チートなお家と精霊とスローライフ!
これはやり過ぎでは?
「よいしょっと、さぁお外ですよ」
 お姉ちゃんはドアノブに手を掛けるとトビラを開く。するとそこにはとても新鮮そうな青草が家の周りに広がっていて、奥には森が見える自然豊かな光景が広がっていた。
 「ッ!?」
 「うわぁー、いい景色! 空気も澄んでいるから気持ちいい!」
 「・・・・・・」
 「あ! ロッジの前に畑がある! あれさっき買った畑だよね? ・・・・・・お姉ちゃん?」
 「・・・・・・」
 あれ? 笑ったまま返事がない。しかも、すごく汗もかいてるし・・・・・・お姉ちゃん一体どうしたんだろう?
 「・・・・・・この光景はスティア様がリィン様の為に用意していたのですか?」
 「リーザとメディーラがやったのよ。全くあの子たちはぁ〜、どこをどうすればこうなるのよっ!」
 「お二方もスティア様のようにリィン様を思ってやったことだと思います」
 「違うと思うわ。多分あの二人は協力してお家作りをしている最中に口論になって、最終的に競い合いになったんでしょうね」
 「口論って・・・・・・・リーザ様とメディーラ様は仲が良かったのではなかったのですか?」
 「昔は・・・・・・そうだったわ」
 なんでセラが呆れてお姉ちゃんが怒ってるんだろう。なんかおかしいところでもあったのかな?
 「二人共どうしたの? なにかおかしいところがあったの?」
 「もしかしてリィン様はお気づきになられてないのですか?」
 「気づいてない?」
 う〜ん、なにかおかしな物でも置いてるの? でも畑以外は雑草らしき葉っぱと森しか見当たらないから・・・・・・うーん、なにがおかしいんだろう?
 「そう言えばリィンちゃんは薬草がどんな草なのか知らなかったわね」
 「うん、リィン見たことないよ」
 「いいリィン、ここに広がっている草はね。全部薬草なの」
 「薬草、ここに生えてるの全部そうなの?」
 「ええ、全部薬草よ」
 えっ!? ここに生えてる草が全部薬草って、えぇ〜・・・・・・。
 「リィン、そこまで頼んでないよ。でも薬草がいっぱいあるのは便利だから嬉しい」
 「そうですね。有難いとは言えば有難いけれども、ある意味問題がありますね」
 「そうなの?」
 薬草がこんなにあるのなら摘んで錬金術の材料にするだけじゃなく、どこかの村や街に持ち込んで売ることも出来るから、いいんじゃないのかな?
 「リィン様がなにを考えてるかはわかりませんが、薬草って見つけようと思って探してもすぐに見つかる物じゃないんですよ」
 「そうなのセラ?」
 「はい、私も薬草探しをしたことがありますが半日で15本ぐらいを見つけるのがやっとでした」
 「だからこんなに薬草が生えてると色々と問題が出ると思いますよ」
 問題か・・・・・・悪い人がここを狙って占領しようとして来たりとかかな?
 「うーん・・・・・・まぁここで悪いことをしようとしたら強制的に結界の外に追い出されるようになってるわ。だから結界の外に出なければ大丈夫よ」
 「しかし」
 「それに大抵のことは上位精霊であるアナタがここに居れば、どうと言うことはないでしょう」
 「・・・・・・そこら辺の野良ドラゴンの一頭や二頭ぐらい、私の手にかかれば一撃で倒せますが」
 ドラゴンを一撃って、セラはどれだけ強いんだろう?
 「たとえ百人の盗賊がリィンちゃんを狙ってここに来たとしても、結界が絶対に守ってくれるわ」
 「・・・・・・うーん」
 セラがアゴに手を当ててなにかを考え始めた。
 「まぁ、結界に触れる前に私がその百人の盗賊を消し飛ばしますけどね・・・・・・リィンちゃんの為にね」
 お姉ちゃんがサラッととんでもないことを言ったよ!!?
