東京PMC’s
朝食を取る紫音
 紫音が部屋に篭ってしまった翌日の朝、リュークは台所で朝ごはんを作っていて、天野はイスに座って新聞紙を読んでいる。そのテーブルを挟んだ反対側でリトアがいるが、何処となく重い雰囲気を身体から発している。
 「ねぇアマノ」
 「ん」
 「シオンくん大丈夫かしら?」
 「さぁな」
 その言葉を聞いたリトアはイラッと来たのか、新聞紙を潰すようにして下げる。すると天野は、 あっ!? と声を漏らす。
 「あのね。私がアマノに聞きたいのは一つ、シオンくんをどうしたいの?」
 「どうしたいのか? 俺はアイツがどうしたいかで、どうするか決める」
 「ふざけないで!」
 リトアは天野が持っている新聞紙を握りつぶして立ち上がった。
 「アンタはあの子を引き取ったんだから、面倒を見るのは当然でしょ!」
 「いや、俺はアイツ引き取ったつもりはない」
 「じゃあどうしてここに住まわせてるのよ!」
 「俺はアイツを雇った。ただそれだけだ」
 「・・・・・・何よそれ」
 天野の言った言葉に納得がいかない。と言いたそうにリトアは睨む。
 「俺は例え子供でもタダで住まわせるほど、お人好しじゃねぇよ」
 「だからと言って銃を持たせるなんて」
 「世界にはアイツぐらいの歳で、銃を持っているのがゴロゴロいるだろう。シオンもその内の1人だ」
 「最低ねアナタ」
 「人を殺めている時点で、最低な人間だろう。違うか?」
 険悪なムードの中、扉が開いた。天野とリトアの2人はその音に反応して、そちらに顔を向けると目を見開いた。何故ならそこには紫音が立っていたのだから。
 「おはようございます!」
 「ああ・・・・・・おはよう紫音」
 「えっとぉ・・・・・・おはようシオンくん」
 紫音は間の抜けた返事をする2人に近づくと、思いっきり頭を下げた。
 「昨日は本当にすみませんでした!」
 驚きを通り越して惚けてしまっている2人に対して、紫音は頭を上げて話しだす。
 「あの・・・・・・自ら進んでPMCになったのに、あんな事で辞めたくなってしまったのは、その・・・・・・自分の認識が甘かったというか、覚悟がなかったせいです。ゴメンなさい。
 それで、PMCとして活動して僕を支えてくれた父親を思いだしてみると、僕はその・・・・・・まだ始めたばかりなのに、弱気になってしまっていて、その・・・・・・父親と違って情けないなと思いました」
 「それで、シオンくんはこれからどうして行きたいの?」
 天野とリトアは料理を持って来たリュークの言葉を聞いた瞬間、ハッ!? と我に返ったようすを見せる。
 「これからもPMCとして活動していきます! だからここに置いて貰えませんか。お願いします!」
 天野さん達に向かって頭を深く下げた。
 「・・・・・・そうか。わかった」
 天野さんはそう言うと僕の側まで近づいて、頭をポンポンとしてから撫でて来た。
 「まぁお前がそう言うんなら、ここに居て構わない。ただ一つだけ覚えておけよ。俺はお前が思っているほど、お前に期待していない事をな」
 天野さんはそう言うとテーブルへ戻り、クシャクシャになった新聞紙を広げて読みだす。
 「で、リトアくん。シオンはああ言ってるけど?」
 「ねぇ、シオンくん」
 リトアさんは心配しているのかどうかわからないけど、とても悲しそうな顔で僕を見つめてくる。
 「アナタは本当にそれでいいの?」
 「もう決めたので、心配しなくても大丈夫です」
 僕の言葉を聞いたリトアさんは、何も言わずに目を瞑った。
 「・・・・・・そう、わかった。私もこれ以上何も言わないわ。こっちに来てご飯を食べましょう」
  リトアさんはそう言うと隣の席を引いてポンポンと叩くが、お腹がスゴく減っていたのを思い出して、グゥ〜〜〜・・・・・・。っとお腹が鳴ってしまった。
