チートなお家と精霊とスローライフ!

青空鰹

ここがアトリエですよ! ドヤァッ!?

 「ゼェー、ハァー、ゼェー、ハァー・・・・・・」


 解毒草を持って家に入るリィンとセラ、それに髪を取り乱した上に肩を上下させながら、リィンたちの後ろから付いてくるお姉ちゃん。


 「エヘヘへ、いっぱい収穫出来たね。セラ」


 「そうですねリィン様」


 「そうですね。じゃないわよ! こんな異常なまでの女神の加護がある土地が存在している。ってことを教会に知られたら、とんでもないことになるわ!!」


 「とんでもないこと?」


 う〜ん・・・・・・偉い人が来て、ここに住みたいって交渉してくるとかかな? それとも、ここを聖地として崇めたりするのかな?


 「リィンちゃん。もしかしたら、教会の人たちに、『今日からこの土地は教会が管理するから、一般市民のキミたちは出て行きない』とか言われるかもしれないわよ」


 「それ悪い人が言うセリフじゃないの!?」


 「そうよ! でもねリィンちゃん、いくら神に仕えてる人だってね。中には人間のクズみたいな人もいるから、とっても大変なのよ!!」


 な、なんだろう。お姉ちゃんの言葉に説得力が感じられる。


 「そうですね。私が人間だった頃、神父から『アナタに加護を与えたいから、この聖杯に入っている水を飲んでください』と言って聖杯を渡されたんですよ。私は仕方なく聖杯に入っている水を口に含んだところで、睡眠薬が入っているのに気がついたんですよ。だから神父をその場で捕まえて尋問したら、私を捕まえてから奴隷商に売ろうとしていたのが発覚したので、兵士に身柄を渡しましたよ」


 「うわぁ・・・・・・なんとも言えない話だね」


 「ええ、ホント、なんとも言えない話です。リィン様にはそうなって欲しくないので、きをつけてください」


 「う〜ん・・・・・・リィンのお家が見つからなければどうと言うことはないし、仮に見つかったとしても違う土地に移住すれば良いと思うよ」


 「まぁ、それはそうですけど・・・・・・追いかけてくる可能性が・・・・・・」


 「それに先のことを考え過ぎて不安に思っていると今を楽しく過ごせないからさ、これ以上考えるのは止めようよセラ」


 「・・・・・・そうですね。リィン様、この先のことはどうなるかは、予想は出来るけどわからないですからね。いまは考えるのを止めておきます」


 納得してくれてよかった。


 「この解毒草の保存をどうしましょうか・・・・・・」


 「それなら、アトリエにあるエターナルボックスに入れれば保存出来ますよ!」


 「エターナルボックスッ!? レジェンドアイテムを用意しているんですか?」


 「ええ、私のリィンちゃんの為に用意しました」


 「エターナルボックス? ねぇ、お姉ちゃん。なにそれ?」


 「エターナルボックスは色んな物を入れられる箱で、入れた物を永遠に保存することが出来る優れ物なんですよ」


 「へぇ〜、スゴいアイテムなんだね」


 「さぁ、説明も済んだのでお楽しみのアトリエに行きましょう」


 「イヤイヤイヤ! スティア様、 レア度 の説明が抜けてますよ!」


 うん、セラの言う通りレア度とか知らないから説明して欲しい。


 「いいですかリィン様、この世界にはレア度があるんですよ。一番下から Nノーマル NRノーマルレア Rレア SRスーパーレア LRレジェンドレア GRゴットレアの6段階に分けられています。もうお察しかも知れませんが、ランクが高ければ高いほど珍しくて便利な能力を持っているんですよ」


 「そうなんだ」


 「あれ? なんかリィン様の反応が薄いですね」


 「うん、前世の知識で大体予想が出来たからね。それに、もうここまで来ると驚くことなんてなにもないよ・・・・・・セラ」


 「・・・・・・そうですね。考えてみたら、この家自体が異常ですもんね。なにも言うことはありませんね」


 うん、セラも納得したみたいだ。


 「それじゃあ、アトリエに行こうよ。セラ」


 「はい。リィン様」


 セラと手を繋ぐとアトリエに向かって歩き始める。


 「あのぉ、私が案内するんだけど・・・・・・それにリィンちゃんと手を繋ぐなんて羨ましいです! 手を繋いでくださいリィンちゃん!!」


 「うーん」


 お姉ちゃんがそう言うなら仕方ないよね。てか、いつの間に乱れてた髪を直したの?


