猫と宇宙人はゴーストバスターを始めたようです

たっさそ

第44話 ★あの人、怪しすぎるであります!



 数分前




「ねぇねぇ、優さん。澄海くんは、なんであんな性格なの?」




 わちきがロリショタどもを相手していると、リズムちゃんとやらがわちきにそんなことを聞いてきました。
 この子はかわいい子です。活発で好奇心が強いですね。好ましいです。


 話を聞くに、肝試し中に電話ボックスの中に閉じ込められたところを、スカイぼっちゃんが助けてくれたらしいのです。
 わちきがそんな状況になってしまったら、失禁する自信がありますね。
 スカイぼっちゃんはすごいです。わちきには霊感はありませんが、女の子を窮地から救う男の子は無条件でかっこいいです!




「スカイぼっちゃんですか。そーですねー。レイちゃん………あ、いや、ママがね、ちょっと特殊な人だからですかね」


「??? とくしゅ?」


「はい。特殊なんです。霊媒師をしているのですよ」


「れ、霊媒師!? 幽霊を退治する人、だよね?」


「その通りであります。それで、スカイぼっちゃんもママの霊感を受け継いでいて、幽霊が見える子なのですよ」


「え!? えええええ!? そ、それ! 本当なんですか!?」


「ええ、本当ですよ。でも、わちきには霊感なんてありません。霊感があっても、わちきは怖いだけであります。だから、むしろ霊感がない方が幸せかもしれません。その点、スカイぼっちゃんは、幽霊を怖がりません。最近は心霊スポットを巡って退治をしているようなのです」


 知りたがりのリズムちゃんに、わちきはぼっちゃんの事を教えてあげました。
 たぶん、この子はぼっちゃんに惚れています。反応がかわいいのです。


「た、退治までしているんだ………だから、あの時落ち着いていたんだ………。澄海くんは、あんな体験したあとなのに、また次の人と行っちゃうし………」


 この子は恐怖体験をしたみたいですし、わちきのおっぱいを借りて散々泣きました。
 ですが、このおっぱいはすごいです。この子を落ち着かせる効果がありました!
 すでに1周した子たちは、驚かす側に回らない子の場合、もう家に帰ってもらっています。そうでもしないと、家の人が心配しますからね。当然の措置です。
 今、この場に残っている人は、リズムちゃんと、タマ子とクロ。あと男子生徒が2人。
 校舎に入っているのが、驚かす男子生徒2人と、ぼっちゃんたち4人です。




「スカイぼっちゃんだけではありませんよ? 猫たちもそうです」


「猫? あ、タマさんたちのことだね」


「ええ。猫たちも、ぼっちゃんと一緒に幽霊退治をしています」


「本当?」


「はい!」


「うー、確かに、お姉ちゃんが心霊番組の撮影に行ってた時に、澄海くんとタマちゃんたちがいたって言ってたし………そもそも岡田さんたちは何者なの? あのネコミミと尻尾。おもちゃには見えないけど」


「ふふふー。それはですねー! なんと猫たちは―――」


 知りたがりのリズムちゃんと話すのは楽しいです! なんでも話したくなっちゃいます


「「―――コラー!!」」


 わちきが話そうとしていると、タマ子とクロがわちきを取り押さえてしまいました


「ふきゅっ!? な、なにをするでやんす!」


「なにをするじゃないよー! 言っていいことと悪いことがあるよー!」


「そう、だよ。優さん。………口が、かるすぎるよ。」




「いいじゃないですか! 猫たちはわちきのトップシークレットを知ってるじゃないですか! 個人情報ダダ漏れで痛い痛い折れる折れる折れちゃいますすみませんもう口を開きませんので手を離してください!!」


「わかればいいんだよー。」




 タマ子が強いです。瞬発力はクロの方が高いのに、技術でクロを勝っているように感じます
 これは、長女の意地なんでしょうか。


「ふぅ、痛かったであります。リズム殿。猫たちの事に関しましては、本人に聞いてください。わちきからはなんとも言えません。」


 ねじられて手首をさすって、涙目でリズムちゃんを見つめます。そろそろこの子も帰した方がいい時間ですね。


「リズム殿。そろそろ子どもは寝る時間であります。帰られてはいかがですか?」


「う、ん~。そうだね。ちょっと眠いかな。たぶん眠れないと思うけどね………。」


 恐怖体験をしたのです。それは仕方がありません。


「それでは、わちきが家まで送って差し上げます。さすがにこんなにかわいい子に、夜道を一人で歩かせるわけにはいきません。」


「うう。ごめんなさい」


「いいのです。ぎゅってしてさしあげましょう!」


「へ? わぶっ!」


「ああん! やっぱりかわいい!!」


 猫たちと同じくらいかわいいですこの子! 思わず抱きしめてあげました


「クロ、タマ子。後は任せていいでありますか?」


「うん、わかったよー。いってらっしゃーい」


「だい、じょうぶ。」


「リズム殿、行きますよ」


「…………ふぁい」




                    ☆






 リズムちゃんの家はすぐ近くでした。歩いて10分で着いたので、小走りですぐ戻ります。
 あとは、お母さんに怒られないことを祈るばかりです。


「ちっ、あー………なんか騒々しいな………」




 学校へ向かって歩いていたら、怪しい男を見つけました。
 彼は誰なんでしょう。校門前でイライラしている様子です。


 年は20代後半でしょうか。タバコをくわえていて、赤い縁の眼鏡をしています
 結構高そうな服を着ているサラリーマンみたいな人でした。


「………今日は鬼門が開く日だってのに。」


 キモン? キモンとはなんでしょう。おいしい食べ物でしょうか。だったらいただきたいです


「そこの人、どうしたのでありますか?」


 そんな冗談はどこかに置いといて、その男の人はあまりにも怪しいし、敷地内には子供たちがいます。正直、気味悪いですが、意を決して話しかけてみることにしました


「あ? なんだおまえ。」


 しかし、全人類を見下すようなその視線に、わちきは思考を放棄しました。
 その人の視線ひとつで、わちきの足は、地面から離れず、動けなくなってしまったのです。なんでしょう、わちきはいったい、何を怯えているのでしょうか。


「………まぁいいや。あんた、今日この学校で何をしてるか、知ってるか?」


「こ、子供たちが………肝試しを、しているようであります。」


 わちきが震える声でそういうと、頭をがしがしと掻き、口からタバコの煙を吐きました。


「そうか………。だとしたらこの結界は………誰のだ?」


 何事かを呟いていますが、聞き取れません。わちきに目を向けると、その人はすこし目を見開きました


「ん? ―――おまえ、超能力者だろ。」


「 !! 」


 一目で、正体を見破られました! この人は危険です!
 すごく悪そうな顔で『ニヤリ』と嗤っていました!
 わちきは素早くUターンして、その場から逃げだしました。本当は分間移動で移動したいのですが、密室で1分どころか、1秒でも隙を見せたら殺される気がします!


「テレポートか。なるほど。………ここには結界が張ってある。俺には入れないから、お前の力を貸してもらうぞ」


 振り返ると、いつの間にか、その男の手には、藁人形が握られていました


 見覚えがあります、あれは、褐色に人が使っている藁人形に、すごく似ています!






―――ダンッ!






 という人間が地面を蹴るときには絶対に出ない音が近所に響きました。






 それを知覚した瞬間―――わちきは意識を失いました





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