東京PMC’s
紫音と入浜警察予備高校生達
 護衛任務を無事に終えた翌日の朝、学校がある日なのでいつも通りに登校しようとするのだが、玄関を出る前から足取りが重い。
 「・・・・・・行って来ます」
 「まだ気にしているの、シオンくん」
 「いや、だってぇ〜・・・・・・」
 昨日舞ちゃんから連絡があったんだけど、天野さんの命令でその連絡を全部無視していた。
 「そんなに気にする事はないと思うわよ。だって向こうもこっちと接触しない様に言っているのだから」
 「そうなんですけどぉ〜」
 「それよりもお前、早く学校の方に向かわなくていいのか?」
 こういう時だけ正論を言う姿に、ちょっとカチンと来てしまう。
 「行って来ます」
 「「行ってらっしゃい」」
 天野さんだけ返事を返さないのはいつもの事なので、気にせずに学校へと向かうのであった。
 「・・・・・・あれ?」
 学校の脇にバスが2台停まっていたので、興味本位でちょっとだけ近付いて見る。
 何でこんなところにバスが? って、あ!?
 バスのフロント部分に飾られていた名前を見て、驚いた表情に変貌した。
 入浜警察予備高校っ!? って事は、舞ちゃん達がここに来ているんだ。
 そう思った後に校内へと入って行き、教室へと向かった。
 「おはようございます。紫音さん」
 「おはよう、真奈美さん」
 いつも通り真奈美さんが隣の席で挨拶をしてくれるが、嫉妬の視線がちょっと痛い。
 「もう気付いておられると思いますが、外に警察学校のバスが停まっていましたよ」
 「うん、僕自身も入る前に気付いたよ」
 バスの運転手以外いなかったけどさ。
 「まぁ向こうの人達に紫音さんの事、それに学校を襲撃された事もあるので、この演習は仕方のない事だと思いますよ」
 真奈美さんの言うこの間と言う言葉は、森下の事件の事である。
 「それだけじゃなさそう」
 「え? どう言う事ですか?」
 「昨日、護衛任務があったのを知ってるよね?」
 「ええ、知っているます・・・・・・って、もしかして?」
 「多分真奈美さんが想像している通り、課外授業をしている彼らと鉢合わせしちゃったんだ」
 「まぁ!?」
 そう言うと真奈美は口に手を当てて驚いていた。
 「でも、何で日曜日なのに授業をやっていたんだろう?」
 「向こうのガッコウも、授業に遅れが出ているからみたいデスよぉ〜」
 「あ、コニーさん。おはよう」
 「ハロ〜、シオン。さっきの話のツヅきなんですが、どうやら向こうの学校では体育の授業を全部クンレンにしているみたいなんですよぉ」
 「体育の授業を全部訓練に?」
 「ソウデス。だから私達の学校のように、サッカーや何かを楽しんでイナいみたいですよ」
 それほど切羽詰まっている状況なのか、あるいは急かされているのか。
 「まぁ何はともアレ。私達には関係ない事なので、気にせずにいましょう」
 「うん、そうだね」
 コニーさんの言う通り、気にせずにいるのがいいのかもしれない。だって僕と舞ちゃんは住む世界が全く違うのだから。
 そんな事を思っていたら耳を摘んで来た。
 「あの・・・・・・どうして耳を摘んでいるの?」
 「触りたいから触っているのですよぉ〜」
 紫音はコニーが背後に回って耳を揉んでいるので、とてもいい表情をしているのに気付いていない。
 「じゃあ私は尻尾の方を」
 今度は真奈美さんが尻尾をモフモフして来た。
 「紫音さんの尻尾、綺麗ですね。何かさせているのですか?」
 「毎日手入れをしていて、尻尾だけはシャンプーと同じ洗剤を使っているよ」
 事実ボディーソープで洗うよりも、そっちの方が毛が痛まず整うから。
 「へぇ〜、そうなのですかぁ」
 「シオンの耳も触り心地がいいですねぇ〜」
 ・・・・・・うん、擦ると変な声が出そうになるから止めて欲しい。
 周りが羨ましそうな顔をしているのを他所に、2人が耳と尻尾を堪能していると予鈴が鳴った。
 「みんな、ホームルームをはじめるから席に着いて!」
 筒城先生のその言葉を聞いたクラスメイト達は、素直に指示に従い自分の席へと座っていつものように挨拶をした。
 「みんな話は聞いていると思うけど、今日は入警察予備高校の生徒達が校庭で実演してくれるの。だから廊下に出て並んで下さい。あ、今の内にトイレに行きたい人は行っても構いませんよ」
 『はぁ〜い!』
 トイレかぁ〜・・・・・・一応済ませておこうかな?
