高校を退学させられた後、異世界へ留学することになりました。

青空鰹

王宮へ向かう洸夜達。

 そんなこんなで、全員引き連れて王宮へ向かうことになったが・・・・・・。

 「本当にいいのですか? 馬車をお借りしても」

 「ええ。構いませんよ。むしろ歩いている方が」

 マーガレットさんが会話を聞いていたらしく、どうせ行くのなら、馬車の方がいい。ってことで貸してくれることになった。

 「すみません。わざわざ貸して頂いて」

 「いえいえ、気にしないで下さいコウヤさん。我々も帝国の為を考えてやっていることなので、これぐらいのことは当然ですよ」

 「そうですか」

 なんか、そう言っている割には、お礼を期待して目で見つめられている気がする。

 「コウヤ、早く乗ろうよ」

 「あ、ああ・・・・・・そうだな」

 お礼をどうしようか?

 そんなことを思いながら、馬車へと乗り込んだ。

 「セリア、ルノア。コウヤさんとイレイラ王女様のことを、頼みましたよ」

 「はい、お母様!」

 「任せて下さい!」

  俺からしみたら、ルノアが1番頼りない気がするんだが・・・・・・言わない方がよさそうだな。

 「ムゥ〜・・・・・」

 「落ち着いて下さい。アンリネット様」

 アンリネットは別の馬車。っていうか、自分が乗っていた馬車にイレイラ王女様と共に乗っている。

 「そんな顔をするな、アンリネット。もしかして、私と共に乗るのは嫌だったか?」

 「・・・・・・嫌」

 その言葉を聞いたカーシャは、慌てたようすを見せていた。

 「お嬢様! イレイラ王女様に失礼なことをっ!!」

 「だって、コウヤと仲がいいんだもん」

 「だからって、声に出していいことと、悪いことがありますよ!」

 「・・・・・・いや、いい。アンリネットが言ってることが正しい。私自身も、彼のことが気になっているからな」

 その言葉にカーシャは驚いたようすになる。

 「でも、キミを含めて私の前には強敵が多いからな」

 彼女の言葉に、アンリネットは目を見開いた。

 「強敵・・・・・・私が?」

 「ああ。でも、私からしてみれば最初に乗り越えられそうなのは相手は、アンリネット。キミだと思っている。
 もしくは、私の方が上かもしれない」

 「私が、遅れを取っている?」

 イレイラ王女様の言葉に、アンリネットは眉間に皺を寄せた。

 「そうだ。学校に来ていなかったときは、彼と過ごすことが多かったからね。彼と一緒に遊んだりしていたよ」

 「コウヤと、一緒に過ごしてた?」

 「ああ、セリアと共に彼にもお世話になったからな。それに、彼と共に眠ったりしていた」

 「「ッ!?」」

 イレイラ王女の言葉に、2人は驚いたようすを見せていた。

 「そのようすだと、コウヤくんと共に寝たことがなさそうだね」

 「そ、そんなことない! コウヤと手を繋いで歩いたもん!」

 「それぐらい、私もやっている。その他に、何かコウヤくんと何かしたか?」

 「それはぁ〜・・・・・・」

 何か思い悩んだようすを見せるアンリネットに対して、カーシャさんが話し掛ける。

 「アンリネット様には立場というものがあります。なので、気軽に会うことが出来ないのです」

 「そうか。それなら仕方ないな」

 イレイラ王女はそう言うと、勝ち誇った顔で外の景色を見つめていて、その姿を見ていたアンリネットは、少し不機嫌なようすになる。

 「・・・・・・カーシャ。コウヤの部屋に住む」

 「ダメですよ。アンリネット様」

 コウヤ様のお家に住むとなると、アンリネット様には耐えられない筈。 とカーシャは思うのと同時に、先を越された! と言う焦りも感じていた。

 「・・・・・・ん?」

 急に馬車が止まったので、イレイラ達は不思議に思う。

 「何かあったのですか?」

 「カーシャ様! 前に兵士達がいて、馬車を停めるように言われました! それで、コウヤ様達が対応しております」

 「コウヤ様達が?」

 不審に思いながらも、窓からようすを伺う。

 「すみませんが、そこを退いて頂けませんか?」

 「だから、何処に向かおうとしているのか。説明をしてくれ。と言っているんだ」

 「王宮に呼ばれたので、向かっているんです。なのでそこを退いて下さい」

 「王宮に何の用だ?」

 何の用だ。って、用は言ったじゃねぇか!

