第57話　宿泊

陶芸教室を終えた俺と祐奈は集合場所に到着した。

集合時間よりも早く集合場所に到着したため、まだ風磨と楓はいない。

「陶芸体験面白かったよ。京都に来てそれっぽいことが出来て良かった」
「そう言ってもらえて良かったです。完成した湯飲みが家に届くのが楽しみですね」

祐奈は自分の作った湯飲みの完成した姿を早く見たいから自宅に湯飲みが届くのを楽しみにしているのだろうが、俺は祐奈とお揃いの湯飲みが届くのが楽しみだった。

「「うぃーす」」

俺と祐奈が話しているうちに土産袋を手に持った楓と風磨が合流した。

「あれ、2人ともお土産買ってねぇのか?」

お土産を買いに行ったのにお土産を持っていない俺たちに疑問を持った風磨が質問してくる。

しかし、そう質問してくるのは予想済みだ。

「あ、ああ。まだ修学旅行初日だし、今買うと荷物になるかもと思ってな。色々見て回ったけどまた別の場所で買うことにするよ」
「その方が賢いかもな」

完璧な返答だ。これで俺と祐奈がお土産を持っていない事に何も違和感は無くなった。

「2人は一緒に行動してたの?」
「いや、別々で……」
「はい‼︎　2人で一緒にお土産を見てました。たまたま同じお土産屋さんに居たので合流しました」

な、なんでわざわざ2人でいたことを⁉︎　別々で行動していたと言った方が陶芸体験に行っていたことを気づかれる可能性も少なくなるだろうに。

ん?　何故だろう。祐奈と楓が睨み合っている様な気がする。
俺の勘違いだろうか。2人の後ろに虎と龍が見える。え、この2人喧嘩してるの?　なんなの?

「……そっか。まあ私と風磨も一緒に行動してたしね」

喧嘩をしていたのかと思いきや、楓の熱りが一気に覚めたように見えた。

やはり俺の勘違いか。

どうなることかと思ったが、特に問題は起きなかった。

1日目は移動に時間を費やしたため、俺たちはバスに乗り込み宿泊先のホテルへと向かった。

ホテルに到着し、先生から部屋の鍵を受け取る。

俺が泊まる部屋は俺と風磨の2人部屋。祐奈と楓も2人で泊まることとなっている。

2人部屋に案内された俺たちは、避けては通れないある事を始めた。

「これはさ、絶対しとかないといけないやつだよな」
「これはな。絶対するやつだ」

俺と風磨は顔を見合わせてベッドへとダイブした。

ふかふかなベットに飛び込む心地良さがなんとも言えない。俺たちはひたすらベットへのダイブを繰り返している。

「何やってんのあんたたち」

俺たちがダイブに夢中になっている間にいつの間にか楓と祐奈が部屋に来ていた。

「お、どうした楓。てか鍵空いてた?」
「空いてた。無用心にも程がある」
「それでどうして俺たちの部屋に?」
「いや、なんか私たちの部屋のベッドが壊れてたみたいで。替の布団も無いし、別の部屋も空いてないみたいで、この部屋に泊まってくれって」
「ああそうか。分かった」

そして俺と風磨はもう一度ベットにダイブしてから正気に戻る。

「え、同じ部屋に泊まるの?」
「そういう事みたい」

そういう事みたい?　え、男女が同じ部屋に泊まるって有りなの?