クラス転移したけど私(俺)だけFPSプレイヤーに転生
第32話
 彼女達は頭を抱えた状態から意を決した様子で俺を見つめて来た。
 「お願いです! もう、我々では限界なんです!」
 「なにが限界なんですか?」
 「勇者達を指導して行くのに、限界を感じているんです!」
 あの様子なら、こうなるのも当然だろうな。
 「毎日毎日問題ばかり城下町で起こして来て、指摘すれば俺は勇者だと言って反抗的な態度を取ってくる」
 「挙句の果てには・・・・・・私達に暴言を吐くわ逃げるわで、もうイヤなんですよぉ〜!」
 猫族の方はそう言いながら泣き始めてしまった。どう見ても演技じゃないだろう。
 「ハァ〜・・・・・・」
 「相当なクズの集団ですね」
 「はい、言い返す言葉もありません」
 戦士の方はそう言うと怨みが積もっているのか、拳を握り絞めた。
 「それで、アナタ達は私にこうやってお願いするのを誰にも咎められなかったのですか?」
 「はい、咎められませんでした」
 「むしろエルライナ様の元へ行き、お願いして来て欲しいと言われました」
 他の連中が押すほどかい! どんだけ切羽詰まってんだよ!
 「何度も言う様ですが、私自身やるべき事が多いので勇者達に構っている暇がありません。こうしている間にも、魔人が私を狙ってここにやってくる可能性があるのですから」
 「ま、魔人が・・・・・・」
 「こ、ここに?」
 「はい、現に昨日私の元へやって来て、話し掛けて来ましたよ」
 二人は俺の言葉に驚くと、慌てふためいていた。
 「つ、つまりこの国に魔人が侵入しているって事ですかぁ!?」
 「はい、どうやって侵入したのかは知りませんけど」
 この二人は魔人の事を話を聞いていないのか? それとも国王は混乱を避ける為に言わなかったのか? いや、おかしい。騎士とか兵士とかには知らせるはずだ。もしかして今日知らせるつもりだったのか?
 「たっ、大変だぁ!? 早く国王に知らせないとぉっ!!」
 「落ち着いてください。昨日総合ギルド長に頼んで国王に知らせる様に言いましたから」
 「そ、そうなのですか?」
 「ええ、だからそんなに慌てないでください」
 俺はそう言うと二人はピタリと動きを止めてこっちを見つめてくる。
 「それに、アナタ達は騎士でしたよね?」
 「えっ、あ・・・・・・はい」
 「でしたら、落ち着いて行動をしてください。ここぞという時にその様子なっては、国を守ろうにも守れませんよ」
 「「し、失礼しました!」」
 二人はそう言って頭を下げたのであった。仲が良いんだねぇ。
 「それはそうと、今すぐ王の元へ行った方がよろしいのですか? それともこのまま午後までゆっくりしていてよろしいのですか?」
 「午後までゆっくりしていてください。我々は部屋を出て行きます」
 「ご無礼な事をしてしまい、申し訳ありませんでした」
 「それでは、また後で会いましょう」
 彼女達は頭を下げると、部屋を出て行った。
 「さて、お話も済んだ事だし。神経衰弱を楽しみましょうか」
 「はい、お姉様!」
 ネネちゃんと一緒に神経衰弱をやったのが、一回戦目はネネちゃんの圧勝で終わってしまった。もしかしたら、俺が話している間にカードを捲って確認していた可能性がある。だって2回戦目と3回戦目は俺が勝ったんだもん! おかしいでしょ!
