45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしい

第541話 精霊 Side 2

この男の頭の中には、欠陥がある。
精神に異常をきたしているのだ。
欲望に歯止めがききにくくなっている。
スキルで補正しているようだが、効果は少ない。

さらにいけないのが絶倫スキル。
あのスキルで一時的に解放されても、それは一時凌ぎに過ぎず、このままではこの男の精神は本格的に崩壊する。

尤もこの男は自身の精神をきちんと制御できていると思っているみたいですけれど、大きな落とし穴があるようね。
気が付いていないようだけど。

そして私達も大きな見落としがあった。

ダンジョンの中ほどから、気になる女が3人やってきたからだ。
何か引っ張られる。
そう大した力ではないけれど。
まあ無視してもいいかな?

そして途中から、この男の頭の中の深層に潜り込んだ。
精神に異常をきたしているせいで、隙だらけ。守るべき何もなかった。
そこに勢い込んで4体が入り込んでしまって、流石に異変に気が付いたみたいだけど、もう手遅れ。

で・・・・うっかり・・・・流石に精霊4体を一人の人間が抱えられるはずもなく、ほどなく我々の精神力が減り始めた。
あ、ちょっとまずい。
このままではいずれ4体が消えてしまう。

精霊は精神力で活動しているので精神力が枯渇=死を意味する。正確には消滅。
この男にごめんねと思いながら出ようとするけれど・・・・あれ?出られない?

何故?
一生懸命4体それぞれ出ようとするも・・・出られない!
やれる事はしたけれど・・・・これはいけない!

まだ精神力に余裕はあるけれど・・・・

・・・・
・・・
・・


気が付けば、人の流れで行けば1ヶ月が経ってしまった。

色々手は尽くしたけれど、精神力がもうない。あと1日・・・・消えたくない!

すると、やっと用事が終わったのか、いよいよ剣を打つ事にこの男は決めたらしい!

今しかない!

このままではどのみち消え去る運命。

残り少ない精神力を使い、何としてもこの男に仮宿を作ってもらわねば!

何とかぎりぎりの範囲でこの男の精神に働きかけ、事を推し進める。

この男、ダンジョンからホムンクルスを連れてきたようだが、我々を感知しているな。
協力してもらおうか。

「白河小次郎様の精神に多大な異常が発生しています。」
ホムンクルスがわれらの事を言うておるな。

「どうやら周囲に高位の精霊が多数存在しているようです。」
今度はもう一体が。

『その方ら我らが分かるのか?話が早くていい。我ら4精霊は何かに誘われ、ここに紛れてしまってな。キタはいいが戻れなくなってしまったのだ。そこへこのヒューマンが我らの仮宿を用意してくれるようでな。早うせかしておるのだ。』
もう時間がないので、この男の制御権を半分奪い、口にする。

そして時間がないので、この男の体を損ねるやり方で仮宿を作るしかないが、幸い回復魔法の使い手が数人いるので、回復させるように働きかける。
もう強制的にしゃべる。
何せ今から、炉の中の素材を直接手でこねるのだからな。普通ならあっという間に骨じゃ!

『今じゃ!早う回復を!』

「「は、はい!」」

よし・・・・損ねる前から回復しておるな。どんどん捏ねよう・・・・
ここにちょうど良い台もある。ここで形を整えるかの。
そして・・・・よい炉なのじゃが、思っておった通り、温度が足りん。やはり竜族の女のブレスを・・・・

『今だ!!ブレスを!』

もうどうでもよい!時間が・・・・はようせい!

【わ・・・・わかったのじゃ・・・・】

ブレスが・・・・よい感じじゃ。


『皆急がねば!』
『時間があ!』
『もう僅か・・・・』
『仕方がないですわ。すべての制御をこちらで・・・・』

どうやらこの男の精神が、考える事を放棄したようでな、ここからはすべて制御できる・・・・

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