高校を退学させられた後、異世界へ留学することになりました。

青空鰹

第34話 真吾再び!

 とにもかくにも麻雀の後、素直に帰って行った。しかし、唯一楽しめなかったゼウス様は 次こそは勝つからのぉ〜!! と捨て台詞を残したが本当に大丈夫だろうか?


 「今日のお夕飯は、昨日の残り物と餃子でぇ〜す! 今から準備するから待っててねぇ〜!!」


 「『「はぁ〜い!」』」


 父さんとリタはリビングに置いてあるテレビを観て、俺は椅子に座ってライトノベルの読んで待っていた。


 『あ、そうだ洸夜くん』


 「ん?」


 『今日ね、警察の方から連絡があってね。旧天坐学園の元校長は海外に逃亡したかもしれない。って連絡が来たんだよ』


 「今更? こっちはもう把握しているのに」


 『仕方ないよ。警察だって全てを把握している訳じゃないんだから』


 そうだよな。足取り調査をして、その掴んだ情報が本当かどうか確認のしないといけないのだから、こんなに遅くなってもおかしくはないか。


 「中国に逃げたのは把握しているが、今頃どうしているんだろうな?」


 『さぁ? 大金を持っていることは確かだから、誰かに狙われているかもしれないよ』


 「まぁ、中国マフィアの方はハゲ校長が大金を持っているのを知ってるからな」


 「あ、そうそう! 校長の息子、無乃くんの最近について話を聞けたよ!」


 あの問題児の?


 「教えて、ねぇ早く教えて!」


 「う〜んとねぇ。離婚した母親が面会しに行った時には、昔の見る影もなくヤツれていたって言ってたらしいの」


 少年院の中でコッテリ絞られたんだろうなぁ〜。


 「それで母親に、もうこんなところを出たいって言ったけど、アナタが犯した罪はそれ程重いものなのよ。そこで反省しなさい。って言って去ったらしいの」


 「少年院から出そうとしなかったのか?」


 駄爆と別れた母親は厳しい人なのか?


 「駄爆さんの元奥さんは無乃くんが小学生5年生のときに離婚したみたいなの。その際に息子の親権を破棄と親子の縁を切ったらしいの」


 「それ程酷かったってことなの?」


 「うん、小学生の頃から手が付けられなかったらしいの。それに亡くなった祖父が溺愛していたらしくて、注意したら自分が怒られるのがパターンらしくて」


 『それで もうこんな家と付き合ってられない。 って思ってさっき言っていた離婚をしたんだね』


 「そうみたいよ。親子の縁を切るのはその祖父の提案で、すんなり受け入れたみたいなの」


 「うわぁ〜、酷いおじいちゃんだねぇ〜!」


 普通ならリタの言う通りだけど、その母親自身も無乃の限界を感じていたんだろうな。


 「その母親は離婚して2年後に再婚して、今は幸せな家庭を築いているみたいなの」


 『父親と祖父がしっかりしていれば、彼は少年院へ行かずに済んだのかもしれないね』


 父さんの言う通りかも知れないな。


 「ハァ〜・・・・・母親はとっくの昔に息子と縁を切って他人になっていて、無蔵は息子を捨てて海外逃亡。唯一救いである祖父はこの世に居ない。無乃はもう自分の力で進むしかなさそうだな」


 「少年院ってところから出ても、ロクなことをしない気がするよ」


 その前にロクな仕事に在り付ける気がしないんだけどなぁ。


 「あっ!? そういえば中古家具屋の話なんだけど、セリアを連れて行っていいかな?」


 「えっ!? セリアちゃんを中古家具屋に連れて行くの? どうして?」


 「どうして? って理由は簡単だ。向こうの世界の人から見て、違和感のない家具を買った方がいいと思ってさ」


 『それで向こうの世界の住人の、セリアさんに品定めして貰おうと考えているんだね』


 「そういうこと。一応本人には確認を取ったから安心して欲しい」


 俺と一緒に行きたいって言っていたからなぁ〜。


 『そうなの・・・・・・洸夜くん』


 「ん?」


 『セリアさんのことをどう思っているの?』


 「どうって・・・・・・友達」


 『そうなんだぁ〜』


 「どうしたんだ、急に?」


 『いや、何でもないから気にしないで』


 父さんはそう言うとテレビに顔を向けるが、リタはジト目を向けて来る。


 「どうしたんだ、リタ?」


 「別に、何でもないよ」


 そう言うとテレビに顔を向けた。


 何なんだ一体?


