クラス転移したけど私(俺)だけFPSプレイヤーに転生

青空鰹

第5話

 俺と美羽さんが共同で作った おでん の方は好評だった。

 それと同時に事件が起きている。

 「それは私のハンペンだぁああああああっ!?」

 「早いもの勝ちよっ! ああっ!? そのコンニャクは私が狙ってたのにぃ!」

 「取られる方が悪い」

 「上等よっ! 私だって奪うんだから!」

 ミュリーナさんはそう言うと、鍋の中にある大根を取った!

 「大根が!」

 「早いもの勝ちって、誰が言ったっけ?」

 「・・・・・・不覚。ならば、おでん戦争を始めよう」

 俺は卵を食べながら思った。おでんにしたのは失敗だった! しかし、おでん戦争のお陰で残り物がなかった事だけは有り難いと思う。

 食事を済ませて片付けもした事ですし、ちょっとゆっくりしますかぁ。

 「お風呂に入らないの?」

 え? 美羽さんはもしかして、食べた後すぐにお風呂に入る人なの?

 「お風呂に入りますよ。休憩が終わってからですけど」

 「じゃあ、私先入って良い?」

 「洗って水も取り替えていますが、温めてないので入れる状態じゃないと思いますよ」

 この休憩時間を使って、お風呂を温めようって考えていたからねぇ。

 「温める事ぐらいは、私達の方で出来るから安心して」

 温めるって、まさか!

 「魔法で水を温めるんですか?」

 「そうよ。そっちの方が早く済むしね」

 おいおいおいおい! 魔法便利だなぁ。

 「温めるのは良いんですけど、お風呂を燃やさないでくださいね」

 「そんな事しないわよ!」

 「ある。前に宿のお風呂を借りた時に、美羽が水を熱湯にして風呂釜を・・・・・・」

 「伊織! それは昔の話でしょ!」

 そう言う割には、慌てた様子でいる美羽さん。

 「あの事件で私達がどれだけ大変な目にあったか、覚えてる?」

 「あの時は本当に申し訳ないって思っているわよ!」

 「ふぅ〜ん・・・・・・」

 伊織ちゃんがジト目で美羽さんを見つめているのに対して、美羽さんは伊織ちゃんの身体を揺らしている。

 「今は大丈夫だから! 安心して使わせて!」

 いや、俺の方に向かって言う言葉じゃねぇ?

 「まぁ、こっ酷く怒られた上に魔法の練習をしたから大丈夫」

 「実績もあるって言ってよ!」

 まぁ、それなら使わせても良いかな?

 「魔法で温めて良いんですけど。壊したらちゃんと弁償してくださいね」

 「分かってる! って言うか、大丈夫だから、そんな不安がらないでよ!」

 いや、だってねぇ。伊織ちゃんの話を聞いたら、不安になるのも当然じゃん!

 「不安に思ってませんよ。ただちょっと・・・・・・ねぇ?」

 「うん。まぁ〜・・・・・・ねぇ?」

 「お風呂屋さんに行くってのも、有りかもしれないけどねぇ?」

 「イオリと一緒に入れば?」

 「その考え、賛成」

 ナイスアイディアだよ! ミュリーナさん!!

 「みんなしてもう! 出来るので安心してください!」

 美羽はそう言うと、怒った様子でお風呂場へと向かうのだった。

 「ちょっと、からかい過ぎましたかね?」

 「大輝の方が失言が多いから、そんな事はないと思う」

 それが本当なら、大輝くんにお叱りの言葉をかけないとね。

 そう思っていたら、なんと美羽さんが半裸の状態で戻って来たのだ!

 「どうしたんですか、美羽さん。なにか忘れ物でもしましたか?」

 「どうしたもこうしたもないわ! なんで洗濯機と乾燥機が置いてあるのよっ!?」

 ああ、そういえば美羽さん達は知らなかったっけ?

 「あった方が便利なので、置いて置きました」

 そのなにが悪い? と思っていると、美羽さんに両肩を掴まれてしまった。

 「洗濯機と乾燥機が欲しい!」

 欲しいんかい!

 「あ〜、美羽さん。アナタは王宮に住んでいませんでしたっけ?」

 「そうよ!」

 「なら、侍女とかに洗濯物を頼めば良いのでは?」

 「それじゃダメなのよ! 洗濯物を全部手洗いでやるから、物によっては生地が痛むし! なによりも色ものと一緒に洗う人がいるから困るのよ! 私のお気に入りのお洋服が色移りした時は、ショックだったわぁっ!!」

 要するに、洗濯の技術が遅れているって言いたいんですね。わかったから揺らさないで欲しい。

 「王宮に置いたら、雑に扱われて、壊れると思いますよ」

 「ならエルライナみたく、お家買う! そうだ! それが一番良い!!」

 イヤイヤイヤ! ちょっと待ていっ!!

