クラス転移したけど私(俺)だけFPSプレイヤーに転生
第37話
 自分の身体を隅々まで拭いた後に、ネネちゃんの方を見つめる。
 「ネネちゃん。鼻血出ているよ」
 「ハッ!? すみません、お姉様! ってあれ?」
 自分の鼻を擦ってから手を見つめるが、鼻血を出していない事に気がつく。
 「はっは〜ん。ネネちゃん、やましい事を考えていたでしょ?」
 「そ、そんな事はありませんよ!」
 そう言うけど、今さら取りつくろったところで遅いんだよなぁ。
 「まぁでも、さっき言った通り私はネネちゃんを引き連れて、なるべく街をぶらぶらしているよ。もちろん魔人も探すから安心して」
 「承知しました。良い報告を期待していますね。お湯をそれと、お取り替えしましょうか?」
 「うん、ネネちゃんの為に取り替えてちょうだい」
 「かしこまりました」
 彼女はそう言うと、桶を持って部屋を出て行く。
 「お姉様、外に動きがありました」
 「なんだって?」
 窓の外をカーテンの裏から覗いて見てみると、なんだか分からないが隠密の動きが荒ただしいではないか。
 「なにかあったのかな?」
 「もしかして、この宿に入ろうとしているのではないでしょうか?」
 「まさかぁ、そんな事をしたら私を尾行をしているってバレる可能性が高いでしょ?  それにそんな動きの様に見えないよ」
 「言われてみれば確かにそうですね」
 それに隠密部隊の指をさしている方向が気になるな。なにをを伝えている様な感じがする。
 なのでそちらの方に目線を移して見てみると、なんと驚くべき光景が目に飛び込んで来たのだ。
 「ネネちゃん、向こうの方見て!」
 「え? ええっ!?」
 なんと岡野が取りまきを引き連れて宿に向かって来ているではないか。しかも顔をニヤニヤとさせているので、なにかを企んでいるのは間違いない。
 「最悪な状況だね」
 「お姉様、いっその事あの勇者を殺してしまった方がよろしいのではないでしょうか?」
 「今はそんな事出来ないよ」
 出来れば俺もそうしたい。だけど、今そんな事をしちゃったらこの国に恨まれるのが目に見えている。
 そう思っている内に隠密部隊の一人が慌てた様子で岡野の側までやって来て、なにかを話したのだが岡野はその人は突っぱねて宿へと向かって来た。
 「うわぁ〜、入って来ちゃったよ」
 「なにをするつもりなのですかね?」
 「エルライナ様」
 先ほど出て行った宿の子が取り替えたお湯を持って部屋へと入って来たのだ。
 「今勇者達が宿の中に入って来ました」
 「うん、それはここから見ていたから分かるよ。それで、勇者達はなんて言っているの?」
 まぁ、なにを言っているのかは大体予想が出来ているんだけどね。
 「エルライナ様に用があるみたいなのですが、我々も嫌な予感がするので会わない方がよろしいかと思っております」
 「やっぱり、アナタ達もそう思いますか」
 「はい。なので、ここで静かに待っていて下さい」
 どうやら影の人達が庇ってくれるみたいなので、お言葉に甘えようと思う。
 「分かりました。ネネちゃん。身体を拭いて貰いなさい」
 「あ、はい」
 ネネちゃんはそう返事をすると服を脱いで俺とは反対側のイスに座った。
 「では、失礼いたします」
 彼女はそう言うと布を湿らせてからネネちゃんの身体を拭き始めたが、宿の下から聞くに耐えない怒号が上まで聞こえて来た。
 「匿っているのは分かってんだぞ。って言葉は分かるけど、 出さなきゃお前、どうなるのか分かっているのか? って言う言葉は流石に通用しないだろう」
 「脅しにしては勢いがないですね」
 「あくまで予想なんだけれども、国から釘を刺されているんじゃないのかな?」
 これ以上暴れるつもりなら罪人としてお前を扱う。とか言ってさ。
 「それはあり得そうですね」
 「まぁ、私としては回れ右して帰ってくれる事を期待しているんだけどね」
 つーか、素直に帰った方が自分の身の為とは思わないのかなぁ?
