クラス転移したけど私(俺)だけFPSプレイヤーに転生
第26話
 「おおおおおおっ!?」
 俺は今、とても感動している。なぜかって? だって目の前に畳みが広がっていて、しかも真ん中には囲炉裏がある和室だもん。感動するに決まっている!
 畳みの上に座って、その懐かしい感触に浸っていると、後ろから笑い声が聞こえてくるが気にしない。
 「気に入って貰えたようですね。私は用があるのでお暇させて頂きます」
 「ついでに頼まれて貰っても良いかしら」
 「はい、良いですよ。ご用件は?」
 「勇者くん達と影を呼んでくれないかしら。例の別大陸の勇者の件で話し合いたいのだけれども、呼んでくれないかしら?」
 案内してくれた女性は、驚いた顔でオウカさんを見つめる。
 「我々が手に入れた情報を、帝国と彼女に渡すつもりなのですか?」
 「まぁ、将軍も会議で話すつもりだったらしいから、そんなに気にしなくて良いと思うわ。それに・・・・・・」
 オウカさんは自身の髪をかき上げて、彼女の耳元で俺に聞こえない様にして喋べる。すると彼女は目を見開き、俺を見つめてくる。
 えっ!? 俺、なにか悪い事でもした?
 「・・・・・・わかりました。勇者様方と影の者をこちらに呼んで来ます」
 「それじゃあ、よろしくね」
 すると案内してくれた人は、瞬間移動でもしたかのように姿を消したので俺はビックリしてしまう。
 「えっ!? 消えた! オウカさん、あの人もしかして影の一人?」
 「エルライナさんが想像している通り、彼女も影の1人よ。私も滅多に表に出ない彼女が来たから驚いたわ。もしかしたら、アナタの事を個人的に気になっていたのかもしれないわ」
 えっ!? 気になっていた。もしかして俺の事を・・・・・・。
 「絶対に性的な意味じゃないから、頬を赤く染めないの」
 「あ、はい。そうですか。畳みの上に寝そべってみても良いですか?」
 「どうぞ」
 許可が下りたので、うつ伏せになって畳みの匂いを堪能する。
 「ああ〜、懐かしい香りがするぅ〜・・・・・・。もしかして畳みを張り替えたばかりなんですか?」
 「そうね。一年に一度のペースで張り替えているのだけれども、今回は四ヶ国間協議会があるって事だから、急遽張り替えたらしいのよ」
 「へぇ〜、そうなんですか」
 一年に一度のペースで張り替えとなると、年末の大掃除の時に張り替える感じかな?
 「オウカ様、勇者様方をお連れいたしました。それと、例の情報もこちらの書物に書かれております」
 「ご苦労様」
 オウカさんは書物を受け取った後、大輝くん達に顔を向ける。
  「はじめまして。私は魔国クシュウで財務相に勤めているオウカ・コノエです。以後お見知りおきを」
 「ご丁寧にありがとうございます。私の名前は ミウ・イノハラ です。こちらにいるのが大輝と伊織です」
 「ダイキ・ムロク です! よろしくお願いします!」
 「イオリ・シキシ・・・・・・よろしく」
 美羽さん達はオウカさんに向かって頭を下げて挨拶をする。
 「まぁ立ち話もなんですから、そこに座ってゆっくり話し合いましょうか」
 「あ、はい。失礼します。ってエルライナさん!?」
 どうやら大輝くん達は俺が畳みの上で寝転がっているのに、気づいていなかったみたいだった。
 「みんな久しぶり、元気にしてた?」
 「はい、この通り元気ですよ! エルライナさんの方はどうだったんですか? 話で聞く限り、大変そうな感じがありましたけど?」
 「う〜ん、大輝が思っている以上に大変な目に合っていたよ」
 黒毛和牛を使ったすき焼きを、みんなに食べられるわ。メイド喫茶で働かされるわ。レンカさんが家に住み着く(?)わ・・・・・・問題だらけの出来事が起き続けていた。
 「そうですかぁ・・・・・・エルライナさんほどの方になると、多忙なのですね」
 うん、それは大輝くんの勘違いだ。多忙は多忙でも向こうから厄介ごとがくるんだぞ。なんでもかんでも引き受けちゃう俺も悪いところがあるけどさ。
 あれ、どうしてオウカさんは笑い堪えているんだろう?
 「ま、まぁ良いや。お菓子を出してあげるよ。お煎餅が良い? それともクッキーとかチョコレートが良い?」
 「すき焼きが・・・・・・食べたい」
 「え?」
 え、すき焼きって言わなかった? ソラミミダヨネ。
 「すき焼き・・・・・・作って」
 空耳じゃなかったっ!?