 「あ! でも解毒薬を持ってるから無r」


 お姉ちゃんはリィンの手から解毒薬をズバッと高速で”奪い取る“と空いた手で手を繋ぐ。


 リィンとそんなに手を繋ぎたいのっ!?


 「ウフフッ! リィンちゃんとお手手繋いじゃった。ウフッ、ウフフッ!!」


 お姉ちゃんが気味の悪い笑みを浮かべている・・・・・・この手を離したくなってきた。


 「っと、リィンちゃんをアトリエに連れて行かなきゃいけなかった。さぁ、ここがリィンちゃんのアトリエですよ!」


 「ワァーイ、アトリエだぁー!! って帰って来てすぐのところにあるのに、手を繋ぐ意味があったの!?」


 「気分です! ドヤァッ!?」


 気分って、それとドヤァッ!?って自分言わなくても・・・・・・。


 「私はすぐそこだとは思ってもみませんでした」


 「・・・・・・とりあえず、アトリエに入ろうか」


 「そうですね」


 「それじゃあ、アトリエの中にレッツゴー!」


 三人仲良く手を繋いだままアトリエに入って行くと、今までとは違う雰囲気の部屋が目の前に広がっていた。


 「わぁー!」


 真ん中には大きい釜があり天井には煙を外に出す為の排気口が設置してあり、隅っこには机が設置していてその上に試験管やビーカーとか置いてある。そしてその隣には本棚が置いてあって中に本が所狭しと置いてあった。机とは反対側の壁に大きい箱が置いてあった。多分あれがエターナルボックスだと思う。


 「リィンのアトリエだぁー!!」


 「ウフフッ! 喜んで貰えてよかったです」


 「うん、ありがとうお姉ちゃん!」


 「さて、その解毒草をこちらのエターナルボックスに入れてください」


 「ハァーイ!!」


 エターナルボックス箱を開けると、外見より中が広いので驚いてしまう。


 「結構中が広いね」


 「そう、これがエターナルボックスの特徴ですよ。一応、紐で纏めてから入れましょうか」


 「うん」


 お姉ちゃんから紐を受け取ると、解毒薬を束ねてから紐で纏める。そのあとにエターナルボックスの隅っこに置いておく。


 「これでよし!」


 そう言ったあとにエターナルボックスのトビラを閉める。


 「さて、リィンちゃんお楽しみの錬金術について教えましょうか!」


 「おおー!!」


 やった! やっと錬金術が出来る!


 「先ずは始めに錬金術の基礎を教えてあげますから、ちゃんと話を聞いてくださいね」


 「ハァーイ!」


 「錬金術と言うのは、素材を錬金釜で融合させてアイテムを作る作業のことです。作る物の種類によって手間が掛かる作業をしなくてはなりませんが、この錬金釜なら大丈夫! 大体の作業をすれば作れるようになっております!」


 「大体の作業?」


 「ピンと来ませんか、例えばそうですねぇ・・・・・・鉄のインゴットを作りたいときに鉄鉱石を細かく砕かなければなりませんが、この錬金釜なら鉄鉱石をそのまんま入れても大丈夫なんですよ!」


 「オオーッ! チートアイテム!!」


 「ツッコミません。もう私はツッコミませんよ・・・・・・絶対に」


 あぁ、セラがなんかボソボソ言ってる。気にしないでおこう。ん? 素材をそのまんま入れても大丈夫なら、机にある試験管とかいらないよね?


 「いい反応ですね。さて、説明も済んだので実際にアイテムを作ってみましょう! はい、薬草を二枚どうぞ」


 お姉ちゃんから薬草の葉を受け取ったところで、リィンにある疑問が浮かび上がる。


 「あれ? ・・・・・・さっき薬草を摘んでなかったよね。お姉ちゃん、どうして薬草を持ってるの?」


 「それはですね。リィンちゃんの為にあらかじめ用意していたのですよ。どこかの三分で料理の方法を説明する番組のように!!」


 「それキュー◯ー3分◯ッキ◯グのことだよねっ!?」


 なんでその番組を知ってるの?