 「そうですね。リィン様、私と共にしてないときは結界の外に出ないようにしてくださいね」
 「は、はぁーい」
 手を挙げて返事をすると、なぜかお姉ちゃんがギューっと抱きしめてくる。
 「なんでリィンの身体を抱きしめてくるの?」
 「リィンは良い子だからです。スリスリィ〜」
 ウゥ〜・・・・・・苦しい。て言うか、もう歩けそうだから下ろして欲しい。
 「さて、いつまでも玄関にいても仕方ないので畑に行きましょうか。すぐそこなんですけどね」
 ロッジの階段を降りて左を向くだけで着く。
 「ちっちゃい畑だね!」
 だってウネが二本しかない上に距離も短い。
 「もっと大きくしたいのであれば拡張すれば良いのですよ。それに錬金術で使う素材を栽培するだけなので、これぐらいで充分だと思いますよ」
 「錬金術で必要な素材を栽培するだけ? この畑で野菜とか栽培しなくていいの?」
 「種を買えば畑で栽培出来ますよ。でもタブレットのショッピングの方で野菜を買うことが出来るので、そんなに大きい畑は要らないと思いますよ」
 「へぇ〜、あのタブレットでそんなことも出来るんだ」
 「はい、出来ちゃうんです。あ! せっかくなので栽培の練習の為にこれを埋めてみましょう!」
 お姉ちゃんの手のひらを上に向けながら見せると、ポンッと言う音がするのと同時に小さな煙りが出ると黒い粒が乗っかっていた。
 「はい、この種が解毒草ですよ」
 「解毒草? なんかゲームに出て来そうな名前だね」
 「まぁ解毒草と言っても錬金術の材料になるだけで毒性ある草なのです。だからそのまま食べてはいけませんよ。食べたらお腹を壊しますからね。絶対にやらないでくださいねリィンちゃん!」
 そんなに言い聞かせなくても良いじゃん! リィンだって精神は大人なんだよ。だから一言だけ言えばわかるよ。
 「う、うん・・・・・・わかった」
 「そのまま食べないってお姉ちゃんと約束出来る?」
 「うん、約束する」
 「本当に? 本当に解毒草をそのまま食べるなんてことしない?」
 「うん、食べたりしないから安心して」
 「もし間違えて解毒草を食べちゃったら私に言ってね。すぐに治してあげるからね」
 「う、うん・・・・・・わかったよ。お姉ちゃん」
 心配なのはわかるけど、心配しすぎだよお姉ちゃん! 過保護なの? セラがお姉ちゃんの顔を見ながら引いてるよ。
 「それよりもお姉ちゃん、その種を埋めようよ」
 「そうですね。リィンちゃん一人で立つこと出来ますか?」
 「うん、大丈夫そう」
 さっきよりも足に力が入る感覚がある。一人で立てそうになかったら、お姉ちゃんの手を貸して貰おう。
 「それじゃあ下ろしますよ」
 お姉ちゃんは地面に膝を着くと、抱きかかえているリィンを足が着くぐらいまで下げる。
 「よいしょっと」
 お姉ちゃんの手を握りながら立つと、足を回したり軽く屈伸したりしてちゃんと歩ける状態なのか確認する。
 「うん、大丈夫! 歩ける」
 「歩けるようになって良かったです。でももうちょっとだけ、リィンちゃんを抱っこしていたかったですねぇ」
 抱っこどころか抱きつくことなんて、いつでも出来るからそんな名残惜しそうにしなくてもいいと思う。
 「それよりも、はい解毒草の種」
 「ん!」
 お姉ちゃんの手から解毒草の種を受け取ってから種が変わった形をしているのに気づいたので指で摘んでよく見る。
 「この種四角い、サイコロみたい」
 「種の形ですぐに見分けられるようにしましたからね。ちなみに薬草の種の場合は丸い形をしてるんですよ」
 「へぇー」
 図鑑がお家にあるのなら見てみようかな?
 「種自体高価な上に、栽培自体が難しいのにリィン様に出来るんですか? 色んな薬草の栽培を成功させているエルフでさえ少量しか栽培が出来ないで困っていますのに」
 「フッフッフッ、なにを言ってるんですかセラフィスト。ここは私と妹たちで作り上げた土地です。なので薬草の栽培ぐらいヘッチャラなのですよ! ・・・・・・多分」
 多分ってなに? 多分って!!
 「それよりも種を土に埋めましょうかね。リィンちゃん」
 「・・・・・・うん」
 この種、ちゃんと育つよね?
