クラス転移したけど私(俺)だけFPSプレイヤーに転生
第9話
 グルベルトを殺害しようとした犯人を逃がしてしまった俺達は、元の来た道を辿ってエイミーさん達のところに戻り、裏路地であった事を伝えた。
 そしたらエイミーさんに、 残念だったわね。 と言われて、バルデック公爵様は キミ達が無事に帰って来てくれてよかった。このまま帰ってこないんじゃないのか? と心配をしていたんだ。 と言ってくた。
 後、 リズリナさんに至っては、 皆さん無事でよかったですぅ〜っ!! もし皆さんが帰って来なかったら私は・・・・・・うぇぇぇええええええんっっっ!!? と言いながら泣き出してしまった。
 そうそう、今回の事件の首謀者であるグルベルトは俺の蘇生薬のおかげで意識を取り戻した。意識を取り戻した途端ににげるのかな? と思っていたのだが、観念した様子を見せながら項垂れた。そしてその場で今回の事件の事と、”リヴァイスとの出会い”全てを話した。
 グルベルトとリヴァイスとの出会いは半年前に遡る。彼は急に父親に呼びたされて、こう言い渡された。
 グルベルト! お前は荷物をまとめて、明日この家から出て行け! 貴様は勘当だ!!?
 この言葉を聞いたグルベルトは当然親に なんで次期当主である俺が家を出て行かなきゃいけないんだ!? と抗議をしたのだが、 父親から返された言葉は冷たい言葉だった。
 お前は今まで何をしていたか分かるか? 私の言いつけを守らず好き勝手遊び、市民に暴行を加えて兵士に捕まる。ましてや リードガルム魔法学園 で問題を起こして追い出されたヤツにこの家と街を任せられるとでも?
 それに次期当主も親戚の優秀な子を養子にすれば問題ない話であろう。少なくとも今のお前よりは、私が養子にと考えている子の方がましだと思うが・・・・・・・・違うか?
 そう言われてしまっては、ぐうの音も言えなかった。仕方なく親に従うしかなかったが、その晩にグルベルトの部屋のベランダにフード深く被った何者かが現れて、グルベルトにこう話を持ち掛けた。
  貴方はこの街の領主に成りたいのよね? ならば貴様の夢を俺が叶えてやろうか?  と。 グルベルトは信用しなかったのだが、相手の一方的な話を聞いている内に信憑性を感じ始めて来たところで、ソイツがグルベルトに契約の話を切り出して来た。
 どう、私の話に乗らないかしら? そうすれば貴様はこの街の領主になれる。ましてや私の"ビジネス"の協力の契約をすれば、アナタの父親より収入が多くなるわよ。協力するかしないは、貴様次第だ!
 グルベルトはその言葉を聞いた瞬間、契約書にサインをした。
 ソイツが契約書のグルベルトのサインと印を確認した後にグルベルトに向いてこう言った。
 これから私達はビジネスパートナーになるのだから、私の名前を言うわ。俺の名は"リヴァイス"だよろしくな。そうそう、貴方が領主になるのは一週間ぐらい掛かるから楽しみにして待ってね。この街で宿を取って待っていろ。色々と準備があるからな。
 そう言い残してリヴァイスは夜の闇に消えて行った。
 自分は馬鹿な事をしたなぁ。と最初は思っていたが、その三日後に両親が亡くなり、後継者が彼しか居ないという事から話はトントン拍子に進み、十日後にはグルベルトは領主になった。グルベルト自身この結果には驚き、これは夢なのか?  と思っていた矢先に、またリヴァイスが現れてこう言った。
 どうだ、俺の言った通りお前は領主になれただろ? 契約上、私のビジネスに協力する事になっているんだけれども・・・・・・どうなんだ? 契約書通り協力するのかグルベルト? と言われてグルベルトは、 何でも協力する。 と約束をした。
 これがグルベルトとリヴァイスとの出会いであり、ゴーゼスでの悪行三昧の始まりだった。
 