 そんな事を思っていたら、 お客様、部屋の方へ行っては困りやすっ!! と言う声が聞こえた後に、ドンドンドンッ!? とドアを叩く音がして部屋に響いて来た。
 『出で来いクソ女! そこにいるのは分かってんだぞ!』
 おいおいおいおい、アイツなにを考えているんだ?
 「しかも私の部屋じゃないし」
 そう、岡野が叩いている部屋は別室で多分反対側のドアを叩いているんだと思う。
 「馬鹿ですね」
 「ホント、どうしようもない人」
 馬鹿は死んでも治らないって言う言葉があるけど、本当な気がして来た。
 俺達が呆れていると、誰かが廊下を歩く音がして来た。
 『ゲェッ!? アンタは!』
 『お前はここでなにをしているんだっ!!』
 「お、この声は」
 「騎士団長ですね」
 どうやら抜け出してここに来た事が分かっていたのかは分からないが、岡野を追ってここまで来たみたいだ。
 『なにってそのぉ〜・・・・・・エルライナさんに謝罪をしに来ました』
 『謝罪をしに来たヤツがドアを叩くかっ!! それに罵声を浴びせる声も聞こえていたぞ』
 あんなに大声を上げていたら、気づかない方がおかしいよな。
 『そのぉ〜、彼女が中々出てこなくて・・・・・・イライラしてつい』
 『ハァ〜・・・・・・そりゃ出てこないだろうな。エルライナ様がいる部屋と違う部屋を叩いているからな』
 『・・・・・・へぇ?』
 岡野のマヌケな声に笑いそうになったが、ネネちゃんも俺も泊まっている部屋がバレない様に必死に堪える。
 『もうお前のウソに付き合ってられんっ! 城に戻るぞっ!!』
 『まだ俺は、ヒィッ!?』
 今、シャキンッ!? って金属音がしたぞ。もしかして岡野に剣を突きつけているのか?
 『もしお前ら素直に戻らない場合は、傷つけても構わないと王から言われているんだ』
 『なんだって!!』
 『そんなの横暴だ!』
 『勇者を殺す気なのかよ!』
 岡野達の声が震えているのがドア越しでも分かる。
 「連れ戻す為の脅し?」
 「いえ、もしかしたら二十人もいるのだから数人減っても大丈夫じゃないのか。と考えているのではないでしょうか? ましてや街に迷惑をかけている人なら、尚更でしょう」
 つまり、これからは今までの様な生活を送れると思うなよ・・・と勇者達に脅しをかけている感じか?それが違うというのなら、“勇者の選別を始めた”のかもしれない。
 『お、脅しになんか屈しねぇぞ!』
 『・・・・・・そう思うのなら、そう思っていれば良い』
 『やれるもんならやってみろよぉっ!?』
 馬鹿、ここは素直に従って様子を見るのが普通だ!
 『そうか、では!』
 騎士団長はそう言った瞬間、駆ける音がしてすぐにドスッと言う鈍い音がした。
 『ウグッ!?』
 そのうめき声をがした後に、ドサッ!? という音と共に倒れた音がした。
 『ヒィッ!?』
 『オ、岡野が一撃でぇっ!?』
 驚いているところ悪いけどさ。
 「彼、意外と弱いよ。多分ネネちゃんでも勝てると思う」
 「そうなんですか?」
 「うん、怒らせれば動きが単調になるから、そこを突けば簡単に勝てるよ」
 俺達がそんな会話をしている中、向こうは向こうで話しが進んでいた。
 『それで、コイツの様に情けない姿を晒したのか。それとも素直に俺についてくるのか?』
 『し、従います!』
 『ついて行くので、殴らないでくださいっ!』
 根性なさ過ぎるだろ! お前らっ!!