 そうこうして遊んでいる内にお昼前になったので早めに食事を済ませる為に食堂へ行き、昼食を取る。
 「ネネちゃん、これを食べたら馬車のところへ行こうと思っているんだけど。どうかな?」
 「そうですね、私もその方が良いと思っています」
 ネネちゃんと共に食事を楽しんだ後に、食器を戻してからマルコさんのいるカウンターへと向かう。
 「マルコさん、出かけて来ますね」
 「行って来ますぅ!」
 「エルライナはん、ネネはん、お気をつけてくだせぇ」
 マルコさんに鍵を渡して馬車の待つ宿の外へと出る。
 「皆さま、お待たせしました。国王の元へ向かいましょう」
 俺がそう言うと やっとか。 と言いたそうな顔で俺を見つめてくる。いや、長く待っていた原因はそっちが早く来たせいでしょ。
 「こちらの馬車にお乗りください」
 「かしこまりました」
 俺はスーツ姿の男性に言われた通り、ネネちゃんと共に馬車へと乗り込む。
 「出発します。揺れるのでご注意ください」
 男性はそう言うと、馬車を出発させた。
 「お姉様」
 「ん、どうしたのネネちゃん?」
 「お姉様は勇者達と会ったら、どうするつもりなのですか?」
 「どうするつもりかぁ・・・・・・とりあえず断ってから、あの敵を探そうと思っているよ」
 そう、あの魔人がここでなにをするつもりなのか、探らないといけない。
「あ、でも安心ネネちゃん。ネネちゃんを魔国に送り届けてから探し出そうと思っているから」
 「お姉様、私もお付き合いさせて頂きます!」
 真剣な眼差しそう言うネネちゃんに対して、俺はゆっくりと丁寧に説明をする。
 「ネネちゃん、アナタの仕事はこの後に完遂されていると私は思っているの」
 そう、彼女はこの国に来て勇者に会うまでのサポートだからだ。
 「いいえ、お姉様が勇者達と会っても私の仕事はまだ終わりません」
 「それはどういう意味なの?」
 「オウカ様から他にもめいを受けました。なのでお姉様がこの国で生きている限り、私はアナタの側にいます」
 俺の知らないところで、ネネちゃんに命令を下していたのか。
 「ハァ〜・・・・・・あの人の命令なら、逆らえないか」
 「はい」
 「じゃあ三つだけ約束して」
 「三つもですか?」
 そう言うネネちゃんに対して、俺は頷いてから話始める。
 「一つ目は私の事を命を掛けてでも護ろうとしない事。二つ目は敵と出会した時に無理して戦わない事。三つ目は命の危機を感じたら、私を見捨ててでも自分の命を守る事」
 「そんなっ!? 私には出来ません!!」
 「それぐらいの気持ちを持っていないと、勝てない以前に生き残れないから言っているんだよ」
 そう言った瞬間、ネネちゃんの表情が強張った。
 「一回だけ正面対決した事があるから言わせて貰うけど、相手の能力は計り知れないほど強い」
 「でもお姉様は・・・・・・」
 「それに私はあの時にドーゼムを逃した。だから彼は対私用の対策をしているはず」
 ホント、あの時悠長に生かしておいたのが仇になってしまったな。
 「そう、ですよね。お姉様が苦戦した相手ですから、強い相手ですよね」
 彼女はそう言うと、意を決した顔で俺を見つめて来た。
 「私はお姉様の言葉に約束は出来ませんが、我が国に恥じぬように戦おうと思います!」
 「・・・・・・その言葉、本気?」
 「覚悟は出来てます!」
 うん。さっきよりも良い表情をしているから、本気で言っているんだろうな。
 「分かった。でもこれだけは約束して。危なくなったら逃げて。私は笑わないし、蔑みもしないと約束するから」
 「分かりました。危なくなったら逃げる。それだけはお約束します」
 「そろそろ着きますよ」
 どうやら話し合っている間に着いたみたいだ。
 馬車の窓から外の様子を見てみると、綺麗な庭園が見えた。
 「綺麗な庭園だね」
 「そうですね。庭師の腕が良さそうですね」
 石畳を進んで行くと、訓練場らしき場所が見えた。
 「あらま、竜を飼ってるの!」
 リードガルム王国も竜舎を持っているが、竜はたったの三頭しかいないのだ。なぜかって? 竜は気性が荒くて主人を選ぶので、竜に認められた者しか背に乗れないのだ。
 しかも、種族によって食べ物を変えなければならないので面倒くさいらしい、場合によっては鉱物を食べさせなきゃいけないドラゴンもいるから食費問題もしばし起こる。
 「飛龍種を十頭って、スゴいですね! 維持にいくらかかっているのでしょうか?」
 そう、本当にそこだよ。リードガルム国王はたった三体のドラゴンの出費にあたまを悩ませているのに、十頭を飼っているこの国は、財政大丈夫なのだろうか?