 過去話が終わり、グルベルトは兵士に独房に連れて行かれる前にこう言った。
 『俺は父様が言うように領主に向いていなかったんだなぁ・・・・・・』と。
 グルベルトを見送った俺とバルデック公爵様一行は、情報整理をする為に総合ギルドに戻って来た。一応、俺も重要参考人としてここにいる。
 「グルベルトさんの証言を元に邸宅を調べた結果、違法薬物と違法魔具の契約書類と道具が出て来てきました。それに違法奴隷の契約書も出て来ました。もう、重罪は免れませんね。
 それと、グルベルトが話していた地下室を見つけ調査したところ、エイドさんの家族とゴーゼスで行方不明になった方々が見つかったのですが、残念ながら三人は亡くなっていて、四人が奴隷にされ何処かに売られていました。奴隷にされ売られた方々は総合ギルトの方で調査をするそうです」
 家族と再会出来たエイドさんは泣きながら妻と息子を抱きしめた後に、俺にしつこいと思うぐらいにお礼を言ってきたのを覚えている。
「後、リヴァイスさんの事に付いてなんですが街の入稿記録には名前が載って無いので、恐らくリヴァイスと言う名前は偽名だと思われます。リヴァイスがどう街へ侵入したかは現在調査中なので分かりません。結果が出次第報告します。ここまでで何か質問はないですか?」
 
 仕事モードのリズリナさんはメモ帳を開いたまま、こっちに顔を向け、総合ギルドの応接室に居る全員を見渡す。
 「あの、リズリナさん 2つほど質問があるので良いですか?」
 リズリナさんは、手を上げている俺に顔を向ける。
 「質問をどうぞ、エルライナさん」
  「一つ目は、エイドさんの家族が連れ去られるところを見た人はいないのですか?」
 「今のところいないです。犯行手口および経緯などは引き続きこちらで調査をします」
 今のところは目撃者なしか。
 「もう一つの質問は何ですか?」
 「グルベルトの他にリヴァイスの名前を聞いた人は誰かいますか?」
 リズリナさんはメモ帳を置き、資料の方を取り出し何ページかめくった後、語り始めた。
 「リヴァイスの名前を知っているのは、グルベルトの邸宅で働いていた使用人と奴隷商会、 ブリューマ の ラズベス・ブリューマ 並びに商会の従業員数名と冒険者ギルド、 デブトル の デブトル が知っていました」
 自分の名前がギルド名って・・・・・・まぁ、それは置いといて。
 「市民の中に知っている人はいましたか?」
 「現在調査中ですが、今のところは知っている人は居ません」
  「そうですか」
 うーん、何か引っかかる。
 「次に、先ほども申し上げた奴隷商会のラズベス・ブリューマですが、グルベルトを通じてリヴァイスが違法取引をしていたみたいです。その種類は、魔具、奴隷、薬物など売買をしていました。そしてグルベルトの地下室にいた市民四人を売った張本人でもあります」
 そう言えば奴隷商会の会長は、店の前で荷物を沢山積んだ馬車に乗ろうとしている所を捕まえた。って兵士さんが話してたね。
 「リズリナ、私からも質問があるのだが良いか?」
 リズリナさんは目線を資料からバルデック公爵様に移す。
  「はい、何でしょうかバルデック公爵様」
 
 「違法品の運搬方法と、仕入れ先は特定出来たのか?」
 「すみませんが現在調査中です。グルベルトさんとブリューマさんにも聞いてみたのですが、ブリューマさんはグルベルトから何も聞かずに買ったから仕入れ先は全く知らない。と言われましたので、仕入れていたと思われるグルベルトさんに聞いてみましたが、リヴァイスから何も聞かず買い取るのが契約の一つだったので、俺自身も何も分からない。と話してました。心理の水晶を使ったので嘘ではなさそうです」
 真理の水晶って、俺のステータスを見る時使ったやつだよな。嘘発見器になるって事なのか? 後で神様に聞いてみよう。
 
