高校を退学させられた後、異世界へ留学することになりました。

青空鰹

第13話 学園に向かいましょう!

 セリアさんと水族館へ行った翌日の朝。いよいよ今日が学園の始業式だ。なのでアニス学園長から渡された制服に身を包んでいる。


 「コウヤ、準備の方は出来てるの?」


 「ああ、バッチリ。昨日の夜に全部チェックしたからな」


 そう言った後にコーヒーを飲み干す。


 「ところで朝怒ってように見えたけど、何かあったのか?」


 「聞いてよコウヤァ! 私の家に王国の騎士来てね、どうしても復帰して欲しいって言うのよ!」


 「また来たのか?」


 「懲りずに来るし、どうしてって聞いても お願いだぁ〜! の一点張りだから頭に来て騎士達を置いてこっちに来たのよぉ!」


 まぁリタが言うこともわかる。理由を何度も尋ねても答えないんじゃ、こういう反応をされてもおかしくはないよな。


 「明確な理由も言えないヤツらに従う必要はないな」


 「コウヤもそう思う?」


 「ああ、困ったときは何時でもここに来いよ。庇ってやるから」


 そう言うとリタはとても嬉しそうな顔で俺を見つめて来た。


 「さてと、食事も済んだことだし、そろそろ向こうの世界へと行こうか?」


 「さんせぇ〜い!」


 使ったお皿とコップは水に浸けた後に、戸締りのチェックをしてから靴を持って自分の部屋へと向かう。


 「コウヤ、学校楽しみだね!」


 「ああ、そうだな」


 そしていつものように【転移】を唱えて学園へと向かう。


 「おはようコウヤくん」


 「おはようございます。アニス学園長」


 「おはよぉ!」


 何か知らないけど、アニス学園長の期限が良さそうだ。


 「昨日のスイゾクカンってところはどうだったんだい?」


 「昨日ですか? リタもセリアも楽しんでいましたよ」


 「セリアもねぇ〜・・・・・・」


 アニス学園長は興味深そうに俺の顔を見つめて来る。


 「何か気になることでもあったんですか?」


 「いいや、ない。それよりも正門の方にお前の入る教室が張り出されているから、確認をしに行って来い」


 「わかりました。それじゃあ失礼しました!」


 「また会おう!」


 学園長室から出て校舎に向かって廊下を歩いて行く途中でスマホを取り出す。


 「はい、リタ。これ預かってくれ」


 「あ、了解!」


 スマホを受け取ったリタは、一回消えてからすぐに戻って来た。


 「ただいまぁ〜」


 「お帰り。騎士達はどうだった?」


 「うん、いなかったから大丈夫」


 まぁその騎士妖精達はリタが俺のところに転移して来た時点で諦めたんだと思える。


 「それよりも、早く校門の方に行きましょう!」


 「ああ、そうだな!」


 リタにそう返事をして、校門へと向かうのであった。


 「おっ! あれがアニス学園長が言っていたクラス分けの表か?」


 「きっとそうだよ!」


 俺とリタは大きい看板に近づいてクラスを確認をするが、人が密集していて中々確認出来ない。そんな中、俺の頭上を飛んでいたリタが あっ!? と言う声を出した。


 「コウヤ、ここ違う!」


 「え? 何が違うんだ?」


 「ここは2年生のクラス表だよ!」


 「マジかぁ!?」


 やべぇ、人が密集していたから気がつかなかった。


 「じゃあ、1年生の方はどっちだ?」


 「えっとぉ〜。隣にある看板はクラブ勧誘で違うし、向こうの方は3年生だから違うし・・・・・・何処だろう?」


 リタが慌てたようすであっちこっち飛び回って探し回っているときだった。後ろからポンッと肩に手を置かれたのだ。


 「そこのキミ」


 「ん? はい」


 声がアニス学園長のように凛々しく瞳の色が赤。そして髪が青色の女性がそこにいて、周囲がざわつき始める。


 「キミは1年生?」


 「あ、はい!」


 「どうして2年生のクラス表にいるんだ?」


 「1年生のクラス表と間違えて、こっちに来てしまったんです。それに恥ずかしい話なのですが、1年生のクラス表の場所もわからなくて迷っています」


 俺がそう説明をしたところでリタが飛んで来て、女性に 本当だよ! 言う。


 「そう、1年生のクラス表ならテントの向こうの方側にある」


 テントの裏に隠れていたから、見えなかったのかぁ。てか、あのテントは何だ?


