クラス転移したけど私(俺)だけFPSプレイヤーに転生

青空鰹

第38話

 神のなり損ないが砦のてっぺんから俺達を見下ろしていた。そしてなにを考えているのか分からないが、膝を曲げた。

 もしかして、飛び降りて来る気なのか?

 案の定俺達に向かって飛び降りて来た。

 「みんな散って!」

 俺の言葉に反応して、その場から離れると俺が居た場所に神の出来損ないが降りるが、威力があったのか足が埋まった。

 なんつう威力だよ!

 そんな事を思いながらも IWI ACE32 を神の出来損ないに向けて構えると、バンッ!? バンッ!? バンッ!? とセミオートで三発撃った!

 「〜〜〜ッ!!?」

 三発共当たり、ダメージを感じているのか痛そうな態度を見せる。

 「【アイススピア】!」

 伊織ちゃんも氷の槍を作り出し、それを飛ばして神の出来損ないの身体に突き刺した!

 「ヌグッ!?」

 この攻撃も効いたのか蹲った。

 「これでも喰らいなさい!」

 美羽さんはそう言いながら走り込み、神の出来損ないの身体に槍を突き刺した!

 「ガァッ!?」

 神の出来損ないが顔を上げたその瞬間、大輝くんが身体を斬りつけた!

 「グガッ!?」

 今度は仰向けになって倒れた。

 「土よ我が敵を押し潰す塊となれ! 【ストーンプレス】!」

 仰向けになっている神の出来損ないを大岩で押し潰した!

 「これでどうかしら!」

 まさかリヴァイスが加勢してくれるとは・・・・・・罠? いやそんな事はないか。

 「・・・・・・やったか?」

 「「「あっ!?」」」

 大輝くん、言っちゃったよ。

 「あ〜、フラグ立てちゃった」

 「大輝、散々バトルものを読んでいたのに・・・・・・」

 「あんまりそういったのを読まない私でも、分かっていた事なのにぃ〜」

 「え? エルライナ。フラグと言うのはなんだ? なにかの呪いなのか?」

 あっ!? と言いたそうな顔をしている大輝くんを無視してリヴァイスの方に顔を向ける。

 ああ、リヴァイスは知らなかったのか。

 「フラグっていうのは・・・・・・」

 ピシッ!?

 ん? 今音がした気がする。

 音がした方に顔を向けて見ると、リヴァイスが落とした大岩に亀裂が走っていた。

 「本とかの物語であの言葉を言ったら、こんな風な展開が待ち受けているものがフラグなの!」

 「え、ええ・・・・・・今理解したわ」

 大岩が破れた瞬間、神の出来損ないがフラフラになりながら立ち上がった。

 「キサマらだけでもぉ〜・・・・・・意識がある内に殺してぇ〜・・・・・・」

 そう言って手をかざしてくる神のなり損ないだが、俺の方はあるワードが引っかかった。

 意識がある内に?

 「もしかしてあの人、意識を失いかけている?」

 そう言った瞬間、 炎の塊が飛んで来たのでそれを避けた。

 「ああ、ヤハンが作った寄生体がアイツを乗っ取ろうとしているのかもな。でもその前に、私は滅びた王国の為にあの人を討つ!」

 リヴァイスはそう言うとナイフを構えた。

 「剣で戦わないの?」

 「砦の中に置いて来ちゃったのよ!」

 ああ、そういう事か。

 そんな事を思っていたら、神の出来損ないが俺の方に向かって走って来た。

 考えなしの特攻みただな!

 そう思いながら神の出来損ないを避けるとACE32を構え、身体に銃弾の雨を浴びせた。

 「アッ・・・・・・ガァアアアッ!?」

 神のなり損ないはそう言いながら、こっちに向けて手をかざした瞬間、薄い幕のような半球体を作り出した。

 伊織ちゃんと同じ結界を張ったのか?

 しかしその結界は7.62×39mm弾を防げく事が出来ず、銃弾が通る度に穴が空いていく。
 しかも貫通した弾の数発は神の出来損ないの身体に当たっていて意味がない。

 「ア、グァ!?」

 相手はもう手立てがなくて必死になっているのか?