 グエルさんは腕を組みながら話し始める。
 「うーん、まるで二人がトカゲの尻尾切りに感じられるな。グルベルトを始末しようとしたのは、一番関わりがあるからか、念の為だったのかも知れないな。これだけ証言が取れたんだ。エルライナに感謝しないとな」
 俺もグルベルトを生かして正解だったと思っている。多分メモリーリードだけでは今よりも情報が少ないと思う。
 「しかしソイツの話し方はずいぶん特徴的だな。リヴァイスは男なのか? 女なのか?」
 「グルベルトに聞いてみたところ、性別は分からないが声は女みたいだった。と話しています。それに、今回私達がゴーゼスに来る事をグルベルトに知らせたのもリヴァイスだったそうです」
 リヴァイスはバルデック公爵様がここに来る事を知っていた? もしかして他の国の暗殺者なのか? いや、でもそうなると、ビジネスなんてやるわけないよな。う〜〜〜〜〜〜ん・・・・・・益々リヴァイスが分からなくなって来た・・・・・・まぁいいか、この事は国に任せよう。
 「そして、冒険者ギルド デブトル のギルド長を取り調べた結果、三つほど分かりました。一つ目は、グルベルトに雇われていて、バルデック公爵を盗賊の仕業に見せかけて殺害を行おうとしましたがエルライナさんがいてくれたおかげで失敗に終わりました」
 俺のせいで、とか言わないんだね。
 「二つ目はデブトルの仲間がグルベルトの護衛をしていたのですが、バルデック公爵様の殺害のメンバーに駆り出されたそうです。その人達は出る際に、今日一日は家でいろ! とグルベルトに言ったそうなんですが・・・・・・グルベルト本人は言付けを守らずに一人で出かけたみたいです」
 グルベルトには悪いが 馬鹿だな。と思う。
 「三つ目はゴーゼス前領主、ミドベルト・ラングット 男爵とその妻の ラシーナ・ラングット 婦人は、冒険者ギルド デブトルに殺害された事が取り調べで分かりました」
 「ちょ、ちょっと待ってくれっ!?」
 バーボスさんが驚きの表情をしながら、いきなり声を出した。
 「半年前って、あの事故は・・・・・・いや、あの事件はデブトルが関わっていたのか?」
  「はい・・・・・・詳しく話しますと半年前にリヴァイスに依頼されて殺した。と証言をしています。それに殺害方法もリヴァイスに教わったらしく、今回はグルベルトの依頼でしたが私達の殺害についても同じ方法で始末しようとしてたみたいです」
 リズリナさんの説明を聞いたバーボスさんは握り拳を作りながら机を殴った。顔が怖い、何でキレてるんだ?
 ガーリーさんがバーボスさんを見ながら言う。
 「ギルド長、落ち着いて下さいっ!! 貴方の友人でもあるミドベルト様が殺された気持ちは分かりますが、今は会議中なので鎮めて下さいっ!!」
 え、友人だったの!? 前領主とバーボスさんが?
 「フゥー・・・・・・フゥー・・・・・・悪かった。デブトルのメンバーの処罰は国に任せるべきだな」
  良かった、落ち着いてくれて。暴れ出したら一目散に逃げるぞ俺は!
 「すまなかった。話を続けてくれ」
 「はい、冒険者ギルドの責任者デブトルは重罪は免れないでしょう。他のメンバーは現在取り調べの最中です」
 「・・・・・・そうか、分かった」
 その言葉を聞いたリズリナさんは、メモ帳に目を落とし何ページかめくってから話し始める。
 「そして最後にエルライナさんから詳しく調べるように頼まれていた家が全焼した火事なんですが、驚く事実が判明しました」
 
 「一体何が分かったんだ?」
 グエルさんがリズリナさんに言う。
 「グルベルトがリヴァイスに与えた家でした」
  それを聞いた人達は俺を見る。
 「お前、まさか知っていたのか?」
  「いいえ、違いますよグエルさん。エイミーと合流した時に"家が燃える! 火事が起きている! "と聞いた時、妙に感じたので詳しく調べる様に頼んだのです」
 今度はキースさんが話しかけて来る。
 「つまり、あの時僕達が追いかけていたのはリヴァイス本人で、全焼した家には魔法陣があって、追尾されない様に証拠と共に燃やした。ってエルライナさんは推測しているんですね?」
 
 「そうです。それとそこが密輸ルートだったのかもしれないとも考えています。そこら辺の調査は皆さんにお任せします」
 もうここからは国の仕事だから、残りの調査は任せよう。
 俺がそう思っているとキースさん達は頷いた。
 「そうですね。後は任せて下さい」
今度はバルッデク公爵様が俺に向く。
「何かあったらキミに連絡をする」
 「私で良ければ力になりますよ。それと個人的な問題があるんですけど・・・・・・聞いて良いですか?」
 「問題? キミに何か問題あったのか?」
 ありますよ! バルデック公爵様っ!!
 「実は私、まだ宿を取ってないですけどぉ・・・・・・今から宿の予約しに行っても大丈夫ですかね?」
 
