高校を退学させられた後、異世界へ留学することになりました。
第28話 不穏な影
 「なるほど、コウヤくんはもしかしたら ノウキン? って教師が殺されている可能性があるって言いたいんだな?」
 「あの、俺の国では殺人を犯したら重い刑罰を受けるので、そこまではしないと思います。なので何処かに監禁していると考えています」
 あの校長は夢でもそう言っていたし。
 「そうか・・・・・・キミには関係のない話か」
 「でも酷いです。雇った人を裏切るなんて、私には想像できません」
 「こちらの裏社会でもあることさ。その男が金に目が眩んでなければ、そうならなかっただけの話でもある。
 それはそうと、明後日もいつも通りに来てくれ」
 「わかりました」
 まぁ、金曜日が休みになるのだから土曜に出るのは普通か。
 「リタ、帰ろうか。それじゃあどうも」
 「はぁ〜い! それじゃあまた明後日!」
 「じゃあね、リタちゃん」
 「ん、それじゃあ。気を付けるんだよ」
 目を瞑り、【転移】と唱えて自分の世界へと帰ると速攻で靴を脱ぐ。
 「ただ今!」
 「お帰り洸夜!」
 姉さんはそう言って俺の部屋に繋がるドアを開いて入って来た。
 「あれ、姉さん? 何でここにいるの?」
 「明日の件で洸夜に話をしておこうと思ってね。帰って来たのよ」
 「そうなんだ。で、話したいことって何?」
 「明日の取材を受ける時の注意点よ。ここで話すのも何だからリビングに来て」
 わかった。 と言うと玄関に靴を置いてからリビングへと向かったら、机を通して対面で椅子に座った。
 「取材を受けるの当たっての注意点は、ハッキリとした声で話すこと。聞かれたことに関して辿々しくてもいいから話すこと。それと最後に言えることは、わかっていると思うけど嘘は絶対に言わないことよ」
 「それだけ?」
 「ええ、それだけ。あ、後は本番になると緊張しちゃって何も言えなくなる人がいるから、リラックスすることも大事よ。それとこれ」
 姉さんはそう言うと机の上に紙を出した。
 「大筋で聞く質問内容を読んどいてね」
 そう言われたので渡された紙を手に取り、目を通していく。
 「ねぇねぇ、何て書いているの?」
 「え、ああ。退学と言われた日の当日の出来事と、今何をしているのか。今回の件についてどう思っているのか、当日話して欲しい。って書かれてる」
 「へぇ〜、そうなんだ。わかっていると思うけど、異世界のことは話しちゃダメだからね」
 「わかっているよ」
 そう言ってから紙をテーブルに置くと、姉さんの顔を見つめる。
 「俺からも、姉さんに話したいことがあるんだ」
 「ん? 何かしら?」
 「実は・・・・・・」
 姉さんにも夢のことを話したら、驚いた顔をさせていた。
 「何そのチート気味なスキルは!」
 「自分が見たいときに見れないから、チートとは呼べないんじゃないか?」
 事実バットで殴られる光景だって、見たくなかったし!
 「でもまぁ、今後は気を付けた方がよさそうね」
 「どうして?」
 「話を聞いていた限りだと、私達家族が狙われる可能性があるかもしれないわ。特に洸夜、アナタはね」
 「そんなわけないでしょ。いくら何でも・・・・・・ッ!?」
 ビシッと指をさされたので、ビックリしてしまった。
 「いい、私の見立てでは、そのハゲは金さえ払えば何でも出来るって思い込んでいるところがあると思うの。
 だから何かしらやって来ると思うの」
 「サスペンスドラマじゃないんだから・・・・・・」
 「現に雇っていた体育教師を殺っちゃったでしょ?」
 「いや、殺ってはないぞ! どっかに監禁しているだけ!」
 話だとその筈だ。
 「もしそうだとしても、他の人をヤバイ人達を雇ったんでしょ? ならその人達に何らかの命令を出していると思うの、例えばぁ・・・・・・アナタを誘拐することとか」
 「いや、結構警戒されているのに、そんなことしたら自分の首を絞めるようなもんじゃないの?」
 『いや、そうとは限らないかもよ』
 いつの間にか側にいた父さんがそう言うと俺の隣に座った。
 「どういうこと?」
 『多分相手は自分の手を汚したくないタイプだと思う。コウヤが見た夢だって彼は自分の手を下してないでしょ?』
 「まぁ確かに、あのハゲは納錦を捕まえるように命令していたけど、それとこれとは関係がないんじゃない?」
 『そうとも言えないかもしれない。ちょっと待ってて』
父さんはそう言うと、タンスの奥から伸縮式の警棒を取り出して渡して来た。
 『念の為に明日はこれを持って行きなさい』
 「これを持ってたら、流石に警察に捕まるんじゃない?」
 『・・・・・・そうだなぁ。だったらこれを持って行く?』
 今度はスタンガンを取り出して渡して来た。
 これなら隠し持っていれば問題ないかな? って!
