東京PMC’s

青空鰹

意外な仕事を任される紫音

 スタームルガー レッドホーク を購入出来た喜びからか、その日はベッドに横になるまでウキウキしていたのだが。


 「おはようございます!」


 「おはようシオンくん。元気いいね」


 「はい! 自分でもわからないんですが、何かウキウキしています!」


 紫音自身は気付いてないが、尻尾をブンブン振っている。


 「もしかしたら、レッドホークを購入した喜びがまだ続いているのかしら?」


 「そうかもな」


 「相変わらずわかりやすいわねぇ〜」


 「だな」


 笑顔で食事をする紫音に対して、天野とリトアはちょっとだけ呆れた顔をさせる。


 「そうだ。全員に話したい事がある。食べながらでもいいから聞いてくれ」


 「ふぁい」


 「シオンくん、食べながら喋らないの」


 「・・・・・・ん」


 反省しているのか、シュンと耳が垂れた。


 「ようやく犯人の名前が判明した」


「ふぁっ!?」


 「やっと、か。名前は?」


 「森下もりした 純雄すみお と言う男だ」


 森下 純生。それが犯人の名前。


 「それで職業不詳で半月前に行方不明になっていたらしい」


 「他には?」


 「悪いが警察からはそれしか聞いていないが、本部から詳細を貰っている。えっとぉ〜・・・・・・」


 天野さんはそう言うと煙草を加えてから書類を取り出した。


 「アマノくん。食卓で煙草は遠慮して欲しい」


 チッ!? と舌打ちした後にカートの中に戻した。


 「でだ。本部の情報では半年前から偶にしか家に戻っておらず、その間はマンガ喫茶とかを転々としていたらしいが、3ヶ月半前に抜け道を使って危険区域の中に入りったり出たりの生活していたらしい」


 「そう・・・・・・何の為に危険区域で生活していたのかしら?」


 「銃を手に入れる為、ってのが有力な情報だ」


 「復讐するにしても、武器が必要だからね。その考え方が妥当だね」


 リュークさんはそう言ってから、空いたお皿を集めてシンクの中へ入れて水を流す。


 「それと紫音」


 「は、はい! 何ですか?」


 「今日も気を付けて学校に行んだぞ」


 天野さんが僕の事を心配してくれている。


 「この間の事と言い、お前は疫病神かと言いたくなるぐらい面倒ごとに関わるからな。面倒くせぇたらありゃしねぇ」


 「心配してくれてるんじゃないんですかっ!?」


 「ちょっとはな」


 ちょっとだけですかっ!?


 「シオンくん、そろそろ高校に行った方がいいんじゃない?」


 「へ? あっ!?」


 時計を見てみると、8時になっていた。


 「そうですね! 高校に行って来ます!」


 学生カバンと H&K UMP45 が入ったガンケースを持って玄関へと向かう。その際に気だるさそうに新聞を読んでいる天野さんを睨むのを忘れない。


 「気を付けて行ってらっしゃい!」


 「何かあったら僕達が駆け付けるからね」


 天野さんだけは、さっさと行け。と言わんばかりに手を振って来るだけ。


 「行ってきます!」


 それと、天野さんの死んだ魚の目っ!?


 心でそう罵倒しながら学校へ向かうのであった。


 「おはようございます。紫音さん!」


 「おはよう、真奈美さん」


 相変わらず別人に見えるんだよなぁ。もしかして姉妹がいて・・・・・・。


 「紫音さん、もしかして失礼な事を考えてませんか?」


 「い、いえ。そんな事は考えてないです」


 どうしてみんな察しがいいんだろう?


 「まぁいいです。とにかく席に座りましょうか」


 「あ、はい」


 真奈美さんに言われるがまま、自分の席へと座った。


 「それで、昨日のお仕事はどうでしたか?」


 「あれ? 真奈美さんにお仕事の話をしましたっけ?」


 「母上から聞きました」


 「あ、そうなんだ」


 そういえば、真理亜さんに断りの電話を入れたんだった。


 「えっと、順調に終わりましたよ」


 「とても大変だったと聞いておりますが?」


 「まぁ、大変だったと言えば大変だったよ。土竜の人達と・・・・・・ん?」


 何か、誘導されてない?


 「もしかして、その時の事を話して欲しいんですか?」


 「はい。是非お話して貰えないでしょうか?」


 真奈美さん、聞き出そうとしていたよ。


 「えっとぉ。話せる範ちゅうでなら話します」


 「はい、構いませんよ」


 「向こうに着いた時に・・・・・・」


 話そうとしたら、ピンポンパンポン! とスピーカーから音楽が聴こえて来た。


 『1年C組、大園 紫音くん。職員室へ来てください。繰り返します。1年C組、大園 紫音くん。職員室へ来てください』


 「えっ!? 僕?」


「そうみたいですね」


 何で職員室に呼ばれたんだろう?


