テンプレバスター!ー異世界転生? 悪役令嬢? 聖女召喚? もう慣れた。クラス転移も俺(私)がどうにかして見せます!

たっさそ

第15話 樹ーもふもふだぁーーーーー!!!



稔にはスライムを食べてもらいたかったが、まあ仕方ない。


消吾にアイテムボックスにしまってもらって、後で厨房の方達に調理を依頼しよう。


稔の暴飲暴食は十中八九ラーニング系なので、魔物を食らったり相手を殺したりしたら間違いなく能力を奪うことができるはずだ。


スライムの能力はおそらく自己再生か環境適用など、生存能力を会得出来る可能性大。


異世界に来てクラスメイトを殺してなんてやるもんですか。


とはいえ、だ。
ラーニング能力を持つクラスメイトってのは、裏切り者の可能性が高い。


能力にあぐらをかき、高圧的な態度になったりする。


わりとボケ気質、というかツッコマセ気質のある稔はぽっちゃり体型でありながら友達は多い。
別に体型をコンプレックスに思っているわけでもない。
なんだったら女の子にもよくお腹を揉まれている。由依とかよく揉む。


ストレスフリーなはずだが、何が起こるかはんからんけど、生き残る可能性が高くなるなら、俺はスライムの核を喜んで稔に食べさせるぜ!




「なんか言ってるけど、ふざけてるだけだろ」


「あ、バレた? まあ、本音の部分も確かにあるからさ、暴飲暴食、試してみようぜ。後で。」


「………はあ。わかったよ。」




あとでスライム食わせる約束して、次のエリアに。




………
……







「このあたりはウルフが多く出現する。奴らは頭がいい。獲物の視線に敏感で、死角から飛び込んでくる」




 騎士団長、ダンさんの言葉にゴクリと息を飲むクラスメイトたち。


「集団で行動するから、はぐれた動物の子供なんかは特に狙われやすい。気をつけてーーー」
「きゃーーーー!! もふもふだーーー!!!」
「チョっ、カナ!?」


 ダンさんが注意している最中に、ケモナーの上村加奈がギャルの内山ヒロミの静止を振り切って森の中に一人で爆走突撃した。




「迷子は俊平じゃないのか!?」
「あんな大暴走、予想できないよ!」
「田中も加奈にゃんのケモナーを甘くみていたにゃん!」


 みている場合じゃない!




「田中は俊平の護衛! 俺と由依はあのケモナーを追う!」
「まかせるにゃ!」
「いくよ、タツル!」


 ダッと駆け出す俺と由依


「待て! お前たち!!」


 と、騎士団長のダンさんが俺たちを止めようとするが、まあ、レベル1の時点で騎士団程度の能力値は持っていたんだ。
 レベルが上がっている俺らにダンさんがついてこられるわけでもない。


 そんな俺たちと同時に駆け出したのは


「上村!!」


 生徒会長。ミスターテンプレ勇者。虹色光彦。
 彼はレベル1の時点で団長と同等のステータスを誇っていた。
 訓練により、レベルやステータスが伸びているため、スピードは瞬につぐ2位だ。


「佐藤、鈴木! 君たちまでどうして!?」
「友達心配して悪いか?光彦だって人のこと言えねえじゃねえか」
「ひとりにできないからね!」
「すまん、無粋な質問だった!」




 そんな俺たちのスピードに、平気で爆走し続けるケモナー。
 あの情熱はどこから来るんだ。




 俺たちがケモナーに追いつき、そこでみた光景は………………………!


「よーしゃよしゃよしゃよしゃ!!!」
「クゥン………! キューン!!」




 大きな白いウルフを全身でわしゃわしゃやってる
 変態だった。




「ふへへへへへ、野生だから全身ゴワゴワだけど、もふもふだぁ。夢にまでみたもふもふだぁ! ひゃっほほーい!」


 わしゃわしゃわしゃー!


「ええい、革鎧邪魔!!」


 すぽーん!


「ちょ!」
「まじか!」


 突然鎧………といっしょに服を脱ぎ始めたケモナー。
 光彦は目をそらし、俺はガン見した。


「よーしゃよしゃよしゃ!」
「ちょっと! カナちゃん! 男子! 男子いるから! 服は着て!!」


 まあ、キャミとアニマルパンツは履いているからましなんだろう。ガラ? ゴリラだったよ。
 由依がケモナーに急いで駆け寄る。


「はぁはぁはぁ………!」
「だめだこりゃ、正気じゃない。目が完全にイっちゃってる。」
「由依、ショック療法(物理)だ。」
「しょうがないなー………。えい」


 ポコン! と大きなウルフのお腹に顔を埋めているケモナーの頭をグーで殴る由依。




「あいたぁ!! 由依!? なにすんの!?」


「こっちのセリフだよおバカケモナー! 自分の格好見て! 男の子だっているんだよ?」
「ぎゃ! こっちみるなえっち!」
「あ、ケモナーのまな板には興味ないです。」
「殺せ!!」
「ヴォフ!!」




 ケモナーのアビリティは【魔獣調教師ケモナー】………いや名前どうなってんのそれ。


 せめてテイマーかブリーダーにしてよ。性癖晒してるだけじゃん。


「ついカッとなってクラスメイト殺さない!」


 ゴツン!
 ケモナーの指令により襲いかかってきた巨大白ウルフを、ゲンコツで沈めといた。


 ケモナーがケイムした魔獣ケモノなら、勝手に殺しちゃ戦力ダウンだ。


 目を離していた光彦は俺のゲンコツは見ていなかったらしい。


 女の子が脱いだからって、視線をそらしちゃダメだろ。ウルフと一緒にいるんだぞ。
 もし俺じゃなくて光彦に魔獣が行っていたら、対応できていないぞ。




「気ィ済んだのなら戻るぞ。ここでお前に何かあったら騎士団長のダンさんの責任になる。お前のせいでダンさんが減給処分や降格、退職なんかになったらいやだろ」
「う………。わかった………。ごめんなさい」
「もう、本当に気をつけてよね………」


 俺が殺されかけたこと? ありゃあギャグだ。本気じゃないし怒ってないよ。


 由依が白ウルフの頭を撫でて俺の拳骨の腫れを引かせてあげてた。
 こっそり聖女の力使ってるな?


 起きた白ウルフに跨ったケモナーと共に、ダンさんのところに戻る。


「勝手しちゃってすみませんでした、団長!」
「申し訳ございませんでした。」


 頭を下げる俺と由依。
 最敬礼。90度だ。


 そんな俺につられて頭を下げる光彦と白ウルフの上から頭を下げるケモナー。降りろ馬鹿。


「おまえらよく戻って………リトルフェンリルじゃねえか!!」




 ああ、はいはい。拾ってきた魔獣は森の主でしたってね。


 よくあるよくある。ならそのうちイケメンに人化もあるかもね。
 あれ? そうなったらこのケモナー………逆ケモハーレム系の主人公なのでは!?




「なあ、このもふもふが擬人化したらどう思う?」
「は? もふもふが減るじゃん。ふざけてんの?」


 筋金が入っているようだ。











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