 念の為にトイレで用を済ませてから列に入って並んだ。その後は筒城先生の先導で校庭へと出ると、銃を持った同い歳の学生達が武装をした状態で校庭に並んでいた。
 「シオン、もしかしてあれが?」
 「うん、入浜警察予備高校のだね」
 「結構格好がサマになってますね」
 「・・・・・・うん」 
 でも何だろう。彼らから変な雰囲気を感じるのは、僕の気のせいなのかな?
 彼らに違和感を感じつつも校庭に設置されている椅子に座った。
 「なぁ大園。アイツらの事どう思う?」
 「どう思うって、何が?」
 隣にいた同級生にそう答えると呆れた顔をされた。
 「何がって、お前あの姿を見てカッコイイとか銃がスゲェ! とか思わないのかよ?」
 「ああ、それはないけど他ならあるよ」
 「どんな事だ?」
 「彼らが身に付けている装備はいい物だけど、ちゃんと合わせてない人がいるなぁって思った。ほら、右から数えて12番目の子。あの子プレートキャリアの調整が甘い」
 プレートキャリアにはいくつか種類があって、彼らが使用しているのは脇までMOLLEウェビングが付いているタイプだ。そしてプレートキャリアの基本的な合わせ方は、先ずは両肩の調整紐を使って胸と背中にピッタリさせた後に、お腹に付いているマジックテープを一旦剥がしてから少しキツめの状態で固定するのが基本。
 そうする事によって、マガジンポーチに入れているマガジンを含めた荷物が暴れて走りの阻害をし難くするのだ。
 「じゃあつまり、装備の付け方を間違えている人がいるのか?」
 「うん、僕は普段タクティカルベストを使っているから強くは言えないけど」
 「タ、タクティカルベスト?」
  「パーカーみたいに真ん中にジッパーがあるやつの事」
 「ああ〜なるほど」
 隣にいたクラスメイトが納得をした顔をさせていると、マイクの音がONになる音がした。
 『生徒の皆さん、注目して下さい!』
 この間会った下谷さんの声が聞こえると、正面を向き静かになった。
 『大変長らくお待たせ致しました。これより入浜警察予備高校の実演を始めたいと思います』
 下谷さんがそう言うと、生徒達がワァッ!? と盛り上がった。
 『それでは先ず初めに、銃の基本の構えから始めます。全員、構え!』
 下谷さんの指示通り、銃を構えるとここがどうのこうの言って説明が始まった。
 「・・・・・・う〜ん」
 「どうしたんだ。大園?」
 「何かイライラしていない?」
 何て言うか、全体的に見て行動にばらつきがあって何とも言えない。
 「いや・・・・・・大園よりもイラついているのが向こうにいるぞ」
 「「え?」」
 クラスメイトの2人はそう言いながら振り向いたら、何とコニーが貧乏揺すりをさせながら実演を見つめていたので、ビックリした様子を見せた。
 「行動をトウイツ出来ないところがダメ。サイティング(※狙いをつける事)が遅い・・・・・・構えたままのイドウに上体がブレている・・・・・・全然ダメですね」
 「うわぁ〜、大園よりもコニーさんの方が重症だ」
 「あっ!? でも経験で言ったら彼らよりもコニーさんの方が上だから、そう言えるのかもよ」
 2人はその後もブツブツと言うコニーから、紫音の方に顔を向ける。
 「大園の方はどう思う?」
 「まだ訓練が足りないって思うところがあるよ。ほら、ああやって銃を構えながら移動しているよね?」
 「あ、ああ」
 「それがどうしたの?」
 「ああやって移動している最中でも、顔を動かして左右の警戒をしなくちゃいけないんだ。そうしないと隠れている敵に撃たれる可能性があるからね。ほら、見てごらん。緊張しているせいかやってないでしょ」
 「「ああ〜・・・・・・」」
 2人は納得した様子で入浜警察予備高校の生徒を見つめていて、入浜警察予備高校の下谷自身も紫音の声が聞こえていたのか、実演中でも紫音とコニーの事を見つめていたのであった。
 「・・・・・・行って来ます」
 「まだ気にしているの、シオンくん」
 「いや、だってぇ〜・・・・・・」
 昨日舞ちゃんから連絡があったんだけど、天野さんの命令でその連絡を全部無視していた。
 「そんなに気にする事はないと思うわよ。だって向こうもこっちと接触しない様に言っているのだから」
 「そうなんですけどぉ〜」
 「それよりもお前、早く学校の方に向かわなくていいのか?」
 こういう時だけ正論を言う姿に、ちょっとカチンと来てしまう。
 「行って来ます」
 「「行ってらっしゃい」」
 天野さんだけ返事を返さないのはいつもの事なので、気にせずに学校へと向かうのであった。
 「・・・・・・あれ?」
 学校の脇にバスが2台停まっていたので、興味本位でちょっとだけ近付いて見る。
 何でこんなところにバスが? って、あ!?
