高校を退学させられた後、異世界へ留学することになりました。

青空鰹

第3話 失言してしまったかもしれない

 「わーい! わーい! 楽しい〜!」


 緑色のゼリー状にした魔力の上で、リタが楽しそうに跳ねている。そう、これはゼリーを食べているときに思い付いたので作ったみたものでリタがとても気に入っているのだ。


 「これはこれで、面白いものを作ったね」


 「ああ。ただ実用性はなさそうだ」


 「そうですね。子供の遊具として使い道がなさそうですね」


 ちょいちょいちょい、ちょいと待て!


 「いやいや、他にも使い道がありますよ!」


 「どういう風にだ?」


 「高いところから落ちたときに、これを下に敷けば落下の衝撃を和らげることが出来ますよ!」


 「落下の衝撃を・・・・・・あっ!?」


 セリアの父親のマルコシスさんは気が付いたようすで、俺の両方に手を置いた。


 「そうだ! この魔法を習得すれば、グリフォンに落ちたときに展開すれば、軽傷で済むかもしれない!」


 「そういうことです。ただ高さに合わせてこれを分厚くしないといけないので、技量が必要だと思いますよ」


 「そうだな。そこがネックになりそうだな」


 そう言って考え込むマルコシスさん。


 「う〜む、そこら辺は我々の方で考えるか」


そう言うと自分でも作り、その上に乗っかった。


 「意外と気持ちいいものだな」


 「そうですか、彼方」


 「ああ、お前も乗ってみるといい」


 「ではお言葉に甘えて」


 マーガレットさんもマルコシスさんの隣に座った。


 「これは、とても気持ちいいですねぇ」


 「そうだろう?」


 「このままベッドとして使えそうな感じもします」


 ほぉ〜、ベッドかぁ。今度これで寝てみようか?


 「なるほど、野営のときにも使えるか。考えれば考えるほど戦闘外での使い道を見出せそうだな」


 マルコシスさんはそう言うと、俺を見つめて来た。


 「コウヤ殿」


 「あ、はい。何でしょうか?」


 「素晴らしい魔法を見せてくれて、礼を言う」


 「いいえ、俺も思い付きで作った魔法なので、礼を言われるほどではないです」


 そう言うと2人して首を横に振った。


 「いいえ、この国の魔法は戦闘か治療用か生活用かの3択しか使い道がないと考える人が多いです」


 「それに、堅くすることを考える研究者は星の数ほどいるが、このように柔らかくすることを考えて、どのように使うのかを思いつく者は、コウヤ以外いないだろう」


 「そうですかねぇ〜・・・・・・」


 ぶっちゃっけ、俺の世界の人なら思い付くと思う。それに応用した使い方も思い付きそうだ。


 「コウヤさんは謙虚ですね」


 「上には上がいる。だから常に思い上がるんじゃない。って言うのが師範の教えですから」


 それで何度頭に鉄拳を喰らったことか。


 「ねぇ、コウヤくん」


 「ん? どうしたんだ。セリアさん?」


 いつの間にかリタとアンリネットさんと共に俺が作ったトランポリン(仮)で遊んでいて、見えそうで見えないのが残念だ。


 「コウヤくんに格闘術を教えてくれた人って、どんな人なの?」


 「そうだなぁ〜」


 どんな人かと言うと、答えるのに困るな。


 「小柄なおじさんだけど、豪快な人かな。そんで結構強い」


 特に不意打ちがな。


 「へ〜、そうなんだぁ。ちょっと会ってみたいかも」


 「・・・・・・・・・・・・そう?」


 「今の長い間は何?」


 「出来れば気にしないで貰えると助かる」


 そう言って目を逸らした。


 「コウヤ殿」


 「ん? 何でしょうか?」


 「洸夜殿は何時セリアとけっk、ムグッ!?」


 言葉の途中でマーガレットさんが口を塞いだ。


 「コウヤさん、セリアのことをどう思いますか?」


 「え、ああ〜・・・・・・」


 俺は彼女の顔を見た後に、マーガレットさんの顔を見つめた。


 「頼りになる方だと思っています」


 「・・・・・・そうですか」


 あれ、マーガレットさんが微妙そうな顔をしているぞ。


 「それにセリアさんにお世話になっているお礼をしようと思っています」


 「まぁっ!? そうなのですかぁ?」


 「はい、実は明後日にセリアと共に水z」


 「エホンッ!? エホンッ!?」


 言葉の途中でリタがわざとらしく咳き込んだので、 ハッ!? と気が付いた。


 「詳しくはセリアさんから聞いて下さい」


 「わかりました、コウヤさん!」


 そう言うとオルコスさんと共にヒソヒソ話を始めた。


 「ミヤマ様が、お礼ですか?」


「え、まぁ。は、いっ!?」


 カーシャさんに後ろから話し掛けられたので返事をしながら振り向いたのたが、物凄い形相で俺を見つめていたので、思わず後退りしてしまった。


 俺、カーシャさんに対して何か悪いことをしたっけ?