 「大丈夫ですよリィンちゃん。私を信じてその種を埋めてください!」
「・・・・・・うん、わかった」
 お姉ちゃんが言うんだから信じて種を埋めてみよう。ってあれ? なんでセラは引きつった顔をしてるの? ・・・・・・まぁいっか。
 
 ウネのてっぺんに人差し指を突っ込んで穴を等間隔に開けたら、そこに種を一粒づつ入れていき、最後に優しく土を被せる。
「リィン様、お上手ですね」
「うん、おじいちゃんから少し教わったからわかるの!」
おじいちゃんは趣味で農業をやってたから、遊びに行くたびにちょこちょこ教えてられたんだよねぇー・・・・・・多分手伝わせるために。
「それじゃあお水を掛けてあげますね。ジョウロで注ぐのはめんどくさいので魔法で、えいっ!」
 お姉ちゃんのそう掛け声を言うと、ウネの上に水が出来て落ちて土に浸透していく。
 「今回は私が魔法でやりましたが、次からはリィンちゃんが水をあげてくださいね」
 「うん!」
 作物を育てて収穫する。スローライフの醍醐味! だからリィン、ワクワクしてきた!!
 「これを2週間ぐらい続けていれば・・・・・・え?」
 お姉ちゃんはリィンに向けていた目線をウネの方に向けて、なぜか固まっている。
 「どうしたの、お姉ちゃん?」
 「スティア様、さすがにこれは・・・・・・やり過ぎな気がしますよ」
 「やり過ぎ? セラ、なにが?」
 「リィン様、後ろを振り向いて畑をご覧になって見てください」
 セラにそう言われたので振り返って畑を見てみると、なんとそこにはギザギザした形の葉っぱがウネに生えていたのだ!
 「・・・・・・これ、雑草だよね?」
 「いいえ、これが解毒草ですよ。こんなに早く育ってしまうとは・・・・・・スティア様、一体どのような加護を掛けたのですか?」
 「私が聞きたいぐらいわよぉぉぉおおおおおおおおおお!? あの子たちを取っちめてやるわぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!?」
 その後もお姉ちゃんは声を張り上げて荒ぶり続けていたので、リィンはセラと一緒に解毒草を収穫しましたとさ。
 お姉ちゃんはドアノブに手を掛けるとトビラを開く。するとそこにはとても新鮮そうな青草が家の周りに広がっていて、奥には森が見える自然豊かな光景が広がっていた。
 「ッ!?」
 「うわぁー、いい景色! 空気も澄んでいるから気持ちいい!」
 「・・・・・・」
 「あ! ロッジの前に畑がある! あれさっき買った畑だよね? ・・・・・・お姉ちゃん?」
 「・・・・・・」
 あれ? 笑ったまま返事がない。しかも、すごく汗もかいてるし・・・・・・お姉ちゃん一体どうしたんだろう?
 「・・・・・・この光景はスティア様がリィン様の為に用意していたのですか?」
 「リーザとメディーラがやったのよ。全くあの子たちはぁ〜、どこをどうすればこうなるのよっ!」
 「お二方もスティア様のようにリィン様を思ってやったことだと思います」
 「違うと思うわ。多分あの二人は協力してお家作りをしている最中に口論になって、最終的に競い合いになったんでしょうね」
 「口論って・・・・・・・リーザ様とメディーラ様は仲が良かったのではなかったのですか?」
 「昔は・・・・・・そうだったわ」
 なんでセラが呆れてお姉ちゃんが怒ってるんだろう。なんかおかしいところでもあったのかな?
 「二人共どうしたの? なにかおかしいところがあったの?」
 「もしかしてリィン様はお気づきになられてないのですか?」
 「気づいてない?」
 う〜ん、なにかおかしな物でも置いてるの? でも畑以外は雑草らしき葉っぱと森しか見当たらないから・・・・・・うーん、なにがおかしいんだろう?
 「そう言えばリィンちゃんは薬草がどんな草なのか知らなかったわね」
 「うん、リィン見たことないよ」
 「いいリィン、ここに広がっている草はね。全部薬草なの」
 「薬草、ここに生えてるの全部そうなの?」
 「ええ、全部薬草よ」
 えっ!? ここに生えてる草が全部薬草って、えぇ〜・・・・・・。
 「リィン、そこまで頼んでないよ。でも薬草がいっぱいあるのは便利だから嬉しい」
 「そうですね。有難いとは言えば有難いけれども、ある意味問題がありますね」
 「そうなの?」
 薬草がこんなにあるのなら摘んで錬金術の材料にするだけじゃなく、どこかの村や街に持ち込んで売ることも出来るから、いいんじゃないのかな?