 「家を買うって大変な事ですよ! いくら掛かると思っているんですかぁっ!?」

 「家をタダで貰ったアナタが言う?」

 「うんうん」

 その話は今関係ないですよ! エイミーさんっ!!

 「それよりも、服を着るか、お風呂に入るのか、どっちかにして」

 「・・・・・・あっ!?」

 どうやら自分が半裸だって事にやっと気づいたらしいが、下着を隠さずに堂々とした様子で俺を見つめてくる。

 「とにかく、後で説明して貰うからね!」

 美羽さんはそう言うと、再びお風呂場へと向かった。

 「ねぇ、洗濯機ってどういう事?」

 「ああ〜、美羽さんが帰って来てから話をするよ」

 なんか、面倒くさそうな事が起きそう。

 そう思いながら、お茶の準備をする。

 「緑茶、飲むの?」

 「うん。伊織ちゃんも飲む?」

 「ん・・・・・・頂きます」

 伊織ちゃんの分も湯呑みに入れて、一緒に飲んで嗜む。そうそう、エイミーさん達の分入れようと思ったが、緑茶は口に合わないらしく断られた。
 なので、代わりに紅茶を出したら喜んで飲み始める。

 「ところで、伊織ちゃん達の方はどう? また強くなった?」

 「ん。強くなった・・・・・・特に大輝がやる気だから、サポートが忙しい」

 ああ〜、一人で突っ走ったりするって言ってたもんねぇ。

 「そう。伊織ちゃんも大変だねぇ」

 「エルライナの方が大変だったと思う。私達と違って、魔人と戦ったり・・・・・・無数の魔物を一人で戦ってた時もあった」

 「ああ〜、魔国の時はトウガさんや兵士達もいたから、そんなに苦労しなかったよ」

 「でも実質は一人で戦った様なものじゃん」

 「そうだったけ?」

 群がるモンスターを上から撃ち下ろして、ありったけの火炎瓶を投げ込んだだけな気がする。それで、その後はトウガさん達に任せたからなぁ〜。

 「うん。思い出してみても、魔国の兵士達のお陰な気がする」

 「謙虚ねぇ〜」

 「そういうところが、好かれる理由じゃないかなぁ?」

 当たり前の事を言っただけだと思うけど?

 「リズリナさん達の方は?」

 「ああ、うん。私達の方は、最近になって第二騎士団って名前から、グエル騎士団って名前に変更される事になったんだ」

 「えっ!? なんでグエルさんの名前が?」

 「実は、第一騎士団の解散が決定したの」

 「あの私に迷惑な事して来た第一騎士団が?」

 そう聞いたら、気不味そうに頷いた。

 マジかぁ〜!

 「第一騎士団に出資していた人達や、残っていた人達が頑張って再建しようとしたんだけど、どうやっても出来なかったのよ」

 「その様子に見かねた王様も、第一騎士団の解体を宣言を出したんだけれども、待ったって言う声が出てねぇ。
 その声を聞いて解体を待ったんだけど・・・・・・」

 「二ヶ月前に待つって言ってから、今の今まで音沙汰なしだったの。だから良い加減痺れを切らせて第一騎士団を解体したの」

 ああ〜、なるほど。二ヶ月も音沙汰なしが続いたら、流石にそうなるわな。

 「第一騎士団達はゴネにゴネたけど、賛成の多数の声に押されてね。今じゃ散り散りになっているみたいなのよ」

 まぁ解散したなら、そうなるのは当然だよな。

 「そんで、現在はグエル騎士団の他にも騎士団が必要だ。って事で、新設をしているのよ」

 「今は誰を隊長にするか、検討中みたい」

 「そっかぁ」

 リードガルムも、大変な事になっているんだなぁ。

 「ところで、美羽さんのお風呂長くない?」

 いくら女の子でも、入っている時間が長過ぎると思う。

 「ん。いつもなら、もう出て来ても良い頃」

 「みんな、上がったわよ! いやぁ〜、入浴剤まであるとはねぇ〜。最高のお家だわ、ここ!」

 なぬっ!? まさか、隠していたあれを使ったのか?

 「・・・・・・入浴剤?」

 「あっ! これはそのぉ〜・・・・・・別に隠してたわけじゃないから、そんな顔をしないで・・・・・・ね?」

 この後、尋問された上に、入浴剤を美羽さん達に渡すハメになったのだった。

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