第67話　スキルを教えてもらう取引？

「・・・・何で男を遠慮してくれとの事じゃないのか？」
「ええ、その通りです。何か問題がありましたか？」
「・・・・あんたみたいな紳士ならいいが、あんたらと一緒に来た連中の内、何人かが、ここにいる女に手を出そうとしやがったからな。なので警戒しているんだ。」
・・・・なんとなく察します。あの下品なリーマン・・・・・
「それは・・・・ごめんなさい。僕はそう言った、女性に不快な思いをさせたくはないと思っていますが、貴女方からすればそんな事わかりませんよね？」
「・・・・ふーん・・・・あんたいい奴みたいだな。まあいい、あんたなら・・・・中に入っても問題なさそうだな。一人だし。」
「え？じゃあ複数で押しかけてきたんですか？」
「ああ、５人ぐらいできやがった。包丁突きつけたら逃げやがったが。」
「うわ・・・・中々すごいですね。」
「まあいいさ。で、あんたは何かしたいのか？」
「あ、出来れば食事を自分でも作ってみたいので、その、この調理場にある、道具の使い方とか教えて貰えたらと思ったんです。それと、簡単なものでいいので料理の仕方を教えて貰えれば、と。」
「・・・・ふーん・・・・別にいいけど、私らの料理に不満があるのかい？」
「・・・・そう言う訳では。ただ、貴女方も聞いていると思いますが、元々勇者を召喚して、魔王を討伐、と言う話だったと思いますが、肝心の勇者が屑で、街から追い出されたのは聞いていますか？」

「ああ、聞いてるよ？よりにもよってギルドの受付嬢に租チンをボロンしやがって、銜えさせようとしやがった短小野郎だろ？」
「・・・・容赦ないですね、まあその通りですが。で、僕は少し思う所がありまして、出来れば一度街の外であの勇者が一体どうなったのか確認したいのです。なにせ僕らが元の世界に戻るには、魔王を討伐しないといけない、しかし、魔王は勇者にしか討伐できないと聞いています。その勇者を、今どこにいるか確認しておかないと、今後僕らがどうなるか、見通しもつきませんから。そして時間がかかるようでしたら、その間の食事は自分で用意をしないといけません。スキルが無ければ・・・・きっと貧しい食生活になるでしょうと思ったのですよ。」
・・・・ええとこの女性、何だか僕を品定めしているようです。

「・・・・ふーん・・・・あんた嘘を言ってるようには思えないね。それに魔王は私らにとっても、そう遠くないうちに脅威になるかもと聞いてるからね。わかった、教えよう。あんただけでいいか？あの３人は別の何かをしに行ったようだけど？」
「ええ、家事全般、出来れば浄化を学びたいらしく、僕ともう１人が所持しているので、持っていない２人が学びたいらしいので、教えようかと。」
「・・・・ふーん・・・・あ、今浄化って言った？」
「え？ええ・・・・何か？」
「・・・・それ、私らも学ぶ事ができる？」
「・・・・ええと、どうなのでしょうか？できるとは思いますが・・・・」

「よし決まった！じゃあ私があんたに料理を教えてあげるから、代わりに浄化を、出来れば希望者に教えてくれないか？」
「・・・・ええと、出来るのかな？あまり大っぴらにできないけれど・・・・」
「常山様、これを。」
侍女さんがまた紙を差し出してきます。
「その、申し訳ないですが、一応ここに署名してもらっていいですか？もしかしたら重大な秘密かもしれません。なので、僕が今から言う事は、黙っていてほしいんです。」
「え？その紙は・・・・わかった！」
まだ分かりませんが、浄化は何か条件があるかもしれませんからね。魔法が使えないと話にならないとか？