東京PMC’s

青空鰹

紫音と犯人との戦闘

 「出て来やがれ筒城! ぶっ殺してやるぅっ!!」


 そう言い切ると、けたたましい銃声を立て撃って来た。


 ・・・・・・おかしい。普通ならもうマガジンに入っている弾薬を撃ち終わってはずなのに、何で終わらないんだろう?


 けたたましい音とコンクリートの壁が削れ続けている中、急にピタリと止んだので銃弾で出来た穴から慎重にようすを見てみると、何とバレルの短いアルトライフルAK47uからドラムマガジンを取り出していた。


 だから長く撃てたんだ。


 しかし、相手は身を隠さずにリロードを行なっているので、紫音はこのチャンスを逃すまいとUMP45を構えながらブロック塀の脇から上半身を素早く出す。


 「ッ!?」


 そんな紫音の行動に男は気付いたのだが動きが鈍かったせいで、撃った弾が身体に当たり地面に寝っ転がってしまった。


 「ウグウウウウウウウウウウウウッ!?」


 2発撃った内の、1発腹部に当たった。しかも血の臭いがして来る。これなら犯人を確保・・・・・・。


 そう思っていたら、何と撃たれた痛みに悶絶している筈の犯人が紫音の隠れているブロック塀に撃ち込んで来たのだ。


 「やんりやがったなぁ! こんのクソガキがぁぁぁああああああああああああっ!?」


 「嘘、何で?」


 銃弾1発当たっただけでも重傷なのに、何で反撃して来れるの?


 「うおおおおおおおおおおおおっ!!? 死ねっ! 死ねぇっ!!」


 しかもこっちに近づいて来てる。これはヤバイ。


 「筒城先生!」


 「は、はいぃ!」


 「逃げるから立って!」


 「え、ええっ!?」


 「いいから早く立って!!」


 先生にそう言ってから、セレクターをセミからフルオートに切り替えて銃弾で出来た穴にUMP45を差し込むと、トリガーを引き横なぎに撃って行った。すると相手も撃たれるのを警戒したのか、銃声がピタリと止まった。


 「走って、早く!」


 先生の手を取り、犯人から逃げるように走り出した。


 確かこのまま真っ直ぐ行けば、大通りに出る筈。


 紫音の予想通り大通りに出れたのだが、背後から銃声がしたので先生と共に急いで建物の影に隠れてから、犯人に向かって牽制射撃をする。


 「弾切れた!」


 建物の陰に隠れてUMP45に弾倉を装填している間に、犯人の方が撃ち込んで来た。


 マガジンが後2本だけ、このままじゃジリ貧で負けちゃう。どうにかして先生だけでも・・・・・・。


 そう思って先生を見つめていたら、先生の後ろ側にタクシーが停まっていたので これだ! と思いながら筒城先生を連れてタクシーに近付いて行き、後部座席にドアを叩く。


 「運転手さん、開けて!」


 運転手さんは ひぃっ!? と言い、車のエンジンを掛けるので慌ててタクシーの前に出る。


 「僕はPMCですから、大丈夫です!」


 そう言いってライセンスカードを見せた途端、 えっ!? と驚いた顔をしていた。


 「この人を警察署まで届けて下さい!」


 「えっ!? どうしてその人を?」


 マズイ、犯人の臭いが近付いて来た!


