外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~
17.脱走!
「すいません、見ず知らずの人に会わせるわけにはいかないのです。あの方は失脚したとはいえ大きな影響力を持っています。当然敵も多い。そういうわけなのでその願いを聞くわけにはいきません」
やっぱりそう来るか。そりゃそうだよね。
「それにどうやってここから私を出すというのです?見ての通りここは完全に石で囲まれた牢です。入り口には見張りもいる。そう簡単に出られるものではない」
「ああ、それなら別に難しいことじゃ…」
「テツヤ、そこにいる?」
その時鉄格子が嵌った窓の向こうから声が聞こえてきた。
「フラムか?」
その声は途中で姿が見えなくなったフラムだった。
やっぱり隠れて後を付けていたのか。
「今助ける」
「いや、待った。それよりも外の様子を教えてくれないか」
「外は入り口の他に警備はいない。でも町の中は警備兵がたくさんいる。おそらく魔法探知もされてる」
ということは外に出てもそう簡単に移動はできないということか。
だとすると尚更地理に詳しいラファイの協力が必要になるな…
俺は改めてラファイの方を振り向いた。
「ラファイさん、俺は今から外に出てある人を連れてくる。俺たちをルスドール様のところに連れていかないかどうかはその人を見てから決めてくれないか」
「それは誰ですか?」
ラファイが少し興味を惹きたてられたみたいだ。
「リンネ・ミッシンネラ・フィルド、この名前に聞き覚えはないか?」
その言葉にラファイが目を剥いた。
「な、何故その名を!?」
予感的中だ。
長の従者だというなら玄孫のことを聞いているかもしれないという勘が当たったようだ。
「やっぱり知っていたのか。俺が今から連れてくるのがその人だと言ったらどうする?」
「馬鹿な!あり得ない!」
ラファイが信じられないと言うように首を振った。
「あり得ないかどうかは俺が戻ってくるのを待ってから判断してくれないか?今すぐ連れてくるよ。どうやってあんたを脱出させるのかというのもその時に実演してみせる」
「むっ…」
ラファイが言葉を詰まらせる。
「ま、とりあえず待っておいてくれよ。きっとびっくりするぞ」
そう言うと俺は壁に手を当てた。
石壁に人一人通れるだけの穴が音もなく開いた。
「なっ!?」
ラファイが驚きの声をあげる。
「あ、あなたは一体何者なんですか…?」。
「お楽しみはこれからだよ。ちょっと待っていてくれ」
俺は驚くラファイにウィンクをすると外に出て再び穴を塞いだ。
向かうのはリンネ姫たちが囚われている房だ。
◆
「こ、こんな…」
ラファイが驚愕の表情を浮かべている。
その眼は俺が連れてきたリンネ姫に注がれていた。
「エ、エルニア様…」
そう呟いてがくりと膝を落とす。
「彼女がリンネ・ミッシンネラ・フィルド、フィルド王国の姫君リンネ姫であんたが仕えているルスドール様の孫娘の孫娘だよ」
俺の言葉が聞こえているのかいないのかラファイは地面に跪いてうなだれ続けていた。
リンネ姫がそんなラファイに近づいてしゃがみこんだ。
その肩にそっと手を置く。
「ラファイと言いましたね。我が高祖父ルスドールに仕えていると聞きました。あなたに会えて良かった」
リンネ姫の言葉にラファイの肩がびくりと震えた。
「その声、その顔、子供の頃に見たエルニア様に瓜二つ…やはりあなたは…エルニア様の…」
リンネを見上げるラファイの眼に涙が溢れだす。
待てよ?確かエルフはかなり長命のはず。そのラファイが子供の頃と言うと相当昔になるのでは?