 「教えて下さって、ありがとうございます!」


 「それじゃあ、私はこの辺で」


 そう言って手を振りながら俺から離れて行った。


 「よかったぁ。親切な人がいてくれて」


 「それよりも、このざわつきは何?」


 うん、俺も気になっているが今はそれどころではない。


 「とにかく、時間も余裕がないから1年のクラス表を見に行こう」


 「そうだね!」


 リタと共にテントの向こう側にあるクラス表へ向かう。


 「コウヤ、今度は1年生のクラス表で間違いなさそうだよ!」


 「おお、そうか! それで、俺のクラスはリタから見えるか?」


 「ちょっと待ってて!」


 リタはそう言うと、看板まで飛んで近づき、しばらくすると俺のところまで戻って来た。


 「コウヤ、わかったよ!」


 「お、どのクラスだった?」


 「1−2組! セリアと同じクラスだよ!」


 「そうか、セリアと同じか」


 恐らくアニス学園長の図らいで、俺とセリアを同じクラスにしたんだろう。


 「コウヤくん! おはよう!」


 「セリア、おはよう」


 「おはよぉ! セリア、コウヤと同じクラスになの、もう知ってる?」


 「うん!」


 セリアはとても嬉しそうな顔でリタに答えた。


 「ふぅ〜ん、彼がセリアの思い人なのねぇ〜」


 「ん?」


 セリアの後ろから赤い髪を持った気の強そうな女の子がヒョッコリと顔を覗かせた。


 「ルノアちゃん!」


 「アタシの名前は ルノア・ランカスタール ランカスタール男爵家の長女でセリアの幼馴染みよ」


 男爵。この女子もセリアと同じ貴族か。しかもセリアの幼馴染みなのか。


 「ご丁寧にどうもありがとう。俺の名前は 海山 洸夜 。一応説明するけど名字と名前が逆だから、名字が海山で名前が洸夜だ。よろしく」


 「リタだよ、よろしくね!」


 リタの姿を見た途端、驚いた顔をさせる。


 「アンタ妖精と契約しているの?」


 「ああ、リタと精霊契約を結んでいる」


 「へぇ〜・・・・・・珍しい。お偉いさん達でさえ、妖精や精霊と契約しようと必死になっているのに」


 ルノアさんはリタをまじまじと見つめている。


 「まぁそういう人達ほどロクなお願いをしないから、ほとんどの子は人間の貴族を避けているよ」


 「まぁ、昔の貴族は散々妖精に対して酷い仕打ちをしたからね。避けられても仕方がないかなぁ」


 この世界の闇に触れそうだから、今は聞かないでいよう。


 「ねぇ、そろそろ教室へ向かおうよ」


 「そうね。みんな教室が同じだから、一緒に行きましょうか」


 「あ、ルノアさんも教室同じだったのか」


 「何よ、何か文句あるの?」


 ちょっと喧嘩越しな彼女に対して、手を横に振って否定する。


 「イヤイヤイヤイヤ、今知り合ったばっかだし、それにルノアさんが同じ教室だって知らなかったからさ」


 「それもそうね。そ・れ・と!」


 左手を腰に当てて、ビシッと右手の指でさす。


 「私もセリアと同じ呼び捨てで構わないわよ!」


 「あ、そう。ならルノアって呼ぶけどいいか?」


 「もちろん、セリアと仲良しなら呼び捨てにして構わないわ」


 「ハァ〜〜〜。私にもルノアのような積極性があればぁ・・・・・・」


 セリアが何かを言っているのかわからないけど、まぁフレンドリーでよかったと思う。


 自分の教室へ向かっている最中に、昨日渡したお見上げを思い出したので聞いてみることする。


 「ところでセリア、昨日渡したお見上げどうだった?」


 そう聞いた途端、暗い表情をして俯いてしまった。


 「えっとぉ・・・・・・どうした?」


 もしかして俺のチョイスがマズかったか? でも、昨日姉さんと一緒に食べてみた感じでは美味かったぞ。味覚の違いか? いやでも、リタも美味しいって言って食べていたからなぁ〜。


 「実はね。コウヤくんが買ってくれたお見上げは、全部お父様に食べられちゃったの」


 「「「ああ〜・・・・・・」」」


 オルコシスさん、全部食べちゃったのかぁ。


 「だからあのとき、おじさんに 行って来ます。って言わなかったのね」


 「・・・・・・うん」


 とっても残念そうな顔をさせているセリアを見て、 ちょっと可愛そうだなぁ。 と思ってしまう。


 「まぁ、まぁ似たようなものならいつでも買えるから、機会があったら買って持って来る」


 「ホントォッ!?」


 「ああ、約束する」


 「コウヤくん、ありがとう!」


 セリアは目を輝かせて俺に抱き付いて来た。そのようすをリタとルノアは微笑ましい顔させながら、俺達を見つめていた。

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