東京PMC’s
紫音と怪しい車
 下谷さんが僕の高校に来てから数日、遂に任務の日がやって来た。
 「お前ら、準備は出来たか?」
 「こっちはOKよ」
 「ボクも準備が出来ているよ」
 「僕もです」
 「よし、それじゃあ車に乗れ」
 「「「了解!」」」
 そう返事をしてからピックアップトラックへと乗り込み、発進させる。因みに運転はリュークさんだ。
 「いいか。任務について確認するぞ。任務は海外から来たブローカー達の摘発と確保。相手はAKとUZIで武装しているから気を付けろよ。作戦については羽田空港でサラがするから、俺に聞くなよ」
 「相手は何処の国からやって来たのよ?」
 「中東らしい。恐らくは紛争に紛れて手に入れた武器を東京で売り捌こうと考えているらしい。その証拠に使い過ぎてガタが来た銃を潜入調査員が手に入れたらしい」
 「ガタが来た銃って・・・・・・よくもまぁそんなのを売ろうとするわねぇ」
 「そのままの状態で売ろうとしているから、故障してても関係ないと思っているんだろう」
 天野さんはそう言うと、僕の方に顔を向ける。
 「いいか紫音。今回は今までの作戦と違うから、今まで以上に気を引き締めて行けよ」
 「はい、天野さん」
 H&K UMP45 をギュッと握り締めた。
 「ところでアマノくん。例の話は一体どうなったのかな?」
 「例の話?」
 「ほら、入浜の子達が付いて行きたい。って話」
 「んなもん断ったに決まってるだろう」
 ん? 入浜の子? もしかして・・・・・・。
 「あの高校が付いて行きたいと申し出たんですか?」
 「ああ、今回の任務を何処で知ったのかは知らないが、あのバカ校長が電話で言って来たらしいんだよ」
 「ホント、信じられないぐらいのあり得なさよねぇ〜」
 天野さんとリトアさんはその日の事を思い出しているのか、ウンザリした顔を見せる。
 「僕が言うのもなんですけど、危険な場所に学生を連れて行くのは認可出来ません」
 「俺達も同じだ。お前ならともかく、何かあった時の責任を取りたくねぇよ」
 「もし羽田空港に来たとしても、追い返すでしょう」
 「する。でなきゃPMCのルールどころか体面に関わる問題になるからね」
 うん、PMCと共に任務を行っていた入浜予備高校の生徒が死んでしまった。なんてニュースが出たら大変な事態になりかねない。
 「多分そんな事を言わないと思いますよ」
 「どうしてそんな事を言えるんだ。紫音?」
 「この間話した下谷さんは常識的だったし、何よりもその人の周りは常識人がたくさんいるので、きっと校長の奇行を止めてくれると思います」
 何よりも下谷さん自身が、生徒達を行かせたくなさそうだし。
 「ま、そうだといいんだけどな」
 天野さんはそう言うと、寝ようとしているのか目を瞑り、羽田空港に着くまで3人で話していた。
 「アマノくん、羽田空港に着いたよ」
 「ん・・・・・・もう羽田空港に着いたのか」
 大きな欠伸をした後に、車を降りて肩を回す。
 「さて、今回は羽田空港じゃなく、この駐車場の2階で作戦会議をする」
 「えっ!? どうして駐車場で話をするんですか? 重要な任務ですよ。誰かに聞かれる心配がありませんか?」
 「会議室でやるよりも、こっちの駐車場で話をした方が聞かれたくないヤツに聞かれないだろう」
 「・・・・・・あ!」
 そうだった。羽田空港の方で作戦会議をしていたら、あの校長に出会す可能性があるよね。そしてそのまま生徒達を押し付けられるのが、容易に想像出来る。
 「他の連中が待っている筈だから行くぞ」
 「あ、はい!」
 天野さんに着いて行くようにして2階へ行くと、そこには他のメンバーとサラさんが居た。
 「天野さん、おはようございます」
 「ああ、向こうの様子は?」
 「現在は動いている様子は見受けならないので、恐らくは休んでいると思われます」
 「俺が聞きたいのはそっちじゃない。バカ校長の方だ」
 「そちらの方ですか。ちょっと待って下さい」
 サラさんはそう言うと、ヘッドセットに手を当てて誰かと話をした。
 「はい・・・・・・分かりました。現在はPMC本部に姿を確認出来ないそうなので、こちらには気付いていないかもしれません」
 「そうか。なら付いて来られる心配をしなくていいな」
 「はい。全員揃ったのでブリーフィングを始めましょう」
 こうして駐車場の一角で円になり、作戦会議が始まった。作戦内容を簡単に説明すると、武器が保管してある建物の出入り口を固めて一気に突入する形でコニーさんは向かいのビルで中の様子を伝えるのが仕事。それを確認した後に全員で出発した。
 それと、僕の仕事はと言うとぉ〜・・・・・・。
 「何で僕がコニーさんのスポッターをしなくちゃいけないんですか?」
 「お前とコニーは相性がいいだからだ」
 「相性がいい?」
 横の席で尻尾をモフモフして楽しんでいる彼女が相性がいい?