 バスのフロント部分に飾られていた名前を見て、驚いた表情に変貌した。
 入浜警察予備高校っ!? って事は、舞ちゃん達がここに来ているんだ。
 そう思った後に校内へと入って行き、教室へと向かった。
 「おはようございます。紫音さん」
 「おはよう、真奈美さん」
 いつも通り真奈美さんが隣の席で挨拶をしてくれるが、嫉妬の視線がちょっと痛い。
 「もう気付いておられると思いますが、外に警察学校のバスが停まっていましたよ」
 「うん、僕自身も入る前に気付いたよ」
 バスの運転手以外いなかったけどさ。
 「まぁ向こうの人達に紫音さんの事、それに学校を襲撃された事もあるので、この演習は仕方のない事だと思いますよ」
 真奈美さんの言うこの間と言う言葉は、森下の事件の事である。
 「それだけじゃなさそう」
 「え? どう言う事ですか?」
 「昨日、護衛任務があったのを知ってるよね?」
 「ええ、知っているます・・・・・・って、もしかして?」
 「多分真奈美さんが想像している通り、課外授業をしている彼らと鉢合わせしちゃったんだ」
 「まぁ!?」
 そう言うと真奈美は口に手を当てて驚いていた。
 「でも、何で日曜日なのに授業をやっていたんだろう?」
 「向こうのガッコウも、授業に遅れが出ているからみたいデスよぉ〜」
 「あ、コニーさん。おはよう」
 「ハロ〜、シオン。さっきの話のツヅきなんですが、どうやら向こうの学校では体育の授業を全部クンレンにしているみたいなんですよぉ」
 「体育の授業を全部訓練に?」
 「ソウデス。だから私達の学校のように、サッカーや何かを楽しんでイナいみたいですよ」
 それほど切羽詰まっている状況なのか、あるいは急かされているのか。
 「まぁ何はともアレ。私達には関係ない事なので、気にせずにいましょう」
 「うん、そうだね」
 コニーさんの言う通り、気にせずにいるのがいいのかもしれない。だって僕と舞ちゃんは住む世界が全く違うのだから。
 そんな事を思っていたら耳を摘んで来た。
 「あの・・・・・・どうして耳を摘んでいるの?」
 「触りたいから触っているのですよぉ〜」
 紫音はコニーが背後に回って耳を揉んでいるので、とてもいい表情をしているのに気付いていない。
 「じゃあ私は尻尾の方を」
 今度は真奈美さんが尻尾をモフモフして来た。
 「紫音さんの尻尾、綺麗ですね。何かさせているのですか?」
 「毎日手入れをしていて、尻尾だけはシャンプーと同じ洗剤を使っているよ」
 事実ボディーソープで洗うよりも、そっちの方が毛が痛まず整うから。
 「へぇ〜、そうなのですかぁ」
 「シオンの耳も触り心地がいいですねぇ〜」
 ・・・・・・うん、擦ると変な声が出そうになるから止めて欲しい。
 周りが羨ましそうな顔をしているのを他所に、2人が耳と尻尾を堪能していると予鈴が鳴った。
 「みんな、ホームルームをはじめるから席に着いて!」
 筒城先生のその言葉を聞いたクラスメイト達は、素直に指示に従い自分の席へと座っていつものように挨拶をした。
 「みんな話は聞いていると思うけど、今日は入警察予備高校の生徒達が校庭で実演してくれるの。だから廊下に出て並んで下さい。あ、今の内にトイレに行きたい人は行っても構いませんよ」
 『はぁ〜い!』
 トイレかぁ〜・・・・・・一応済ませておこうかな?
