東京PMC’s
紫音と実野妓の最後の抵抗
 スピンして停まったGT-Rから、フシュー・・・・・・。 と空気が抜ける様な音と共に、フロント部分が完全潰れていて中から煙が出ていた。僕達はというと、そこから離れた路側帯で停車している。
 「これはもう動けそうにないね」
 「ええ、ここでケリをつけられそうですね」
 僕達はそう言うと撃たれないように車の陰に隠れた。
 「こちらコニー。アマノ聞こえますか?」
 『聞こえるぞ。どうかしたか?』
 「GT-Rが大破してトまりました。ワタシ達は離れた場所で待機しています。どうしますか?」
 『大破だって! 車に乗っていた二人はどうなった?』
 「窓ガラスから車内カクニンする事が出来ません。なので、ナカの様子はわかりません」
 『・・・・・・わかった。お前達は俺達が合流するまで、その場で待機をしていろ』
 「了解です。シオン。この銃を借りていい?」
 「うん、僕はこっちの方を使うから」
 コニーさんは UMP45 を持ち、僕はウィンチェスターM1887 を持って待機する。
 「ところで、彼ら出て来ないね」
 「ええ、もしかしたら中で気をウシナっているのかもしれません」
 だとすると絶好にチャンスなんだけれども、もしかしたらフリをしているだけかもしれない。だからこのままジッと天野さん達が来るのを待っていようとしていたところだった。
 カチッ!? カチカチッ!? ヂヂヂヂヂ・・・・・・ヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂ・・・・・・・・・・・・。
 「ん?」
 エンジンを掛ける音?
 「エンジンを掛けて逃げようとしている?」
 「そうかもしれませんね。でも、あの様子では到底不可能かと思います」
 確かに。あの様子を見るとエンジンを掛けるのは出来ると思えない。
 その後も何度か空回りする音が聴こえたが、不自然にピタリと止んだ。
 「出て来る」
 「念の為にカマえていて下さい」
 コニーさんに言われた通りにGT-Rを警戒をしていると、中から実野妓くんが出て来たが頭をぶつけたのか血を流している。
 「もう1人の方は? ・・・・・・あ!」
 もう1人の密輸業者の方は、運転席でグッタリとしている。恐らくエンジンスターターを押していたのは、実野妓くんだったのかもしれない。
 「そこで止まって!」
 その言葉を聞いた実野妓くんはピタリと止まったが、恨みの籠った目をこちらに向けている。
 「そのまま銃をジメンにゆっくりと置いて、両手を頭の後ろで組んで下さい!」
 「・・・・・・」
 実野妓くんは言う事を聞く気がないのか、先ほどと同様にこちらを見つめて来る。
 「聞こえなかったのですか? 銃をそのバに置いて、両手を頭の後ろに置いて下さい!」
 コニーさんがそう言った瞬間、実野妓くんは右手に持っている SIG P320 をこちらに向けて撃って来た。
 「ヤバッ!?」
 「っと!?」
 まさか撃って来るとは思いもしなかった
 「撃って来た!」
 「こうなってしまったら、撃って応戦するしかないわ! シオン、反撃しましょう!」
 「了解!」
 こうして実野妓くんと撃ち合いになったが、向こうは避ける気がないのか高速道路の真ん中で立った状態で撃って来ているのだ。
 「あのヒト、正気なの?」
 「もしかしたら、狂っているのかもしれない」
 更にはこっちに向かって近付いて来ているので恐怖を感じてしまう。
 「はへゃはへゃはへゃッ!? しへ! しふしはへぇっ!!」
 狂気とも言える顔で近付いて来る実野妓。そんな中紫音は S&W M327R8 を手に持ち、マスタングの下に顔を覗かせる。
 この隙間ならいける!
 そう思いながら、 S&W M327R8 の銃口を車体の下に突っ込み撃った。
 「アガッ!?」
 実野妓くんは苦しそうな顔をさせながら道路に膝を着いた。
 「シオン、もしかして」
 「うん。僕がやった」
 そう、マスタングを車体の下から実野妓くんの脚を撃ち抜いたのだ。
 「〜〜〜〜〜〜ッ!」
 実野妓くんはそう言うと、がむしゃらになっているのかわからないが、先程よりも早く連射をしてくる。
 狙うのは弾切れのタイミング!
 実野妓くんの銃撃に、耐え続ける事5秒間。銃撃がピタリと止んだ。
 今だ!