 そんな事を思っていたら、馬車がゆっくりと止まった。
 「着きましたよ」
 「あ、はい」
 そう返事をしてから馬車を降りると、赤いカーペットの横にズラァーっと人が並んでいたのであった。
 「お願いです! もう、我々では限界なんです!」
 「なにが限界なんですか?」
 「勇者達を指導して行くのに、限界を感じているんです!」
 あの様子なら、こうなるのも当然だろうな。
 「毎日毎日問題ばかり城下町で起こして来て、指摘すれば俺は勇者だと言って反抗的な態度を取ってくる」
 「挙句の果てには・・・・・・私達に暴言を吐くわ逃げるわで、もうイヤなんですよぉ〜!」
 猫族の方はそう言いながら泣き始めてしまった。どう見ても演技じゃないだろう。
 「ハァ〜・・・・・・」
 「相当なクズの集団ですね」
 「はい、言い返す言葉もありません」
 戦士の方はそう言うと怨みが積もっているのか、拳を握り絞めた。
 「それで、アナタ達は私にこうやってお願いするのを誰にも咎められなかったのですか?」
 「はい、咎められませんでした」
 「むしろエルライナ様の元へ行き、お願いして来て欲しいと言われました」
 他の連中が押すほどかい! どんだけ切羽詰まってんだよ!
 「何度も言う様ですが、私自身やるべき事が多いので勇者達に構っている暇がありません。こうしている間にも、魔人が私を狙ってここにやってくる可能性があるのですから」
 「ま、魔人が・・・・・・」
 「こ、ここに?」
 「はい、現に昨日私の元へやって来て、話し掛けて来ましたよ」
 二人は俺の言葉に驚くと、慌てふためいていた。
 「つ、つまりこの国に魔人が侵入しているって事ですかぁ!?」
 「はい、どうやって侵入したのかは知りませんけど」
 この二人は魔人の事を話を聞いていないのか? それとも国王は混乱を避ける為に言わなかったのか? いや、おかしい。騎士とか兵士とかには知らせるはずだ。もしかして今日知らせるつもりだったのか?
 「たっ、大変だぁ!? 早く国王に知らせないとぉっ!!」
 「落ち着いてください。昨日総合ギルド長に頼んで国王に知らせる様に言いましたから」
 「そ、そうなのですか?」
 「ええ、だからそんなに慌てないでください」
 俺はそう言うと二人はピタリと動きを止めてこっちを見つめてくる。
 「それに、アナタ達は騎士でしたよね?」
 「えっ、あ・・・・・・はい」
 「でしたら、落ち着いて行動をしてください。ここぞという時にその様子なっては、国を守ろうにも守れませんよ」
 「「し、失礼しました!」」
 二人はそう言って頭を下げたのであった。仲が良いんだねぇ。
 「それはそうと、今すぐ王の元へ行った方がよろしいのですか? それともこのまま午後までゆっくりしていてよろしいのですか?」
 「午後までゆっくりしていてください。我々は部屋を出て行きます」
 「ご無礼な事をしてしまい、申し訳ありませんでした」
 「それでは、また後で会いましょう」
 彼女達は頭を下げると、部屋を出て行った。
 「さて、お話も済んだ事だし。神経衰弱を楽しみましょうか」
 「はい、お姉様!」
 ネネちゃんと一緒に神経衰弱をやったのが、一回戦目はネネちゃんの圧勝で終わってしまった。もしかしたら、俺が話している間にカードを捲って確認していた可能性がある。だって2回戦目と3回戦目は俺が勝ったんだもん! おかしいでしょ!