 「これ家に隠し持ってたのかよ!」
 『うん、大好きなお母さんの護身用に買っておいたんだ。台所に催涙スプレーもあるけどいる?』
 「いいえ、遠慮しておきます」
 催涙スプレーまで完備してんのかよ。
 「アナタぁ〜! 大好きよぉ〜!!」
 『僕もだよ』
 そう言ってお互いを抱きしめ、愛し合う姿に砂糖を吐きそうになる!
 「ねぇ、コウヤ。私もチハル達の言うことに賛成。だから明日から警戒しよう」
 「・・・・・・わかったそうしよう」
 リタまでそう言うのなら、明日は警戒しながら向かおう。
 その日は家族全員で夕食を取り、そのまま就寝したのだった。
 「んん〜・・・・・・」
 昨日の夜にセットしておいたスマホのアラームを止めて上体を起こしてから欠伸をすると、リタが話し掛けて来た。
 「おはようコウヤ! 何か夢みたぁ?」
 「おはようリタ。今回は夢を見てない」
 そう、リタに話した通り、今回は夢を見なかった。
 「そうなんだ。ご飯も出来ているみたいだから、下に行こう!」
「着替えてから行くから、いつも通り先に行って」
 リタは ラジャー! と言うと、飛んで部屋を出て行ってしまった。てかラジャー! って何処で覚えたんだ?
 「まぁいいや。着替えよう」
 タンスから制服を取り出して着替えてから何気なくカーテンを開けたら、曲がり角で何者かがコッソリとこちらを見つめて来ているに気づいた。
 「ん?」
 不審に思い見つめていると向こうも俺が見つめているのに気づいたのか、そそくさと何処かへ行ってしまった。
 あれは何だったんだ?
 「洸夜、起きてるのぉ?」
 「起きてるよ、母さん!」
 まさか、ね。
 そう思いながらリビングへと向かい、母さんが用意してくれた朝食を取る。
 「今日はコウヤがテレビに出演する日! 頑張ってね!」
 「あの、母さん。俺はテレビには出演しないから」
 「そうなのっ!?」
 ショックを受けた顔をする母さんに対して、呆れながら説明を始める。
 「そうだよ。インタビューだけだから、よくてモザイクが掛かった映像しか映らないと思う」
 「じゃあじゃあ! 私の息子がテレビに出てたんですぅ! って自慢出来ないの?」
 「「『出来ないよ』」」
 そもそも自慢出来る内容じゃねぇし!
 「てか、リタは何処に行ったんだ?」
 「リタちゃん? そういえばお外が何か気になるから。って言って出て行ったわよ。姿を消せるなんて魔法ってスゴイわねぇ!」
 おいおいおい、そういう問題じゃねぇだろ!
 「リタ1人で行動させるのは流石に危ないだろ! カラスに捕まったり、猫に喰われる危険性が・・・・・・」
 「私だって実力者なんだから、そんなヘマをしないって! それに姿を消したら普通にスルーしてたよ!」
 気が付かないうちに帰って来たリタに頭を引っ叩かれた。
 「お帰りリタちゃん。お外はどうだったぁ?」
 「とても新鮮な感じだった! でも、このお家の近くで見張っている人がいたの」
 「見張っている人?」
 母さんがそう言って首を傾げていると、今度は姉さんが話し掛ける。
 「服装はどんな感じ?」
 「上着を着て、パンを齧ってジーッとこの家を見つめていたよ。顔が隠れてわからなかったけど、見るからに怪しかった!」
 もしかして、俺がさっき見た人か?
