Bluetoothで繋がったのは学校1の美少女でした。
第95話 クリスマスの予定
放課後、先生に頼み事をされた俺はいつもより遅い時間の電車で下校している。
寒さが厳しくなり学校から駅までの道のりはポケットに手を突っ込まないと耐えられない苦痛の時間となっている。
手袋を用意すれば良いだけの話なのだが、季節の変わり目に押し入れの奥に保管された衣類を探し出すのは面倒くさく、明日、また明日と先延ばしにしてしまっているのが現状だ。
それに比べて電車の中は暖房が効いている癒しの空間。暖房が効いている電車を降りると冷たい風に身震いする。
「はっくしゅんっ」
冷たい風に吹かれたせいかくしゃみが出た。
俺は12月に入っても楓に告白の返事を出来ていない。楓にはゆっくりで良いと言われているが、流石に引き伸ばしすぎだと思っている。
あーダメだ、寒すぎる。
寒さに耐えきれなくなった俺はいつも祐奈と入る行きつけのヤイゼリヤに入店した。
店の奥の方にあるいつも祐奈と2人で座る席の方に歩いて行くとその席には先客がいて、その客の隣の席に座る事にした。
「よいしょっと」
寒さから逃れた俺はそう声を出して席に座った。
……あれ、今いつもの席に祐奈と楓が座っていなかったか⁉︎
確信を持てなかった俺は隣の席にいる2人に気付かれないようそーっと後ろを振り向く。
そこにはやはり、祐奈と楓が座っていた。
幸い祐奈と楓が座っている席には背を向ける側に座ったため、顔を見られて隣の席に座っているのが俺だと気付かれることは無い。
いや、そもそも気付かれてはいけない理由は無い。
俺に聞かれたくない話をしているわけではないだろうし。
それなら何も別々でご飯を食べなくても、俺が2人に声をかけて一緒に食べようと言えば終わる話。
よし、じゃあ声かけるか。
「楓さんは去年のクリスマス、何してたんですか? 」
俺が立ち上がって声をかけようとした瞬間、祐奈が楓に質問した。
俺は去年のクリスマス、祐奈と楓が何をしていたのか全く知らない。
ちなみに俺は風磨と男2人で寂しくアニメ鑑賞会をしていた。
とまあそんなくだらない情報はどうでも良いが、祐奈が楓に質問したその話題が気になった俺は2人の話を盗み聞きする事にした。
いや、盗み聞きでは無い。偶然、偶然横にいて話が聞こえてくるだけ。
「もちろん仕事だよ。クリスマスはイベントも多いからね」
やはり楓は仕事をしていたようだ。
声優は仕事柄クリスマス当日にイベントが多いのだと思う。
「祐奈ちゃんは? 去年は何してたの?」
そう言われてみれば祐奈の過去に関しては、中学校の時にいじめられて以来高校でアニメオタクを隠そうとしているという事実以外何も知らない。
今年同じクラスになるまで、祐奈の事は学校1の美少女だということしか知らなかった。
去年、一昨年、それ以前に祐奈がどんな生活をしているのか、俺は何も知らないんだな。
「私は家族でクリスマスケーキを食べてました。普段両親は家にあまりいないのですが、なぜかクリスマスだけは家に帰ってきてるんです」
クリスマスは家族と過ごしてるのか。じゃあ祐奈とクリスマスを過ごすのは無理なのか。
な、何を考えているんだ俺は。クリスマスに祐奈と2人で過ごせるわけがないじゃないか。
まあ2人が去年、どこぞの見知らぬ男とデートをしているわけではなくて安心した。
「そろそろ帰ろっか。今日はありがとね」
「私の方こそありがとうございました。急に呼び出してすいません」
2人は席を立ち、会計に向かって歩いて行く。
俺は2人に気付かれないように身をかがめる。チラッと通路を見ると祐奈が過ぎていったのが見えた。
「残念だね。祐奈ちゃんはクリスマス、家族と過ごすって」
……どうやら楓には俺の存在を気付かれていたようだ。
俺の横を通って行った楓はこちらを振り向き、したり顔をしていた。
