勇者として神からもらった武器が傘だった俺は一人追い出された。えっ?なにこの傘軽く見積もって最高じゃん
奴隷を購入することになったが、奴隷はやけに衰弱していた。
奴隷商は俺にそうもちかけてくる。
「奴隷?」
「そうです。先ほどもお話させて頂きましたが私は奴隷商なので、ちょうど今一人いるんですが、この先の旅にその奴隷にはきつい旅になりそうなんですよ。それならお兄さんのような優しい方に買って頂いた方が奴隷も幸せになるってものです」
「いや、奴隷は特に必要としていないですし、お金もそれほどありませんので」
「お金は今どれくらいありますか?」
「40万くらいですね」
「それなら大丈夫です。この奴隷の価格は30万ペトですので、今なら服もおつけしますよ」
「いやでも」
「この先、奴隷とはいえ大変な旅路になるのに可哀想だとは思わないんですか?」
なぜか奴隷商は俺の情に訴えかけてくる。
そんなことを言われても奴隷なんて買ったことないし。
どうしたらいいかわからない。
ただ、さらに奴隷商はまくしたててきた。
「私も手放したくはないんです。でも急いでいかなければいけない場所がありまして、長旅にはむいていないようなんです。かといってこのまま捨ててしまうのも可哀想ですし」
「わかりました。じゃあ一度その奴隷を見せて頂いてもいいですか?」
「えっ……それは……」
あきらかに奴隷商の目が泳ぎはじめた。
この奴隷商、商売人の割に商売が苦手なのか、俺がカモに見られているのか。
物を見ないで買う奴なんていないだろ。
「奴隷を買うのに、奴隷を見ないで買うとかできませんよね」
「それはもちろんです。ハバキ奴隷を連れてこい」
ハバキが荷台にのぼり牢から奴隷を連れてくる。髪の毛は金色で無造作に切り取ったようなショートヘア―になっており、顔から首にかけては包帯がまかれている。
その包帯も少し薄汚れていて少なくとも数日間は交換されていないようだった。
「こんな状態で……」
「わかりました。お兄さんの熱い熱意に負けましたよ。20万ペトならいかがですか?」
「いや、こんな衰弱した状態で……この子の性別や年齢、名前は?」
「性別は女ですね。年齢は多分20歳前後かと思います。名前はわかりません。購入したら好きにつけてもらって大丈夫です」
「コミュニケーションはとれるんですか?」
「もちろんですよ。頷いたり首を横に振ったりできますよ」
「それって話せないってことですか?」
「あぁ! もうわかったよ。10万でいいよ。ここまで粘ったお兄さんの勝ちだよ。まさかここまで値切っておいて買わないとかは言わないですよね?」
えっ俺買うなんて一言も言ってないんだが、もう買う流れになっている。
10万か。
奴隷の方を見ると、奴隷は確かに長旅には向いていない弱々しく衰弱している。
奴隷を買ったら王都へは行くことはできない。
姫を探すつもりできたが、姫は7日前に崖の下だったら、今から向かってもたどり着くころには王都にはもういないだろう。それなら変わりに人助けをするのも悪くない。
「わかりました。奴隷を買いましょう。そのかわり、替えの包帯と服をください。それと俺たちをロミスタまで乗せていってください。その条件ならいいですよ」
「ありがとうございます。それではこちらの石板に手を置いてください」
いつの間に準備したのか商人の手には石板が持たれており、そこに俺と奴隷両方が手を置くと淡い緑色の光が奴隷を包み込む。
「はい。これで奴隷の権利の譲渡が終わりました」
俺が10万ペト渡すと数を数え、
「はい。確かに受け取りました。では村へ急ぎましょうか。何かあってからでは大変ですからね」
何かっていったいなんだよ。
俺は荷台で彼女と一緒にロミスタまで帰ることにした。
彼女はだいぶ衰弱しているようだった。
「これを飲んで」
姫からもらったポーションの余りを彼女に飲ませる。
奴隷はコクっと頷くと一度手を叩いてから瓶を受け取り、一気に飲み干す。
何か食事前の特別な儀式なのだろうか?
聞いたところで説明は難しいだろう。これで少しの傷は治ってくれるはずだ。
奴隷は疲れているのか、なぜか俺の太ももを枕にして寝だしてしまった。
髪の毛は埃や汗で汚れているが肌は透きとおるようにキレイだった。指先もカサカサしているかとおもったが滑らかな肌をしている。ポーションを飲ませたおかげなのだろうか?
みすぼらしい服装とのギャップに少し違和感があるが異世界ではこれが当たり前なのかも知れない。
「勇者として神からもらった武器が傘だった俺は一人追い出された。えっ?なにこの傘軽く見積もって最高じゃん」を読んでいる人はこの作品も読んでいます
-
夜をまとう魔術師
-
6
-
-
雷霆の英雄と聖王子 〜謀略により追放された口下手な雷は、家族思いで不器用な王子を影から助ける〜
-
6
-
-
黒の魔術師
-
5
-
-
《完結》勇者パーティーから追放されたオレは、最低パーティーで成り上がる。いまさら戻って来いと言われても、もう遅い……と言いたい。
-
7
-
-
100年生きられなきゃ異世界やり直し~俺の異世界生活はラノベみたいにはならないけど、それなりにスローライフを楽しんでいます~
-
6
-
-
《完結》腐敗した世界の空で、世界最強のドラゴンは、3人の少女を竜騎士に育てます。
-
11
-
-
3Rの魔法師〜魔力零の異端児は今日も誰かの魔力を糧にする〜
-
17
-
-
祖国奪還
-
5
-
-
追放《クビ》から始まる吸血ライフ!~剣も支援も全てが中途半端なコウモリヤローとクビにされたが、実際は底の見えない神スキルだった件~
-
10
-
-
錬金術師のなかなかスローライフにならない日々
-
13
-
-
ティーガー戦車異世界戦記 ~小さな希望を紡ぐ姫と鋼鉄の王虎を駆る勇者~
-
10
-
-
居候人は冒険者で店員さん
-
3
-
-
赤い記憶~リーナが魔王を倒して彼の隣を手に入れるまで~
-
16
-
-
竜王暗殺 ~王国を第一王子と共に追放された少女騎士は最強の竜王として目覚めるまで殿下を溺愛します~
-
5
-
-
苦労して魔王を倒したと思ったら勇者パーティーを追い出された件
-
8
-
-
霊能者、異世界を征く!~奴隷からの出発、魂の能力継いで下剋上。
-
3
-
-
聖女と最強の護衛、勇者に誘われて魔王討伐へ〜え?魔王もう倒したけど?〜
-
18
-
-
バッドエンドは全力でぶち壊す!
-
10
-
-
【完結】ロリコンなせいで追放された魔術師、可愛い愛弟子をとって隣国で自由気ままに成りあがるスローライフ!
-
17
-
-
十年浪人して剣魔学院に入学したおっさん、聖女に見出だされたチートスキル『ハードパンチャー』で黄金の右を放つ~剣も魔法も赤点の劣等生なので悪役令嬢にパーティを追放されたけど今更戻ってこいとかもう遅い~
-
9
-
コメント