精霊貴族に転生~精霊の力を使って最強を目指します~

ReiNiaras

第十二話 皇女殿下との出会い

俺は8歳になった。あれから訓練は続いている。
今は父さんからだけではなくノフィから魔法も習っている。
ある日の朝食の時に父さんが唐突に
「そういえばもうすぐルイトのお披露目会の時期だな」
というと
「そうだったわね」
「そっか~あの時期か」
と家族が反応した。
(あれ、なんでゼノ兄さんとリア姉さんは嫌そうなというよりなんかいやな記憶を思い出したような顔をしてるんだろ?)


そこで思い切って聞いて見ることにした。
「ゼノ兄さんとリア姉さんは何かあったの?」
すると二人はびくっとして黙って二人でどちらが言うのか押し付けあっていた。
しばらくするといつものようにゼノ兄さんが負けたらしくゼノ兄さんが説明してくれた。


「実はリアがお披露目会の時に貴族のバカ息子からバカにされて俺が決闘したんだよ。
それで俺が勝ってその貴族家とは絶交したってわけ。まあそんなことがあったからあんまりお披露目会が好きではないんだよ」
なるほど、そういうことがあったのか。
「それともうすぐゼノとリアの二人も12歳になるからな来年から王都の学園に通うからその下見もついでにするからな」
「兄さんたち来年から王都に行くの?」
俺がそう聞くと二人とも少し寂しそうな顔で
「そうだな、でも休みには帰ってくるからな。お土産楽しみにしとけよ」
「うん」
「じゃあ来週からお披露目会のために王都に行くから準備しておけよ」






「よし全員準備できたな?」
父さんは全員が出発する準備が終わったことを確認して、御者に出すように伝えた。
今回は家族全員で向かう。そのため、馬車は俺たちが乗っているこの馬車と使用人たちの馬車、そして荷物などが乗っている馬車の3台だ。その周りには伯爵家の騎士たちが護衛についている。
ちなみに伯爵家の騎士たちは強く、中には騎士としては珍しい魔剣士という魔法と剣両方を扱う人もいる(まあ当主である父さんが魔法師団の団長である時点で伯爵家が魔法が強いのだが)。


こうして俺たちは王都に向けて出発した。
伯爵領から王都までは2日ほどかかる。


初日は順調に進んでいた。
馬車の中ではみんなで話したり昼寝したりして時間をつぶしていた。
そのあと途中の伯爵領に泊まり、ゆっくりと家族で時間をつぶした。


二日目は順調に進んでいたが、
常に発動している索敵魔法に複数の魔物の気配がかかった。
この索敵魔法はこの三年でノフィからみっちり訓練させられて使えるようになった。
そのほかにも厄災級魔法まではかろうじて使えるようになった。
もともと魔力操作は得意だったが、この三年は本当に鬼のような時間だった。
ちなみに精霊魔法はまだ使うことはできない。


そして俺はその魔物たちの近くに人の気配があることも感知していた。
魔物に襲われているようだ。
(ノフィこれって襲われてるよね?)
(うん、しかも劣勢みたいだよ)
俺は一度ノフィに相談してから


「父さんこの先で魔物に襲われいている人がいます」
父さんは俺がそう言ったのに驚いていたが、
「そうか、では騎士を先行させよう」
そういったが、
「いえ、俺が行きます」
「だが、お前にはまだ..」
「大丈夫です。この三年間しっかりと訓練してもらったので」


そういって俺は馬車から降り、身体強化の魔法を発動した。
これは小さいころからやっているので、無詠唱で素早くできる。
そして襲われている人たちのところに走った。


そこでは1台の高そうな馬車を騎士たちが守っていた。
しかし、魔物の数が多く倒れている人も多くいる。


「加勢します」
そういって俺は炎の初級魔法ファイアーボールを打った。
ノフィもついてきているので神話級まで打てるのだが、今回は初級で十分だ。


もともと30匹いたが、今の攻撃で残り18匹まで減っている。
一気に距離を詰め剣で切って一気に3匹を倒す。
ここで、数が減ったことによりフリーになった騎士がほかの騎士のフォローに入り2匹を倒す。
しかし、騎士たちは戦闘の疲れが色濃く見え長期戦は降りだと考えた。


そこで俺は中級魔法を放った。
「アイスランス」
凍りの槍がおよそ20本出てきてゴブリンたちに向かう。
すべてがゴブリンにあたり、動きが止まったところですべてを倒した。


