勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしい

第378話 魔王の懸念

話は5年前の勇者召喚が行われるよりもっと前の出来事になる。

この頃魔王の活動が活発になり、魔王の拠点を中心に魔王が周囲の国をどんどん攻め滅ぼしていた頃。

そんな魔王だが、懸念材料がいくつかあった。
その一つが勇者。

魔王を唯一仕留める事のできる存在。

しかしこの世界に今勇者はいない。


そして次に神聖帝国ロンドロッグの神聖騎士。
神聖騎士の使う魔法とスキルが魔王には相性が悪いのだ。

3つ目が勇者召喚。

異界より勇者を召喚させるという恐ろしい魔術。
これには色々な方法が存在し、主に神聖騎士に守られたロンドロッグの王族が扱う勇者の召喚術、そしてグビッシュ王国の勇者召喚術。

それぞれ勇者を召喚できるがその召喚方法は秘伝で、これを許すと後々魔王にとっては厄介極まりない。

そこで魔王はまず拠点より近い国である神聖帝国ロンドロッグへと侵攻する事とした。

「おい側近よ!本当に問題ないのだろうな?」

「それは抜かりなく。勇者を召喚できるのは一人の娘。そしてその娘にとって残念なのは姉との仲がどうやらよろしくないようで、その姉の方の娘に上手く接近し、こちらの思うように行動できる状態にしてございますよ。」

「ほう?何をしたのだ?」

魔王は側近の策略に興味を示し、問い質す。

「いえいえ、そう大した事はしていないのですが、皇女による勇者召喚はもはや避けられませぬ。ではどうすれば?この皇女の姉はどうやら妹に相当嫉妬している様子。その嫉妬心を利用し、勇者召喚を邪魔するよう誘導して御座います。」

「おお!上手くいったのか!」

「はい!後は神聖騎士の存在でございますな。あれは放置すればなかなかに厄介。」

「それはそうだろう!過去あやつらにどれだけ煮え湯を飲まされた事か!何せ一人一人はそう大した力はないが、500人もおるのだぞ!それだけおれば我にとっては脅威以外のなにものでもないわ!」

「それに関してで御座いますが、こちらも既に手を打ってございます。神聖騎士が陣取ると思われる付近は既に仕掛けを用意してありますので、後は魔王様直々にお出まし願えば、あっという間に全滅いたすでしょう。」

「ほう?それは良いな!この際だ、一気に全滅させようではないか!」

「そしてロンドロッグの勇者召喚は失敗に終わり、その結果を見てグビッシュ王国は慌てて勇者を召喚しようとするでしょうが、準備不足ゆえに恐らくは失敗するでしょう。もし成功したとしてすぐに魔王様が侵攻していただければ、勇者はその実力を把握・発揮する前に魔王様が仕留める事が出来ましょう。」

「そうかそうか、では善は急げというしな!早速攻めようではないか!」

こうして魔王による神聖帝国ロンドロッグへの侵攻が始まったのだった。

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