 「い、伊織ちゃん。すき焼きってお菓子じゃないよ! 食事だよ!」
 「うん知ってる・・・・・・でも食べたい」
 「食べたいんだ! てか誰からすき焼きの事を聞いたの?」
 そこは一番気になる。だって知り合いだけに作ってあげたんだもん。どこから情報を得たんだよ。
 「ん・・・・・・リードガルム総合ギルド長から貰った情報に・・・・・・エルライナの作ったすき焼きは美味しかった・・・・・・って書いてあったから」
 ラミュールさぁぁぁぁぁああああああんっ!!? アンタはどこまで俺を苦しめるんだああああああああああああっ!!
 「へぇ〜・・・・・・エルライナさんって、料理も出来るんだぁ〜」
 「ま、まぁ師匠が料理屋さんだったので。ってオウカさん、その手はなんですか?」
 俺の肩を掴んでニッコリしていた。嫌な予感しかしないのは気のせい?
 「後で厨房に案内してあげるからね」
 やっぱり、この人俺にすき焼きを作らせるつもりだぁぁぁぁぁああああああっ!!?
 「あ、はい。分かりました」
 そこで折れちゃうから、こうなっちゃうんだろうか?
 そう思いながら、用意された座布団に座る。
 「さて、来て早々に悪のだけれども、例の件。つまり勇者失踪について情報交換しましょうか」
 「ちょっ、ちょっと待ってください!」
 「なにか問題でもあるのかい大輝くん」
 「我々もその、帝国に召喚された勇者ですが、立場上そのぉ・・・・・・」
 なんか、歯切れが悪いなぁ。
 「大輝・・・・・・陛下から話して良いって許可貰っているから・・・・・・気にしなくても大丈夫」
 「そ、そうなのか?」
 「そうよ。私達のところに来た手紙を読んでなかったの?」
 美羽さんはそう言うと、魔法陣から手紙を取り出して大輝くんに見せる。
 「陛下から手紙が来てた!?」
 「・・・・・・今さら?」
 あらら、伊織ちゃんまでそう言うか。それはともかくとして。
 「オウカさん、その書物の内容を読んで頂けませんか?」
 「ええ、良いわよ」
 オウカさんは書物を開き目を通すと、こっちに顔を向けてくる。
 「ザックリと説明すると、今から十日前に行われた野外訓練の最中に一人姿を消したらしいのよ。
 訓練の担当に当たっていた兵士は、最初は本人が道に迷っているのか、時間を忘れているのかと思っていたけれども、いくら待っても現れないから これはおかしい。 と感じ、探したのだけれども見つからなかったみたいなの。
 今でもその訓練を行った森で行方を探してるみたい」
 「オウカさん。質問しても良いですか?」
 「ええ、良いわよ」
 「その森の面積はどれぐらいありますか? 例えば、東京ドーム一個分の広さとか、勾配が激しい場所とか」
 「え? えっと・・・・・・総合ギルドでも訓練に使われる森らしいから、そんなに広くないみたい。勾配については平坦な土地の森だから、高低差のない土地みたい。迷ったら真っ直ぐ進めば、森から出られるって感じらしいわ」
 となると、散策しやすいって考えても良いみたいだ。崖から落下した可能性は限りなく低い。
 「本人は訓練するのを嫌がっていたり、勇者として戦うのを嫌がっていたりする傾向があったとか、そういう情報はありますか?」
 「えっとぉ・・・・・・記録によると訓練を真面目に取り組んでいたみたいだから、その可能性はないと思うわ」
 「う〜〜〜ん・・・・・・そうですか」
 真面目に訓練を取り組んでいたって事は、俺を目の敵にしていたアイツらじゃないな。
 「あの、エルライナさん」
 「ん、どうしたの大輝くん?」
 「どうして土地柄や本人の訓練の話とか聞いているんですか?」
 「それはまぁ、可能性を絞り込む為に聞いたんだよ」
 俺の言っている意味が分からない。と言わんばかりに大輝くんは首を傾げる。
 「ん・・・・・・森で遭難している可能性は低いって・・・・・・エルライナは思っているんでしょ?」
 「そう、伊織ちゃんその通りだよ。その可能性はある」
 伊織ちゃんに向かってそう言うと、嬉しいのか小さくガッツポーズをする。
 「訓練を真面目に取り組んでいたって事は、真面目なタイプなのか、それとも不真面目なタイプなのか判断していたって事なの?」
 「美羽さん、その通りです」
 ウソです。アイツらかどうか絞り込みたかっただけです。ってあれ? そういえば。
 「その失踪した人の名前を言ってませんよね?」
 「あら、そうね。忘れていたわ。名前はえ〜〜〜っと・・・・・・モトヒサ。 “モトヒサ・オオノ” って名前みたいよ」
 俺はその名前を聞いて、無言のまま驚いた。
 俺は今、とても感動している。なぜかって? だって目の前に畳みが広がっていて、しかも真ん中には囲炉裏がある和室だもん。感動するに決まっている!
