クラス転移したけど私(俺)だけFPSプレイヤーに転生

青空鰹

第23話

 オークと交戦し、魔物の死体処理も終えた俺は怪我をした人の処置に回っていた。

 「・・・・・・これで良し。しばらくの間は安静にしていてください」

 「ありがとうございます」

 お礼を聞いてから、隣りの怪我人に移る。

 擦り傷は放っておいて大丈夫だけど、左腕のウルフに噛まれたをなんとかしないとダメだな。

 「一応傷口を塞ぐから針と糸を使います。感染症を起こす可能性があるので・・・・・・」

 「あの、エルライナさん。後は私達がやります」

 「え?」

 医療班がこっちにやって来てたみたい。

 「あ、それじゃあお任せします」

 そう言って席を立つと、テントの外へと出る。

 「エルライナ。そっちの方はどう?」

 「手伝っていたんですけど、医療班に追い出されちゃいました。そっちの方はどうですか?」

 「魔物の仕分けの方は終わったわよ。警戒しているエイミーとネネって子の方は、暇しているみたいよ」

 まぁさっき戦闘が終わったのだから、暇になっても仕方ないよなぁ。

 「エイミー達もさっきの戦闘は不完全燃焼だったみたい。だから魔物を見掛けたら、全力で狩ってるのよ」

 お、おう・・・・・・全力で戦う姿を想像出来ないな。

 「それとネネって子も魔物を全力で狩ってるわよ。エイミーと同じ様にね」

 ゴメンよ二人共、俺のせいで不完全燃焼してたんだね。

 「お姉様!」

 噂をすればなんとやら。ネネちゃんが手を振って来るんだけど、服が返り血だらけだから引いてしまう。

 「ネネちゃん。頑張ったね」

 「えへへ〜」

 笑顔を向けているけど、ちょっとグロっぽいし臭うよ。

 「ねぇ、その返り血を洗って来なさい。エルライナが引いているわよ」

 「あ、そうでしたね! ちょっと向こうで洗って来ますね!」

 ネネちゃんはそう言うと、テントの裏に設営した仮の洗い場へと向かった。

 「あれ? 彼女が帰って来たんならエイミーさんは?」

 「エイミー様でしたら、まだ敵がいないか偵察をしていますよぉっ!!」

 テントの裏から聞こえて来るネネちゃんの言葉に、呆れた顔になってしまう。

 狩りに行っているって言った方が合っていそう。

 「ねぇエルライナ。エイミーのところに様子見に行かない?」

 「う〜ん・・・・・・そうしましょうか」

 なにしているのか心配だしな。

 「何処にいるのか分かりますか?」

 「向こうの方を警備をしていたから、多分そっちの方にいるんじゃない?」

 ミュリーナさんと共にエイミーさんがいる場所へと向かうと、周囲の警戒をしている魔国の兵士達から少し離れた場所で、エイミーさんが剣の素振りをしているのが見えた。

 「なにをしているんですか、エイミーさん?」

 「なにって、ちょっと暇していたから素振りしていたのよ」

 素振りって。

 「エイミーさん。ここは安全な場所じゃないんですから、止めてください」

 「安全じゃないって、あれだけモンスターを倒したのだから、もう来ないと思うわよ」

 「・・・・・・そうなんですか?」

 ミュリーナさんに話題を振ったら、え? なんで私に聞くの? と言いたそうな顔をされた。

 「エイミー。もしかして、エルライナを当てにしてないかしら?」

 「う〜ん・・・・・・当てにしていると言うよりも、頼りにしているって言った方が合っているわよ」

 言い方を変えただけな気がする。

 「素振りしていも良いです。でも、また戦闘があるかもしれないんで、ほどほどにしてくださいね」

 「了解よ」

 エイミーさんはそう言うと、剣をしまって歩き出した。

 「どこへ行くんですか?」

 「周りを見てくるわ」

 周りを見てくるって、また狩りじゃないよな?

 なんて思ったけど、危険なら帰ってくるだろうと思ったので、行かせる事にした。

 「それにしてもエイミーがあんな風になるなんて珍しいわねぇ」

 「珍しい?」

 「ええ、もしかしたらエイミーはエルライナの役に立ちたいと思っているのかもしれないわ」

 「私の役に立ちたい?」

 どういう意味なんだ?