バルデック公爵様は自分の懐から懐中時計を取り出し時間を確認し始める。てか、この世界に時計あったんだ。
  「・・・・・・もう夜になるから、普通の宿は受付を閉めているかも知れないな」
 
 俺は頭の中でどうしようか考え始めるのであった。
 そしたらエイミーさんに、 残念だったわね。 と言われて、バルデック公爵様は キミ達が無事に帰って来てくれてよかった。このまま帰ってこないんじゃないのか? と心配をしていたんだ。 と言ってくた。
 後、 リズリナさんに至っては、 皆さん無事でよかったですぅ〜っ!! もし皆さんが帰って来なかったら私は・・・・・・うぇぇぇええええええんっっっ!!? と言いながら泣き出してしまった。
 そうそう、今回の事件の首謀者であるグルベルトは俺の蘇生薬のおかげで意識を取り戻した。意識を取り戻した途端ににげるのかな? と思っていたのだが、観念した様子を見せながら項垂れた。そしてその場で今回の事件の事と、”リヴァイスとの出会い”全てを話した。
 グルベルトとリヴァイスとの出会いは半年前に遡る。彼は急に父親に呼びたされて、こう言い渡された。
 グルベルト! お前は荷物をまとめて、明日この家から出て行け! 貴様は勘当だ!!?
 この言葉を聞いたグルベルトは当然親に なんで次期当主である俺が家を出て行かなきゃいけないんだ!? と抗議をしたのだが、 父親から返された言葉は冷たい言葉だった。
 お前は今まで何をしていたか分かるか? 私の言いつけを守らず好き勝手遊び、市民に暴行を加えて兵士に捕まる。ましてや リードガルム魔法学園 で問題を起こして追い出されたヤツにこの家と街を任せられるとでも?
 それに次期当主も親戚の優秀な子を養子にすれば問題ない話であろう。少なくとも今のお前よりは、私が養子にと考えている子の方がましだと思うが・・・・・・・・違うか?
 そう言われてしまっては、ぐうの音も言えなかった。仕方なく親に従うしかなかったが、その晩にグルベルトの部屋のベランダにフード深く被った何者かが現れて、グルベルトにこう話を持ち掛けた。
  貴方はこの街の領主に成りたいのよね? ならば貴様の夢を俺が叶えてやろうか?  と。 グルベルトは信用しなかったのだが、相手の一方的な話を聞いている内に信憑性を感じ始めて来たところで、ソイツがグルベルトに契約の話を切り出して来た。
 どう、私の話に乗らないかしら? そうすれば貴様はこの街の領主になれる。ましてや私の"ビジネス"の協力の契約をすれば、アナタの父親より収入が多くなるわよ。協力するかしないは、貴様次第だ!
 グルベルトはその言葉を聞いた瞬間、契約書にサインをした。
 ソイツが契約書のグルベルトのサインと印を確認した後にグルベルトに向いてこう言った。
 これから私達はビジネスパートナーになるのだから、私の名前を言うわ。俺の名は"リヴァイス"だよろしくな。そうそう、貴方が領主になるのは一週間ぐらい掛かるから楽しみにして待ってね。この街で宿を取って待っていろ。色々と準備があるからな。
 そう言い残してリヴァイスは夜の闇に消えて行った。
 自分は馬鹿な事をしたなぁ。と最初は思っていたが、その三日後に両親が亡くなり、後継者が彼しか居ないという事から話はトントン拍子に進み、十日後にはグルベルトは領主になった。グルベルト自身この結果には驚き、これは夢なのか?  と思っていた矢先に、またリヴァイスが現れてこう言った。
 どうだ、俺の言った通りお前は領主になれただろ? 契約上、私のビジネスに協力する事になっているんだけれども・・・・・・どうなんだ? 契約書通り協力するのかグルベルト? と言われてグルベルトは、 何でも協力する。 と約束をした。
 これがグルベルトとリヴァイスとの出会いであり、ゴーゼスでの悪行三昧の始まりだった。
 
