45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしい

第288話 おっさん柄にもなくまじめに語る

「旦那様?それはどういう・・・」
うう・・・・言ってしまったものは仕方ない・・・・
「確かに個人的な感情で言えば、何もしなくてもいいだろう。おっさんもそう思う。ただし、メーネアは父親にひどい扱いを受け、殺される所だったとはいえ、結果的に今ちゃんと生きている。しかもインダルチャンス王国に住む多くの民衆にとっては、それは関係ない事。王族としての務め・・・元国王だった父親がしてきた酷いやり方の後始末を、しなくてはいけない。たとえ個人的に納得がいかなくても、だ。」
ああ、なんだか訳が分からない!何で思ってもいない事を力説してるんだ、おっさん?
「もちろん親のしでかした悪事の責任を娘が・・・子が償う必要はないさ。ただおっさんが思うに、あくまでそれは何の責任もない民衆の事であって、勿論メーネアは違うけど、国王であり王女であり、そういう立場の人間は、今まで民衆ができない贅沢な生活を送り、特権を利用してるはずなんだよ。そういった特権を受けてた以上、こういった時にはその対価として王族としての務めを果たす必要がある。勿論、メーネアを娶ったおっさんにも、だ。」
・・・・ちょっと一息ついたんだけど、沈黙が痛い・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・

おっさんじっと黙ってメーネアを見つめたよ。
メーネアもおっさんの言ってることが分かってるし、言ってる事の矛盾もよくわかってるんだと思う。
ここで決断させるのは酷なんだけど、メーネアはしっかりしてるし、聡明だし、誠実だ。それに恐らくおっさんが思ってる以上に王女としての自覚もあったはず。
だからこそ悩んでるんだろう。
そう思ってたら、今まで黙ってたウェンディが言葉を発してね。
「あの!言ってる事はわかるんだけど、先ずはインダルチャンス王国の現状について情報収集してからのほうが良いんじゃないかしら?」
「うん?」
「だって、あの使節団の人達、私達に何か隠し事をして騙してるかもしれないし、そうじゃなく本当にメーネアさまを求めてるのかもしれない。シラカワさん・・・旦那様は何処までインダルチャンス王国の現状を知ってるのかしら?」
ウェンディが言ってる事はごもっともだけどね。
もちろんおっさん、何もしてないわけじゃないよ?
え?そんなこと何処にも書いてないじゃないかって?
うん、そうなんだけどね、隣国の事は勿論セアリアス帝国の国王が調べさせてるし、おっさんもね、ちゃんとジスラン君が調べさせてるの知ってるんだよ。時々報告はしてくれてるし、何よりインダルチャンス王国からの難民が続々とシラカワ領に流入してるからね。
怪しい奴が紛れてないかチェックもしてるし、逃れてきた人たちから情報も仕入れてるし。

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