 マスタングのフロント部分から顔と S&W M327R8 を構えながら出し、実野妓くんに向けて撃った。
 「ほあっ!?」
 その声と共に、実野妓くんが持っていた SIG P320 が宙を舞った。そう紫音は S&W M327R8 を狙って撃ったのだ。
 「もうこれで攻撃手段が無くなりました!」
 「ナイスです! シオン!」
 「・・・・・・ガァ〜ッ!」
 彼は僕を睨み付けた後、道路に落ちた SIG P320 を取りに行こうとしたのだが、脚を引き摺っているので遅い。
 「シオン、追いましょう!」
 「いや、そんな事をしなくてもいいよ」
 「どうして? カレは銃を拾おうとしているのよ」
 「・・・・・・うん」
 そんなやり取りをしている間に実野妓はハンドガンを手に取り、こっちに向けてトリガーを引いたその瞬間だった。
 バンッ!? といった音と共に銃が吹き飛んだのだ! しかもスライドの破片が自分の方に飛んで来たせいで、顔に怪我を負ってしまった。
 「ああああああっ!?」
 「あっ!?」
 「やっぱりこうなったみたいだね」
 そう、紫音が撃った弾が当たった場所は、スライドの側面。ケースバイケースだが、スライドを歪めるだけではなく、バレルまで凹ませてしまう可能性がある。故に、彼は暴発をしてしまった。
 「ッ!? ふほっ、ふほっ、ふほぉっ!?」
 そう言いながら顔よりも酷い状態になっている右手を見つめている。
 「今度こそ行きましょう。シオン」
 「了解です。コニーさん」
 コニーさんと共に、銃を構えながら実野妓くんへ近く。
 「フリーズ!」
 実野妓くんは僕達の言葉に反応して、ピタリと動きを止めた。
 「もうキミには何も出来ない筈だよね? 大人しくしてた方が身の為だと思うよ」
 「ふっ・・・・・・うう」
 彼はそう言うと、抵抗するのを諦めたのか力無くその場に座ってしまった。
 「・・・・・・はふへ?」
 「ん?」
 「はふへ、ほへはれはほんはへに・・・・・・」
 何で俺だけがこんな目に?
 「ほはえはきほへひへ、ほんはかほひはっは」
 お前達せいで、こんな顔になった?
 「・・・・・・ひにはい」
 死にたい。だって?
 その言葉を聞いた瞬間、身体の奥から怒りが湧き上がって来るのを感じた。
 「ふざけるなぁっ!」
 そう言って実野妓くんの胸ぐらを掴んで立ち上がらせた。
 「勝手に任務に付いて来た挙げ句、弾を喰らったのは僕達のせいだ? 全然違うね! こうなってしまったのは全部自分のせいだろ!」
 僕の剣幕に怖気付いているのか、首を引いて少しでも離れようとしている。
 「それを人のせいにして、単にお前は人のせいにして自分のミスを誤魔化しているだけでしょ!」
 「ひはふ! ほふはほほはあひ!」
 違う! そんな事はない! だって?
 「ある! 最後に別れる時に僕達は言ったよね? ここで待機しているんだ。って。それを無視して密輸業者を追い掛けに行ったのは何処の誰だった?」
 その言葉に思い当たる節があるのか、眉を顰めた。
 「確か、キミ死にたいって言ってたよね?」
 「へぇ?」
 「だったら、キミの望み通りにここで始末してあげるよ」
 そう言った後、左手の固定から剣を出して実野妓くんに突き立てた。
 「キミは僕達の任務を邪魔したどころじゃない。密輸業者に加担した上に僕達に向かって発砲をして来た。殺すのに充分な理由があるよ」
 「はぁ・・・・・・ああぁ〜・・・・・・」
 僕の瞳を見つめたまま怯えた表情をさせる実野妓くんに対して、僕は大きく振り被る。
 「キミが望んだ事なんだから、今度こそ恨まないでね」
 そう言って刃が首目掛けて前に出た瞬間、誰かにその腕を掴まれた。
 「紫音、もう充分だ」
 「・・・・・・天野さん」
 「コイツの顔を見てみろ。もう悪さする顔じゃないだろ」
 天野さんの言う通りに実野妓くんの顔を見つめる。
 「確かに、そうですね」
 こんな怯え切った表情では何もする気はないと思えた。だから胸ぐらを掴んでいる手を離して、刃を仕舞った。
 「命拾いをしたね」
 「ああ・・・・・・あ」
