリをしつつも妖精のためにプレゼントを贈ったりした。
お互いの関係は秘密を知っていながらも知らないフリをし続けるという不思議な関係が続く。
幸運なことに彼女たちのその幸せな時間は誰にもばれずにずっと続いていったが、やがてその関係にも終わりがやってくる。
女の子はきれいな女性へとなり、そしてさらに年齢を重ね美しい老婆へとなっていた。
彼女のもとには何人もの男性が訪れていたが生涯結婚することはなかった。
そんなある日、ゴルドノームの村に最悪の悪夢が襲う。
大量のモロリットルという害虫が村の中で大量に発生したのだ。
モロリットルは毛虫のような害獣で、見かけによらず皮膚が固く異常な防御力をもっていた。雑食で木でも、野菜でもなんでも食べてしまう。
小さな村にはその悲劇に耐えられるだけの余力なんてものはなかった。
あっという間に村は飢饉に陥る。
幸いにもモロリットルの群れは偶然立ち寄った女の冒険者ニコによってすべて片付けられたが、食べられるものもなくなった村はどん底まで突き落とされた。
そこで老婆は誰に言うわけでもなくポツリと、
「食べ物が欲しい。この村を助けられるだけの食料が」
とつぶやいた。
妖精は彼女の前に姿をあらわした。
彼が姿をあらわすというのはつまり……二人には別れがやってきたことを意味していた。
「大丈夫。心配しないで! ぼくが助けてあげる」
「ごめんなさい。今まであなたにはずっと助けてもらってばかりだったのに」
「ううん。違うよ。ぼくは君の声が、歌がただ聞きたかっただけなんだ。それに君からもぼくは返しきれないくらいの宝物をもらったからね」
「ありがとう。でも……」
「ぼくに任せて。ぼくはこれからもずっと君の側にいるよ」
そう言うと妖精は森の中へ消えていった。
翌日の夜。
村の空に沢山のきれいな光の粒が舞った。
その光は小さな妖精たちだった。
妖精たちはその小さな身体では持てない大きさの木の実や果物、なかには兎の魔物まで村に運んできてくれた。
それを見た村人たちは大慌てで驚いた。
妖精たちはその老婆の家の前にいくとみんな食べ物を置いていく。
そして最後の妖精は
「僕たちはとある妖精の依頼で君を助けるためにきた」
「彼はどこにいるの? ぜひ直接お礼がいいたいの」
「彼は……今まで逃げてきた職務と引き換えにこの件を依頼してきたんだ。だから彼はもう君の前にあらわれることはできないんだ。最後に彼はあなたに出会えて良かったって言っていたよ」
「そんな……やっと姿を見せてくれたのに」
「君の歌声はとっても素晴らしいものだったよ。よき隣人に祝福を」
妖精はそういうと空高く舞い上がりそのまま消えてしまった。
残ったのは飢饉を乗り越えるだけの食料だった。
その後この村で妖精を見ることはなかった。
だが、この村が妖精から助けられたことから、ゴルド村に妖精という意味のノームをつけてゴルドノームに名前が変わったそうだ。
それ以来、村では妖精たちに感謝の意味をこめて花が咲き乱れるころに村でお祭りをすることになった。
村のあちらこちらに花を植え、夜には盛大な光の魔法を使って光の雪を降らせる。
その幻想的な姿は多くの人に感動を与えるという。
演劇のあとはいよいよ村のメインイベントがはじまる。
この村の妖精伝説ができた理由を演劇として見せてくれるとのことだった。
ゴルドノームの村の花祭りは村の女の子が妖精と出会い助けられたことから始まった。
今からちょうど50年前、その村には一人の女の子がいた。
その女の子は美しく、活発で、おてんばで、誰よりも優しかった。
女の子の声には特別な魅力があり、彼女の歌声は聞くものすべてを癒し心を和ませた。
彼女はよく森へいきそこで歌の練習をしていた。
その森の中で彼女の歌声に惚れてしまった1人の妖精がいた。
その妖精は女の子の歌を聞いているだけで幸せだった。
でも、妖精には特別な理由がない限り人前に姿を見せてはいけないという掟があった。
妖精たちはそれまで、ずっと人間たちに捕まえられ売られたりそれはむごい生活を強いられた歴史があったからだった。
だからその妖精は姿をあらわすことに躊躇し彼らの前に姿を見せることはなかった。
でも、日に日に彼女ならもしかしたらわかってくれるのではないかという甘い期待もあった。
そんなある日、彼女が森の中で魔物に追いかけられ森の奥深くまで行ってしまう。