 「まぁ、リィンちゃんはその番組を知ってたんですか! ってそんなことよりも、先に錬金術の方を終わらせましょう。あ、台はこれを使ってくださいね」


 しかもサラッと流されちゃったよ。まぁ、台はありがたいけどね。


 「まずは、錬金釜に薬草二枚入れてから、水を1ℓ入れてください」


 「葉っぱ二枚に対して、水1ℓって多くないの? ポーションの能力薄くならない?」


 例えるなら、熱いお茶を飲む為に、水で埋め入れ過ぎて薄味になっちゃたって感じにならない?


 「大丈夫ですよ。本来の方法で生成すると半日も時間を掛けて煮るので、それぐらいの量の水が必要になります。まぁ、最終的に上澄みの液体を瓶に移すんですけどね」


 「ふむふむ、そうなんだぁ〜」


 などと会話している内に、もう準備が出来てしまった。


 「それじゃあ◯Hヒーターを点けるから、上に乗らないようにしてね」


 「これもI◯クッキングヒーター使用だったんだ!?」


「火を使うなんて、危ないじゃない! キリッ!!」


 いや、キリッ!! ってセリフで言うことじゃないでしょっ!!


 「リィンちゃん、気分で言っているので気にしないでください!」


「う、うん」


 お姉ちゃんがそう言うんだったら、もう気にしないようにしよう。


 「あ! こんなことしている場合じゃなかったわ。ポーション製作の説明の続きをします」


 「うん」


 「水が沸騰してきたら、リィンちゃんの魔力をこの長くて大きいヘラに込めながら、お鍋をゆっくりかき混ぜてください」


 「はぁーい!」


 水が沸騰してきたら・・・・・・沸騰したら。


 「沸騰しましたね。かき混ぜてください」


 「うん!」


 ヘラを錬金釜に入れてから魔力を込めながら水をかき混ぜ始めるが、今さらながらあることに気がつく。


 「・・・・・・ねぇ、お姉ちゃん」


 「なぁに、リィンちゃん?」


 「水1ℓに対してこんなに大きいヘラでかき混ぜる必要はないんじゃない?」


 「えーっと、錬金釜は1メートルぐらいの高さです。だからリィンちゃんの背丈より低いですけど、頭から落っこちたとき大変な目に合いますよ。それにリィンちゃんの身長を考えると、普通のヘラじゃお鍋の底に届かないと思いますよ?」


 「たしかにそれはそうだけど、あっ!?」


 透明だった水が急に鮮やかな緑色に変色して光出した。


 「はい、そこでお鍋に蓋をしてください」


「うん」


 お姉ちゃんから蓋を受け取り、お鍋に乗せる。


 「これで、3分間待ってください。そうすればお鍋から音がなりますから」


 「お、音? 錬金釜から?」


 「はい、待っていればわかりますよ」


 ・・・・・・3分後。


 『ピピピピッ!? ピピピピッ!?』


 「ア、アラーム音?」


 「うんうん、出来上がったみたいですね。リィンちゃん、コンロは私が止めるので、蓋を開けて中身を見てください」


  「えっ!? う、うん!」


 お姉ちゃんの言われた通りに蓋を開けて錬金釜の底を覗いて見ると、緑色の液体が入ったビンが一つだけ転がっていた。


 「あれがポーション?」


 「はい、リィンちゃんが作ったポーションです」


 「オォーッ!!?」


 ポーションを取ろうと手を伸ばしたのだが、指に触れられるけど掴むことが出来なかった。


 「リィン様、危ないですよ」


 お鍋に頭を突っ込もうとしたところで、セラに引っ張り上げられてしまった。


 「手が・・・・・・届かないよぉ〜。ウゥ〜ッ!?」


 結局、セラにポーションを取って貰いました。・・・・・・リ、リィン泣いてないもん!!

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