 過去話が終わり、グルベルトは兵士に独房に連れて行かれる前にこう言った。
 『俺は父様が言うように領主に向いていなかったんだなぁ・・・・・・』と。
 グルベルトを見送った俺とバルデック公爵様一行は、情報整理をする為に総合ギルドに戻って来た。一応、俺も重要参考人としてここにいる。
 「グルベルトさんの証言を元に邸宅を調べた結果、違法薬物と違法魔具の契約書類と道具が出て来てきました。それに違法奴隷の契約書も出て来ました。もう、重罪は免れませんね。
 それと、グルベルトが話していた地下室を見つけ調査したところ、エイドさんの家族とゴーゼスで行方不明になった方々が見つかったのですが、残念ながら三人は亡くなっていて、四人が奴隷にされ何処かに売られていました。奴隷にされ売られた方々は総合ギルトの方で調査をするそうです」
 家族と再会出来たエイドさんは泣きながら妻と息子を抱きしめた後に、俺にしつこいと思うぐらいにお礼を言ってきたのを覚えている。
「後、リヴァイスさんの事に付いてなんですが街の入稿記録には名前が載って無いので、恐らくリヴァイスと言う名前は偽名だと思われます。リヴァイスがどう街へ侵入したかは現在調査中なので分かりません。結果が出次第報告します。ここまでで何か質問はないですか?」
 
 仕事モードのリズリナさんはメモ帳を開いたまま、こっちに顔を向け、総合ギルドの応接室に居る全員を見渡す。
 「あの、リズリナさん 2つほど質問があるので良いですか?」
 リズリナさんは、手を上げている俺に顔を向ける。
 「質問をどうぞ、エルライナさん」
  「一つ目は、エイドさんの家族が連れ去られるところを見た人はいないのですか?」
 「今のところいないです。犯行手口および経緯などは引き続きこちらで調査をします」
 今のところは目撃者なしか。
 「もう一つの質問は何ですか?」
 「グルベルトの他にリヴァイスの名前を聞いた人は誰かいますか?」
 リズリナさんはメモ帳を置き、資料の方を取り出し何ページかめくった後、語り始めた。
 「リヴァイスの名前を知っているのは、グルベルトの邸宅で働いていた使用人と奴隷商会、 ブリューマ の ラズベス・ブリューマ 並びに商会の従業員数名と冒険者ギルド、 デブトル の デブトル が知っていました」
 自分の名前がギルド名って・・・・・・まぁ、それは置いといて。
 「市民の中に知っている人はいましたか?」
 「現在調査中ですが、今のところは知っている人は居ません」
  「そうですか」
 うーん、何か引っかかる。
 「次に、先ほども申し上げた奴隷商会のラズベス・ブリューマですが、グルベルトを通じてリヴァイスが違法取引をしていたみたいです。その種類は、魔具、奴隷、薬物など売買をしていました。そしてグルベルトの地下室にいた市民四人を売った張本人でもあります」
 そう言えば奴隷商会の会長は、店の前で荷物を沢山積んだ馬車に乗ろうとしている所を捕まえた。って兵士さんが話してたね。
 「リズリナ、私からも質問があるのだが良いか?」
 リズリナさんは目線を資料からバルデック公爵様に移す。
  「はい、何でしょうかバルデック公爵様」
 
 「違法品の運搬方法と、仕入れ先は特定出来たのか?」
 「すみませんが現在調査中です。グルベルトさんとブリューマさんにも聞いてみたのですが、ブリューマさんはグルベルトから何も聞かずに買ったから仕入れ先は全く知らない。と言われましたので、仕入れていたと思われるグルベルトさんに聞いてみましたが、リヴァイスから何も聞かず買い取るのが契約の一つだったので、俺自身も何も分からない。と話してました。心理の水晶を使ったので嘘ではなさそうです」
 真理の水晶って、俺のステータスを見る時使ったやつだよな。嘘発見器になるって事なのか? 後で神様に聞いてみよう。
 