 「僕、スポッターを訓練で数回しかやっていませんよ」
 「コニーは慣れているから、適当な事を言ってれば理解する」
 いやいや、適当な事を言っちゃいけないと思う。
 「シオンくん、スポッターとしての仕事もそうだけど、コニーの護衛もしなくちゃいけないのよ」
 「え? 護衛?」
 「そうよ。コニーの銃はCQBに対して不利だから、シオンくんがスナイパーポジションまでの行きと帰りを護衛しないといけないの」
 「スナイパーの護衛は重要な仕事でもあるから頑張ってね」
 「タヨりにしていますよ。シオン!」
 う〜ん、何か誤魔化されているような気もしなくはないけど、僕には拒否権がないから大人しく従うしかないよね。
 「わかりました。全力で務めさせて頂きます!」
 言われたからにはやる。それがモットー!
 そう思った後、窓の外を眺めていたのであった。決して現実逃避じゃない。
 「・・・・・・ん?」
 「どうしたの、シオンくん」
 「何か、離れた位置にセダンの車がみえるんですけど、あれって確か駐車場で見掛けたような気がします」
 そう言うと、天野さんは文句があるような顔で僕を見つめて来た。
 「セダンなんて、星の数ほど存在しているんだ。同じ車が走っていてもおかしくはないだろう」
 「あれ? 私もあの車を駐車場で見た気がするわ」
 「ワタシも、高速ドウロを乗る前に見掛けた気がしますよ」
「何だと?」
 天野さんはそう言うと後を振り向き、その車を見つめる。
 「こちらJOKER。全車少し速度を落としてみてくれ。オーバー」
 『どうしてだ? オーバー』
 「後のセダンがずっと着いて来ている気がしてならない。尾行かどうか確認をする為に、やってみてくれ。オーバー」
 『了解。尾行だったらどうする? オーバー』
 「次のパーキングエリアで降りて様子を見る。そこまで付いて来るのなら、敵の可能性がありと判断。近付いて確認を行う。オーバー」
 『了解。俺達の方も数名そちらの援護に回す。くれぐれも早とちりをするなよ。通信アウト』
 その言葉を聞いた天野さんは、こっちに顔を向けたまま無線機をしまった。
 「紫音、リトア。もしもあのセダンがパーキングエリアまで付いて来たら、お前達で調べに行くんだ。コニー、俺と共に遠くからの援護だ。リュークはいつでも車を出せるようにしてくれ。
 全員わかったな?」
 「「「「了解!」」」」
 その後、車列が減速したら離れた位置にいたセダンも減速して、逆にスピードを上げたら同じスピードで走ったので、これは黒だと判断してパーキングエリアに入る事になった。しかも天野さんの予想通り、セダンもパーキングエリアに入って来たのだ。
 「シオン、準備はいい?」
 「いつでも大丈夫です」
 「それじゃあ、行きましょう」
 「はい!」
 ピックアップトラックを降り、尾行をしているセダンへと近付いている時にリトアさんが話し掛けて来た。
 「シオンくん、いつでも車の陰に隠れられるように、もう少し車の方に寄って歩いて」
 「わかりました。それにしても怪しいですね。向こうは降りる様子がないですね」
 「もしかしたら私達が射程圏内に入るまで、車内で銃を構えて待っているのかもしれないわ」
 そうだとしたら、このまま普通に歩いているのは危ないんじゃないかな?