 「みんな、ご飯出来たよぉ〜! 洸夜、運ぶの手伝ってぇ!」


 「わかった」


 そう返事をしてから焼きたての餃子と冷蔵庫に入っていた食べ物を運び、家族と共に食べたのだった。


 「「「ご馳走様でした!」」」


 「お粗末様」


 「あ、なぁ父さん」


 「・・・・・・?」


 今はメガホンを持っていないので、何? と言いたそうな顔でこっちを見つめて来る。


 「天坐学園のリニューアル計画は何処まで進んでるんだ?」


 「っ!」


 父さんは自分の顔の前に親指と人差し指を出した。この行動の意味は、ちょっとしか進んでないと俺に伝えたいんだ。


 「そんなに話しが進んでないんだ」


 俺がそう言うと頷いた。


 まぁリニューアル計画を始めて間もないから、ちょっとしか進んでないのは当たり前か。


 「ん? えっと何々? 色々と、意見が対立し合っているからぁ・・・・・・計画、目処。計画の目処が立たない」


 父さんが得意な手話で説明して来たのだ。


 「大変だなぁ〜」


 「同じITでもそれぞれの部門に意見が別れちゃってね。困っているみたいなの」


 「ゲームみたいなプログラミングと、税理士が使うようなエクセルみたいなのを使うのとか?」


 俺がそう言うと、父さんは頷いた。


 「それは大変だなぁ〜」


 どっちの方向に力を入れて行くのかで、学校の今後が別れてしまうからなぁ〜。


 「それより洸夜、学校から宿題とか出されなかったの?」


 「宿題は出されていないから大丈夫。ちょっと鍛えに行くけど、いいか?」


 「いいよ!」


 「んじゃ、ジャージに着替える」


 そう言ってから自室へと行き、ジャージに着替えて外へと出ると準備運動を始める。


 ・・・・・・さて、準備体操も終わったから、走り込みを始めますか!


 いつものコースを走り出し、河川敷にやって来ると武術の鍛錬を始める。すると見覚えのある姿が俺の方にやって来た。


 「相変わらず、鍛えてるね」


 「ん? 真吾。どうしてここにいるんだ?」


 「洸夜に話があってここに来たんだ」


 「俺に? 何の話だ?」


 「駄爆親子についての話だ」


 「ああ〜・・・・・・それなら父さんと母さんに聞いたぞ」


 「そう? なら、あの元校長が中国に逃げたのは知っているね?」


 うん、もう知ってる。と言いたのをグッと堪える。


 「海外に逃げたのは聞いていたが、まさか中国に逃げていたとはなぁ〜。って、ん?」


 防犯カメラの動画を静止させてプリントアウトした物を俺に差し出して来た。


 「左したのここに、駄爆が映っているだろう」


 「カバンを大事に抱えてるな」


 てかこの画像を何処から手に入れたんだよ、お前はっ!?


 「しかもこの防犯カメラが設置してある場所は、香港より西側にある田舎町なんだ」


 「香港近くじゃなくて?」


 「都会よりもど田舎の方で潜伏していた方が、安心出来ると踏んだんだろう。今はそこで家を探しているんじゃないか?」


 「そうかぁ・・・・・・」


 あれ? でも待てよ。鞄の中に入っているのはウォンじゃなくて日本のお札だから、お金を使おうにも使えないんじゃないのか?


 「ん? どうしたんだい、洸夜」


 「あ、いや・・・・・・家を見つけるの大変そうだなぁ〜。って思ってな」


 「そうか、確かに家を見付けるのは大変そうだな」


 よかった。何とか誤魔化せた。


 「それともう1つ、お前に知らせたいことがある」


 「何を知らせたいんだ?」


 いつになく真剣な表情を向けているから、きっと重要な話なのだろう。


 「ニュースではまだ取り上げられていないが、2時間前に無乃が少年院から脱走した」


 「えっ!?」


 少年院から脱走しただって!?


 「どういうことだよ?」


 「元々無乃は根性がない人間。それに自由がない少年院での生活に嫌気が刺して、脱走してしまったみたいだよ」


 「確か、少年院って脱走が難しいんじゃなかったか?」


 「ああ、うん。でも脱走に成功したんだ・・・・・・洸夜」


 「ん?」


 「彼は警察に捕まってからは自分の父親である駄爆と、キミ達家族のことを恨んでいるんだ」


 「俺達家族のことを恨んでいるだって?」


 アイツとは関わりがないから、恨まれる覚えがない。


 「自業自得とは言え、キミの一言で今までの悪事が明るみになったからね。母親が訪ねてからは、物騒な言葉をぶつくさと言っていたらしいんだ」


 そのことを精神が病んでるって言うんじゃないのか?


 「今も何処かにいる筈だから気を付けるんだよ」


 そう言うと、手を振って歩き始めた。


 「おい、何処に行くつもりなんだ?」


 「無乃の足取りを調べに戻るよ。何かわかったら連絡するから」


 足取りって、お前は警察かよ!?


 「ああ、ありがとう。真吾!」


 「どういたしまして!」


 歩く真吾の背中を見つめ続けるのであった。

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