 念の為にトイレで用を済ませてから列に入って並んだ。その後は筒城先生の先導で校庭へと出ると、銃を持った同い歳の学生達が武装をした状態で校庭に並んでいた。
 「シオン、もしかしてあれが?」
 「うん、入浜警察予備高校のだね」
 「結構格好がサマになってますね」
 「・・・・・・うん」 
 でも何だろう。彼らから変な雰囲気を感じるのは、僕の気のせいなのかな?
 彼らに違和感を感じつつも校庭に設置されている椅子に座った。
 「なぁ大園。アイツらの事どう思う?」
 「どう思うって、何が?」
 隣にいた同級生にそう答えると呆れた顔をされた。
 「何がって、お前あの姿を見てカッコイイとか銃がスゲェ! とか思わないのかよ?」
 「ああ、それはないけど他ならあるよ」
 「どんな事だ?」
 「彼らが身に付けている装備はいい物だけど、ちゃんと合わせてない人がいるなぁって思った。ほら、右から数えて12番目の子。あの子プレートキャリアの調整が甘い」
 プレートキャリアにはいくつか種類があって、彼らが使用しているのは脇までMOLLEウェビングが付いているタイプだ。そしてプレートキャリアの基本的な合わせ方は、先ずは両肩の調整紐を使って胸と背中にピッタリさせた後に、お腹に付いているマジックテープを一旦剥がしてから少しキツめの状態で固定するのが基本。
 そうする事によって、マガジンポーチに入れているマガジンを含めた荷物が暴れて走りの阻害をし難くするのだ。
 「じゃあつまり、装備の付け方を間違えている人がいるのか?」
 「うん、僕は普段タクティカルベストを使っているから強くは言えないけど」
 「タ、タクティカルベスト?」
  「パーカーみたいに真ん中にジッパーがあるやつの事」
 「ああ〜なるほど」
 隣にいたクラスメイトが納得をした顔をさせていると、マイクの音がONになる音がした。
 『生徒の皆さん、注目して下さい!』
 この間会った下谷さんの声が聞こえると、正面を向き静かになった。
 『大変長らくお待たせ致しました。これより入浜警察予備高校の実演を始めたいと思います』
 下谷さんがそう言うと、生徒達がワァッ!? と盛り上がった。
 『それでは先ず初めに、銃の基本の構えから始めます。全員、構え!』
 下谷さんの指示通り、銃を構えるとここがどうのこうの言って説明が始まった。
 「・・・・・・う〜ん」
 「どうしたんだ。大園?」
 「何かイライラしていない?」
 何て言うか、全体的に見て行動にばらつきがあって何とも言えない。
 「いや・・・・・・大園よりもイラついているのが向こうにいるぞ」
 「「え?」」
 クラスメイトの2人はそう言いながら振り向いたら、何とコニーが貧乏揺すりをさせながら実演を見つめていたので、ビックリした様子を見せた。
 「行動をトウイツ出来ないところがダメ。サイティング(※狙いをつける事)が遅い・・・・・・構えたままのイドウに上体がブレている・・・・・・全然ダメですね」
 「うわぁ〜、大園よりもコニーさんの方が重症だ」
 「あっ!? でも経験で言ったら彼らよりもコニーさんの方が上だから、そう言えるのかもよ」
 2人はその後もブツブツと言うコニーから、紫音の方に顔を向ける。
 「大園の方はどう思う?」
 「まだ訓練が足りないって思うところがあるよ。ほら、ああやって銃を構えながら移動しているよね?」
 「あ、ああ」
 「それがどうしたの?」
 「ああやって移動している最中でも、顔を動かして左右の警戒をしなくちゃいけないんだ。そうしないと隠れている敵に撃たれる可能性があるからね。ほら、見てごらん。緊張しているせいかやってないでしょ」
 「「ああ〜・・・・・・」」
 2人は納得した様子で入浜警察予備高校の生徒を見つめていて、入浜警察予備高校の下谷自身も紫音の声が聞こえていたのか、実演中でも紫音とコニーの事を見つめていたのであった。
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