 「・・・・・・まぁいいでしょう。オルコス家の方がアナタとの付き合いが長いのですから」


 「え、あ・・・・・・はぁ?」


 戸惑っている俺を無視してアンリネットさんの元へ行くと、何かを話している。


 「そんなことない」


 「ですがお嬢様。我々にお礼をしないと言うことはそういうことですよ」


 「そうなの?」


 「そういうことです」


その後アンリネットさんはトランポリン(仮)から降りて、俺のところにまでやって来ると手を差し出した。


 「お礼、ちょうだい」


 「ええ〜・・・・・・」


 いきなりそう言われても困る。


 「お嬢様、お礼は強請るものではありませんよ」


 「でも不公平」


 「いいえ、これが普通です。お嬢様はミヤマ様に甘えてばかりで、何もしていないじゃないですか」


 そう、カーシャさんの言う通り、アンリネットさんは俺の授業がある度に来てくれてはいるものの、ボーッとしているか遊んでいるかの2つだった。
 それに対してカーシャさんはセリアのようにちょこちょこアドバイスをくれるので、お礼を渡すのなら彼女の方だと思っている。


 「ムゥ〜・・・・・・」


 「ムゥ〜、ではありません。これが現実なのです」


 さっき怒っていた人が言うか!?


 「それはそうとミヤマ様」


「あ、はい何でしょうか?」


 「ミヤマ様は彼女にどんなお礼をするのですか?」


 正直に話さないと殺すぞ! って雰囲気でいるので、正直言ってカーシャさんが恐い。


 「それは、そのぉ〜・・・・・・」


 正直に水族館に行く。って伝えられないよなぁ〜。


 「2人でお出掛けをしようと思っております」


 「「ッ!?」」


 アンリネットさんとカーシャさんは、まるで雷に打たれたかのように身体を強張らせた。


 「アナタぁ〜〜〜っ!!?」


 「マーガレットぉぉぉおおおおおおおっ!!?」


 セリアさんのご両親はとても嬉しそうな顔で、お互いの身体を抱き締めあった。てか、さっきのヒソヒソ話で、セリアさんから聞いてなかったのか?


 「やるね、コウヤくん」


 「でしょでしょ! コウヤはやるときはやるんだからぁ!」


 アニス学園長は感心した顔でこっちを見つめていて、その隣でリタが自慢げな顔をしている。


 「なるほどぉ・・・・・・なるほどぉ〜。そういうことですね」


 カーシャさんは怒っているのか、身体を震わせていた。


 「あ、あのぉ、カーシャさん? 大丈夫ですか?」


 「ミヤマ様!」


 「は、はい!」


 今度は血走った目で目の前まで近づいて来たので、恐怖を感じた。


 「お出掛けする日は何時ごろですかっ?」


 「あ、明後日です」


 「明後日。そうですか」


 カーシャさんはそう言うと、俺から離れた。


 「セリア様とのお・出・掛・け・をッ! 楽しんで来て下さいね」


 「あ、はい」


 言葉にトゲを感じるのは気のせいだろうか?


 「おっと、そろそろ武術の方に移りたいな。コウヤくん、こっちに来てくれ!」


 「あ、はい!」


 そう返事をした後に、アニス学園長の元へと駆け寄る。


 「コウヤくん、先程キミの武器が届いたんだ。ほらこれ」


 アニス学園長がそう言って木箱を渡して来たので受け取る。


 「軽い!?」


 「その木箱には【軽量化】と【空間拡張】の魔法が付与されているからな。解いたらズッシリと重くなるぞ」


 「そうなんですか。箱を開けてみてもいいですか?」


 「もちろん、開けて中を見てみてもいいよ」


 アニス学園長の許可を貰ったので、箱をその場に置いてからフタを開けた。


 「おお、これは!」


 中には何と広いスペースがあり、その中に武器が置いてあったのだ。

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