 「ああそっか。シオンくん昨日の夕飯から何も食べてなかったね」
 「・・・・・・はい」
 恥ずかしいと思いながら答えると、天野さん達はクスクスと笑い出した。
 「遠慮せずに食べてね。それと足りなかったら言ってね、すぐに作ってあげるから」
 「はい。いただきます」
 そう言ってから、目の前に置かれた朝食を食べ始める。彼自身は食べる事に夢中になっていて気づいてないが、天野達はその姿を微笑ましく見つめていた。
 「あっ! そうだ。今日も孤児院へ行かないといけないんですよね?」
 「ああ、そうだな」
 「今思い出したんですが、昨日孤児院の子供を連れ去ろうとしていた夫婦がいたんですけど、その人達の事をPMC協会の方で調べて貰えますか?」
 「ああ〜、確かそんな事あったって言ってたなぁ。
 その件については、サラの方で動いているから安心しろ。その夫婦が今後あの孤児院に行かないように、釘を刺してくれるだろう」
 「ありがとうございます。天野さん!」
 よかった。田端さんにあの夫婦の事は、PMCの方で対処しているから安心していいですよ。って伝えてられる。
 「お礼ならサラに言え。俺は何もしていない」
 天野さんが面倒くさそうな顔で言う中、僕はコーヒーが入ったコップに口を付ける。
 「そういえば、あの3人の事で進展あったの?」
 「ああ、どうやら潜伏している場所に見当が付いたらしい」
 「そうなの、後は居場所を絞り込んでいけばいいって感じなのね」
 「そうだな。それと、捕まえに行く時は俺達も呼ばれる可能性があるかもしれないからな、覚えておけよ」
 「ええ」
 えっ!? 居場所? 捕まえに行く? ひょっとしてぇ・・・・・・。
 「あの、リトアさん」
 「ん、何かしら?」
 「さっきの会話って、もしかして僕を襲って来た人達の事ですか?」
 「そうよ。シオンくんが部屋で寝込んでる間に、本部から逃げられたって情報が来たのよ」
 やっぱりそうなんだ。まだ生きてるって事は、また襲われる可能性があるって事だよね。
 「あの、天野さん」
 「ん? 何だシオン」
 「その・・・・・・M&P R8(M&P M327 R8)を携帯していていいですか? また襲われた時の為に」
 またあんな風に襲われると思うとゾッとするし、何よりも相手も僕に護衛がいる事がわかっていると思うから、今度襲われた時は自分自身で身を守らないといけないと考えている。
 「ダメだよ。子供達が銃に興味を持ったら危ないからね」
 「そうですけどぉ〜・・・・・・じゃあリュークさん。また襲われた時どうすればいいんですか?」
 昨日はたまたま側にスポーツカーがあったからよかったんだけれども、次はどんなところで襲われるかわかったものじゃない。
 「護衛にキミの銃を渡しておくから、戦闘になったら受け取って」
 「受け取るまで丸腰って事ですよね?」
 「まぁそうなるね。でも今回はレベルⅢのプレートを入れた防弾ベストを着用させてあげるから、安心して」
 「えぇ〜・・・・・・」
  「不満かい?」
 レベルⅢの防弾プレートなら7.62×51mm弾を身体に撃たれても貫通しないけど絶対に骨が折れるし、腕とか腰プレートが覆ってない場所は無防備だから安心出来ないよ。
 「まぁお前自身が気を付けていればいいだろう」
 「そうね、シオンくん。常に警戒を怠らないようにね」
 「リトアさんまで天野さんみたいに言わないで下さいよぉ〜」
 情けない声でそう言っていると、リトアさんは自分自身の方へ僕を抱き寄せてから頭を撫で来る。
 「そうね。私自身、アナタなら大丈夫だって信じているから」
 「リトアさん・・・・・・」
 「それに、さっきPMCを続けるって自分で言ったんだから、囮役ぐらいこなして貰わないと困るわ」
 「えぇっ!?」
 確かに僕はPMCを続けさせて下さい。って言ったけど、囮役は恐くてやりたくないよっ!
