Bluetoothで繋がったのは学校1の美少女でした。

穂村大樹

第67話 作戦開始

修学旅行二日目、最初の目的地は嵐山。

嵐山と言われて思い浮かべるのは鬱蒼と生茂る竹林、清らかに鳴り響く水面の上に架けられた渡月橋。
アニメだけでなくドラマ等テレビでも頻繁に目にするスポットだ。

嵐山に向かうバスの中では、修学旅行気分で普段よりテンションの高いクラスメイト達がはしゃいでいる。

俺たちはバス後方の席で花宮達が座る席は前方なので、風磨と花宮が関わる機会は全くない。花宮にとってはそれだけが救いとなっているだろう。

バスの中ではホテルの部屋ですやすやと眠っていた祐奈が体を左右に揺らしながらニコニコして俺に話かけてくる。

「やっぱり食べ歩きは外せないですよね‼︎ あ、でもこのカフェも行きたいしこのお土産も……。あぁもう行きたいところが多すぎて困っちゃいます」

夜はぐっすり寝て、昼間はこれだけ活発に会話が出来る姿はまるで小さい子供のようだ。

無邪気に行き先を決める祐奈に癒されながらも花宮のことは頭から離れない。

通路側に座っている俺はバス中央の通路に少し乗り出して花宮の様子を確認する。

花宮は笑顔で委員長と会話をしている。

告白をする上で危惧しなければならないことは告白を終えた後の両者の関係性だ。

告白が成功すれば勿論2人は付き合う事になり、デートをしたりキスをしたりと愛を深め合う。
しかし、告白が失敗してしまえばお互いの関係性は悪化の一途を辿る。

思春期の学生には告白をして振られた後に、その相手と気楽に話すことなど不可能に近い。
成功するか失敗するかでは月とすっぽんほどの差があるのだ。

花宮も明るく振る舞ってはいるが、無理をしているのは間違いない。早く関係を改善させなければ。

嵐山での自由時間は1時間。あまり時間は無いがこの1時間で俺は風磨の女嫌いを克服させると共に、花宮と風磨の関係を改善させるつもりだ。

せっかくの修学旅行で何をやっているんだ俺は、と思わなくも無いが、アニメ好きの親友とその親友を好きな奴が困ってるとなればそれを放っておくことは出来ない。

上手く行くかどうかは神のみぞ知るってところだがやるだけやってみよう。

バスは嵐山に到着し、俺たちは渡月橋の前まで来た。

「すごい! よく見る景色ですね」
「確かに、この橋もアニメとか映画とかでよく見る場所だな」

渡月橋を渡り終え、飲食店や土産店が立ち並ぶ道を歩く。

まず初めに4人全員が立ち食いのできるコロッケを購入した。

「な、何これ。すごく美味しい」
「本当だな。学校のそばにあれば毎日でも買いに行きたいレベルだ」
「こんな美味しいコロッケ初めて食べました」

何気なくコロッケを買いながら普通に歩いているように見えるが、俺は密かに花宮がいる陽キャグループの後を追った。

さぁ、作戦開始だ。

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