 そうこうして遊んでいる内にお昼前になったので早めに食事を済ませる為に食堂へ行き、昼食を取る。
 「ネネちゃん、これを食べたら馬車のところへ行こうと思っているんだけど。どうかな?」
 「そうですね、私もその方が良いと思っています」
 ネネちゃんと共に食事を楽しんだ後に、食器を戻してからマルコさんのいるカウンターへと向かう。
 「マルコさん、出かけて来ますね」
 「行って来ますぅ!」
 「エルライナはん、ネネはん、お気をつけてくだせぇ」
 マルコさんに鍵を渡して馬車の待つ宿の外へと出る。
 「皆さま、お待たせしました。国王の元へ向かいましょう」
 俺がそう言うと やっとか。 と言いたそうな顔で俺を見つめてくる。いや、長く待っていた原因はそっちが早く来たせいでしょ。
 「こちらの馬車にお乗りください」
 「かしこまりました」
 俺はスーツ姿の男性に言われた通り、ネネちゃんと共に馬車へと乗り込む。
 「出発します。揺れるのでご注意ください」
 男性はそう言うと、馬車を出発させた。
 「お姉様」
 「ん、どうしたのネネちゃん?」
 「お姉様は勇者達と会ったら、どうするつもりなのですか?」
 「どうするつもりかぁ・・・・・・とりあえず断ってから、あの敵を探そうと思っているよ」
 そう、あの魔人がここでなにをするつもりなのか、探らないといけない。
「あ、でも安心ネネちゃん。ネネちゃんを魔国に送り届けてから探し出そうと思っているから」
 「お姉様、私もお付き合いさせて頂きます!」
 真剣な眼差しそう言うネネちゃんに対して、俺はゆっくりと丁寧に説明をする。
 「ネネちゃん、アナタの仕事はこの後に完遂されていると私は思っているの」
 そう、彼女はこの国に来て勇者に会うまでのサポートだからだ。
 「いいえ、お姉様が勇者達と会っても私の仕事はまだ終わりません」
 「それはどういう意味なの?」
 「オウカ様から他にもめいを受けました。なのでお姉様がこの国で生きている限り、私はアナタの側にいます」
 俺の知らないところで、ネネちゃんに命令を下していたのか。
 「ハァ〜・・・・・・あの人の命令なら、逆らえないか」
 「はい」
 「じゃあ三つだけ約束して」
 「三つもですか?」
 そう言うネネちゃんに対して、俺は頷いてから話始める。
 「一つ目は私の事を命を掛けてでも護ろうとしない事。二つ目は敵と出会した時に無理して戦わない事。三つ目は命の危機を感じたら、私を見捨ててでも自分の命を守る事」
 「そんなっ!? 私には出来ません!!」
 「それぐらいの気持ちを持っていないと、勝てない以前に生き残れないから言っているんだよ」
 そう言った瞬間、ネネちゃんの表情が強張った。
 「一回だけ正面対決した事があるから言わせて貰うけど、相手の能力は計り知れないほど強い」
 「でもお姉様は・・・・・・」
 「それに私はあの時にドーゼムを逃した。だから彼は対私用の対策をしているはず」
 ホント、あの時悠長に生かしておいたのが仇になってしまったな。
 「そう、ですよね。お姉様が苦戦した相手ですから、強い相手ですよね」
 彼女はそう言うと、意を決した顔で俺を見つめて来た。
 「私はお姉様の言葉に約束は出来ませんが、我が国に恥じぬように戦おうと思います!」
 「・・・・・・その言葉、本気?」
 「覚悟は出来てます!」
 うん。さっきよりも良い表情をしているから、本気で言っているんだろうな。
 「分かった。でもこれだけは約束して。危なくなったら逃げて。私は笑わないし、蔑みもしないと約束するから」
 「分かりました。危なくなったら逃げる。それだけはお約束します」
 「そろそろ着きますよ」
 どうやら話し合っている間に着いたみたいだ。
 馬車の窓から外の様子を見てみると、綺麗な庭園が見えた。
 「綺麗な庭園だね」
 「そうですね。庭師の腕が良さそうですね」
 石畳を進んで行くと、訓練場らしき場所が見えた。
 「あらま、竜を飼ってるの!」
 リードガルム王国も竜舎を持っているが、竜はたったの三頭しかいないのだ。なぜかって? 竜は気性が荒くて主人を選ぶので、竜に認められた者しか背に乗れないのだ。
 しかも、種族によって食べ物を変えなければならないので面倒くさいらしい、場合によっては鉱物を食べさせなきゃいけないドラゴンもいるから食費問題もしばし起こる。
 「飛龍種を十頭って、スゴいですね! 維持にいくらかかっているのでしょうか?」
 そう、本当にそこだよ。リードガルム国王はたった三体のドラゴンの出費にあたまを悩ませているのに、十頭を飼っているこの国は、財政大丈夫なのだろうか?
 そんな事を思っていたら、馬車がゆっくりと止まった。
 「着きましたよ」
 「あ、はい」
 そう返事をしてから馬車を降りると、赤いカーペットの横にズラァーっと人が並んでいたのであった。
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