運よく魔物からは逃げられたが迷った彼女はさらに奥へと進んでいく。
「ここどこだろう?」
彼女は泣きたいのをこらえて森の中をさ迷うがどこにも見覚えのある場所がない。
妖精も助けてあげたいが姿を見せるわけにはいかない。
でもその葛藤も再度彼女が危険にさらされたことで掟を破ることになった。
食人植物の群れの方へ進んでいったのだ。
「このままじゃ彼女が死んじゃうよ。何とかして助けなくちゃ」
妖精は彼女の前で光魔法を使い光ながら姿が直接見えないようにしつつ村の方へ誘導する。
彼女はその不思議な光のおかげで無事に村まで帰ることができた。
それからも妖精は彼女の側にいながらも彼女の前に姿をあらわすことはしなかったがピンチのたびに手を貸していた。
彼女が熱をだしたと言えば、家の前に解熱剤を運び、彼女の喉が調子が悪いといえばはちみつを届けた。
彼女自身、実は妖精が運んできてくれていることをある日気が付いてしまう。
でも、名乗らない理由が何かあるはずだと思い彼女も妖精だとは気が付かないフリをしつつも妖精のためにプレゼントを贈ったりした。
お互いの関係は秘密を知っていながらも知らないフリをし続けるという不思議な関係が続く。
幸運なことに彼女たちのその幸せな時間は誰にもばれずにずっと続いていったが、やがてその関係にも終わりがやってくる。
女の子はきれいな女性へとなり、そしてさらに年齢を重ね美しい老婆へとなっていた。
彼女のもとには何人もの男性が訪れていたが生涯結婚することはなかった。
そんなある日、ゴルドノームの村に最悪の悪夢が襲う。
大量のモロリットルという害虫が村の中で大量に発生したのだ。
モロリットルは毛虫のような害獣で、見かけによらず皮膚が固く異常な防御力をもっていた。雑食で木でも、野菜でもなんでも食べてしまう。
小さな村にはその悲劇に耐えられるだけの余力なんてものはなかった。
あっという間に村は飢饉に陥る。
幸いにもモロリットルの群れは偶然立ち寄った女の冒険者ニコによってすべて片付けられたが、食べられるものもなくなった村はどん底まで突き落とされた。
そこで老婆は誰に言うわけでもなくポツリと、
「食べ物が欲しい。この村を助けられるだけの食料が」
とつぶやいた。
妖精は彼女の前に姿をあらわした。
彼が姿をあらわすというのはつまり……二人には別れがやってきたことを意味していた。
「大丈夫。心配しないで! ぼくが助けてあげる」
「ごめんなさい。今まであなたにはずっと助けてもらってばかりだったのに」
「ううん。違うよ。ぼくは君の声が、歌がただ聞きたかっただけなんだ。それに君からもぼくは返しきれないくらいの宝物をもらったからね」
「ありがとう。でも……」
「ぼくに任せて。ぼくはこれからもずっと君の側にいるよ」
そう言うと妖精は森の中へ消えていった。
翌日の夜。
村の空に沢山のきれいな光の粒が舞った。
その光は小さな妖精たちだった。
妖精たちはその小さな身体では持てない大きさの木の実や果物、なかには兎の魔物まで村に運んできてくれた。
それを見た村人たちは大慌てで驚いた。
妖精たちはその老婆の家の前にいくとみんな食べ物を置いていく。
そして最後の妖精は
「僕たちはとある妖精の依頼で君を助けるためにきた」
「彼はどこにいるの? ぜひ直接お礼がいいたいの」
「彼は……今まで逃げてきた職務と引き換えにこの件を依頼してきたんだ。だから彼はもう君の前にあらわれることはできないんだ。最後に彼はあなたに出会えて良かったって言っていたよ」
「そんな……やっと姿を見せてくれたのに」
「君の歌声はとっても素晴らしいものだったよ。よき隣人に祝福を」
妖精はそういうと空高く舞い上がりそのまま消えてしまった。
残ったのは飢饉を乗り越えるだけの食料だった。
その後この村で妖精を見ることはなかった。
だが、この村が妖精から助けられたことから、ゴルド村に妖精という意味のノームをつけてゴルドノームに名前が変わったそうだ。
それ以来、村では妖精たちに感謝の意味をこめて花が咲き乱れるころに村でお祭りをすることになった。
村のあちらこちらに花を植え、夜には盛大な光の魔法を使って光の雪を降らせる。
その幻想的な姿は多くの人に感動を与えるという。
演劇のあとはいよいよ村のメインイベントがはじまる。
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