 「リィン様がなにを考えてるかはわかりませんが、薬草って見つけようと思って探してもすぐに見つかる物じゃないんですよ」
 「そうなのセラ?」
 「はい、私も薬草探しをしたことがありますが半日で15本ぐらいを見つけるのがやっとでした」
 「だからこんなに薬草が生えてると色々と問題が出ると思いますよ」
 問題か・・・・・・悪い人がここを狙って占領しようとして来たりとかかな?
 「うーん・・・・・・まぁここで悪いことをしようとしたら強制的に結界の外に追い出されるようになってるわ。だから結界の外に出なければ大丈夫よ」
 「しかし」
 「それに大抵のことは上位精霊であるアナタがここに居れば、どうと言うことはないでしょう」
 「・・・・・・そこら辺の野良ドラゴンの一頭や二頭ぐらい、私の手にかかれば一撃で倒せますが」
 ドラゴンを一撃って、セラはどれだけ強いんだろう?
 「たとえ百人の盗賊がリィンちゃんを狙ってここに来たとしても、結界が絶対に守ってくれるわ」
 「・・・・・・うーん」
 セラがアゴに手を当ててなにかを考え始めた。
 「まぁ、結界に触れる前に私がその百人の盗賊を消し飛ばしますけどね・・・・・・リィンちゃんの為にね」
 お姉ちゃんがサラッととんでもないことを言ったよ!!?
 「そうですね。リィン様、私と共にしてないときは結界の外に出ないようにしてくださいね」
 「は、はぁーい」
 手を挙げて返事をすると、なぜかお姉ちゃんがギューっと抱きしめてくる。
 「なんでリィンの身体を抱きしめてくるの?」
 「リィンは良い子だからです。スリスリィ〜」
 ウゥ〜・・・・・・苦しい。て言うか、もう歩けそうだから下ろして欲しい。
 「さて、いつまでも玄関にいても仕方ないので畑に行きましょうか。すぐそこなんですけどね」
 ロッジの階段を降りて左を向くだけで着く。
 「ちっちゃい畑だね!」
 だってウネが二本しかない上に距離も短い。
 「もっと大きくしたいのであれば拡張すれば良いのですよ。それに錬金術で使う素材を栽培するだけなので、これぐらいで充分だと思いますよ」
 「錬金術で必要な素材を栽培するだけ? この畑で野菜とか栽培しなくていいの?」
 「種を買えば畑で栽培出来ますよ。でもタブレットのショッピングの方で野菜を買うことが出来るので、そんなに大きい畑は要らないと思いますよ」
 「へぇ〜、あのタブレットでそんなことも出来るんだ」
 「はい、出来ちゃうんです。あ! せっかくなので栽培の練習の為にこれを埋めてみましょう!」
 お姉ちゃんの手のひらを上に向けながら見せると、ポンッと言う音がするのと同時に小さな煙りが出ると黒い粒が乗っかっていた。
 「はい、この種が解毒草ですよ」
 「解毒草? なんかゲームに出て来そうな名前だね」
 「まぁ解毒草と言っても錬金術の材料になるだけで毒性ある草なのです。だからそのまま食べてはいけませんよ。食べたらお腹を壊しますからね。絶対にやらないでくださいねリィンちゃん!」
 そんなに言い聞かせなくても良いじゃん! リィンだって精神は大人なんだよ。だから一言だけ言えばわかるよ。
 「う、うん・・・・・・わかった」
 「そのまま食べないってお姉ちゃんと約束出来る?」
 「うん、約束する」
 「本当に? 本当に解毒草をそのまま食べるなんてことしない?」
 「うん、食べたりしないから安心して」
 「もし間違えて解毒草を食べちゃったら私に言ってね。すぐに治してあげるからね」
 「う、うん・・・・・・わかったよ。お姉ちゃん」
 心配なのはわかるけど、心配しすぎだよお姉ちゃん! 過保護なの? セラがお姉ちゃんの顔を見ながら引いてるよ。
 「それよりもお姉ちゃん、その種を埋めようよ」
 「そうですね。リィンちゃん一人で立つこと出来ますか?」
 「うん、大丈夫そう」