 その後は警察と他のPMCの人達がやって来て、現場の処理をしてくれたのだった。
 「これはもう動けそうにないね」
 「ええ、ここでケリをつけられそうですね」
 僕達はそう言うと撃たれないように車の陰に隠れた。
 「こちらコニー。アマノ聞こえますか?」
 『聞こえるぞ。どうかしたか?』
 「GT-Rが大破してトまりました。ワタシ達は離れた場所で待機しています。どうしますか?」
 『大破だって! 車に乗っていた二人はどうなった?』
 「窓ガラスから車内カクニンする事が出来ません。なので、ナカの様子はわかりません」
 『・・・・・・わかった。お前達は俺達が合流するまで、その場で待機をしていろ』
 「了解です。シオン。この銃を借りていい?」
 「うん、僕はこっちの方を使うから」
 コニーさんは UMP45 を持ち、僕はウィンチェスターM1887 を持って待機する。
 「ところで、彼ら出て来ないね」
 「ええ、もしかしたら中で気をウシナっているのかもしれません」
 だとすると絶好にチャンスなんだけれども、もしかしたらフリをしているだけかもしれない。だからこのままジッと天野さん達が来るのを待っていようとしていたところだった。
 カチッ!? カチカチッ!? ヂヂヂヂヂ・・・・・・ヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂ・・・・・・・・・・・・。
 「ん?」
 エンジンを掛ける音?
 「エンジンを掛けて逃げようとしている?」
 「そうかもしれませんね。でも、あの様子では到底不可能かと思います」
 確かに。あの様子を見るとエンジンを掛けるのは出来ると思えない。
 その後も何度か空回りする音が聴こえたが、不自然にピタリと止んだ。
 「出て来る」
 「念の為にカマえていて下さい」
 コニーさんに言われた通りにGT-Rを警戒をしていると、中から実野妓くんが出て来たが頭をぶつけたのか血を流している。
 「もう1人の方は? ・・・・・・あ!」
 もう1人の密輸業者の方は、運転席でグッタリとしている。恐らくエンジンスターターを押していたのは、実野妓くんだったのかもしれない。
 「そこで止まって!」
 その言葉を聞いた実野妓くんはピタリと止まったが、恨みの籠った目をこちらに向けている。
 「そのまま銃をジメンにゆっくりと置いて、両手を頭の後ろで組んで下さい!」
 「・・・・・・」
 実野妓くんは言う事を聞く気がないのか、先ほどと同様にこちらを見つめて来る。
 「聞こえなかったのですか? 銃をそのバに置いて、両手を頭の後ろに置いて下さい!」
 コニーさんがそう言った瞬間、実野妓くんは右手に持っている SIG P320 をこちらに向けて撃って来た。
 「ヤバッ!?」
 「っと!?」
 まさか撃って来るとは思いもしなかった
 「撃って来た!」
 「こうなってしまったら、撃って応戦するしかないわ! シオン、反撃しましょう!」
 「了解!」
 こうして実野妓くんと撃ち合いになったが、向こうは避ける気がないのか高速道路の真ん中で立った状態で撃って来ているのだ。
 「あのヒト、正気なの?」
 「もしかしたら、狂っているのかもしれない」
 更にはこっちに向かって近付いて来ているので恐怖を感じてしまう。
 「はへゃはへゃはへゃッ!? しへ! しふしはへぇっ!!」
 狂気とも言える顔で近付いて来る実野妓。そんな中紫音は S&W M327R8 を手に持ち、マスタングの下に顔を覗かせる。
 この隙間ならいける!
 そう思いながら、 S&W M327R8 の銃口を車体の下に突っ込み撃った。
 「アガッ!?」
 実野妓くんは苦しそうな顔をさせながら道路に膝を着いた。
 「シオン、もしかして」
 「うん。僕がやった」
 そう、マスタングを車体の下から実野妓くんの脚を撃ち抜いたのだ。
 「〜〜〜〜〜〜ッ!」
 実野妓くんはそう言うと、がむしゃらになっているのかわからないが、先程よりも早く連射をしてくる。
 狙うのは弾切れのタイミング!
 実野妓くんの銃撃に、耐え続ける事5秒間。銃撃がピタリと止んだ。
 今だ!
