猫と宇宙人はゴーストバスターを始めたようです
第26話 アタシでも、間違いはやっぱり恥ずかしいね。
そんなこんな茶番はあったけど、おっちゃんの高校についた。
ママはリムジンを降りて堂々と校門をくぐる。
リムジンが校門前にとまっているもんだから今から帰宅する生徒たちも唖然呆然
僕たちと同じように午前中授業だったんだろう。
帰宅する生徒たちがもの珍しそうにこちらを見ていた。
まぁそれよりも
『なぁ、あの人、礼子さんじゃねぇか?』
『だれそれ?』
『ほら覚えてないか? 10年くらい前にテレビに出てたと思うんだけど、中学生霊媒師とかってテレビで騒いでた』
『あー、そういやそんな人いたかも。美人だったね、さっきの巫女さん』
『なんでこの高校にいるんだろう。撮影? それとも、弟か妹でもいるのかな………?』
『じゃあ、あのリムジンは迎えの車かな。今年の新入生を片っ端から調べてみるか』
と、噂になっているのが気になった
ママって、昔はそんなに有名人だったんだね
☆礼子SIDE☆
高校生ってのも若いわねぇ。
アタシも先月までは大学生だったわけだけどさ。
んー、社会人になった今ならだれでも思うことかもしれないけど、今の財力と知識を持った状態で、もう一度学生生活をしてみたいもんだわ
この体系だから、できなくはないかもしれないわね
………アタシにも、もうそろそろ成長期がきてもいいのになぁ。
――ひそひそ
――ひそひそ
周りの生徒たちが、アタシをチラチラと見ながら何かを話していた
アタシは澄ちゃんや澄海のように五感が鋭いわけじゃないから全然聞き取れないけど、どうせアタシの噂だろうということはすぐにわかった。
久しぶりにテレビでの活動を再開したからなぁ。今日アタシを見た人はびっくりするかしら。
うーん、どっか変な格好してたかな。
今日は普通の巫女服を着てきたはずだけど………。
あ、もしかしてアポなしで高校に来ちゃったから? だから見られてるのかしら。
いやでも、送迎の車だって普通に敷地内に止まってるし………
まぁいっか。なぜかアタシが目立ってしまうのはいつもの事だ。
おっと。ここが体育館だな? たしか修ちゃんはバドミントン部だって言ってたし
息を大きく吸い込んで―――
「修ちゃんはいるかーっ!」
思いっきり体育館の扉をあけながら叫んだ
恥じらい? んなもん10年前に捨てたよ
『『『 !? 』』』
一斉にアタシに注目するガキんちょたち。
「………あれ?」
体育館でアップをしていたのは、男女のバレー部のみだ。
バドミントン部どころかバスケ部すらいなかった。
どゆこと?
「えっと………あ、そこのアンタ。もしかしてバドミントン部って外で活動しているのカワウソーメン?」
仕方がないからその辺にいた生徒に聞いてみることにした。
ここにいないのであれば、それはちょっと恥ずかしいことをしたな。
「か、カワウソ………? バドミントン部だったら、旧農校の体育館だとおもうよ。お嬢ちゃん、お兄さんの迎か何かかな?(………なんで巫女服なんだこの子。コスプレ?)」
アタシの方が年上なのに、絶対にコイツ、勘違いしていやがるな
もう慣れてるからいいけどさ。
巫女服は本業だよ、文句あんのかコラ。貴様の背後霊を悪霊に取り換えてやろうかしら!
………それにしれも
「旧農校?」
初めて聞く単語だ。修ちゃんはこの高校の生徒ではなかったんだろうか?
………旧校舎とか 旧館、旧とつくものにちょっとわくわくした。
だって怪しいのがいっぱいあるじゃん。
「昔潰れた農業高校の体育館だよ。体育館の面積がたりないから、たしか、バドミントン部とバスケ部はそっちで練習してるはず。」
あー、なるほど、そういうことか。たしかに一つの体育館では荷が重いもんな。
どこかの体育館を借りてないとやってられないはずだ。
そうなると、卓球部とかはどこで練習するんだろうね。
そんなに大きな学校じゃないみたいだし、グラウンドはサッカー部が使っていたから野球部がどうなっているのかも少し気になった。
基本どうでもいいけどさ。
「その旧農校ってのはどこにあるの?」
まぁそんなことを詮索するよりもまずは修ちゃんだ。
「この高校をでて、坂を下りたらすぐの場所にあるよ。連れて行こうか?」
なんやこいつ、ナンパか? ただの親切かもしれないけど、あたしにゃ旦那がいるもんでね。
「結構。アタシはアンタみたいなガキんちょには興味ないからね。既婚者ナンパしてんじゃねぇよ。」
この手の連中は困ったもんだ。アタシは顔だけはいいらしい。学生によく声をかけられるんだ。
アタシには愛すべきダディちゃんがいるから他の男なんてどうでもいい。蛆虫だ。
さて、場所もわかったしそっちに向かうか。
「き、既婚者‥……?」
アタシの背を見て疑問符を浮かべるバレー部。
そうだよ既婚者だよこんちくしょうめ!
そんなことはどうでもいい。車に戻るか。 泣いてない! 身長が低いことなんか気にしてないんだからね!
☆
「………疲れてるの。」
なんだかげっそりして車に入ってきたママに僕は話しかけた。
「体育館を出た後、アタシの事を知っている生徒たちに囲まれた………。そんなに有名だったのか疑問だヨロレイヒ」
「………そう。」
ヨロレイヒなどと言ってるから、本当は嬉しいんじゃなかろうか。
たしかにママは生徒たちに囲まれながらリムジンに乗り込んだ。さながら問題を起こした政治家みたいに。
「礼子さん………修さんは、いなかったの、ですか………?」
クロが心配そうにママを見つめ、おっちゃんがどうなったのかを確認する。
「あ、そうだ。修ちゃんはこの下にある、潰れた高校の体育館で練習をしているみたいダーウィンブルドン。」
「そっか~。なら今からー、そっちに向かうんだね~?」
タマがティモにひざまくらをして、頭をなでながらママに続いた。
ティモは車に揺られているうちに眠ってしまった。
よく寝る猫だ。
「澄ちゃん、道はわかる?」
『大丈夫。じゃあ今からそこに向かうよ。』
生徒に囲まれていたリムジンを少しずつ動かし、生徒が離れてから500mほど坂を下って、ママが言っていた高校にたどり着いた。
車は中に入れいないみたいだったので、おばあちゃんが車を出やすいように移動させている間に、僕たちはその旧高校に足を踏み入れた。
ちなみに、ティモは起きそうになかったので、車の中で寝かせたままにしている。
こっちの高校はすでに潰れて、生徒がいないからなのか、野球部がグラウンドで練習していた。
サッカー部と陸上部は正規のグラウンドだろうか
「ここにおっちゃんがいるんだねー? おっちゃんがどんなことしているのか、楽しみだよー。」
タマはクロの手を引っ張っていっしょに歩いていた。
旧高校の武道館から、柔道着を着た女生徒が出てきた。僕たちの姿をみて目を丸くしたが、どうでもいい。
武道館の中を見てみると、卓球部と柔道部が練習をしていた。
「ここが体育館だね。………ちょっと下窓からのぞいてみるか。」
………さっき体育館に間違えて乗り込んだのが、少しトラウマになっているみたいだ。
一応ママも羞恥心はあるんだね
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