 「まぁ何にせよだ。護衛は昨日よりも厳重にしているから、昨日と違ってすぐに飛び出てくれるから安心しろ」
 「うぅ〜・・・・・・わかりました! 覚悟を決めます」
 もうこうなってしまったんだから、やるしか選択肢がない。
 「それでいい。ボディーアーマーを付けてやるから、ちょっと来い」
 天野さんはそう言うと、壁に立て掛けてあったボディーアーマーを手に取り、手招きして来る。
 「・・・・・・はい」
 そう返事をすると天野さんの元へ行き、そしてボディーアーマーを付けて貰ったのだった。
 「ねぇアマノ」
 「ん」
 「シオンくん大丈夫かしら?」
 「さぁな」
 その言葉を聞いたリトアはイラッと来たのか、新聞紙を潰すようにして下げる。すると天野は、 あっ!? と声を漏らす。
 「あのね。私がアマノに聞きたいのは一つ、シオンくんをどうしたいの?」
 「どうしたいのか? 俺はアイツがどうしたいかで、どうするか決める」
 「ふざけないで!」
 リトアは天野が持っている新聞紙を握りつぶして立ち上がった。
 「アンタはあの子を引き取ったんだから、面倒を見るのは当然でしょ!」
 「いや、俺はアイツ引き取ったつもりはない」
 「じゃあどうしてここに住まわせてるのよ!」
 「俺はアイツを雇った。ただそれだけだ」
 「・・・・・・何よそれ」
 天野の言った言葉に納得がいかない。と言いたそうにリトアは睨む。
 「俺は例え子供でもタダで住まわせるほど、お人好しじゃねぇよ」
 「だからと言って銃を持たせるなんて」
 「世界にはアイツぐらいの歳で、銃を持っているのがゴロゴロいるだろう。シオンもその内の1人だ」
 「最低ねアナタ」
 「人を殺めている時点で、最低な人間だろう。違うか?」
 険悪なムードの中、扉が開いた。天野とリトアの2人はその音に反応して、そちらに顔を向けると目を見開いた。何故ならそこには紫音が立っていたのだから。
 「おはようございます!」
 「ああ・・・・・・おはよう紫音」
 「えっとぉ・・・・・・おはようシオンくん」
 紫音は間の抜けた返事をする2人に近づくと、思いっきり頭を下げた。
 「昨日は本当にすみませんでした!」
 驚きを通り越して惚けてしまっている2人に対して、紫音は頭を上げて話しだす。
 「あの・・・・・・自ら進んでPMCになったのに、あんな事で辞めたくなってしまったのは、その・・・・・・自分の認識が甘かったというか、覚悟がなかったせいです。ゴメンなさい。
 それで、PMCとして活動して僕を支えてくれた父親を思いだしてみると、僕はその・・・・・・まだ始めたばかりなのに、弱気になってしまっていて、その・・・・・・父親と違って情けないなと思いました」
 「それで、シオンくんはこれからどうして行きたいの?」
 天野とリトアは料理を持って来たリュークの言葉を聞いた瞬間、ハッ!? と我に返ったようすを見せる。
 「これからもPMCとして活動していきます! だからここに置いて貰えませんか。お願いします!」
 天野さん達に向かって頭を深く下げた。
 「・・・・・・そうか。わかった」
 天野さんはそう言うと僕の側まで近づいて、頭をポンポンとしてから撫でて来た。
 「まぁお前がそう言うんなら、ここに居て構わない。ただ一つだけ覚えておけよ。俺はお前が思っているほど、お前に期待していない事をな」
 天野さんはそう言うとテーブルへ戻り、クシャクシャになった新聞紙を広げて読みだす。
 「で、リトアくん。シオンはああ言ってるけど?」
 「ねぇ、シオンくん」
 リトアさんは心配しているのかどうかわからないけど、とても悲しそうな顔で僕を見つめてくる。
 「アナタは本当にそれでいいの?」
 「もう決めたので、心配しなくても大丈夫です」
 僕の言葉を聞いたリトアさんは、何も言わずに目を瞑った。
 「・・・・・・そう、わかった。私もこれ以上何も言わないわ。こっちに来てご飯を食べましょう」
  リトアさんはそう言うと隣の席を引いてポンポンと叩くが、お腹がスゴく減っていたのを思い出して、グゥ〜〜〜・・・・・・。っとお腹が鳴ってしまった。
 「ああそっか。シオンくん昨日の夕飯から何も食べてなかったね」
 「・・・・・・はい」
 恥ずかしいと思いながら答えると、天野さん達はクスクスと笑い出した。