 畳みの上に座って、その懐かしい感触に浸っていると、後ろから笑い声が聞こえてくるが気にしない。
 「気に入って貰えたようですね。私は用があるのでお暇させて頂きます」
 「ついでに頼まれて貰っても良いかしら」
 「はい、良いですよ。ご用件は?」
 「勇者くん達と影を呼んでくれないかしら。例の別大陸の勇者の件で話し合いたいのだけれども、呼んでくれないかしら?」
 案内してくれた女性は、驚いた顔でオウカさんを見つめる。
 「我々が手に入れた情報を、帝国と彼女に渡すつもりなのですか?」
 「まぁ、将軍も会議で話すつもりだったらしいから、そんなに気にしなくて良いと思うわ。それに・・・・・・」
 オウカさんは自身の髪をかき上げて、彼女の耳元で俺に聞こえない様にして喋べる。すると彼女は目を見開き、俺を見つめてくる。
 えっ!? 俺、なにか悪い事でもした?
 「・・・・・・わかりました。勇者様方と影の者をこちらに呼んで来ます」
 「それじゃあ、よろしくね」
 すると案内してくれた人は、瞬間移動でもしたかのように姿を消したので俺はビックリしてしまう。
 「えっ!? 消えた! オウカさん、あの人もしかして影の一人?」
 「エルライナさんが想像している通り、彼女も影の1人よ。私も滅多に表に出ない彼女が来たから驚いたわ。もしかしたら、アナタの事を個人的に気になっていたのかもしれないわ」
 えっ!? 気になっていた。もしかして俺の事を・・・・・・。
 「絶対に性的な意味じゃないから、頬を赤く染めないの」
 「あ、はい。そうですか。畳みの上に寝そべってみても良いですか?」
 「どうぞ」
 許可が下りたので、うつ伏せになって畳みの匂いを堪能する。
 「ああ〜、懐かしい香りがするぅ〜・・・・・・。もしかして畳みを張り替えたばかりなんですか?」
 「そうね。一年に一度のペースで張り替えているのだけれども、今回は四ヶ国間協議会があるって事だから、急遽張り替えたらしいのよ」
 「へぇ〜、そうなんですか」
 一年に一度のペースで張り替えとなると、年末の大掃除の時に張り替える感じかな?
 「オウカ様、勇者様方をお連れいたしました。それと、例の情報もこちらの書物に書かれております」
 「ご苦労様」
 オウカさんは書物を受け取った後、大輝くん達に顔を向ける。
  「はじめまして。私は魔国クシュウで財務相に勤めているオウカ・コノエです。以後お見知りおきを」
 「ご丁寧にありがとうございます。私の名前は ミウ・イノハラ です。こちらにいるのが大輝と伊織です」
 「ダイキ・ムロク です! よろしくお願いします!」
 「イオリ・シキシ・・・・・・よろしく」
 美羽さん達はオウカさんに向かって頭を下げて挨拶をする。
 「まぁ立ち話もなんですから、そこに座ってゆっくり話し合いましょうか」
 「あ、はい。失礼します。ってエルライナさん!?」
 どうやら大輝くん達は俺が畳みの上で寝転がっているのに、気づいていなかったみたいだった。
 「みんな久しぶり、元気にしてた?」
 「はい、この通り元気ですよ! エルライナさんの方はどうだったんですか? 話で聞く限り、大変そうな感じがありましたけど?」
 「う〜ん、大輝が思っている以上に大変な目に合っていたよ」
 黒毛和牛を使ったすき焼きを、みんなに食べられるわ。メイド喫茶で働かされるわ。レンカさんが家に住み着く(?)わ・・・・・・問題だらけの出来事が起き続けていた。
 「そうですかぁ・・・・・・エルライナさんほどの方になると、多忙なのですね」
 うん、それは大輝くんの勘違いだ。多忙は多忙でも向こうから厄介ごとがくるんだぞ。なんでもかんでも引き受けちゃう俺も悪いところがあるけどさ。
 あれ、どうしてオウカさんは笑い堪えているんだろう?
 「ま、まぁ良いや。お菓子を出してあげるよ。お煎餅が良い? それともクッキーとかチョコレートが良い?」
 「すき焼きが・・・・・・食べたい」
 「え?」
 え、すき焼きって言わなかった? ソラミミダヨネ。
 「すき焼き・・・・・・作って」
 空耳じゃなかったっ!?