 『よろしい。さぁ、城へ帰るぞ』
 『『は、はいっ!?』』
 彼らがそう返事をするとドタドタと足音が遠退いて行くので、窓の近くまで行き外を見つめてみると、騎士団長に担がれた岡野と、ビクビクしながら後を追う取り巻き二人がそこにいた。
「どうやら帰って行ったみたいだよ」
 「ホント、情けない人達でしたね」 
 「彼らにプライドがないから、あんなふうなんですかね?」
 「いや、彼らの根性が曲がっているから、あんなふうになんだよ」
 そう言った後にイスに座り、ストレージからスナック菓子を取り出して食べたのだった。
 「ネネちゃん。鼻血出ているよ」
 「ハッ!? すみません、お姉様! ってあれ?」
 自分の鼻を擦ってから手を見つめるが、鼻血を出していない事に気がつく。
 「はっは〜ん。ネネちゃん、やましい事を考えていたでしょ?」
 「そ、そんな事はありませんよ!」
 そう言うけど、今さら取りつくろったところで遅いんだよなぁ。
 「まぁでも、さっき言った通り私はネネちゃんを引き連れて、なるべく街をぶらぶらしているよ。もちろん魔人も探すから安心して」
 「承知しました。良い報告を期待していますね。お湯をそれと、お取り替えしましょうか?」
 「うん、ネネちゃんの為に取り替えてちょうだい」
 「かしこまりました」
 彼女はそう言うと、桶を持って部屋を出て行く。
 「お姉様、外に動きがありました」
 「なんだって?」
 窓の外をカーテンの裏から覗いて見てみると、なんだか分からないが隠密の動きが荒ただしいではないか。
 「なにかあったのかな?」
 「もしかして、この宿に入ろうとしているのではないでしょうか?」
 「まさかぁ、そんな事をしたら私を尾行をしているってバレる可能性が高いでしょ?  それにそんな動きの様に見えないよ」
 「言われてみれば確かにそうですね」
 それに隠密部隊の指をさしている方向が気になるな。なにをを伝えている様な感じがする。
 なのでそちらの方に目線を移して見てみると、なんと驚くべき光景が目に飛び込んで来たのだ。
 「ネネちゃん、向こうの方見て!」
 「え? ええっ!?」
 なんと岡野が取りまきを引き連れて宿に向かって来ているではないか。しかも顔をニヤニヤとさせているので、なにかを企んでいるのは間違いない。
 「最悪な状況だね」
 「お姉様、いっその事あの勇者を殺してしまった方がよろしいのではないでしょうか?」
 「今はそんな事出来ないよ」
 出来れば俺もそうしたい。だけど、今そんな事をしちゃったらこの国に恨まれるのが目に見えている。
 そう思っている内に隠密部隊の一人が慌てた様子で岡野の側までやって来て、なにかを話したのだが岡野はその人は突っぱねて宿へと向かって来た。
 「うわぁ〜、入って来ちゃったよ」
 「なにをするつもりなのですかね?」
 「エルライナ様」
 先ほど出て行った宿の子が取り替えたお湯を持って部屋へと入って来たのだ。
 「今勇者達が宿の中に入って来ました」
 「うん、それはここから見ていたから分かるよ。それで、勇者達はなんて言っているの?」
 まぁ、なにを言っているのかは大体予想が出来ているんだけどね。
 「エルライナ様に用があるみたいなのですが、我々も嫌な予感がするので会わない方がよろしいかと思っております」
 「やっぱり、アナタ達もそう思いますか」
 「はい。なので、ここで静かに待っていて下さい」
 どうやら影の人達が庇ってくれるみたいなので、お言葉に甘えようと思う。
 「分かりました。ネネちゃん。身体を拭いて貰いなさい」
 「あ、はい」
 ネネちゃんはそう返事をすると服を脱いで俺とは反対側のイスに座った。
 「では、失礼いたします」
 彼女はそう言うと布を湿らせてからネネちゃんの身体を拭き始めたが、宿の下から聞くに耐えない怒号が上まで聞こえて来た。
 「匿っているのは分かってんだぞ。って言葉は分かるけど、 出さなきゃお前、どうなるのか分かっているのか? って言う言葉は流石に通用しないだろう」
 「脅しにしては勢いがないですね」
 「あくまで予想なんだけれども、国から釘を刺されているんじゃないのかな?」
 これ以上暴れるつもりなら罪人としてお前を扱う。とか言ってさ。
 「それはあり得そうですね」
 「まぁ、私としては回れ右して帰ってくれる事を期待しているんだけどね」
 つーか、素直に帰った方が自分の身の為とは思わないのかなぁ?