 身体を反転させて、さっき出て来た路地に向かってセミオートでテンポよく撃つ。


 「その人追われているから、早く乗せてこの場から去って! そして警察署に保護して貰って!」


 「わ、わかった!」


 タクシーの運転手さんはそう言うと、後部座席のドアを開いた。


 「先生乗って!」


 「わかった」


 先生がタクシーに乗ったのを確認したら、すぐに閉めた。


 「車を出して!」


 「えっ!? キミは?」


 「いいから出して! 早く!」


 僕がそう言うと、タクシーの運転手さんは わかった。死ぬんじゃないぞ! と言って車を出してくれた。


 筒城先生が窓越しに紫音を心配そうな顔で見ていたが、紫音は犯人の相手をする事に集中していたので気付いていなかった。


 「こちら紫音、タクシーの運転手に筒城先生を警察署へ向かわせました!」


 『こちらオズマ。了解、お前さんが通って来た道から天野達と共に向かっている!』


 なるほど、犯人を挟み撃ちにする作戦だね。


 「了解。犯人はAKにドラムマガジンを付けていて、長引き(※トリガーを引いたまま撃ち続ける事を言う)するタイプなので気を付けて下さい!」


  そう言った後に犯人がこっちに向かって来ないように、 H&K UMP45 を構えてセミオートで撃ち込んだ。


 『了解。紫音、もうすぐ着くから耐えろ。通信アウト』


 これが撃ち終わったら残りは後1本。セカンダリーにリボルバー を持っているけど、大丈b・・・・・・いや、何とかするしかない。


 犯人に向かって撃っている途中で弾切れを起こしたので、素早く物陰に隠れて手早く装填する。


 「何処に行きやがった! あのクソガキッ!!」


 あ、ヤバイ。犯人が大通りに出て来ちゃった。


 でもバレてないようだから、このままこっそりと撃てば・・・・・・。


 銃を構えて狙いを定めようとした瞬間、犯人はとんでもない行動に出たのだった。


 「クソッ、クソがぁっ!? うらぁぁぁああああああああああああああああああっっっ!!?」


 走っている車、建物、看板、周囲に向かって手当たり次第撃ち始めたのだ。


 「オラオラオラッ!! 筒城と一緒に姿を出しやがれ、クソチビがあああああああっ!!?」


 これじゃまるでテロじゃないか。


 逃げ惑う民衆を余所に、なおも撃ち続けるので早く止めようとしたのだが。


 「そこの男、止まりなさい!」


 何と僕の後ろから1人の警察官が犯人に向かって声を掛けたのだ。


 「なっ!?」


 「見つけたぞクソガキッ!!」


 僕はマズイと感じたので瞬時に建物の中へ入るが、パンッ!? パンッ!? S&W M360J SAKURA を犯人に向かって撃が外してしまった。


 「俺の邪魔をするなああああああっ!?」


 犯人はそう言うのと同時にけたたましい発砲音を轟かせ、警察官に銃弾を浴びせて1人は座り込み、もう1人はグッタリと動かなくなった。その瞬間をみた紫音は、トランシーバーのボタンを押して話し始める。


 「緊急事態発生! 警官が2人、犯人に撃たれ重傷負いました!」


 『何じゃと! 手当ては出来るか?』


 「犯人が近くにいて手当てが出来る状態じゃありません! 気を剃らせるのに精一杯です!」


 そう、こうしている話し合っている間にも残り1本のマガジンで、犯人と銃撃戦を繰り広げていた。


 『もう大通りに出るぞ!』


 「正面向かって3時方向の歩道に犯人がいます!」


 『見えた! 全員撃て!』


 オズマさんがそう言った瞬間、様々な銃声が聞こえて来た。多分オズマさん達が犯人に向かって撃っているんだろう。


 「クソがっ!?」


 犯人が道路に飛び出した途端に車に轢かれそうになり、運転手がドアウィンドウから身を乗り出して怒鳴り出す。


 「おいテメェ、いきなり道路に飛び出して来るなんて危ねぇじゃねぇか! 早くそこを・・・・・・」


 言葉の途中で銃を持っている事に気付いたが、時すでに遅し。犯人は銃を構えながら運転手に近づく。


 「降りろ!」


 「へ、あ・・・・・・」


 「降りろっつてんだよ、ぶっ殺すぞ!」


 「ヒッ、ヒイィッ!!?」


 運転手は助手席に乗っていた人と共に車を飛び降り、代わりに犯人が乗って車を発進させた。


 「タイヤを狙え!」


 天野さんの掛け声と共にオズマさん達は犯人の乗った車を撃つが、走り去られてしまう。天野さんはその走り去る見つめながら、 チッ!? と舌打ちをした後にリトアさんと共に警官の側にいた僕のところまで来た。


 「無事か紫音?」


 「はい、僕は大丈夫です。でもUMP45の残弾数が少ないので、犯人を追えそうにないです。それに警官が・・・・・・」


 片方は両方の太ももを撃たれていて、もう片方は腹部に2発、胸部に1発計上半身に3発受けて重傷を負っている。


 「オズマ、犯人の方は任せた! 俺達はコイツらの応急処置をする!」


 「わかった! 2人共、車を取りに行くぞ!」


 オズマさんは神崎さんとリガードさんを引き連れて来た道を戻って行く。


 「リトア、お前は救急車の手配を!」


 「ええ」


 「紫音は足をやられたヤツの応急処置をしろ! 重傷の方は俺がやる!」


 「わかりました!」


 脚を撃たれた人を横にさせ、応急処置を始める。


 「俺の、俺のフーガちゅぅぁああああああんっ! カムバァァァアアアあああアあアアああっッック!!?」


 「アニキ待つッスよぉ〜〜〜ッ!?」


 紫音達は見崎が愛車を追い掛けようとしている事に、気付いていなかった。

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