 そんな事を思っていたらセダンの助手席側の扉が開いたので、2人して身構えたのだが・・・・・・。
 「ま、舞ちゃん!?」
 そう、気不味そうな顔をさせた舞ちゃんが降りて、僕の方を見つめていたのだった。
 「お前ら、準備は出来たか?」
 「こっちはOKよ」
 「ボクも準備が出来ているよ」
 「僕もです」
 「よし、それじゃあ車に乗れ」
 「「「了解!」」」
 そう返事をしてからピックアップトラックへと乗り込み、発進させる。因みに運転はリュークさんだ。
 「いいか。任務について確認するぞ。任務は海外から来たブローカー達の摘発と確保。相手はAKとUZIで武装しているから気を付けろよ。作戦については羽田空港でサラがするから、俺に聞くなよ」
 「相手は何処の国からやって来たのよ?」
 「中東らしい。恐らくは紛争に紛れて手に入れた武器を東京で売り捌こうと考えているらしい。その証拠に使い過ぎてガタが来た銃を潜入調査員が手に入れたらしい」
 「ガタが来た銃って・・・・・・よくもまぁそんなのを売ろうとするわねぇ」
 「そのままの状態で売ろうとしているから、故障してても関係ないと思っているんだろう」
 天野さんはそう言うと、僕の方に顔を向ける。
 「いいか紫音。今回は今までの作戦と違うから、今まで以上に気を引き締めて行けよ」
 「はい、天野さん」
 H&K UMP45 をギュッと握り締めた。
 「ところでアマノくん。例の話は一体どうなったのかな?」
 「例の話?」
 「ほら、入浜の子達が付いて行きたい。って話」
 「んなもん断ったに決まってるだろう」
 ん? 入浜の子? もしかして・・・・・・。
 「あの高校が付いて行きたいと申し出たんですか?」
 「ああ、今回の任務を何処で知ったのかは知らないが、あのバカ校長が電話で言って来たらしいんだよ」
 「ホント、信じられないぐらいのあり得なさよねぇ〜」
 天野さんとリトアさんはその日の事を思い出しているのか、ウンザリした顔を見せる。
 「僕が言うのもなんですけど、危険な場所に学生を連れて行くのは認可出来ません」
 「俺達も同じだ。お前ならともかく、何かあった時の責任を取りたくねぇよ」
 「もし羽田空港に来たとしても、追い返すでしょう」
 「する。でなきゃPMCのルールどころか体面に関わる問題になるからね」
 うん、PMCと共に任務を行っていた入浜予備高校の生徒が死んでしまった。なんてニュースが出たら大変な事態になりかねない。
 「多分そんな事を言わないと思いますよ」
 「どうしてそんな事を言えるんだ。紫音?」
 「この間話した下谷さんは常識的だったし、何よりもその人の周りは常識人がたくさんいるので、きっと校長の奇行を止めてくれると思います」
 何よりも下谷さん自身が、生徒達を行かせたくなさそうだし。
 「ま、そうだといいんだけどな」
 天野さんはそう言うと、寝ようとしているのか目を瞑り、羽田空港に着くまで3人で話していた。
 「アマノくん、羽田空港に着いたよ」
 「ん・・・・・・もう羽田空港に着いたのか」
 大きな欠伸をした後に、車を降りて肩を回す。
 「さて、今回は羽田空港じゃなく、この駐車場の2階で作戦会議をする」
 「えっ!? どうして駐車場で話をするんですか? 重要な任務ですよ。誰かに聞かれる心配がありませんか?」
 「会議室でやるよりも、こっちの駐車場で話をした方が聞かれたくないヤツに聞かれないだろう」
 「・・・・・・あ!」
 そうだった。羽田空港の方で作戦会議をしていたら、あの校長に出会す可能性があるよね。そしてそのまま生徒達を押し付けられるのが、容易に想像出来る。
 「他の連中が待っている筈だから行くぞ」
 「あ、はい!」
 天野さんに着いて行くようにして2階へ行くと、そこには他のメンバーとサラさんが居た。
 「天野さん、おはようございます」
 「ああ、向こうの様子は?」
 「現在は動いている様子は見受けならないので、恐らくは休んでいると思われます」
 「俺が聞きたいのはそっちじゃない。バカ校長の方だ」
 「そちらの方ですか。ちょっと待って下さい」
 サラさんはそう言うと、ヘッドセットに手を当てて誰かと話をした。
 「はい・・・・・・分かりました。現在はPMC本部に姿を確認出来ないそうなので、こちらには気付いていないかもしれません」
 「そうか。なら付いて来られる心配をしなくていいな」
 「はい。全員揃ったのでブリーフィングを始めましょう」
 こうして駐車場の一角で円になり、作戦会議が始まった。作戦内容を簡単に説明すると、武器が保管してある建物の出入り口を固めて一気に突入する形でコニーさんは向かいのビルで中の様子を伝えるのが仕事。それを確認した後に全員で出発した。
 それと、僕の仕事はと言うとぉ〜・・・・・・。
 「何で僕がコニーさんのスポッターをしなくちゃいけないんですか?」
 「お前とコニーは相性がいいだからだ」
 「相性がいい?」
 横の席で尻尾をモフモフして楽しんでいる彼女が相性がいい?