 「ええ、アナタってば一人で戦ってばかりいるでしょ? エイミーはエイミーでアナタと肩を並べて戦いたいと思って・・・・・・ううん、一緒に戦いたいと思っているのよ」

 「つまり、その気持ち身体に現れているって解釈で合って認知して良いんですね?」

 俺がそう言うと、ミュリーナさんは頷いて答えた。

 「う〜ん・・・・・・私の為に頑張ってくれるのは有り難いんですが、自分の命を大事にして貰いたいです」

 「アナタが言える言葉じゃないわよ」

 そう言って睨んでくるミュリーナさんに対して、反射的に目を逸らしてしまった。

 「べ、別に戦いで必死になるのは当たり前ですからぁ〜・・・・・・って、うわぁっ!?」

 隙あり! と言わんばかりに、俺の胸を掴んで揉んで来たのだ。

 「ウソを吐いているのは、このいやらしい胸かしらぁ?」

 「いやらしい胸って、やらしいのはミュリーナさんの方じゃないですかぁ!」

 「人前でこんなものを見せつけている方が悪いのよ。その胸、成敗してあげるわ!」

 ミュリーナさんはそう言うと、俺の胸を強めに揉んで来た。

 「ちょっ!? 人が見ているんで止めてくださいよ!」

 「やぁ〜よ」

 やぁ〜よ。ってそんな事を言わないでくれよ!

 揉まれている姿をチラチラと見つめて気にしてくる兵士から、ガン見している兵士までいるが、後者の方は後でお仕置きしておこうと思っている。

 「フッフッフゥ〜! やはりこの揉みごたえてのある胸は、良いものねぇ」

 「ミュリーナさん。私の胸を揉むのなら、やり返したって文句言わないですよね?」

 「言うし抵抗するわよ」

 ほうほう。やらないで欲しいとまでは言ってないから、やり返しても文句は言わないんだよな?

 「・・・・・・うりゃぁ!?」

 ミュリーナさんの隙を突いて胸を掴むと、顔を赤くして睨んで来た。

 「ふ〜ん。これがミュリーナさんの胸かぁ〜。弾力がありますねぇ〜!」

 「な、なに揉んでるのよ!」

 「揉んで来たから、そのお返しです」

 今まで自分の胸しか触った事がないから、これはこれで新鮮だなぁ。

 なんて思いながら揉んでいると、今度はTシャツの中に手を突っ込んで来た。

 「そっちがその気なら、こっちだって倍返しするわよ!」

 「やってくれますねぇ!」

 こうなったら報復してやる!

 俺はミュリーナさんの背後に回り、胸を鷲掴みにする。

 「ちょっ!? それは卑怯よ!」

 「卑怯もなにも、ミュリーナさんにやられた事をやったまでですぅ! 文句は言わせませんよぉ〜!」

 でも、こうやって人の胸を揉めるとは・・・・・・いやぁ〜、女子って良いねぇ〜!

 「止めなさい! 人が見ているでしょうが!」

 「ミュリーナさんだって止めてって言っても止めなかったから、私も止めないですぅ!」

 恥ずかしそうに抵抗するミュリーナさんが、面白くてたまらない。それにチラチラ見ていた兵士もガン見する様になった。

 ・・・・・・ん? ちょっと待てよ。もしかして俺よりもミュリーナさんの方が人気あるのか?

 「ほ、本当に反省しているから、止めて」

 「本当ですか?」

 「ほ、本当。だから止めて・・・・・・ちょうだい」

 流石にやり過ぎたかなぁ?

 そう思ったので離れてあげると、ミュリーナさんは地面に膝を着いてしまった。

 「ハァ〜、ハァ〜・・・・・・エルライナって、本当はエッチな子だったのね」

 「エッチな子に認定されてる! なんでぇ?」

 「私を人前でこんなふうにするなんて、もうお嫁に行けないわぁ〜。よよよぉ」

 ミュリーナさんはそう言うと、顔を手で覆った。

 「大袈裟ですよ」

 「大袈裟じゃないわ。私の女子力が著しく失われたもの。こうなったら、エルライナと結婚して養って貰うしかないわぁ〜。クスンッ!」

 「単に泣き真似して私に養って貰おうと思っているだけですよね?」

 「あ、バレちゃった?」

 「バレバレですよ!」

 全くこの人と来たらぁ。

 その後は、泣き真似をしていたミュリーナさんと共に臨時キャンプを見て回ったのだった。
 何人かはトイレに向かった兵士がいたみたいだけどぉ・・・・・・気にしないでいよう。

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