 グエルさんは腕を組みながら話し始める。
 「うーん、まるで二人がトカゲの尻尾切りに感じられるな。グルベルトを始末しようとしたのは、一番関わりがあるからか、念の為だったのかも知れないな。これだけ証言が取れたんだ。エルライナに感謝しないとな」
 俺もグルベルトを生かして正解だったと思っている。多分メモリーリードだけでは今よりも情報が少ないと思う。
 「しかしソイツの話し方はずいぶん特徴的だな。リヴァイスは男なのか? 女なのか?」
 「グルベルトに聞いてみたところ、性別は分からないが声は女みたいだった。と話しています。それに、今回私達がゴーゼスに来る事をグルベルトに知らせたのもリヴァイスだったそうです」
 リヴァイスはバルデック公爵様がここに来る事を知っていた? もしかして他の国の暗殺者なのか? いや、でもそうなると、ビジネスなんてやるわけないよな。う〜〜〜〜〜〜ん・・・・・・益々リヴァイスが分からなくなって来た・・・・・・まぁいいか、この事は国に任せよう。
 「そして、冒険者ギルド デブトル のギルド長を取り調べた結果、三つほど分かりました。一つ目は、グルベルトに雇われていて、バルデック公爵を盗賊の仕業に見せかけて殺害を行おうとしましたがエルライナさんがいてくれたおかげで失敗に終わりました」
 俺のせいで、とか言わないんだね。
 「二つ目はデブトルの仲間がグルベルトの護衛をしていたのですが、バルデック公爵様の殺害のメンバーに駆り出されたそうです。その人達は出る際に、今日一日は家でいろ! とグルベルトに言ったそうなんですが・・・・・・グルベルト本人は言付けを守らずに一人で出かけたみたいです」
 グルベルトには悪いが 馬鹿だな。と思う。
 「三つ目はゴーゼス前領主、ミドベルト・ラングット 男爵とその妻の ラシーナ・ラングット 婦人は、冒険者ギルド デブトルに殺害された事が取り調べで分かりました」
 「ちょ、ちょっと待ってくれっ!?」
 バーボスさんが驚きの表情をしながら、いきなり声を出した。
 「半年前って、あの事故は・・・・・・いや、あの事件はデブトルが関わっていたのか?」
  「はい・・・・・・詳しく話しますと半年前にリヴァイスに依頼されて殺した。と証言をしています。それに殺害方法もリヴァイスに教わったらしく、今回はグルベルトの依頼でしたが私達の殺害についても同じ方法で始末しようとしてたみたいです」
 リズリナさんの説明を聞いたバーボスさんは握り拳を作りながら机を殴った。顔が怖い、何でキレてるんだ?
 ガーリーさんがバーボスさんを見ながら言う。
 「ギルド長、落ち着いて下さいっ!! 貴方の友人でもあるミドベルト様が殺された気持ちは分かりますが、今は会議中なので鎮めて下さいっ!!」
 え、友人だったの!? 前領主とバーボスさんが?
 「フゥー・・・・・・フゥー・・・・・・悪かった。デブトルのメンバーの処罰は国に任せるべきだな」
  良かった、落ち着いてくれて。暴れ出したら一目散に逃げるぞ俺は!
 「すまなかった。話を続けてくれ」
 「はい、冒険者ギルドの責任者デブトルは重罪は免れないでしょう。他のメンバーは現在取り調べの最中です」
 「・・・・・・そうか、分かった」
 その言葉を聞いたリズリナさんは、メモ帳に目を落とし何ページかめくってから話し始める。
 「そして最後にエルライナさんから詳しく調べるように頼まれていた家が全焼した火事なんですが、驚く事実が判明しました」
 
 「一体何が分かったんだ?」
 グエルさんがリズリナさんに言う。
 「グルベルトがリヴァイスに与えた家でした」
  それを聞いた人達は俺を見る。
 「お前、まさか知っていたのか?」
  「いいえ、違いますよグエルさん。エイミーと合流した時に"家が燃える! 火事が起きている! "と聞いた時、妙に感じたので詳しく調べる様に頼んだのです」
 今度はキースさんが話しかけて来る。
 「つまり、あの時僕達が追いかけていたのはリヴァイス本人で、全焼した家には魔法陣があって、追尾されない様に証拠と共に燃やした。ってエルライナさんは推測しているんですね?」
 
 「そうです。それとそこが密輸ルートだったのかもしれないとも考えています。そこら辺の調査は皆さんにお任せします」
 もうここからは国の仕事だから、残りの調査は任せよう。
 俺がそう思っているとキースさん達は頷いた。
 「そうですね。後は任せて下さい」
今度はバルッデク公爵様が俺に向く。
「何かあったらキミに連絡をする」
 「私で良ければ力になりますよ。それと個人的な問題があるんですけど・・・・・・聞いて良いですか?」
 「問題? キミに何か問題あったのか?」
 ありますよ! バルデック公爵様っ!!
 「実は私、まだ宿を取ってないですけどぉ・・・・・・今から宿の予約しに行っても大丈夫ですかね?」
 
バルデック公爵様は自分の懐から懐中時計を取り出し時間を確認し始める。てか、この世界に時計あったんだ。
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