 『警察かな?』
 「だったらそんな格好をしないと思うわ。むしろ家に来て事情聴取するでしょ?」
 『じゃあ、やっぱり? 校長の・・・・・・』
 「その可能性があるわね」
 姉さんがそう言った瞬間、母さんの顔が青ざめる。
 「ど、どどど、どうしようっ! コウヤが殺されちゃう!!」
 俺を守ろうとしているのか、身体を抱きしめて来た。
 「落ち着いてお母さん。念の為に警察に連絡しておきましょう。ねぇリタ、その男はまだ外にいるの?」
 「いるよ」
「そう、警察官を呼ぶから、姿を隠しておいて頂戴」
 「わかった!」
 姉さんはリタの返事を聞いてからスマホで警察に連絡をするのであった。
 「あの、俺の国では殺人を犯したら重い刑罰を受けるので、そこまではしないと思います。なので何処かに監禁していると考えています」
 あの校長は夢でもそう言っていたし。
 「そうか・・・・・・キミには関係のない話か」
 「でも酷いです。雇った人を裏切るなんて、私には想像できません」
 「こちらの裏社会でもあることさ。その男が金に目が眩んでなければ、そうならなかっただけの話でもある。
 それはそうと、明後日もいつも通りに来てくれ」
 「わかりました」
 まぁ、金曜日が休みになるのだから土曜に出るのは普通か。
 「リタ、帰ろうか。それじゃあどうも」
 「はぁ〜い! それじゃあまた明後日!」
 「じゃあね、リタちゃん」
 「ん、それじゃあ。気を付けるんだよ」
 目を瞑り、【転移】と唱えて自分の世界へと帰ると速攻で靴を脱ぐ。
 「ただ今!」
 「お帰り洸夜!」
 姉さんはそう言って俺の部屋に繋がるドアを開いて入って来た。
 「あれ、姉さん? 何でここにいるの?」
 「明日の件で洸夜に話をしておこうと思ってね。帰って来たのよ」
 「そうなんだ。で、話したいことって何?」
 「明日の取材を受ける時の注意点よ。ここで話すのも何だからリビングに来て」
 わかった。 と言うと玄関に靴を置いてからリビングへと向かったら、机を通して対面で椅子に座った。
 「取材を受けるの当たっての注意点は、ハッキリとした声で話すこと。聞かれたことに関して辿々しくてもいいから話すこと。それと最後に言えることは、わかっていると思うけど嘘は絶対に言わないことよ」
 「それだけ?」
 「ええ、それだけ。あ、後は本番になると緊張しちゃって何も言えなくなる人がいるから、リラックスすることも大事よ。それとこれ」
 姉さんはそう言うと机の上に紙を出した。
 「大筋で聞く質問内容を読んどいてね」
 そう言われたので渡された紙を手に取り、目を通していく。
 「ねぇねぇ、何て書いているの?」
 「え、ああ。退学と言われた日の当日の出来事と、今何をしているのか。今回の件についてどう思っているのか、当日話して欲しい。って書かれてる」
 「へぇ〜、そうなんだ。わかっていると思うけど、異世界のことは話しちゃダメだからね」
 「わかっているよ」
 そう言ってから紙をテーブルに置くと、姉さんの顔を見つめる。
 「俺からも、姉さんに話したいことがあるんだ」
 「ん? 何かしら?」
 「実は・・・・・・」
 姉さんにも夢のことを話したら、驚いた顔をさせていた。
 「何そのチート気味なスキルは!」
 「自分が見たいときに見れないから、チートとは呼べないんじゃないか?」
 事実バットで殴られる光景だって、見たくなかったし!
 「でもまぁ、今後は気を付けた方がよさそうね」
 「どうして?」
 「話を聞いていた限りだと、私達家族が狙われる可能性があるかもしれないわ。特に洸夜、アナタはね」
 「そんなわけないでしょ。いくら何でも・・・・・・ッ!?」
 ビシッと指をさされたので、ビックリしてしまった。
 「いい、私の見立てでは、そのハゲは金さえ払えば何でも出来るって思い込んでいるところがあると思うの。
 だから何かしらやって来ると思うの」
 「サスペンスドラマじゃないんだから・・・・・・」
 「現に雇っていた体育教師を殺っちゃったでしょ?」
 「いや、殺ってはないぞ! どっかに監禁しているだけ!」
 話だとその筈だ。
 「もしそうだとしても、他の人をヤバイ人達を雇ったんでしょ? ならその人達に何らかの命令を出していると思うの、例えばぁ・・・・・・アナタを誘拐することとか」
 「いや、結構警戒されているのに、そんなことしたら自分の首を絞めるようなもんじゃないの?」
 『いや、そうとは限らないかもよ』
 いつの間にか側にいた父さんがそう言うと俺の隣に座った。
 「どういうこと?」
 『多分相手は自分の手を汚したくないタイプだと思う。コウヤが見た夢だって彼は自分の手を下してないでしょ?』
 「まぁ確かに、あのハゲは納錦を捕まえるように命令していたけど、それとこれとは関係がないんじゃない?」
 『そうとも言えないかもしれない。ちょっと待ってて』
父さんはそう言うと、タンスの奥から伸縮式の警棒を取り出して渡して来た。
 『念の為に明日はこれを持って行きなさい』
 「これを持ってたら、流石に警察に捕まるんじゃない?」
 『・・・・・・そうだなぁ。だったらこれを持って行く?』
 今度はスタンガンを取り出して渡して来た。
 これなら隠し持っていれば問題ないかな? って!