 「僕、何かしたっけ?」


 「さぁ、行って確かめるしかないですよ」


 「そうだよねぇ」


 先生に怒られなきゃいいけど。


 「話している途中で申し訳ないけど、職員室に行って来るね」


 「行ってらっしゃいませ。お話の方は後ほどお伺いますよ」


 「うん、わかったよ。また後でね」


 そう言ってからガンケースを背負いながら職員室へと向かった。


 「失礼します!」


 そう言ってから職員室の中へと入って行く。


 「待っていたよ。紫音くん」


 「工藤さん!? それにサラさん。どうしてここに?」


 「今から彼女に重要な話をするから、こっちに来て下さい」


 「あ、はい」


 サラさんの言う通り、工藤さん達の側へと行く。


 「さて、今回の事件に付いて話します。彼に付いて見覚えがありますか?」


 犯人の顔が写っている写真を机に置いて見せて筒城先生に問うが、首を横に振った。


 「見覚えが・・・・・・ありません」


 「では、こちらの写真は?」


 もう1枚の写真を見せると驚いた顔になった。


 「森下、くん?」


 「見覚えがあるみたいですね」


 「え、ええ。彼は、私と同学年で3年生の時に退学をしましたから」


 ・・・・・・ん? 何だろう。異様なまでに怯えている気がする。


 「も、もしかして。彼が私の事を狙って来たのですか?」


 「その通りです。アナタは彼に狙われています」


 「ッ!?」


 筒城先生は恐くなったのか、歯をカチカチと音を立てて自分の二の腕を手で挿すっている。


 「話を続けますが、大丈夫ですか?」


 「は、はい。つ、続けて下さい」


 「どういう訳なのかはわかりませんが、アナタの事を相当恨んでいるみたいです。心当たりはありますか?」


 「あ、ありません」


 顔を逸らしてながら言うので、これは何か心当たりがあるな。と工藤さん達が確信した顔になった。


 「・・・・・・虐め」


 「ッ!?」


 目を見開き、僕を見つめて来た。


 「どうしてその事を知ってるの?」


 「個人的に調べていました。もしかして、アナタも虐めに加わって・・・・・・」


 「違うっ!?」


 声を張って否定して来たので、言葉の途中で止まってしまった。


 「私は虐めてなんてない! やってたのは、金井と冨上の2人よっ!!」


 「・・・・・・そうですか。あの、先生」


 「何?」


 「失礼を承知でお聞きしますが、高校時代の事を話して貰えないでしょうか? 」


 僕がそう聞くと、筒城先生は目を左右に泳がせた後に僕を見つめて話始めた。


 「今から7年前よ。私が先生に森下くんが虐められているって言ったの。でもね。当時担任だった先生は、取り合ってくれなかったのよ」


 「面倒ごとになるから、事実を隠したんだな」


 「はい、だから隣のクラスの先生に相談したら注意してくれたけど、金井と冨上注意してくれたんだけど、何故か不登校になったの」


 もう、答えが1つしかない。


 「それはもう、余計に虐めが酷くなっただけだと思いますよ」


 「そう、ですよね。私は間違った事をしただけかもしれませんね」


 「そうでもないですよ」


 「えっ!?」


 筒城先生は信じられないと言いたそうな顔で工藤さんを見つめた。


 「アナタのやった行動は正しいです。間違った事をしていたのは、その時の担任と過ちを正さなかった本人達です」


 「そう、ですか?」


 「それともう一つ、アナタに話したい事があります」


 工藤さんがそう言うと僕肩に手を置き、筒城先生に顔を向けて話し始める。


 「今日からアナタがこの高校で仕事している時と、帰り道は彼が護衛します」


 「えっ!?」


 僕が筒城先生の護衛?


 「どういう事ですか」


 「筒城さんに一番近いのは紫音くんなので、紫音くんが護衛という事になりました」


 「そんな話は聞いてないですよ!?」


 「つい先程決まった事なので、知らないのは当たり前かと」


 納得がいかない!


 「紫音くん。納得出来ない気持ちはわかるけど、仕事だから我慢してくれないかい?」


 「仕方ないのはわかってますよ。我慢だってしますよ・・・・・・天野さんだって僕に やれ。 って言う筈ですから」


 「そうか、紫音くん改めて任務を伝える。我々本部がいいと伝えるまで、女性教師 筒城 姜 の護衛任務に就け! わかったか?」


 「イエス・サー!」


 こうして僕は筒城先生の護衛任務に就く事になった。

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