勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしい

第231話 進化

僕は急ぎフェンリルに飛び乗り、

【あの丘を目指せ!】

どう見てもドラゴンが密集しています。
恐らく小高い場所にザーラさんがいたが視えたので、あそこだろう、と。
フェンリルはいつもの速度が出ないながらも一生懸命進んでいきます。
そして・・・・あっという間にその小高い場所が見える場所へとやってきました。
その頂上には、特に大きなドラゴンが・・・・そして目の前で何かが飛ばされているのが見えます。
まずい!

僕は・・・・ありったけの魔力でドラゴンに魔法をぶちかまします。
そのドラゴンは、僕の魔法を避ける事なく魔法をその身で受けますが、
僕が放った魔法は風魔法。
鋭い風で何物をも切り裂いていきます。
ドラゴンの身体は真っ二つになって、その場に倒れます。

そしてフェンリルはその吹き飛ばされた何かの所へ向かってくれています。
そこには力なく手足を変な方向に曲げている・・・・ザーラさんの姿がありました。
顔も見る影もないほどはれ上がって、あちこち不自然に曲がったりしています。

僕はザーラさんに駆け寄ります。
その前に、目の前にあるドラゴンが邪魔なので、頭を掴んで・・・・まだ生きていますが虫の息ですね・・・・ザーラに近すぎるので、どかさないと!

【む・・・・何をする!!】
【うるさいここから離れろ!】
僕はドラゴンの頭を押さえながらそう伝えますが、
【わしがその人間を?気が付かなかった・・・・それにここから離れようにも我はもう真っ二つで身動きがとれぬぞ?それに後そう長くはもつまいて・・・・縄張りが騒がしいので来てみれば・・・・何故じゃ!】
何か言ってる気がしますがそのまま押し返します。スペースが出来たので、ザーラさんを抱き締めます。

「なんて無茶な!」
「うぐ・・・・ごふっ・・・・」
「動いちゃだめだ!」
ですがザーラさんは力なく微笑み・・・・何かを僕に渡そうとしているのですが、折れた腕が動くはずもなく・・・・何かを握ったまま・・・・僕の腕の中で動かなくなってしまいました。
「あああああああああああ!!!!!!!!」

僕は間に合わなかった・・・・間に合うと思ったのに!
「どうして!!!!!!!!!!」
付き合いは長くないし、ザーラさんとはさほど親しくなれなかったけれど・・・・それでも知った人が・・・・本気かどうか僕に好意を持ってくれていた女性が目の前で。
僕は力の限りの咆哮を発し・・・・

覚醒をしていた順平だったが、あくまで覚醒しただけ。
覚醒だけではあまり力にならず、
あの時覚醒したというのは何だったのか。
ここにきて順平は・・・・自身が無力なのを感じていた。自分は無力だ。

今まで順平はさんざんスキルに振り回され、時に魔力が足りなくなり、気を失ったり、自分の意思とは関係ないスキルが勝手に発動したりと制御できないでいた。

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