 「い、伊織ちゃん。すき焼きってお菓子じゃないよ! 食事だよ!」
 「うん知ってる・・・・・・でも食べたい」
 「食べたいんだ! てか誰からすき焼きの事を聞いたの?」
 そこは一番気になる。だって知り合いだけに作ってあげたんだもん。どこから情報を得たんだよ。
 「ん・・・・・・リードガルム総合ギルド長から貰った情報に・・・・・・エルライナの作ったすき焼きは美味しかった・・・・・・って書いてあったから」
 ラミュールさぁぁぁぁぁああああああんっ!!? アンタはどこまで俺を苦しめるんだああああああああああああっ!!
 「へぇ〜・・・・・・エルライナさんって、料理も出来るんだぁ〜」
 「ま、まぁ師匠が料理屋さんだったので。ってオウカさん、その手はなんですか?」
 俺の肩を掴んでニッコリしていた。嫌な予感しかしないのは気のせい?
 「後で厨房に案内してあげるからね」
 やっぱり、この人俺にすき焼きを作らせるつもりだぁぁぁぁぁああああああっ!!?
 「あ、はい。分かりました」
 そこで折れちゃうから、こうなっちゃうんだろうか?
 そう思いながら、用意された座布団に座る。
 「さて、来て早々に悪のだけれども、例の件。つまり勇者失踪について情報交換しましょうか」
 「ちょっ、ちょっと待ってください!」
 「なにか問題でもあるのかい大輝くん」
 「我々もその、帝国に召喚された勇者ですが、立場上そのぉ・・・・・・」
 なんか、歯切れが悪いなぁ。
 「大輝・・・・・・陛下から話して良いって許可貰っているから・・・・・・気にしなくても大丈夫」
 「そ、そうなのか?」
 「そうよ。私達のところに来た手紙を読んでなかったの?」
 美羽さんはそう言うと、魔法陣から手紙を取り出して大輝くんに見せる。
 「陛下から手紙が来てた!?」
 「・・・・・・今さら?」
 あらら、伊織ちゃんまでそう言うか。それはともかくとして。
 「オウカさん、その書物の内容を読んで頂けませんか?」
 「ええ、良いわよ」
 オウカさんは書物を開き目を通すと、こっちに顔を向けてくる。
 「ザックリと説明すると、今から十日前に行われた野外訓練の最中に一人姿を消したらしいのよ。
 訓練の担当に当たっていた兵士は、最初は本人が道に迷っているのか、時間を忘れているのかと思っていたけれども、いくら待っても現れないから これはおかしい。 と感じ、探したのだけれども見つからなかったみたいなの。
 今でもその訓練を行った森で行方を探してるみたい」
 「オウカさん。質問しても良いですか?」
 「ええ、良いわよ」
 「その森の面積はどれぐらいありますか? 例えば、東京ドーム一個分の広さとか、勾配が激しい場所とか」
 「え? えっと・・・・・・総合ギルドでも訓練に使われる森らしいから、そんなに広くないみたい。勾配については平坦な土地の森だから、高低差のない土地みたい。迷ったら真っ直ぐ進めば、森から出られるって感じらしいわ」
 となると、散策しやすいって考えても良いみたいだ。崖から落下した可能性は限りなく低い。
 「本人は訓練するのを嫌がっていたり、勇者として戦うのを嫌がっていたりする傾向があったとか、そういう情報はありますか?」
 「えっとぉ・・・・・・記録によると訓練を真面目に取り組んでいたみたいだから、その可能性はないと思うわ」
 「う〜〜〜ん・・・・・・そうですか」
 真面目に訓練を取り組んでいたって事は、俺を目の敵にしていたアイツらじゃないな。
 「あの、エルライナさん」
 「ん、どうしたの大輝くん?」
 「どうして土地柄や本人の訓練の話とか聞いているんですか?」
 「それはまぁ、可能性を絞り込む為に聞いたんだよ」
 俺の言っている意味が分からない。と言わんばかりに大輝くんは首を傾げる。
 「ん・・・・・・森で遭難している可能性は低いって・・・・・・エルライナは思っているんでしょ?」
 「そう、伊織ちゃんその通りだよ。その可能性はある」
 伊織ちゃんに向かってそう言うと、嬉しいのか小さくガッツポーズをする。
 「訓練を真面目に取り組んでいたって事は、真面目なタイプなのか、それとも不真面目なタイプなのか判断していたって事なの?」
 「美羽さん、その通りです」
 ウソです。アイツらかどうか絞り込みたかっただけです。ってあれ? そういえば。
 「その失踪した人の名前を言ってませんよね?」
 「あら、そうね。忘れていたわ。名前はえ〜〜〜っと・・・・・・モトヒサ。 “モトヒサ・オオノ” って名前みたいよ」
 俺はその名前を聞いて、無言のまま驚いた。
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