 そう思いながらACE32のマガジンを新しい物に入れ替え、神のなり損ないに向けて構える。

 「ゥゥゥゴァァァアアアアアアアアアアアアッ!!?」

 神のなり損ないは雄叫びの様な叫び声を上げながら、こっちに向かって来るが足下がおぼつかない。

 「・・・・・・もうヤツは限界だ」

 「どういう事だ?」

 「いくら神に近しい肉体を持っていても、寄生された上に身体を酷使したから、限界寸前なんだ。
 魔核に寄生されてから、ここまで戦えたのが奇跡なぐらいよ」

 言われてみれば、確かにそうかもしれない。

 そんな事を思っていると神のなり損ないの腕から太い管は数本伸びた出て来て、その腕を振るい上げると俺達に向かって振り下ろそうとして来た。

 ダンジョンで戦ったバケモノと同じ戦法か!

 その攻撃を素早く避けると、反撃と言わんばかりに ACE32 を構えてフルオートで撃つ。

 「オッ、ゴォ!?」

 神のなり損ないの身体に4〜5発ほど当たり、膝を着いたところに大輝くんが伸びた管を剣でぶった斬った!

 「うぉぉぉ・・・・・・」

 バランスを崩した神の出来損ないは、地面に膝を着いてしまった。

 「うっ・・・・・・ォォォオオオオオオッ!!?」

 神の出来損ないはそう叫ぶと管を再生させた。そしてその再生させた管を今度は横に振り回して来たので避けようとしたのだが、 管に ACE32 が引っかかってしまいそのまま投げ飛ばされてしまった。

 「しまった!?」

 避けきれなかった!

 そう思いながらも、ホルスターから JERICHO941PSL を引き抜き構えたのだが、神の出来損ないの振り回す攻撃がすぐそこまで来ていた。

 「危ない! 【ロックウォール】」

 伊織ちゃんが俺の目の前に岩壁を作ってくれたお陰で、神のなり損ないの攻撃を防ぐ事が出来た!

 「ナイス伊織ちゃん!」

 「ん! 早く反撃して!!」

 伊織ちゃんの言葉を聞いた俺は神のなり損ないに向けて JERICHO941PSL を構え、三発連続で撃った! その三発撃った内の一発が額に当たり、今度は両膝を着いた。

 「おっ、おがが・・・・・・」

 身体を痙攣させている神のなり損ない。そんな中、胸の中央に赤く光る怪しい球が出て来たのだ。

 「あれって、もしかして」

 「魔核だ! あの人が限界に達したから出て来たのよ!」

 やっぱり! 今までよりも大きいって事は、それだけの力を保有していたって事だよな。

 「今の内に魔核を壊すんだ! じゃないとあの身体を乗っ取って暴れ出すわよ!」

 「あ、うん!」

 そう言っている内に魔核が神のなり損ないの身体から出て来て、頭のてっぺんへと移動する。

 寄生しやすい箇所に移動しているのか!

 「氷よ、全てを凍てつかせる息吹となれ! 【ブリザード】!」

 リヴァイスの放った吹雪が神のなり損ないに当たり、魔核ごと凍らせる。

 「魔核は凍っても生きているぞ! 早く止めを刺せっ!!」

 「りょ、了解! 大輝くんお願い!」

 「任せてください!」

 大輝くんはそう返事をすると、凍っている魔核に近づき、真っ二つに切り裂いた!

 「やった!」

 「いや、まだ! 生きてる!!」

 そう、敵のマークがレーダーに映っているのだ。しかも敵マークが二つに別れているので、もしかしたら真っ二つになった魔核が別々で行動する危険性がある。

 「片方は私がやるから、もう一方はお願い!」

 俺はそう言うと地面に落ちている魔核に照準を合わせ、JERICHO941PSL 数発撃って魔核を粉々に砕いた。

 「ハァァァアアアアアアッッッ!!?」

 美羽さんが残った方の魔核に槍を素早く突き刺すと、爆発する様な形で粉砕した。

 「・・・・・・敵の反応が消えた。私達が勝ったんだぁ!!」

 「いや、まだよっ!!」

 リヴァイスの一言で、喜ぼうとしていた大輝くん達の動きが止まってしまった。

 「まだヤツが残っている!」

 リヴァイスがそう言って指をさす方向に目を向けると、凍った神のなり損ないがいた。

 そうだった! アイツがまだいたんだっ!!

 俺と大輝くん達は武器を構えて戦闘態勢に入ったのだが、神のなり損ないの身体がまるで燃え尽きた灰の様に真っ白になると、そのまま崩れてなにもなくなってしまった。

 「あっ!?」

 灰になって消えてった・・・・・・これってもしかして。

 「ああ、これで私の復讐は終わったわね」

 リヴァイスの一言で、神のなり損ないが死んだのを悟る俺達であった。

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