 「これ家に隠し持ってたのかよ!」
 『うん、大好きなお母さんの護身用に買っておいたんだ。台所に催涙スプレーもあるけどいる?』
 「いいえ、遠慮しておきます」
 催涙スプレーまで完備してんのかよ。
 「アナタぁ〜! 大好きよぉ〜!!」
 『僕もだよ』
 そう言ってお互いを抱きしめ、愛し合う姿に砂糖を吐きそうになる!
 「ねぇ、コウヤ。私もチハル達の言うことに賛成。だから明日から警戒しよう」
 「・・・・・・わかったそうしよう」
 リタまでそう言うのなら、明日は警戒しながら向かおう。
 その日は家族全員で夕食を取り、そのまま就寝したのだった。
 「んん〜・・・・・・」
 昨日の夜にセットしておいたスマホのアラームを止めて上体を起こしてから欠伸をすると、リタが話し掛けて来た。
 「おはようコウヤ! 何か夢みたぁ?」
 「おはようリタ。今回は夢を見てない」
 そう、リタに話した通り、今回は夢を見なかった。
 「そうなんだ。ご飯も出来ているみたいだから、下に行こう!」
「着替えてから行くから、いつも通り先に行って」
 リタは ラジャー! と言うと、飛んで部屋を出て行ってしまった。てかラジャー! って何処で覚えたんだ?
 「まぁいいや。着替えよう」
 タンスから制服を取り出して着替えてから何気なくカーテンを開けたら、曲がり角で何者かがコッソリとこちらを見つめて来ているに気づいた。
 「ん?」
 不審に思い見つめていると向こうも俺が見つめているのに気づいたのか、そそくさと何処かへ行ってしまった。
 あれは何だったんだ?
 「洸夜、起きてるのぉ?」
 「起きてるよ、母さん!」
 まさか、ね。
 そう思いながらリビングへと向かい、母さんが用意してくれた朝食を取る。
 「今日はコウヤがテレビに出演する日! 頑張ってね!」
 「あの、母さん。俺はテレビには出演しないから」
 「そうなのっ!?」
 ショックを受けた顔をする母さんに対して、呆れながら説明を始める。
 「そうだよ。インタビューだけだから、よくてモザイクが掛かった映像しか映らないと思う」
 「じゃあじゃあ! 私の息子がテレビに出てたんですぅ! って自慢出来ないの?」
 「「『出来ないよ』」」
 そもそも自慢出来る内容じゃねぇし!
 「てか、リタは何処に行ったんだ?」
 「リタちゃん? そういえばお外が何か気になるから。って言って出て行ったわよ。姿を消せるなんて魔法ってスゴイわねぇ!」
 おいおいおい、そういう問題じゃねぇだろ!
 「リタ1人で行動させるのは流石に危ないだろ! カラスに捕まったり、猫に喰われる危険性が・・・・・・」
 「私だって実力者なんだから、そんなヘマをしないって! それに姿を消したら普通にスルーしてたよ!」
 気が付かないうちに帰って来たリタに頭を引っ叩かれた。
 「お帰りリタちゃん。お外はどうだったぁ?」
 「とても新鮮な感じだった! でも、このお家の近くで見張っている人がいたの」
 「見張っている人?」
 母さんがそう言って首を傾げていると、今度は姉さんが話し掛ける。
 「服装はどんな感じ?」
 「上着を着て、パンを齧ってジーッとこの家を見つめていたよ。顔が隠れてわからなかったけど、見るからに怪しかった!」
 もしかして、俺がさっき見た人か?
 『警察かな?』
 「だったらそんな格好をしないと思うわ。むしろ家に来て事情聴取するでしょ?」
 『じゃあ、やっぱり? 校長の・・・・・・』
 「その可能性があるわね」
 姉さんがそう言った瞬間、母さんの顔が青ざめる。
 「ど、どどど、どうしようっ! コウヤが殺されちゃう!!」
 俺を守ろうとしているのか、身体を抱きしめて来た。
 「落ち着いてお母さん。念の為に警察に連絡しておきましょう。ねぇリタ、その男はまだ外にいるの?」
 「いるよ」
「そう、警察官を呼ぶから、姿を隠しておいて頂戴」
 「わかった!」
 姉さんはリタの返事を聞いてからスマホで警察に連絡をするのであった。
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