ここで、ニアラス伯爵家の騎士たちが到着する。
「加勢するぞってなんでここにルイト坊ちゃんがいるんですか。もう全部倒されてるし」


そんな話をしていると馬車の中から一人の少女が出てきた。
「皆さん傷をいやします」
そういって魔法を唱え始めた。


するとノフィが
「あの子凄いね。あそこまでの回復魔法を使える人はなかなかいないよ」
「そうなんだ」


魔法を唱え終わるとひかり、光がなくなると騎士たちの傷も消えていた。
しかし、瀕死だった三人の騎士の傷はそのままだった。
少女は魔法を唱え続けるが一向に良くならない。
周りの人もあきらめ始めていた。


俺はふと思い、
「なあノフィ、お前だったらあの傷治せるか?」
するとノフィはすぐに
「治せるよ。でも少し手荒な方法になるかも」
と言ってきた。


「手荒な方法っていうのは?」
「無理やりあの人たちの時間を巻き戻して傷をなかったことにするんだ。その代わり相当な量の魔力を消費するし、ほかの人にも力を見られてしまうよ」


俺はそういわれて少し悩んだ。
魔力のほうは俺は魔力が多いから問題ないが、ほかの人に力を見られるのはあまり良くない。
でも見せてるわけにはいかないと悩んでいると、残りの騎士たちとともに父さんが到着した。


「我々はニアラス伯爵家だ。大丈夫か!」
すると少女が、
「ニアラス伯爵家の方々でしたか。おかげで助かりました。名乗り遅れました、シア・フォン・リトアです。この度は本当にありがとうございました」


すると俺たちは急いで膝をついて臣下の礼を取った。
なぜなら、名前にリトアと入っているのはこの帝国の中で皇族しかいないからだ。
しかし、ここで皇女殿下が


「命の恩人である皆様に膝をつかせるわけにはいきません。顔を上げてください」
そういわれると俺たちは全員立ち上がった。


「それよりも誰か回復魔法が得意な方はいませんか?
三人が危険な状況で...」
すると困ったように父さんが言った。
「残念ながら皇女殿下よりも上手なものはおりません」


すると何かを思い出したように俺の方に近づいてきて
「ルイトお前ならできるか?」
そう聞いてきた。できるだけ父さんも騎士たちを救いたいのだろう。
俺はノフィから聞いたことを素直に答えると、難しい顔をした。




すると皇女殿下が「俺にできるのですか?」と聞いてきた。
俺たちが難しい顔をしているのを見て、


「お願いします」と頭を下げてきた。
それには俺たちも驚き、急いで頭を上げてもらうよう言った。
それでも、難しい顔をする俺たちを見て、殿下の護衛だった若い近衛騎士が怒鳴ってきた。


「皇女殿下が頭を下げてまで頼まれているのにやらないとはどういうことなんだ。やれるならさっさとやらないか」
その言葉にすかさず皇女殿下が叱ったが、あたりには張り詰めた空気が流れた。


すると最後に父さんが折れ、今から見たものを口外しないのなら行うと約束させた。
このとき父さんは陛下にもという条件を出し、それにまた近衛騎士がかみついてきたが皇女殿下が了承したため決まった。


父さんに「ルイトすまないが頼む」と言われて俺は騎士三人の前に移動した。
俺は騎士の前に来ると横にいるノフィに魔力を流した。
これも最初はできなかったが訓練でできるようになった。
しかし、普段訓練で使う何十倍もの魔力がノフィに流れていく。


するとノフィが「逆再生」と言った途端、あたりが光に包まれ三人の騎士の傷が急激に消えていった。
光が消えた時俺は今までにないほどの脱力感に襲われていた。


父さんはため息をついていたが、周りの人は信じられないようなものを見る目で俺を見ていた。
すると皇女殿下が
「ありがとうございました」
と言ってきたが俺は疲れのあまり
「いえ、しかしこのことは口外しないでください」
としか言えなかった。


そのあと魔物や騎士の遺体をアイテムボックスに入れ、王都に向かった。
馬車で兄さんや姉さんは、
「すごかったね。どうやったんだい?」
と聞いてきたが、「秘密」と答えると「また今度教えてね」と言ってそっとしていてくれた。
俺はそのあとすぐに寝てしまい、起きたら王都についていた。

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