 「王様に呼ばれたから、内容は知りません!」

 「そうよ! て言うか、何の権限で馬車を停めてるのよ!」

 「怪しいから停めているんだ! それにイレイラ第3王女様が失踪しているから、調べている最中だからな!」

 何て言い掛かりなんだよ。

 「アナタ達、何をしているのですか!」

 兵士達はカーシャさんの声に反応して、そちらに顔を向ける。

 「メイドが何の用だ?」

 「メイド? 私にそんな言葉を使っていいと、思っているのですか?」

 「そうだ。城に帰る途中だ。邪魔をするんじゃない」

 「その声は! イレイラ様ぁ!!」

 あ、馬鹿! 声を出すなよっ!!

 俺の気持ちを無視して、彼女は馬車を降りて来た。

 「これは一体どういうことだ?」

 「どういうことだ。と言いますと?」

 「城へ帰ろうとしているのに停めるとは、失礼じゃないか?」

 「は、はい! おっしゃる通りです! すみません!!」

 兵士はそう言うと頭を下げた。

 「今回のことはお父様の方に伝えておく。反省をしてくれ」

 「はい・・・・・・わかりました。」

 「ならばよろしい。行こう、みんな」

 イレイラ王女様が身体を翻した瞬間、頭を下げていた兵士が剣に手を掛けて顔を上げた。

 危ねぇ!

 俺は反射的に兵士とイレイラ王女様の間に入って、結晶化で作った盾で剣撃を防ぐ。

 「なっ!?」

 イレイラ王女様は驚いたようすを見せ、俺に剣を受け止められた兵士は悔しそうな顔を見せる。

 「チッ!?」

 「何が チッ!? だ! 初めっからその気だったてのが、バレバレだっつうの!!」

 そう、俺達は最初馬車を停めれた時点で、おかしいと感じていた。それで持って警戒しながら話をすれば、話にならないことばかりを言って来るので、イレイラ王女様がこの馬車にいたら襲うと考えていた。

 「大方、アンタらはイレイラ王女様が気に入らないから、こんなことをしたんだろ。それで持って、居たら襲って死んだ理由を俺達のせいにすればいいって腹だろ?」

 「クソがぁっ! ガフッ!?」

 俺と押し合っていた兵士は、リタの水魔法で壁まで吹き飛ばされた。

 「クソッ!? 卑怯なヤツらめっ!!」

 「不意打ちで、王女様を殺そうとしたヤツらのセリフじゃねぇよ!」

 そう言うと、盾を消して頭に蹴りを入れて、ノックダウンをさせた。

 「何じゃこりゃぁ!」

 「水に阻まれて進めない!」

 どうやらリタが水魔法で壁を作り、こっちに来れないようにしていた。

 「ナイスだリタ!」

 「私もやるでしょ! それよりも、どうするの?」

 「どうするも何も、この場から逃げるしかないだろう! ついでに、そこに転がっているのを証拠として持って行く!」

 結晶化を使い、手早く拘束器具を作って気絶している兵士に身に付ける。

 「よし! みんな馬車に乗り込め! 撤収するぞっ!!」

 「・・・・・・その必要はありません。私が始末をつけますから」

 「え? カーシャさん?」

 カーシャさんが降りて来て、水の壁。と言うよりも障壁に歩み寄って行く。

 「リタ様、ここを開いて下さい」

 「え? 4人ぐらいいて、危ないよ」

 「4人ぐらいでしたら対応出来るので、ご心配は要りません」

 「それに、他にも仲間がいるかもしれないし・・・・・・」

 「彼ら以外は居ません。それに、私もあの態度に勘が触ったので、少々彼らにお灸を据えたいと思っておりますから」

 俺を含めた全員が、カーシャさんの身体から放たれる異様な雰囲気に、怖気付いてしまった。

 ここは、言う通りにしていた方が正解かもしれない。

 「わかりました。危なくなったら、介入しますよ」

 「はい。いつでも構いませんよ」

 ニッコリとした顔でスカートの中から2本の短剣を出した瞬間、背筋が凍る思いをしてしまった。

 「そ、それじゃあ。開くよ」

 リタがそう言って障壁を解除した瞬間、カーシャさんが敵に向かって駆け出した。

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