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第41話 制止、引き止める理由
「どうしたの? 白太くん、顔色が悪いようだけど」
蒼乃とその兄が去っていった後、イスに座り直し再びスマホを弄っていた俺は緑彩先輩の接近に気付かなかった。
どうした、と尋ねられたが先ほどまでここに蒼乃が居て、という話は言いづらい。
嘘はつきたくなかったが、なんでもありません、と何気なく先輩の質問を受け流した。
「大丈夫です。それより先輩、次は何処に行きますか?」
「そうね……。特に行きたいところは無いのだけれど」
「そうですか……。もう外も暗くなってきたようですしそろそろ帰りましょうか」
長時間緑彩先輩と一緒に居ると、先輩が俺を嫌いになる確率は上がってしまう。
それに、荷物持ちとして誘っただけの俺とはもう解散して帰宅したいと考えているはず。
優しい緑彩先輩のことだ、俺に気を遣って帰りたいと言いづらいのだろう。
ならば、俺の方から帰宅するという提案をするのが最善策だ。
「……そうね。帰りましょうか」
自分でそう言ったとはいえ、すんなり俺の提案に賛同されると悲しさはあるな……。
緑彩先輩と解散するのはまだ早いのではないか、2度は無いこのチャンスをもう終わりにして良いのだろうか、そんな考えが俺の頭の中を駆け巡る。
俺が一度緑彩先輩に振られているという立場でなければ、間違いなく緑彩先輩を引き止めて、ご飯でも食べに行きませんか? とお誘いするところだ。
だが俺にはその資格がない。俺は一度、緑彩先輩に振られているのだから。
「イテッ」
改めて緑彩先輩に振られたと言う事実に打ち拉がれ、俯き加減で歩いていると急に柔らかい何かに衝突した。
何に衝突したのかと思い顔を上げると緑彩先輩が立ち止まっていた。
どうやら緑彩先輩にぶつかってしまったようだ。
「あ、ご、ごめんなさい。大丈夫ですか?」
「……」
……え、無言?
緑彩先輩、もしかして怒ってる?
「あのー、先輩?」
「……」
うん、半端なく怒ってる。これは間違いなく怒ってる。俺みたいな汚物が自分に当たった事を怒ってるんだ。
もしかすると、緑彩先輩とは金輪際話す機会は無いかもしれない。
それならせめて、緑彩先輩に衝突して感じた異常なまでに柔らかい身体の感触を胸に刻み込め。忘れることがないように。
「あ、あの‼︎」
「は、はい⁉︎」
「えっと……その……」
……ん? 何やら緑彩先輩が放つ言葉の歯切れが悪い。
「……はい?」
「も、もう少し……」
「……?」
「もう少し遊んで行かない?」
「……。え、そんなことですか?」
俺は緑彩先輩が放った意外な言葉に拍子抜けした。
緑彩先輩に何か悪さをした覚えは無いが、先輩の雰囲気から察するに俺に対して酷く憤慨しているのだろうと思ったのだが……。俺の勘違いだったようだ。
――え、というか今、もう少し遊んでいかない? って言ったよな⁉︎
「そんなことってなによ。こうやって言い出すの恥ずかしかったんだから……」
え、やばい、待ってなにこれなにこれ。緑彩先輩可愛すぎじゃない?
一旦帰ろうとしてたのに、もう少し遊んで行かない? と俺を誘うってことはまだ俺と一緒に居たいってことだよな?
