猫と宇宙人はゴーストバスターを始めたようです

たっさそ

第38話 ★楽しそうなことをするみたいですね! わちきも混ざりたいでありますっ!

 翌日、僕が学校に到着すると、クラスメート全員が『ギロッ』と僕を睨みつけてきた。


 あれ? 今日はいつもより早めに家をでたはずなんだけどな。時計見間違えた?


 いや、学校の時計も、まだ7時55分を指している
 出席確認をするのが8時15分だから、この時間に全員が揃っているのは奇妙なことだ。
 ………まるで、僕を待っていたかのようだ。


 僕は自分の机にカバンを置くと、




「澄海くーん。今晩から、よろしくねー?」


 タマが僕にそんなことを言った。
 あー、そんなことを言ったらまた狂戦士バーサーカーが………あれ?


 狂わない。


 どうしたんだろう。みんな、変なものでも食べたんだろうか






「「「「「「 ………………… 」」」」」」






 そういうわけでもなさそうだ。ちゃんと僕に憎悪の視線を向けている。よかった。いつも通りだ。




「よっ、澄海。おまえ、こんやはどこかに行く予定はあるか?」


 名前は忘れた男子生徒が僕にそんなことを聞いてきた。
 なんでこいつ、こっくりさんの時以降、こんなに馴れ馴れしくなったんだろう


「……………(ふるふる)」


「そうか、よかった。今夜の10時に、体育館前に集合な。岡田姉弟も、このクラス全員、来ることになってる。あとはおまえだけだったんだ。なんせ一番さいしょに帰っちまうから、話し合いできなかったんだ。おれっちも来るから、ちこくすんなよー?」


 僕の右肩を軽く小突いてから、名前を忘れた男子生徒は時輝たちのグループの会話に参加した
 ま、面倒くさいから行かないけどね。何しに行くのか、理由すら知らないし、どうせろくな事じゃない。


 ……………いや、まずい。
 夜の学校だぞ。なんでそんなところに、そんな時間に行くんだ?


 ………くそっ、予想通りなら、とんでもないことになる
 僕の予想が正しければ、第一候補に『七不思議』の調査。第二候補に、『肝試し』といったところだろう。


 第三候補に、僕の予想もつかないなにか、といった感じかな。


 この学校は城が建っていた場所に存在する。故に、この学校には、無数のゴーストが徘徊してる。だから、夜の学校はゴーストが活性化して危険なんだ。


 僕はすぐ近くにいたタマにアイコンタクトをする。


『七不思議か肝試しだろ』


 と送信すると


『ピンポーン! 一応言い訳するけど、私たちは止めたよー。それでも止まりそうになかったから、もう成り行きに任せて、みんなを見守ることにしたのー。』




 あー! くそっ! なんでそんなことになってるんだよ。腹立つ。


 三猫が行くなら、僕が行かなくても大丈夫かもしれないが、それでもクラス全員の安全を保障するには足りないだろう


 僕が行っても足りない。くそっ! やめさせるにはどうすればいい。


 僕が視線を巡らせると、三猫が首を振った。無理、なのか?


 行くしか、ないのか。


 保険にママを連れてこようかな。


 なんか『弱虫』とか『いくじなし』とか言われそうだけど、この際はしかたない。それに、ママの容姿なら問題ないか。中学生くらいにしか見えないし。






                    ☆




「澄海。アタシはこれから心霊番組の打ち合わせがあるから、東京に行ってしばらく帰ってこれない。ユウがいるから家が散らかることはあまりないかもしれないが、子供だけってのは不安だ。でも澄海やクロ、タマがしっかりしてるから問題ないだろう。澄ちゃんだっているし。だからアタシは2,3日家を開けるけど、戸締りはしっかりしとケネディ。」




 希望は絶たれた。




 ママは久しぶりに再開したテレビの仕事があるようだ。今は肝試しシーズンだし、稼ぎ時なんだろう


 もうすぐ、僕たちが参加した平医院の放送もあるかもしれない


 そしたら、出演依頼も増えるかもしれないし、大学生だった去年より、とことん忙しくなるだろう


 ママが出て行ったあと、風呂に入ってコンビニ弁当を食べると、三猫が家にやってきた


「あれ? 褐色の人はいないのでありますか?」


「うんっ! にいちゃんは、ぶかつのけんたいかいで、3日いえにいないんだぁ。」


「なーんだ。残念です。わちきの遊び相手になってくれるとおもったのに。」


 おっちゃんがいないとわかり、肩を落とす優。


「今ごろ、修さんは………。さくらじまあたり、かな。」


「うう、遠いでやんす。応援にもいけないじゃないですかぁ」


 近場だったら行ってたのかな。顔を起こした優は、『この熱い思いよ、褐色の人に届けーっ!』と北西の方向に念を送っていた。それじゃあ絶対に桜島には届かないな。


「あー、ゆーさん。ちょっといいかなー?」


「ほいほいなんでありますか、タマ子殿。」


「ゆーさん、今日も暇でしょー? 今日の夜、ちょっと付き合ってよー。」


「むむ、デートのお誘いですかい? しかしながらわちきにはレイちゃんやぼっちゃん、猫たちや褐色の人みたいに霊感はないですよ?」


「それでもいいんだよー。見た目、大人の人が一人いるだけでいいんだからー。」


「どういうことかわかりませんが、いいでしょう。協力します。なんだかおもしろそうな匂いがプンプンしますし!」


 優、そんなに快諾していいのかよ


「ありがとー! ゆー!」


「おやすいご用でありますよ! こと人目につかない楽しそうなものだったら、わちきをよんでください! 力になりますぜ! 基本的に毎日が暇ですからね!」


 ヤハハと笑いながら、抱き着くタマをブンブンと振り回す優。


「……………。」


 ため息を一つ。




 不安要素が増えてしまった。









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