 「遠慮せずに食べてね。それと足りなかったら言ってね、すぐに作ってあげるから」
 「はい。いただきます」
 そう言ってから、目の前に置かれた朝食を食べ始める。彼自身は食べる事に夢中になっていて気づいてないが、天野達はその姿を微笑ましく見つめていた。
 「あっ! そうだ。今日も孤児院へ行かないといけないんですよね?」
 「ああ、そうだな」
 「今思い出したんですが、昨日孤児院の子供を連れ去ろうとしていた夫婦がいたんですけど、その人達の事をPMC協会の方で調べて貰えますか?」
 「ああ〜、確かそんな事あったって言ってたなぁ。
 その件については、サラの方で動いているから安心しろ。その夫婦が今後あの孤児院に行かないように、釘を刺してくれるだろう」
 「ありがとうございます。天野さん!」
 よかった。田端さんにあの夫婦の事は、PMCの方で対処しているから安心していいですよ。って伝えてられる。
 「お礼ならサラに言え。俺は何もしていない」
 天野さんが面倒くさそうな顔で言う中、僕はコーヒーが入ったコップに口を付ける。
 「そういえば、あの3人の事で進展あったの?」
 「ああ、どうやら潜伏している場所に見当が付いたらしい」
 「そうなの、後は居場所を絞り込んでいけばいいって感じなのね」
 「そうだな。それと、捕まえに行く時は俺達も呼ばれる可能性があるかもしれないからな、覚えておけよ」
 「ええ」
 えっ!? 居場所? 捕まえに行く? ひょっとしてぇ・・・・・・。
 「あの、リトアさん」
 「ん、何かしら?」
 「さっきの会話って、もしかして僕を襲って来た人達の事ですか?」
 「そうよ。シオンくんが部屋で寝込んでる間に、本部から逃げられたって情報が来たのよ」
 やっぱりそうなんだ。まだ生きてるって事は、また襲われる可能性があるって事だよね。
 「あの、天野さん」
 「ん? 何だシオン」
 「その・・・・・・M&P R8(M&P M327 R8)を携帯していていいですか? また襲われた時の為に」
 またあんな風に襲われると思うとゾッとするし、何よりも相手も僕に護衛がいる事がわかっていると思うから、今度襲われた時は自分自身で身を守らないといけないと考えている。
 「ダメだよ。子供達が銃に興味を持ったら危ないからね」
 「そうですけどぉ〜・・・・・・じゃあリュークさん。また襲われた時どうすればいいんですか?」
 昨日はたまたま側にスポーツカーがあったからよかったんだけれども、次はどんなところで襲われるかわかったものじゃない。
 「護衛にキミの銃を渡しておくから、戦闘になったら受け取って」
 「受け取るまで丸腰って事ですよね?」
 「まぁそうなるね。でも今回はレベルⅢのプレートを入れた防弾ベストを着用させてあげるから、安心して」
 「えぇ〜・・・・・・」
  「不満かい?」
 レベルⅢの防弾プレートなら7.62×51mm弾を身体に撃たれても貫通しないけど絶対に骨が折れるし、腕とか腰プレートが覆ってない場所は無防備だから安心出来ないよ。
 「まぁお前自身が気を付けていればいいだろう」
 「そうね、シオンくん。常に警戒を怠らないようにね」
 「リトアさんまで天野さんみたいに言わないで下さいよぉ〜」
 情けない声でそう言っていると、リトアさんは自分自身の方へ僕を抱き寄せてから頭を撫で来る。
 「そうね。私自身、アナタなら大丈夫だって信じているから」
 「リトアさん・・・・・・」
 「それに、さっきPMCを続けるって自分で言ったんだから、囮役ぐらいこなして貰わないと困るわ」
 「えぇっ!?」
 確かに僕はPMCを続けさせて下さい。って言ったけど、囮役は恐くてやりたくないよっ!
 「まぁ何にせよだ。護衛は昨日よりも厳重にしているから、昨日と違ってすぐに飛び出てくれるから安心しろ」
 「うぅ〜・・・・・・わかりました! 覚悟を決めます」
 もうこうなってしまったんだから、やるしか選択肢がない。
 「それでいい。ボディーアーマーを付けてやるから、ちょっと来い」
 天野さんはそう言うと、壁に立て掛けてあったボディーアーマーを手に取り、手招きして来る。
 「・・・・・・はい」
 そう返事をすると天野さんの元へ行き、そしてボディーアーマーを付けて貰ったのだった。
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