外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~
15.幕間
「魔界に軍を進めるだと!」
ロッジァンのベルトラン軍基地にある通信室にヘルマの声が響いた。
「はい、現在その方針の元にロッジァンに軍が集結しています」
通信用水晶球の向こうでファウェイズが答えた。
確かにロッジァンに詰めている兵士の数が増えているのはヘルマも気付いていた。
嫌な予感がしていたが、まさかそれが現実のものになるとはヘルマも信じたくはなかった。
「馬鹿な!今のベルトラン帝国軍にそのような余力があると思っているのか!陛下は決断なされたのか?」
「いえ、それはまだのようです。しかし時間の問題だと言われています」
「元老院の強欲どもめ!己の領土を食いつぶすだけでは飽き足らないのか!」
「た、隊長、言葉を慎んでください!」
流石に慌てたようにファウェイズがたしなめた。
今の言葉は反逆罪と取られてもおかしくない。
今回の魔界侵攻には国土防衛という意味以上に魔界の資源確保が理由にあることはファウェイズにもわかっている。
しかしそれを口に出すことは暗黙裡の禁忌となっていた。
そのことを声高に批判して何人の執政官が投獄されることになったか。
「元老院としては魔族がたびたび国土を脅かしているのが我慢ならんという理由だそうです。そのためにまずフォージャス周辺を荒らしているゴブリンを掃討するという話です」
ファウェイズの言葉にヘルマの眉がぴくりと持ち上がった。
「つまりそのゴブリンたちがいなければこの話は進まないというわけだな?」
「は?ええ、まあその地域に関してはそうなると思いますが…」
どうやら図らずも時間稼ぎができそうだ。
テツヤには改めて感謝しないといけないな、とヘルマは独りごちだ。
「?…今何か仰いましたか?」
「いや、なんでもない。それより他には何かないか?」
「はい、ヘルマ隊長にはすぐに戻るようにと指令が下っています。夕刻に発つ飛竜に乗るようにとのことです」
クソ、とヘルマは歯噛みした。
テツヤと連絡を取る時間はないか。
「……分かった。すぐにそちらに向かおう」
「お願いします。今回の魔界侵攻についてのことだと思いますのでお急ぎください」
あの時テツヤに二つ目の貸しについて言っておけばよかったな、とヘルマは軽く後悔したがすぐに首を横に振った。
過ぎたことを悔やんでも仕方がない、自分はベルトラン帝国軍人であり、まず従うべきは命令だ。
それでも、とヘルマは願わずにはいられなかった。
この戦争を回避してくれる者はいないだろうか、と。
ロッジァンのベルトラン軍基地にある通信室にヘルマの声が響いた。
「はい、現在その方針の元にロッジァンに軍が集結しています」
通信用水晶球の向こうでファウェイズが答えた。
確かにロッジァンに詰めている兵士の数が増えているのはヘルマも気付いていた。
嫌な予感がしていたが、まさかそれが現実のものになるとはヘルマも信じたくはなかった。
「馬鹿な!今のベルトラン帝国軍にそのような余力があると思っているのか!陛下は決断なされたのか?」
「いえ、それはまだのようです。しかし時間の問題だと言われています」
「元老院の強欲どもめ!己の領土を食いつぶすだけでは飽き足らないのか!」
「た、隊長、言葉を慎んでください!」
流石に慌てたようにファウェイズがたしなめた。
今の言葉は反逆罪と取られてもおかしくない。
今回の魔界侵攻には国土防衛という意味以上に魔界の資源確保が理由にあることはファウェイズにもわかっている。
しかしそれを口に出すことは暗黙裡の禁忌となっていた。
そのことを声高に批判して何人の執政官が投獄されることになったか。
「元老院としては魔族がたびたび国土を脅かしているのが我慢ならんという理由だそうです。そのためにまずフォージャス周辺を荒らしているゴブリンを掃討するという話です」
ファウェイズの言葉にヘルマの眉がぴくりと持ち上がった。
「つまりそのゴブリンたちがいなければこの話は進まないというわけだな?」
「は?ええ、まあその地域に関してはそうなると思いますが…」
どうやら図らずも時間稼ぎができそうだ。
テツヤには改めて感謝しないといけないな、とヘルマは独りごちだ。
「?…今何か仰いましたか?」
「いや、なんでもない。それより他には何かないか?」
「はい、ヘルマ隊長にはすぐに戻るようにと指令が下っています。夕刻に発つ飛竜に乗るようにとのことです」
クソ、とヘルマは歯噛みした。
テツヤと連絡を取る時間はないか。
「……分かった。すぐにそちらに向かおう」
「お願いします。今回の魔界侵攻についてのことだと思いますのでお急ぎください」
あの時テツヤに二つ目の貸しについて言っておけばよかったな、とヘルマは軽く後悔したがすぐに首を横に振った。
過ぎたことを悔やんでも仕方がない、自分はベルトラン帝国軍人であり、まず従うべきは命令だ。
それでも、とヘルマは願わずにはいられなかった。
この戦争を回避してくれる者はいないだろうか、と。
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