 そんな事を思っていたら、 お客様、部屋の方へ行っては困りやすっ!! と言う声が聞こえた後に、ドンドンドンッ!? とドアを叩く音がして部屋に響いて来た。
 『出で来いクソ女! そこにいるのは分かってんだぞ!』
 おいおいおいおい、アイツなにを考えているんだ?
 「しかも私の部屋じゃないし」
 そう、岡野が叩いている部屋は別室で多分反対側のドアを叩いているんだと思う。
 「馬鹿ですね」
 「ホント、どうしようもない人」
 馬鹿は死んでも治らないって言う言葉があるけど、本当な気がして来た。
 俺達が呆れていると、誰かが廊下を歩く音がして来た。
 『ゲェッ!? アンタは!』
 『お前はここでなにをしているんだっ!!』
 「お、この声は」
 「騎士団長ですね」
 どうやら抜け出してここに来た事が分かっていたのかは分からないが、岡野を追ってここまで来たみたいだ。
 『なにってそのぉ〜・・・・・・エルライナさんに謝罪をしに来ました』
 『謝罪をしに来たヤツがドアを叩くかっ!! それに罵声を浴びせる声も聞こえていたぞ』
 あんなに大声を上げていたら、気づかない方がおかしいよな。
 『そのぉ〜、彼女が中々出てこなくて・・・・・・イライラしてつい』
 『ハァ〜・・・・・・そりゃ出てこないだろうな。エルライナ様がいる部屋と違う部屋を叩いているからな』
 『・・・・・・へぇ?』
 岡野のマヌケな声に笑いそうになったが、ネネちゃんも俺も泊まっている部屋がバレない様に必死に堪える。
 『もうお前のウソに付き合ってられんっ! 城に戻るぞっ!!』
 『まだ俺は、ヒィッ!?』
 今、シャキンッ!? って金属音がしたぞ。もしかして岡野に剣を突きつけているのか?
 『もしお前ら素直に戻らない場合は、傷つけても構わないと王から言われているんだ』
 『なんだって!!』
 『そんなの横暴だ!』
 『勇者を殺す気なのかよ!』
 岡野達の声が震えているのがドア越しでも分かる。
 「連れ戻す為の脅し?」
 「いえ、もしかしたら二十人もいるのだから数人減っても大丈夫じゃないのか。と考えているのではないでしょうか? ましてや街に迷惑をかけている人なら、尚更でしょう」
 つまり、これからは今までの様な生活を送れると思うなよ・・・と勇者達に脅しをかけている感じか?それが違うというのなら、“勇者の選別を始めた”のかもしれない。
 『お、脅しになんか屈しねぇぞ!』
 『・・・・・・そう思うのなら、そう思っていれば良い』
 『やれるもんならやってみろよぉっ!?』
 馬鹿、ここは素直に従って様子を見るのが普通だ!
 『そうか、では!』
 騎士団長はそう言った瞬間、駆ける音がしてすぐにドスッと言う鈍い音がした。
 『ウグッ!?』
 そのうめき声をがした後に、ドサッ!? という音と共に倒れた音がした。
 『ヒィッ!?』
 『オ、岡野が一撃でぇっ!?』
 驚いているところ悪いけどさ。
 「彼、意外と弱いよ。多分ネネちゃんでも勝てると思う」
 「そうなんですか?」
 「うん、怒らせれば動きが単調になるから、そこを突けば簡単に勝てるよ」
 俺達がそんな会話をしている中、向こうは向こうで話しが進んでいた。
 『それで、コイツの様に情けない姿を晒したのか。それとも素直に俺についてくるのか?』
 『し、従います!』
 『ついて行くので、殴らないでくださいっ!』
 根性なさ過ぎるだろ! お前らっ!!
 『よろしい。さぁ、城へ帰るぞ』
 『『は、はいっ!?』』
 彼らがそう返事をするとドタドタと足音が遠退いて行くので、窓の近くまで行き外を見つめてみると、騎士団長に担がれた岡野と、ビクビクしながら後を追う取り巻き二人がそこにいた。
「どうやら帰って行ったみたいだよ」
 「ホント、情けない人達でしたね」 
 「彼らにプライドがないから、あんなふうなんですかね?」
 「いや、彼らの根性が曲がっているから、あんなふうになんだよ」
 そう言った後にイスに座り、ストレージからスナック菓子を取り出して食べたのだった。
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