寒さが厳しくなり学校から駅までの道のりはポケットに手を突っ込まないと耐えられない苦痛の時間となっている。
手袋を用意すれば良いだけの話なのだが、季節の変わり目に押し入れの奥に保管された衣類を探し出すのは面倒くさく、明日、また明日と先延ばしにしてしまっているのが現状だ。
それに比べて電車の中は暖房が効いている癒しの空間。暖房が効いている電車を降りると冷たい風に身震いする。
「はっくしゅんっ」
冷たい風に吹かれたせいかくしゃみが出た。
俺は12月に入っても楓に告白の返事を出来ていない。楓にはゆっくりで良いと言われているが、流石に引き伸ばしすぎだと思っている。
あーダメだ、寒すぎる。
寒さに耐えきれなくなった俺はいつも祐奈と入る行きつけのヤイゼリヤに入店した。
店の奥の方にあるいつも祐奈と2人で座る席の方に歩いて行くとその席には先客がいて、その客の隣の席に座る事にした。
「よいしょっと」
寒さから逃れた俺はそう声を出して席に座った。
……あれ、今いつもの席に祐奈と楓が座っていなかったか⁉︎
確信を持てなかった俺は隣の席にいる2人に気付かれないようそーっと後ろを振り向く。
そこにはやはり、祐奈と楓が座っていた。
幸い祐奈と楓が座っている席には背を向ける側に座ったため、顔を見られて隣の席に座っているのが俺だと気付かれることは無い。
いや、そもそも気付かれてはいけない理由は無い。
俺に聞かれたくない話をしているわけではないだろうし。
それなら何も別々でご飯を食べなくても、俺が2人に声をかけて一緒に食べようと言えば終わる話。
よし、じゃあ声かけるか。
「楓さんは去年のクリスマス、何してたんですか? 」
俺が立ち上がって声をかけようとした瞬間、祐奈が楓に質問した。
俺は去年のクリスマス、祐奈と楓が何をしていたのか全く知らない。
ちなみに俺は風磨と男2人で寂しくアニメ鑑賞会をしていた。
とまあそんなくだらない情報はどうでも良いが、祐奈が楓に質問したその話題が気になった俺は2人の話を盗み聞きする事にした。
いや、盗み聞きでは無い。偶然、偶然横にいて話が聞こえてくるだけ。
「もちろん仕事だよ。クリスマスはイベントも多いからね」
やはり楓は仕事をしていたようだ。
声優は仕事柄クリスマス当日にイベントが多いのだと思う。
「祐奈ちゃんは? 去年は何してたの?」
そう言われてみれば祐奈の過去に関しては、中学校の時にいじめられて以来高校でアニメオタクを隠そうとしているという事実以外何も知らない。
今年同じクラスになるまで、祐奈の事は学校1の美少女だということしか知らなかった。
去年、一昨年、それ以前に祐奈がどんな生活をしているのか、俺は何も知らないんだな。
「私は家族でクリスマスケーキを食べてました。普段両親は家にあまりいないのですが、なぜかクリスマスだけは家に帰ってきてるんです」
クリスマスは家族と過ごしてるのか。じゃあ祐奈とクリスマスを過ごすのは無理なのか。
な、何を考えているんだ俺は。クリスマスに祐奈と2人で過ごせるわけがないじゃないか。
まあ2人が去年、どこぞの見知らぬ男とデートをしているわけではなくて安心した。
「そろそろ帰ろっか。今日はありがとね」
「私の方こそありがとうございました。急に呼び出してすいません」
2人は席を立ち、会計に向かって歩いて行く。
俺は2人に気付かれないように身をかがめる。チラッと通路を見ると祐奈が過ぎていったのが見えた。
「残念だね。祐奈ちゃんはクリスマス、家族と過ごすって」
……どうやら楓には俺の存在を気付かれていたようだ。
俺の横を通って行った楓はこちらを振り向き、したり顔をしていた。
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