 マスタングのフロント部分から顔と S&W M327R8 を構えながら出し、実野妓くんに向けて撃った。
 「ほあっ!?」
 その声と共に、実野妓くんが持っていた SIG P320 が宙を舞った。そう紫音は S&W M327R8 を狙って撃ったのだ。
 「もうこれで攻撃手段が無くなりました!」
 「ナイスです! シオン!」
 「・・・・・・ガァ〜ッ!」
 彼は僕を睨み付けた後、道路に落ちた SIG P320 を取りに行こうとしたのだが、脚を引き摺っているので遅い。
 「シオン、追いましょう!」
 「いや、そんな事をしなくてもいいよ」
 「どうして? カレは銃を拾おうとしているのよ」
 「・・・・・・うん」
 そんなやり取りをしている間に実野妓はハンドガンを手に取り、こっちに向けてトリガーを引いたその瞬間だった。
 バンッ!? といった音と共に銃が吹き飛んだのだ! しかもスライドの破片が自分の方に飛んで来たせいで、顔に怪我を負ってしまった。
 「ああああああっ!?」
 「あっ!?」
 「やっぱりこうなったみたいだね」
 そう、紫音が撃った弾が当たった場所は、スライドの側面。ケースバイケースだが、スライドを歪めるだけではなく、バレルまで凹ませてしまう可能性がある。故に、彼は暴発をしてしまった。
 「ッ!? ふほっ、ふほっ、ふほぉっ!?」
 そう言いながら顔よりも酷い状態になっている右手を見つめている。
 「今度こそ行きましょう。シオン」
 「了解です。コニーさん」
 コニーさんと共に、銃を構えながら実野妓くんへ近く。
 「フリーズ!」
 実野妓くんは僕達の言葉に反応して、ピタリと動きを止めた。
 「もうキミには何も出来ない筈だよね? 大人しくしてた方が身の為だと思うよ」
 「ふっ・・・・・・うう」
 彼はそう言うと、抵抗するのを諦めたのか力無くその場に座ってしまった。
 「・・・・・・はふへ?」
 「ん?」
 「はふへ、ほへはれはほんはへに・・・・・・」
 何で俺だけがこんな目に?
 「ほはえはきほへひへ、ほんはかほひはっは」
 お前達せいで、こんな顔になった?
 「・・・・・・ひにはい」
 死にたい。だって?
 その言葉を聞いた瞬間、身体の奥から怒りが湧き上がって来るのを感じた。
 「ふざけるなぁっ!」
 そう言って実野妓くんの胸ぐらを掴んで立ち上がらせた。
 「勝手に任務に付いて来た挙げ句、弾を喰らったのは僕達のせいだ? 全然違うね! こうなってしまったのは全部自分のせいだろ!」
 僕の剣幕に怖気付いているのか、首を引いて少しでも離れようとしている。
 「それを人のせいにして、単にお前は人のせいにして自分のミスを誤魔化しているだけでしょ!」
 「ひはふ! ほふはほほはあひ!」
 違う! そんな事はない! だって?
 「ある! 最後に別れる時に僕達は言ったよね? ここで待機しているんだ。って。それを無視して密輸業者を追い掛けに行ったのは何処の誰だった?」
 その言葉に思い当たる節があるのか、眉を顰めた。
 「確か、キミ死にたいって言ってたよね?」
 「へぇ?」
 「だったら、キミの望み通りにここで始末してあげるよ」
 そう言った後、左手の固定から剣を出して実野妓くんに突き立てた。
 「キミは僕達の任務を邪魔したどころじゃない。密輸業者に加担した上に僕達に向かって発砲をして来た。殺すのに充分な理由があるよ」
 「はぁ・・・・・・ああぁ〜・・・・・・」
 僕の瞳を見つめたまま怯えた表情をさせる実野妓くんに対して、僕は大きく振り被る。
 「キミが望んだ事なんだから、今度こそ恨まないでね」
 そう言って刃が首目掛けて前に出た瞬間、誰かにその腕を掴まれた。
 「紫音、もう充分だ」
 「・・・・・・天野さん」
 「コイツの顔を見てみろ。もう悪さする顔じゃないだろ」
 天野さんの言う通りに実野妓くんの顔を見つめる。
 「確かに、そうですね」
 こんな怯え切った表情では何もする気はないと思えた。だから胸ぐらを掴んでいる手を離して、刃を仕舞った。
 「命拾いをしたね」
 「ああ・・・・・・あ」
 その後は警察と他のPMCの人達がやって来て、現場の処理をしてくれたのだった。
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