 さっきよりも足に力が入る感覚がある。一人で立てそうになかったら、お姉ちゃんの手を貸して貰おう。
 「それじゃあ下ろしますよ」
 お姉ちゃんは地面に膝を着くと、抱きかかえているリィンを足が着くぐらいまで下げる。
 「よいしょっと」
 お姉ちゃんの手を握りながら立つと、足を回したり軽く屈伸したりしてちゃんと歩ける状態なのか確認する。
 「うん、大丈夫! 歩ける」
 「歩けるようになって良かったです。でももうちょっとだけ、リィンちゃんを抱っこしていたかったですねぇ」
 抱っこどころか抱きつくことなんて、いつでも出来るからそんな名残惜しそうにしなくてもいいと思う。
 「それよりも、はい解毒草の種」
 「ん!」
 お姉ちゃんの手から解毒草の種を受け取ってから種が変わった形をしているのに気づいたので指で摘んでよく見る。
 「この種四角い、サイコロみたい」
 「種の形ですぐに見分けられるようにしましたからね。ちなみに薬草の種の場合は丸い形をしてるんですよ」
 「へぇー」
 図鑑がお家にあるのなら見てみようかな?
 「種自体高価な上に、栽培自体が難しいのにリィン様に出来るんですか? 色んな薬草の栽培を成功させているエルフでさえ少量しか栽培が出来ないで困っていますのに」
 「フッフッフッ、なにを言ってるんですかセラフィスト。ここは私と妹たちで作り上げた土地です。なので薬草の栽培ぐらいヘッチャラなのですよ! ・・・・・・多分」
 多分ってなに? 多分って!!
 「それよりも種を土に埋めましょうかね。リィンちゃん」
 「・・・・・・うん」
 この種、ちゃんと育つよね?
 「大丈夫ですよリィンちゃん。私を信じてその種を埋めてください!」
「・・・・・・うん、わかった」
 お姉ちゃんが言うんだから信じて種を埋めてみよう。ってあれ? なんでセラは引きつった顔をしてるの? ・・・・・・まぁいっか。
 
 ウネのてっぺんに人差し指を突っ込んで穴を等間隔に開けたら、そこに種を一粒づつ入れていき、最後に優しく土を被せる。
「リィン様、お上手ですね」
「うん、おじいちゃんから少し教わったからわかるの!」
おじいちゃんは趣味で農業をやってたから、遊びに行くたびにちょこちょこ教えてられたんだよねぇー・・・・・・多分手伝わせるために。
「それじゃあお水を掛けてあげますね。ジョウロで注ぐのはめんどくさいので魔法で、えいっ!」
 お姉ちゃんのそう掛け声を言うと、ウネの上に水が出来て落ちて土に浸透していく。
 「今回は私が魔法でやりましたが、次からはリィンちゃんが水をあげてくださいね」
 「うん!」
 作物を育てて収穫する。スローライフの醍醐味! だからリィン、ワクワクしてきた!!
 「これを2週間ぐらい続けていれば・・・・・・え?」
 お姉ちゃんはリィンに向けていた目線をウネの方に向けて、なぜか固まっている。
 「どうしたの、お姉ちゃん?」
 「スティア様、さすがにこれは・・・・・・やり過ぎな気がしますよ」
 「やり過ぎ? セラ、なにが?」
 「リィン様、後ろを振り向いて畑をご覧になって見てください」
 セラにそう言われたので振り返って畑を見てみると、なんとそこにはギザギザした形の葉っぱがウネに生えていたのだ!
 「・・・・・・これ、雑草だよね?」
 「いいえ、これが解毒草ですよ。こんなに早く育ってしまうとは・・・・・・スティア様、一体どのような加護を掛けたのですか?」
 「私が聞きたいぐらいわよぉぉぉおおおおおおおおおお!? あの子たちを取っちめてやるわぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!?」
 その後もお姉ちゃんは声を張り上げて荒ぶり続けていたので、リィンはセラと一緒に解毒草を収穫しましたとさ。
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