第408話　再びの対面

そうだ、旅に出よう！

この理解不能な出来事を前に、僕はふとそんな事を思いついてしまいました。

人間どうにもならない時、時としてこのような現実逃避をする事があるそうな。


そんな事を思いつつ、僕は去っていくアルノルトの背後を見送りながら、ふらふらと歩き始めます。

すると突然誰かに肩を掴まれます。

「すまぬ。遅くなった。」

僕にはまだできる事があったようです。

「今兵士の休憩所でクサンデル殿の話し合いが行われている。どうなるにせよ、しばらく様子を見よう。」

オイヴィに腕を取られ、僕はオイヴィと共に帰ります。

賭けってどうなったんだろうとか、今更どうでもいい事を考えながら。

そして道中オイヴィが言っていた兵士の休憩所では、どうやらクサンデル氏同士の話し合いが行われているようで、時折激しいやり取りが聞こえますが、無視して戻ります。

何かあればそのうち宰相から連絡があるでしょうし。

結局この日はそのまま領地へ戻りました。

・・・・
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翌日、再び王都より連絡が入ります。

ロンドロッグより来訪した2人と会ってほしいと。

もう僕関係ないよね、と思いつつ、なんでまた呼び出しを？

また決闘とか勘弁してほしいのですが、どうやらその心配はないので来てほしいとか。

仕方ないのでもう一度向かう事に。


そして再びクサンデル氏とヨランデ女史と対面する事に。


今日はオイヴィと2人で出向きます。

結局ザーラはあのままアーダと本当にお茶をしていたようで、、そのまま王都に留まったらしく、今も姿を見せていません。

まあ今はどうでもいいので、それよりも目の前の2人です。

部屋に入ったすぐに、2人は僕に気が付き、僕を確認した途端、いきなり土下座を始めたのでびっくりしました。

「昨日はとんでもない事をしてしまい、申し訳ない！」

「その、ごめんなさい・・・・」

これはどうした事かと僕はオイヴィを見ますが、オイヴィも訳が分からない様子。

【オイヴィ、これはどういう事なんだろう。2人をよく知ってるんだろう？】

【流石に最後に会ってから5年以上経っているのでな、その間に変わったのだろうが、昨日とは気配がまるで違う。】

念話でオイヴィとコンタクトを取ったのですが、オイヴィもこの2人の変化が理解できない様子。

「ええと、このままでは訳が分からないので、椅子に座って話をしませんか？」

僕はそう2人に伝えますが、なかなか土下座をやめようとしません。

「いえ、そうはいきません！他国の貴族にこのような事をしでかしてしまった責任は取らなくてはいけません！」

「だからと言って土下座を続けられてもこちらが困るんですよ。まずは座って下さい。そして昨日の事を話してほしいんですが。」

違う意味で面倒な事になりそうです。