いや、控えめに考えたとしても、俺と一緒に居るのが嫌ではないと言う事は確定した。
それだけでも俺は昇天しそうな気分になる。
「す、すいません。僕は用事とか無いので全然構いません。緑彩先輩は門限とか大丈夫ですか?」
「私は大丈夫。それならもう少し何処かで遊びましょう」
さっきまで、もう緑彩先輩と解散しなければならないのか、と落ち込んでいた俺の気分は急上昇。緑彩先輩と一緒にいる1日がまだ終わらないことに歓喜した。
「何処か行きたいと場所とかありますか?」
「ちょっと遠いのだけれど、それでも良ければ」
「問題ないです」
「それじゃあ向かいましょうか」
そして俺は緑彩先輩と一緒に電車に乗り込み、緑彩先輩が行きたいと言う場所に向かうことにした。
今はまだ18時。21時までには余裕で家に帰れるだろう。
蒼乃とその兄が去っていった後、イスに座り直し再びスマホを弄っていた俺は緑彩先輩の接近に気付かなかった。
どうした、と尋ねられたが先ほどまでここに蒼乃が居て、という話は言いづらい。
嘘はつきたくなかったが、なんでもありません、と何気なく先輩の質問を受け流した。
「大丈夫です。それより先輩、次は何処に行きますか?」
「そうね……。特に行きたいところは無いのだけれど」
「そうですか……。もう外も暗くなってきたようですしそろそろ帰りましょうか」
長時間緑彩先輩と一緒に居ると、先輩が俺を嫌いになる確率は上がってしまう。
それに、荷物持ちとして誘っただけの俺とはもう解散して帰宅したいと考えているはず。
優しい緑彩先輩のことだ、俺に気を遣って帰りたいと言いづらいのだろう。
ならば、俺の方から帰宅するという提案をするのが最善策だ。
「……そうね。帰りましょうか」
自分でそう言ったとはいえ、すんなり俺の提案に賛同されると悲しさはあるな……。
緑彩先輩と解散するのはまだ早いのではないか、2度は無いこのチャンスをもう終わりにして良いのだろうか、そんな考えが俺の頭の中を駆け巡る。
俺が一度緑彩先輩に振られているという立場でなければ、間違いなく緑彩先輩を引き止めて、ご飯でも食べに行きませんか? とお誘いするところだ。
だが俺にはその資格がない。俺は一度、緑彩先輩に振られているのだから。
「イテッ」
改めて緑彩先輩に振られたと言う事実に打ち拉がれ、俯き加減で歩いていると急に柔らかい何かに衝突した。
何に衝突したのかと思い顔を上げると緑彩先輩が立ち止まっていた。
どうやら緑彩先輩にぶつかってしまったようだ。
「あ、ご、ごめんなさい。大丈夫ですか?」
「……」
……え、無言?
緑彩先輩、もしかして怒ってる?
「あのー、先輩?」
「……」
うん、半端なく怒ってる。これは間違いなく怒ってる。俺みたいな汚物が自分に当たった事を怒ってるんだ。
もしかすると、緑彩先輩とは金輪際話す機会は無いかもしれない。
それならせめて、緑彩先輩に衝突して感じた異常なまでに柔らかい身体の感触を胸に刻み込め。忘れることがないように。
「あ、あの‼︎」
「は、はい⁉︎」
「えっと……その……」
……ん? 何やら緑彩先輩が放つ言葉の歯切れが悪い。
「……はい?」
「も、もう少し……」
「……?」
「もう少し遊んで行かない?」
「……。え、そんなことですか?」
俺は緑彩先輩が放った意外な言葉に拍子抜けした。
緑彩先輩に何か悪さをした覚えは無いが、先輩の雰囲気から察するに俺に対して酷く憤慨しているのだろうと思ったのだが……。俺の勘違いだったようだ。
――え、というか今、もう少し遊んでいかない? って言ったよな⁉︎
「そんなことってなによ。こうやって言い出すの恥ずかしかったんだから……」
え、やばい、待ってなにこれなにこれ。緑彩先輩可愛すぎじゃない?
一旦帰ろうとしてたのに、もう少し遊んで行かない? と俺を誘うってことはまだ俺と一緒に居たいってことだよな?
いや、控えめに考えたとしても、俺と一緒に居るのが嫌ではないと言う事は確定した。
それだけでも俺は昇天しそうな気分になる。
「す、すいません。僕は用事とか無いので全然構いません。緑彩先輩は門限とか大丈夫ですか?」
「私は大丈夫。それならもう少し何処かで遊びましょう」
さっきまで、もう緑彩先輩と解散しなければならないのか、と落ち込んでいた俺の気分は急上昇。緑彩先輩と一緒にいる1日がまだ終わらないことに歓喜した。
「何処か行きたいと場所とかありますか?」
「ちょっと遠いのだけれど、それでも良ければ」
「問題ないです」
「それじゃあ向かいましょうか」
そして俺は緑彩先輩と一緒に電車に乗り込み、緑彩先輩が行きたいと言う場所に向かうことにした。
今はまだ18時。21時までには余裕で家に帰れるだろう。
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