「エルフ族が長命なのはエルフ神の加護があってのこと。ヒト族と結ばれた祖母はその加護から外れることになったのだ。もっともそれでもヒト族よりは長生きしたのだがな」
ラファイの肩を抱いたリンネ姫がそう言って微笑んだ。
なるほど、ヒト族に嫁ぐというのはエルフ族ではなくなることを意味するのか。
ヒト族に嫁いだリンネ姫の祖母がエルフ族から非難されたのもそれが理由なのだろうか。
しかしエルフであることを捨て、長命を失ってまで一緒になりたいというのは相当の覚悟があったはずだ。
リンネ姫の祖母と祖父の間には一体どんなロマンスがあったのだろうか。
ラファイは口ぶりだとエルニアに対して割り切れない思いがあったみたいだけど、こうしてリンネ姫に会った反応を見ると彼の人に対する崇拝の念を持ち続けていたのだろう。
「ラファイさん、顔を上げてください。私を高祖父、ルスドールに会わせていただけませんか?」
「もちろんです!ルスドール様はここ最近ずっとあなたのことを気にかけておいででした。きっとお喜びになられるはずです!」
ラファイは涙に濡れた顔で頷いた。
「よし、そうと決まったら早速準備に取り掛かろう。一旦リンネ姫には元の房に戻ってもらって、夜になったら脱走だ!」
俺の言葉にリンネ姫とラファイが大きく頷いた。
やっぱりそう来るか。そりゃそうだよね。
「それにどうやってここから私を出すというのです?見ての通りここは完全に石で囲まれた牢です。入り口には見張りもいる。そう簡単に出られるものではない」
「ああ、それなら別に難しいことじゃ…」
「テツヤ、そこにいる?」
その時鉄格子が嵌った窓の向こうから声が聞こえてきた。
「フラムか?」
その声は途中で姿が見えなくなったフラムだった。
やっぱり隠れて後を付けていたのか。
「今助ける」
「いや、待った。それよりも外の様子を教えてくれないか」
「外は入り口の他に警備はいない。でも町の中は警備兵がたくさんいる。おそらく魔法探知もされてる」
ということは外に出てもそう簡単に移動はできないということか。
だとすると尚更地理に詳しいラファイの協力が必要になるな…
俺は改めてラファイの方を振り向いた。
「ラファイさん、俺は今から外に出てある人を連れてくる。俺たちをルスドール様のところに連れていかないかどうかはその人を見てから決めてくれないか」
「それは誰ですか?」
ラファイが少し興味を惹きたてられたみたいだ。
「リンネ・ミッシンネラ・フィルド、この名前に聞き覚えはないか?」
その言葉にラファイが目を剥いた。
「な、何故その名を!?」
予感的中だ。
長の従者だというなら玄孫のことを聞いているかもしれないという勘が当たったようだ。
「やっぱり知っていたのか。俺が今から連れてくるのがその人だと言ったらどうする?」
「馬鹿な!あり得ない!」
ラファイが信じられないと言うように首を振った。
「あり得ないかどうかは俺が戻ってくるのを待ってから判断してくれないか?今すぐ連れてくるよ。どうやってあんたを脱出させるのかというのもその時に実演してみせる」
「むっ…」
ラファイが言葉を詰まらせる。
「ま、とりあえず待っておいてくれよ。きっとびっくりするぞ」
そう言うと俺は壁に手を当てた。
石壁に人一人通れるだけの穴が音もなく開いた。
「なっ!?」
ラファイが驚きの声をあげる。
「あ、あなたは一体何者なんですか…?」。
「お楽しみはこれからだよ。ちょっと待っていてくれ」
俺は驚くラファイにウィンクをすると外に出て再び穴を塞いだ。
向かうのはリンネ姫たちが囚われている房だ。
◆
「こ、こんな…」
ラファイが驚愕の表情を浮かべている。
その眼は俺が連れてきたリンネ姫に注がれていた。
「エ、エルニア様…」
そう呟いてがくりと膝を落とす。
「彼女がリンネ・ミッシンネラ・フィルド、フィルド王国の姫君リンネ姫であんたが仕えているルスドール様の孫娘の孫娘だよ」
俺の言葉が聞こえているのかいないのかラファイは地面に跪いてうなだれ続けていた。
リンネ姫がそんなラファイに近づいてしゃがみこんだ。
その肩にそっと手を置く。
「ラファイと言いましたね。我が高祖父ルスドールに仕えていると聞きました。あなたに会えて良かった」
リンネ姫の言葉にラファイの肩がびくりと震えた。
「その声、その顔、子供の頃に見たエルニア様に瓜二つ…やはりあなたは…エルニア様の…」
リンネを見上げるラファイの眼に涙が溢れだす。
待てよ?確かエルフはかなり長命のはず。そのラファイが子供の頃と言うと相当昔になるのでは?
「エルフ族が長命なのはエルフ神の加護があってのこと。ヒト族と結ばれた祖母はその加護から外れることになったのだ。もっともそれでもヒト族よりは長生きしたのだがな」
ラファイの肩を抱いたリンネ姫がそう言って微笑んだ。
なるほど、ヒト族に嫁ぐというのはエルフ族ではなくなることを意味するのか。
ヒト族に嫁いだリンネ姫の祖母がエルフ族から非難されたのもそれが理由なのだろうか。
しかしエルフであることを捨て、長命を失ってまで一緒になりたいというのは相当の覚悟があったはずだ。
リンネ姫の祖母と祖父の間には一体どんなロマンスがあったのだろうか。
ラファイは口ぶりだとエルニアに対して割り切れない思いがあったみたいだけど、こうしてリンネ姫に会った反応を見ると彼の人に対する崇拝の念を持ち続けていたのだろう。
「ラファイさん、顔を上げてください。私を高祖父、ルスドールに会わせていただけませんか?」
「もちろんです!ルスドール様はここ最近ずっとあなたのことを気にかけておいででした。きっとお喜びになられるはずです!」
ラファイは涙に濡れた顔で頷いた。
「よし、そうと決まったら早速準備に取り掛かろう。一旦リンネ姫には元の房に戻ってもらって、夜になったら脱走だ!」
俺の言葉にリンネ姫とラファイが大きく頷いた。
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