 「僕、スポッターを訓練で数回しかやっていませんよ」
 「コニーは慣れているから、適当な事を言ってれば理解する」
 いやいや、適当な事を言っちゃいけないと思う。
 「シオンくん、スポッターとしての仕事もそうだけど、コニーの護衛もしなくちゃいけないのよ」
 「え? 護衛?」
 「そうよ。コニーの銃はCQBに対して不利だから、シオンくんがスナイパーポジションまでの行きと帰りを護衛しないといけないの」
 「スナイパーの護衛は重要な仕事でもあるから頑張ってね」
 「タヨりにしていますよ。シオン!」
 う〜ん、何か誤魔化されているような気もしなくはないけど、僕には拒否権がないから大人しく従うしかないよね。
 「わかりました。全力で務めさせて頂きます!」
 言われたからにはやる。それがモットー!
 そう思った後、窓の外を眺めていたのであった。決して現実逃避じゃない。
 「・・・・・・ん?」
 「どうしたの、シオンくん」
 「何か、離れた位置にセダンの車がみえるんですけど、あれって確か駐車場で見掛けたような気がします」
 そう言うと、天野さんは文句があるような顔で僕を見つめて来た。
 「セダンなんて、星の数ほど存在しているんだ。同じ車が走っていてもおかしくはないだろう」
 「あれ? 私もあの車を駐車場で見た気がするわ」
 「ワタシも、高速ドウロを乗る前に見掛けた気がしますよ」
「何だと?」
 天野さんはそう言うと後を振り向き、その車を見つめる。
 「こちらJOKER。全車少し速度を落としてみてくれ。オーバー」
 『どうしてだ? オーバー』
 「後のセダンがずっと着いて来ている気がしてならない。尾行かどうか確認をする為に、やってみてくれ。オーバー」
 『了解。尾行だったらどうする? オーバー』
 「次のパーキングエリアで降りて様子を見る。そこまで付いて来るのなら、敵の可能性がありと判断。近付いて確認を行う。オーバー」
 『了解。俺達の方も数名そちらの援護に回す。くれぐれも早とちりをするなよ。通信アウト』
 その言葉を聞いた天野さんは、こっちに顔を向けたまま無線機をしまった。
 「紫音、リトア。もしもあのセダンがパーキングエリアまで付いて来たら、お前達で調べに行くんだ。コニー、俺と共に遠くからの援護だ。リュークはいつでも車を出せるようにしてくれ。
 全員わかったな?」
 「「「「了解!」」」」
 その後、車列が減速したら離れた位置にいたセダンも減速して、逆にスピードを上げたら同じスピードで走ったので、これは黒だと判断してパーキングエリアに入る事になった。しかも天野さんの予想通り、セダンもパーキングエリアに入って来たのだ。
 「シオン、準備はいい?」
 「いつでも大丈夫です」
 「それじゃあ、行きましょう」
 「はい!」
 ピックアップトラックを降り、尾行をしているセダンへと近付いている時にリトアさんが話し掛けて来た。
 「シオンくん、いつでも車の陰に隠れられるように、もう少し車の方に寄って歩いて」
 「わかりました。それにしても怪しいですね。向こうは降りる様子がないですね」
 「もしかしたら私達が射程圏内に入るまで、車内で銃を構えて待っているのかもしれないわ」
 そうだとしたら、このまま普通に歩いているのは危ないんじゃないかな?
 そんな事を思っていたらセダンの助手席側の扉が開いたので、2人して身構えたのだが・・・・・・。
 「ま、舞ちゃん!?」
 そう、気不味そうな顔をさせた舞ちゃんが降りて、僕の方を見つめていたのだった。
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